著者
荒木 裕子 山本 直子 岩崎 智裕 坂本 聖人 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.154, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】ネームとはタイの発酵ソーセージである。ネームは乳酸発酵により、微生物の繁殖を抑制しており、生食できるのが大きな特徴である。演者らは、これまでネームの安全性や調製方法による細菌の変動等の検討を行ってきた。本研究では、ネームの嗜好性を検討することを目的に物性、乳酸量、pHの経時的変化を観察した。また、細菌検査も行い、安全性の検討も行った。【方法】試験試料は、調製材料のみの自然発酵区と材料にネームパウダー、無水グルコン酸、プレーンヨーグルトを添加した4種類を調製した。35℃で4日間発酵させ、物性、乳酸量およびpHを経時的に測定し、乳酸菌数と大腸菌群による安全性の検討を行った。【結果】乳酸量とpHは発酵が進むにつれ乳酸量が増加し、pHの減少が見られた。中でもグルコン酸添加区、ネームパウダー添加区は発酵0日で乳酸量の増加が著しくpH5を下回った。物性測定では調製方法により「かたさ」「凝集性」に差が出たが、3日発酵の完成時にはほぼ同じ値になった。完成したネームの細菌検査では、グルコン酸添加区、ネームパウダー添加区では大腸菌群は十分に抑制されていたが、自然発酵区、ヨーグルト添加区では大腸菌の抑制は十分ではなかった。自然発酵区とヨーグルト発酵区では乳酸菌数の大きな増殖が見られ、これらの適度な酸味が嗜好性に貢献していることが考えられた。4種の調製方法では、ヨーグルト添加区が調製が簡便であり完成したネームの性状も優れていた。
著者
尾原 知行 山本 康正 田中 瑛次郎 藤並 潤 森井 芙貴子 石井 亮太郎 小泉 崇 永金 義成
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.167-173, 2013-05-20 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

要旨:【背景/目的】脳静脈血栓症は近年日常診療で遭遇する機会が増えている.脳静脈血栓症自験例の臨床像,急性期画像所見につき検討する.【方法】対象は2008年4月~2011年3月に当院に入院した脳静脈血栓症10例(平均49歳,男性5例/女性5例)である.【結果】初診時臨床症状は,7例で局所神経症状(うち5例は軽度の運動麻痺)を認め,3例は頭痛のみであった.4例はけいれん発作を伴った.閉塞静脈洞は上矢状洞6例,横静脈洞3例,直静脈洞1例で,初診時脳出血を4例,静脈梗塞を3例に認めた.9例で頭部MRI T2*強調画像にて閉塞静脈洞が低信号で強調された.全例抗凝固療法で治療し,8例は退院時modified Rankin Scale 0~1であった.【結論】自験10症例は比較的軽症で予後良好な例が多かった.T2*強調画像を含むMRI検査による早期診断が臨床経過に影響を与えている可能性が考えられた.
著者
山本 吉則 伊藤 正憲 嘉戸 直樹
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.25-29, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
7

This study examined the influence of posture change of hemiplegic stroke patients in their forward stepping motion. The results suggest that forward stepping motions differ in terms of joint motion, electromyogram pattern, and center of pressure owing to hip joint and tibial external rotation. This study introduces an intervention based on evaluation of the forward stepping motion.
著者
稲留 陽尉 山本 智子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.63-71, 2012-05-30 (Released:2018-01-01)
参考文献数
27
被引用文献数
2

タナゴ類は、コイ科タナゴ亜科に属する魚類で、繁殖を行う際に二枚貝を産卵床として利用することが最大の特徴である。鹿児島県には、アブラボテTanakia limbata、ヤリタナゴT. lanceolata、タイリクバラタナゴRhodeus ocellatus ocellatus 3種のタナゴ類が生息し、北薩地域は、アブラボテの国内分布の南限となっている。アブラボテなど在来タナゴ類は、外来タナゴ類との競合や種間交雑が危惧されているが、鹿児島県内ではこれらのタナゴ類の詳細な分布の記録が残っておらず、在来種と外来種が同所的に生息する状況についても調べられていない。そこで本研究では、北薩地域を中心にタナゴ類とその産卵床であるイシガイ類の分布を調べ、同時にタナゴ類各種によるイシガイ類の利用状況を明らかにすることを目的とした。調査は、2007年4月から2008年10月まで、鹿児島県薩摩半島北部の16河川で行った。タナゴ類はモンドリワナを用いて採集し、イシガイ類は目視や鋤簾による採集で分布を確認した。採集したイシガイ類の鯉を開口器やスパチュラを使って観察し、タナゴ類の産卵の有無を確認した。アブラボテとタイリクバラタナゴが各5河川で確認され、ヤリタナゴは1河川でのみ採集された。このうち2河川ではアブラボテが初めて確認され、アブラボテとタイリクバラタナゴの2種が生息していた江内川では、両種の交雑種と見られる個体が採集された。イシガイ類については、マッカサガイPronodularia japanensis、ニセマツカサガイInversiunio reinianus yanagawensis、ドブガイAnodonta woodianaの3種の分布が確認された。それぞれのタナゴ類は、産卵床として特定のイシガイを選択する傾向が見られたが、交雑種と思われる個体も採集された。このことから、それぞれの好む二枚貝の種類や個体数が限られた場合、この選択性は弱くなるものと考えられる。
著者
堀 香苗 折田 洋造 竹本 琢司 藤田 浩志 山本 英一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.Supplement69, pp.42-46, 1994-03-10 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

Foreign bodies in the paranasal sinus are not rare in the field of otorhinolaryngology. Here we report a case of a foreign body retained the paranasal sinus for 13 years.The patient was a 26-year-old woman whose chief complaint was postnasal drip. Thirteen years earlier, she had fallen from a bicycle into a bamboo thicket and a piece of bamboo had pierced the outer part of the right root of the nose. She had undergone operqtuon to remove the bamboo by an external incision, but a residual foreign body was observed by CT. We removed the foreign body by radical surgery on the paranasal sinus. Postoperative CT showed no residual foreign body and the course was good. There were no complications such as oculomotor disturbances before or after surgery.This case is reported as a patient with a long-term foreign body in the paranasal sinus. Some discussion of the literature also presented.
著者
松田 恭典 山本 隆嗣 坂田 親治 西澤 聡 家根 由典 徳原 大豪
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1531-1536, 2021 (Released:2022-02-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1

49歳,男性.双極性感情障害の既往あり.自殺企図にて降圧剤数種を大量に内服し救急搬送された.初診時より低血圧,高熱,腹痛を認めたが,症状は速やかに改善した.食事を再開すると症状が増悪するため,下部消化管内視鏡と注腸造影を施行したところ,上行結腸下部から回腸末端にかけて多発する不整形潰瘍を認め,著明な狭窄を呈した遠位回腸が描出された.保存的加療による治癒は望めないと判断し,手術を施行した.遠位回腸約75cmにわたり非連続性の壁肥厚と狭窄を認めたため,同範囲を一括切除した.術後27日で軽快退院した.病理組織所見では,粘膜は潰瘍化し,粘膜下層から筋層上層まで広範な線維化を認め,うっ血する毛細血管や静脈も認められたが,切除標本のいずれの部位にも血栓や動脈狭窄は認められなかった.よって,降圧剤の大量内服に起因するnon-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)により生じた,粘膜障害とその深層の線維性狭窄であったと判断した.
著者
森田 婦美子 山本 純子 高橋 弘枝
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-154, 2012 (Released:2017-05-10)
被引用文献数
2

口腔ケアは歯科疾患の予防を目的にしたものから,嚥下,構音,審美など広義の口腔ケアの目的が重視されるようになってきた。今回,口腔ケアとして,口腔へのブラシ刺激が,脳血流にどのように影響するのか前頭前野における脳血流の測定をおこなった。すべての研究協力者において上顎硬口蓋のブラッシング時,oxyHbの脳血流量が多く観察された。次いで舌,上顎中側切歯根部の順であった。目視解析においては,左眼窩前頭前野や頭頂葉の前運動領野からのoxyHb血流量増加を認めた。上顎硬口蓋への刺激は舌,上顎中側切歯根部に比較して優位に血流量が増加しており,これらのことから,日常のケアにブラシ刺激を取り入れることで,脳の活性が期待できると考える。
著者
山本 雄也 平賀 譲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-124, no.9, pp.1-6, 2019-08-20

楽曲には歌いやすいものと歌いにくいものがあり,歌いやすさ ・歌いにくさで楽曲を検索できれば,歌唱者の技量に合った楽曲選択が可能になると考える.しかし歌いやすさ ・歌いにくさは主観的かつ定性的な指標であり,それを定量化しコンピュータによる分析を可能にする手法については知見が十分でない.本研究は歌いやすさ ・歌いにくさを,難易度として楽曲の楽譜情報を用いて数値化し推定する手法について検討することを目的とする.楽曲の歌いやすさ ・歌いにくさについてデータを得るため,実験では 12 名の実験参加者を対象に楽曲を実際に歌い質問に回答する歌唱実験を行った.質問調査では楽曲の歌いにくさとどのように難しいかを回答させた.歌いにくさと音楽特徴の関係を分析するため相関分析を行った結果,相関のある音楽特徴に個人差を確認したため,個人ごとに音楽特徴から難易度を算出する重回帰分析モデルを提案して性能を検証した.その結果,決定係数の値の良し悪しは個人により差がみられた.また,楽曲がどのように歌いにくいかを示すため,歌いにくさの性質についての回答データを用いて対応分析 ・クラスタ分析を行い要因を分類した.その結果要因は大きく 「跳躍」 「音域」 「複雑さ」 に大別できた.楽譜データから歌いにくさの性質を予測するための分析として,楽曲の音楽特徴量と回答データの相関分析を行った.これらの分析によって,楽曲がどの程度,どのように歌いにくいのかを楽譜データから自動評価ができることへの第一歩となった.
著者
佐藤 裕 佐藤 清治 広橋 喜美 伊山 明宏 原岡 誠司 溝口 哲郎 片野 光男 樋高 克彦 原田 貞美 藤原 博 山本 裕士 久次 武晴
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.577-584, 1989-03-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
11

1985年5月から1987年12月までの3年7ヵ月の間に,6名のシートベルトに起因する鈍的腸管・腸間膜損傷を経験したので報告する. 症例は男性5名,女性1名の計6名で,平均年齢は51.7歳であった.このうち,盲腸破裂と多発小腸穿孔をきたし,すでにshock状態におちいっていたために,回盲部切除を余儀なくされた女性を術後敗血症で失なった以外は全例軽快退院した.また大腸に損傷のあった5例中,遊離穿孔に至っていたのは2例のみで,あとの3例は腸間膜損傷をともなった腸管壁の漿膜筋層断裂にとどまっており,腸管切除をせずに吸収糸にて縫縮,修復するのみで良好な結果を得た. 診断面においては,腹部CT検査が腹腔内遊離ガスと液体貯留をあわせて同定でき,しかもその性状にも言及できる利点があり非常に有用であった. 交通事故の増加とシートベルト着用の義務化にともない,今後シートベルトによる鈍的な腸管・腸間膜損傷が増加するものと考えられる.シートベルトを着用した交通外傷患者の診療に際しては,常にこのことを念頭おくべきことを強調したい.
著者
及川 良彦 山本 孝司
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.1-26, 2001-05-18 (Released:2009-02-16)
参考文献数
102

縄文土器の製作についての研究は,考古学的手法,理化学的手法,民族学的手法,実験考古学的手法などの長い研究史がある。しかし,主に製作技法や器形,施文技法や胎土からのアプローチがはかられてきたが,土器の母材となる粘土の採掘場所や採掘方法,土器作りの場所やそのムラ,粘土採掘場とムラの関係についての研究は,民族調査の一部を除き,あまり進展されずに今日に至っている。多摩ニュータウンNo.248遺跡は,縄文時代中期から後期にかけて連綿と粘土採掘が行われ,推定面積で5,500m2に及ぶ全国最大規模の粘土採掘場であることが明らかとなった。隣接する同時期の集落であるNo.245遺跡では,粘土塊,焼成粘土塊,未焼成土器の出土から集落内で土器作りを行っていたことが明らかとなった。しかも,両遺跡間で浅鉢形土器と打製石斧という異なる素材の遺物がそれぞれ接合した。これは,土器作りのムラの人々が粘土採掘場を行き来していることを考古学的に証明したものである。土器作りの根拠となる遺構・遺物の提示と粘土採掘坑の認定方法の提示から,両遺跡は今後の土器作り研究の一つのモデルケースとなることを示した。さらに,粘土採掘坑から採掘された粘土の量を試算し,これを土器に換算し,住居軒数や採掘期間等様々なケースを想定した。その結果,No.248遺跡の粘土は最低でも,No.248遺跡を中心とした5~10km程の範囲における,中期から後期にかけての1,000年間に及ぶ境川上流域の集落の土器量を十分賄うものであり,最低限この範囲が粘土の消費範囲と考えた。さらにNo.245遺跡は土器作りのムラであるだけでなく,粘土採掘を管理したムラであることを予察し,今後の土器生産や消費モデルの復元へのステップとした。以上は多摩ニュータウン遺跡群研究の一つの成果である。
著者
山本七平著
出版者
文芸春秋
巻号頁・発行日
1977