著者
山田 智
出版者
愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科 共同教科開発学専攻
雑誌
教科開発学論集 = Studies in subject development (ISSN:21877327)
巻号頁・発行日
no.1, pp.123-131, 2013

近年教育を巡る議論が盛んである。中でも歴史教育を巡る議論が様々な形で深められている。成田龍一氏の『近現代日本史と歴史学』はこの分野での最も刺激的な業績のひとつである。そこで本書の検討を通じて歴史教育についての私見を述べたいと思う。成田氏は日本の近代歴史学を3 つの時期に区分し、日本の歴史教科書はそのうち最も古い部分に規定されているとする。彼はこのような現状を批判的にとらえているが、私は過去の歴史学の問題意識が現在の歴史教育にも充分に意義を持っていると考える。なぜならば、現在の日本が直面している諸問題は、60年前の日本の歴史学が直面した諸問題と様々な面で共通しているからである。歴史教育と歴史学との協力が求められている中で、歴史教育は、歴史研究が蓄積した過去の問題意識の意味を正確に理解したうえで、これを教育に反映する必要がある。そのためには、教員養成課程での学術的な経験が不可欠である。Who teaches History? - Possibility of the history research in education in history Recent days, education has been actively. Above all, discussion on historical education has been deepened. Ryuichi Narita's "KINGENDAI-NIHONSHI TO REKISHIGAKU" is one of the most thought-provoking work in this field. In this paper, I re-consider his study and state my own view about this problem. Narita divides Japan's modern history research into three periods and points out that the Japanese history textbook is specified to research of the first stage. He criticizes such present situation. However, I think that an old awareness of the issues of the first stage has a meaning still nowadays. This is because that the problems of Japan what we face now has much in common with that in 60 years ago. While cooperation with education in history and history research is called for, the education in history fully needs to understand the meaning of an old awareness of the issues which history research has accumulated, and it needs to be reflected in education. For that purpose, the academic experience in a teacher training course is indispensable.
著者
渡邊 健 小谷 允志 伊藤 真理子 小根山 美鈴 白川 栄美 山田 敏史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.315-322, 2014

ISO 30300は記録のマネジメントシステム(MSR)の国際標準である。われわれは小規模な勉強会を通じてISO 30300の理解と分析を試みた。すでに記録管理の国際標準として浸透しているISO 15489を参照しながら,両者の違い―実務レベルから戦略レベルへ―が具体的にどのように盛り込まれているのかを検証した。ISO 30300ではMSRの原理原則とともに,ますます複雑化する記録管理を効果的・効率的に実践するために,トップマネジメントが率先してMSRを実行することの重要性が述べられている。日本のビジネス界では,いまだに体系的な記録管理に対する理解が深まらない状況にあり,ISO 30300の公式な邦訳版も存在しない。われわれの勉強会では結果的にISO 30300の全文邦訳も完了することができた。今後JIS化を含め,ISO 30300シリーズの普及にかかわりをもっていきたい。
著者
渡邊 健 小谷 允志 伊藤 真理子 小根山 美鈴 白川 栄美 山田 敏史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.315-322, 2014

ISO 30300は記録のマネジメントシステム(MSR)の国際標準である。われわれは小規模な勉強会を通じてISO 30300の理解と分析を試みた。すでに記録管理の国際標準として浸透しているISO 15489を参照しながら,両者の違い―実務レベルから戦略レベルへ―が具体的にどのように盛り込まれているのかを検証した。ISO 30300ではMSRの原理原則とともに,ますます複雑化する記録管理を効果的・効率的に実践するために,トップマネジメントが率先してMSRを実行することの重要性が述べられている。日本のビジネス界では,いまだに体系的な記録管理に対する理解が深まらない状況にあり,ISO 30300の公式な邦訳版も存在しない。われわれの勉強会では結果的にISO 30300の全文邦訳も完了することができた。今後JIS化を含め,ISO 30300シリーズの普及にかかわりをもっていきたい。
著者
山田 英司
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.383-392, 2007 (Released:2012-03-07)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

In response to the recent structural imbalance of oil supply and demand, Japan has placed energy security at the top agenda of its energy policies. A review of the energy security level has importance in formulating and steering energy policies. Although energy security meant national energy security that puts the main priority on a stable energy supply, we are now required to consider energy security from wider viewpoints of global energy security, which includes environment, nuclear concerns, international relations and others as its priority aspects. This report is prepared to suggest a method of estimating energy security level in a quantitative manner. In this method, Japan's energy supply and demand structure is evaluated on the selected aspects and indexes as standard deviation among eight advanced nations and one area. The aspects and indexes include energy consumption, environment and economics as well as energy supply. The outcomes prepared by this method show that Japan is now placed at a lower position than most advanced nations and area, although its energy security level has been improved mainly with the contribution of the diversification of energy supply sources. The estimation also shows that Japan's energy security could improve until the portion of nuclear energy in the power supply reaches around 60% on the assumption of its present energy supply and demand structure. The future task is to determine the aspects and indexes to be picked up or the possible weight to be distributed among the aspects and indexes in response to the situations surrounding energy.
著者
佐藤 康邦 谷 隆一郎 三嶋 輝夫 壽 卓三 山田 忠彰 勢力 尚雅 高橋 雅人 熊野 純彦 下城 一 船木 享 湯浅 弘
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

哲学的概念としての「形態」に関する問題は古くて新しい。形態という概念は、内容に対して事物の表面に漂う外面的なものを指す一方で、「かたち」という和語からして、かたいもの・確固とした真理という含意もある。西洋思想では、プラトンのイデア、アリストテレスのエイドスなど、古代ギリシアに遡りうる概念である。近世以降、機械論や還元主義を特徴とする自然科学の立場から、形態概念は排斥されがちであったが、美的形態や有機体の形態を扱うカントの『判断力批判』は、近代思想における形態論の先行例といえる。その形態論的発想は、むしろ、現代では、最先端の科学において見出される。構造主義生物学、ゲシュタルト心理学、認知心理学、量子論、熱力学(シナジェティクス)、複雑システムなどの多領域において、形態論の復権の動きが認められ、自然科学と人文科学との積極的対話の可能性が開かれつつある。倫理学においても、この観点から新たに検討されねばならないだろう。本研究では、形態という概念を手がかりに、人文科学としての倫理学の独自の意義と使命とを問い直すことを意図した。倫理思想史上の諸学説を形態論の観点から再考しつつ、応用倫理学や規範学という狭い領域に限定せず、現代の科学論における形態論復権の動向に対応する新しい倫理学の可能性を探究した。(1)古代ギリシア思想(2)古代ユダヤ思想(3)中世キリスト教思想(4)カントの形態論(5)近代思想(ドイツ観念論・イギリス経験論)(6)現代思想(7)科学論(8)藝術・文藝(9)日本近代思想(和辻哲郎・西田幾多郎・三木清)。以上の分野を専門とする研究分担・協力者を(若手研究者の研究発展にも寄与すべく特に留意)組織し、毎年度数回の全体会議において、各々の個別研究をふまえた対話・討論を行った。以上の研究成果は、最終年度に論集(成果報告書)としてまとめられたほか、別項11にある各員の業績を通じて公表された。
著者
山田 孝子 園田 節子 王 柳蘭 藤本 透子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

多文化空間に生きる越境者集団における共同性再構築のメカニズムを、地域間比較のもと、チベット難民、中国系カナダ人、タイ北部の雲南系ムスリム、カザフ人帰還者の諸事例を人類学的・歴史学的視点から実証的に分析した。その結果、越境者の共同性再構築には、越境者ネットワーク、無私/慈悲の精神にもとづく個人や宗教者のリーダーシップの存在、ホスト社会との政策を最大限活用する共生の戦略、祝祭と宗教実践をとおした「伝統」の主張などが重要な道筋となることが明らかにされた。また、あらたな地域空間の創出を理解する上で、「下からの共生」という視点が重要となることが提起された。
著者
山田 正行
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.113-126, 2005-02-21

前号の考察を承けて,ここではまず学習者の自己決定や自主性に主眼を置くとされるM.ノウルズのアンドラゴジーを取り上げ,その実践にM.フーコーが論じた監視と処罰の支配抑圧装置であるパノプチコンが現象したことを批判し,ノウルズとは異なるヨーロッパ的な「人間教育学」としてのアンドラゴジーの意義を示す。そして,近代性批判の脈絡で成人学習論におけるいくつかのブルデュ研究を考察し,その中で,前号で批判したC.アージリスとD.ショーンの「自省」と理論的に異なる「自省」への接近を述べ,P.フレイレやJ.メジロウの「批判的自省」に視点を向けるべきことを論じる。
著者
山田 寛章 石井 雄隆 原田 康也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.100, pp.55-60, 2014-06-21

大学1年生50〜90名が第三著者の担当する英語の授業で3人ずつのグループで「応答練習」を30分ほど行ったのちに、30分前後の時間で授業中に500語を目標に英語で作文をまとめて提出し、次の授業で宿題として完成させた作文を提出して6人のグループで相互チェックを行い、さらに次の週にコメントに基づいて修正した最終版を提出している。年間30回の授業で15の作文について授業中のドラフト・宿題として完成させたバージョン・相互チェックを反映した最終版の3つのバージョンを回収した電子ファイルが過去10年分ほど蓄積してあるが、単語数の自己報告を毎回の授業で提出したものを集めているほかは、各種統計情報の抽出等の分析を行っていなかった。構文解析器などを利用して作文の特徴量を抽出し、年間を通じての作文の長さと質の向上を検討する目安に利用したいが、学生が提出する電子ファイルに若干の事前処理を施す必要があり、どのような特徴量に着目すべきかも実データをもとに検討する必要がある。本発表では、事前処理と手作業の一致具合なども含め、予備的調査の結果と今後の課題について報告する。
著者
小松 和彦 徳田 和夫 ADAM Kabat 佐々木 高弘 横山 泰子 安井 眞奈美 常光 徹 山田 奨治
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

四年計画の研究は、以下のテーマにしたがって展開され、成果がまとめられた。1.「怪異・妖怪伝承データベース」を活用した怪異関係記録の数量的分析手法の開発:すでに公開されている民俗学雑誌記事をもとにしたデータベースを利用し、信仰や心意現象に関するデータの計量分析手法の開発と研究をおこなった。四年間の調査・研究実績は、研究代表者・研究分担者がそれぞれ論文を執筆し、報告書(冊子体)にまとめた。2.怪異関係記録の収集および分類・整理:『日本伝説体系』全17巻(みずうみ書房1982-90)、および日本全国の都道府県史(民俗編に該当するもの)などを対象に、各地域に根付いた持続性のある「伝説」を中心とした怪異・妖怪伝承についてのデータを集積した。集積方法については、すでに公開されている「怪異・妖怪伝承データベース」作成時のマニュアルを参考にして都道府県史専用マニュアルを作成、それに従って作業を進めた。なお、都道府県史(民俗編)については合計6625件の事例を収集し、カードを作成した。3.妖怪・怪異関係典籍の収集:各地域・各時代の妖怪・怪異関係典籍を中心に発掘及び収集を行った。絵画資料については、二次資料(妖怪展などの図録資料)、一次資料(絵巻物・浮世絵・黄表紙などの現物)を対象として収集を行った。4.絵画資料データベースの試作版作成:日文研所蔵の妖怪・怪異に関する絵画資料をデジタルデータとして保存し、その画像についての書誌情報のデータベース構築をめざし、研究・開発を行った。
著者
加藤 茂明 河野 博隆 川口 浩 山本 愛一郎 山田 高嗣 中村 耕三 加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

転写共役因子の骨組織における機能を解明する目的で、SRC-1(Steroid receptor coactivator-1)遺伝子欠損(KO)マウスを作出し、その骨組織の解析を昨年に引き続き行った。昨年、SRC-1KOマウスは、雄・雌ともに、代謝回転が亢進した高回転型の骨量減少を呈し、この原因はアンドロゲン及びエストロゲンによる骨量維持作用が抑制されているためであることを報告した。この骨量減少について、24週齢の大腿骨を用い、pQCTとμCTを用い、更に詳細に検討を行ったところ、海面骨の骨量は約40%低下していたにも関わらず、皮質骨の骨量は野生型(WT)とあまり差がみられなかった。海面骨・皮質骨におけるエストロゲン受容体(ER)の2種類のisoformの発現を免疫染色で確認したところ、海面骨ではERα・ERβ共に同程度に発現していたにも関わらず、皮質骨では主にERαのみが発現していた。骨芽細胞の培養系において、SRC-1はERβの転写活性は上げるが、ERαの転写活性にはあまり影響がみられなかったことから、海面骨・皮質骨でみられた表現型の違いは、SRC-1が主にERβによる骨量維持作用に関与しており、ERβの発現が多い海面骨で主に機能しているためと考えられた。雄においても、骨量の維持はアンドロゲン受容体(AR)のみでなく、ERにも依存していることが明らかになっており、ERのisoformの局在の違いが、雌同様に海面骨・皮質骨における表現型の違いを生じていると考えられた。また、KOで観察された骨量減少は、12週齢の時点では有意差がみられず、高齢化に伴い骨量減少が顕著になっていることが明らかとなった。これは、高齢化に伴い、フィードバック機構によって上昇した性ホルモンがシグナル伝達の障害を代償しきれなくなっているためと考えられた。また、性ホルモンと同じステロイドホルモンの一種であるプレドニゾロンの負荷実験では、骨量減少がWTとKOで同程度に見られたことより、SRC-1のグルココルチコイドシグナルへの関与は小さいことが明らかになった。
著者
山田 朋子
出版者
中村学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

幼稚園教諭と保育士が存在する認定こども園での実習評価票の課題を明らかにした上で現在の幼稚園と保育所の実習評価項目をもとに「認定こども園の現状に即し、自己評価と実習評価を兼ね備えた」新たな保育教諭育成の実習評価票を開発する研究である。全国保育士養成協議会策定のMS実習評価票と保育者自己評価項目案をもとに自己評価も可能な新たな評価項目を検討した。結果、幼保連携型認定こども園も従来の実習に準拠した受け入れ状況にある。双方の組織理解のもと保育教諭、幼稚園教諭、保育士に共通する普遍的な保育者の資質を発揮する保育実習で、実習評価票には自己評価と保育者実習のポートフォリオの役割が求められることが示唆された。
著者
武田 俊一 廣田 耕志 山田 亮 岡田 徹也 笹沼 博之 清水 宏泰 清水 宏泰 高橋 良輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

変異原性化学物質をハイスループットに検出するバイオアッセイを、ニワトリDT40細胞由来のゲノム編集細胞(DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞)を使って創った。開発した試験の妥当性を、米国National Toxicology Program (NTP) の化学物質ライブラリー(約10,000種類)を解析した。感度および特異性ともに高いことが示された。上記の変異原性試験は、ニワトリ細胞を使っていることを問題点として指摘された。そこでCRISPR/Cas9手法を使い、OECD諸国政府が変異原性化学物質検出に使う標準ヒト細胞株(TK6)をゲノム編集し、DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞を創った。
著者
勝 野吏子 鈴村 崇文 山田 一憲 中道 正之
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.163-172, 2014 (Released:2014-08-02)
参考文献数
21
被引用文献数
4

Here, we have reported two cases of diurnal stillbirths in free-ranging groups of Japanese macaques (Macaca fuscata), Arashiyama and Koshima groups. One infant was born prematurely and in breech position, while the other seemed to be a full-term infant born in front position. The two mothers had little interaction with other members of the group throughout parturition. The group members, except for juveniles, also showed little interest in the mothers. The mother of the infant born in the breech position licked the body of the infant, as in the case of live births. Moreover, both mothers carried the infants ventrally. However, the two mothers also showed behaviors that were different from those usually observed after a live birth. The mother of the infant born in breech position tore parts of the infant's skin and ate them. The other mother dragged the infant by grabbing the umbilical cord. Previous studies have reported that mothers carry infants that died after birth, but it was unclear whether interactions with live infants were required for such maternal behavior. Our observations suggest that some maternal behaviors can be observed even when the infants die before parturition. At the same time, the cases reported by us show the possibility that infants born dead may influence the expression of certain unusual behaviors.
著者
酒井 たか子 ブッシュネル ケード 山田 亨 柳家 さん喬 亀井 敦郎 菫 然
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

落語は日本独自のユニークな形態を持つ話芸であり、日本文化のエッセンスが凝縮されているが、日本語学習者にとって難しいと敬遠されがちである。日本語学習者の笑いを中心とする理解を明らかにするために、研究材料の作成および理解を分析するための方法を検討した。研究材料は、留学生の聞き手を対象とした約20時間に及ぶ映像、音声を収集した。江戸落語・上方落語、新作落語・古典落語、初級対象・中上級対象とバリエーションを持たせ、映像の編集、文字化を行った。学習者の理解を測るための方法として、会話分析の手法のほか、アンケート、絵による表出などを実施し、その有効性を明らかにした。
著者
山田 光胤
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.201-213, 1999-09-20
参考文献数
21
被引用文献数
1

Japan has created a unique culture, based on the influence and acceptance of Chinese culture since long years ago. This can also be said of medicine. Traditional medicine of Japan, is called "Kampo" medicine, which had been rearanged form Chinese medicine years ago suitable for the topography, climate, and race of the Japanese islands. The rearrangement of Chinese medicine to Japanese medicine started at the latter half of the 16th century. This took place during the Ming era when medical treatment was that of the Chin-Yuan era. In Japan, Li-Chu medicine was accepted among schools in medicine, and resulted in establishing the socalled Gosei-Ho school later. During the 18th century, there arose a movement to search for the origin of its medicine and to follow the original medical treatment. They finally attained the "Chang Han Lun" ("Shokan-Ron" in Japanese), established in the Heu-Han era in China. Many doctors read and studied that textbook and wrote their interpretation in their own books at that time. The medical treatment based on "Shokan-Ron" is called Ko-Ho school. Also the name Kampo, taraditinal Japanese medicine, may be implicated by the original medical treatment of the Han (Kam in Japanese) era. The unique point of Ko-Ho school in medical treatment of Japanese kampo medicine may be the restoration of the old medical textbook "Shokan-Ron" to apply for clinical practice. The following books have left great influence up to the present time, "Ruiju-ho" written by Tohdo Yoshimasu, "Fukusho-Kiran" (1800) and "Fukusho-Kiran yoku" (1809-1853) which contain the method for abdominal examination by palpitation socalled Fukushin, written by Bunrei Inada and Shukuko Wakuda, respectively. On the contrary, Ko-Ho school established a therapeutic method based on the readjustment of disorders mentioned in "Shokan-Ron" (Shokan namely febrile acute illness), followed by the concepts of Hyo-Ri, Kan-Netsu, and Kyo-Jitsu. Also, the school recalled Fukushin (abdominal sho), the sign of the abdominal wall, written in "Shokan-Ron" following the objective restoration. Based on its original Fukusho, other Fukushos were found and extended its original Fukusho, other Fukushos were found and extended its category to apply for other diseases. This has been handed down to the present era. My presentation on this theme, review of Japanese traditional medicine: Kampo, will be given more concretely.