著者
山田 和宏
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.1079, 1972 (Released:2014-08-26)

著者は,4種の外用コルチコステロイド剤(0.25%17-α-desoxymethasone,0.2%~0.025% fluocinolone acetonide,0.12% betamethasone 17-valerate,0.02% flumethasone pivalate)を用いて,正常皮膚2例と病的皮膚(尋常性乾癬)10例における全身的影響の有無を下垂体副腎皮質機能と電解質(尿中または血中)の面より検索した.その結果(i)大量の外用コルチコステロイド剤を病的皮膚に,全身の単純塗布で用いた場合とODT療法で用いた場合の両方に,明らかな下垂体副腎皮質系の抑制(循環好酸球数並びに血中コルチコステロイド値の減少,尿中17-OHCS値の低下)がみられ,全身的影響が惹起されることを認めた.その抑制は,処置を中止すると,2~3日で元の値に復帰する事から,一時的である事も判明した.(ii)さらに正常皮膚における検索でも,大量のコルチコステロイド剤をODT療法で用いると,病的皮膚におけると同様に,下垂体副腎皮質系への抑制傾向がみられ,全身的影響出現の可能性を認めた.
著者
スクワイア シーラ・J 山田 晴
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.269-275, 1993 (Released:2017-04-27)
参考文献数
31

本稿は,湖水地方(Lake District)におけるビアトリクス・ポターゆかりの観光旅行について考察する。主として定性的な調査の結果に依拠しながら,田舎や,イングランドの農村生活についての諸価値が広まる過程で,ポターがどのように利用されるのかを論じる。こうした諸価値は,イングランドらしさをめぐる諸概念や,田舎と都会の対立関係と結びついている。ビアトリクス・ポター(1866〜1943)は,最大級の評価を受けているイングランドの児童文学作家である。国際的にも成功した彼女の絶大な人気は,今日では彼女の著書(その大半が今日も版を重ねている)の売り上げだけでなく,様々な商品や観光旅行,宣伝活動などにも反映されている。こうしたビアトリクス・ポター関連産業の存在は,彼女の作品が評価され続ける理由をめぐって,いろいろと問題を提起する。ヴィクトリア朝末期の人であったポターは,ピーターラビット(1902),ティギーおばさん(1905),あひるのジマイマ(1908),といったキャラクターを生み出し,第一次世界大戦以前に名声を確立した。しかし,今日,彼女の作品は,それが生み出された文脈とは異なる多様な文脈で読まれている。そのため,作品は異なった意味をもつようになっている。文化研究(Cultural studies)の業績は,テキストと読者,生産者と消費者の関係を論じてきた(Jackson, 1989; Gregory and Walford, 1989; Burgess, 1990)。とりわけバージェス(Burgess, 1990)は,ジョンソン(Johnson, 1986)に依拠しながら,意味の変成に焦点を当て,メディアのテキストは多様な読み方が可能な象徴体系の一部であると論じている。同様の議論は,地理学者がこれまでほとんど無視してきた児童文学の解釈や,観光旅行の解釈についても展開できる。本稿は,観光客となった読者が,ビアトリクス・ポターのテキストや彼女にインスピレーションを与えた湖水地方の舞台だてから,どんな意味を汲み上げているのかを論じる。文学観光旅行,つまり著作や作家との関連で有名な場所への旅は,様々な文脈から注目されてきた(Lowenthal and Prince, 1965; Newby, 1981; Butler, 1985, 1986; Curtis, 1985; Pocock, 1982, 1987; Squire 1988, 1990; Ousby, 1990)。しかし,アーリ(Urry, 1990)やヒューズ(Hughes, 1991)が指摘するように,観光旅行については解釈論的分析がほとんど無視されていることもあって,文学観光旅行の研究はまだまだ遅れている。観光旅行の展開とともに,経済的な利益を求めて,風景は新たに意味づけられる。こうした意味を,訪問する観光客がどう解釈するかについて,定性的な研究はほとんどない。湖水地方におけるビアトリクス・ポターゆかりの観光旅行は,こうした観光的意味の生産と消費の研究に,格好の舞台を提供してくれるのである。
著者
テイラー ピーター・J 山田 晴通
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.197-220, 1992-10-28 (Released:2017-04-27)
参考文献数
49
被引用文献数
1

The Scottish Geographical Magazine is an internationally circulating journal published three tirnes a year. The annual subscription is £27.00 and those intending to submit items for publication in English should send these to the Editor, Dr A S Mather, Department of Geography, University of Aberdeen, St Mary's, Old Aberdeen AB9 2UF, Scotland U. K.
著者
山田 将弘 江島 加渚 吉田 英樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F4P2305, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】直線偏光近赤外線(以下SL)の星状神経節照射は、副交感神経優位になると多々報告がされている。その反面あまり効果がないのではないかという報告もされている。そこで、SLの星状神経節近傍照射は副交感神経優位になるのかということ、さらに、SLの星状神経節近傍照射により副交感神経優位になるという仮説の元、睡眠を誘うか否かという2点を検討することを目的とした。【方法】SLの星状神経節近傍照射には、東京医研株式会社製スーパーライザー(HA-2200・TP1)を使用した。スーパーライザーの先端ユニットをSGユニット・照射モードをTミックスとし、身体に重篤な既往及び疾患のない健常成人25名(男性14名、女性11名、25.1±2.5歳)の星状神経節にSLを体表から10分照射を行った。自律神経機能評価にはフクダ電子株式会社製解析機能付きセントラルモニタ(ダイナスコープ7000シリーズ・DS-7600システム・DS-7640)を用いて、連続する100心拍の心電図R-R間隔変動係数(以下CVR-R)を計測した。対象者に対して、温度(26~27°C)及び湿度(50%前後)を可能な限り一定に保った室内にて、可能な限り交感神経の緊張状態を回避するために安静臥位での馴化時間を設定した。馴化時間については、17例を対象とした予備実験において10分の群と30分の群を比較した結果、明らかな違いは認められなかったので、10分を採択した。CVR-Rの測定は、馴化時間後のSL照射前と照射終了直後とし、両者の値を対応のあるt検定にて検討した。なお、統計学的検定での有意水準は5%未満とした。なお、対象者の内、男性3名、女性2名の計5名には、日本光電株式会社製脳波計(EEG-1714)を使用したSLの星状神経節近傍照射前後での脳波計測を実施し、睡眠段階判定を行った。睡眠段階の判定は医師が行い、睡眠段階判定の基準としては国際基準(Rechtschaffen&Kales,1968年)に基づき判定を行った。【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には本研究の目的と内容を事前に説明し、研究参加の同意を得て実施した。【結果】SLの星状神経節近傍照射前後でのCVR-Rの変化については、SLの星状神経節近傍照射前と比較して照射後にCVR-Rの上昇を示した例が13例、逆に低下した例が12例であり、SLの星状神経節近傍照射に伴うCVR-Rの変化パターンに一定の傾向は認められなかった(P=0.16)。一方、脳波計側によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果については、男性ではstage1からstageWへの変化例が1例、stage1からstageWへの変化例が1例、stageWから変化なしの1例となり、女性ではstage1からstage2への変化例が1例、stage1からstage3への変化例が1例であった。全体として、睡眠段階のstage変化なしが1例、低下が2例、上昇が2例であった。【考察】本研究では、SL照射は睡眠を誘うか否かを検討した。CVR-RについてはSLによる星状神経節刺激により、自律神経系に影響を及ぼすのではないかと思われたが、副交感神経優位となる傾向は見られなかった。これは、佐伯らの先行研究(2001)と同様の結果であった。本研究で対象とした若年健常例は、自律神経活動が正常と考えられるため、SLの星状神経節近傍照射により大きな影響を受けなかったことも考えられる。また、若年者では安静時交感神経活動が低いとされており、あまり効果が期待できないのではなかろうか。また、脳波計測によるSLの星状神経節近傍照射前後での睡眠段階の結果では、睡眠段階の変化なしが1例、stage低下が2例、上昇が2例となり、睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。睡眠段階の判定を担当した医師の見解でも、SLの星状神経節近傍照射は睡眠に効果があるとは言い難い結果となった。しかし、睡眠段階については、女性2名中2名においてSLの星状神経節近傍照射に伴いstageが上昇していたことを考慮すると、性差による違いも考慮した更なる検討が今後必要と考える。【理学療法学研究としての意義】今回の結果を見る限り、SLの星状神経節近傍照射は、自律神経系への効果の面で疑問が残る。他の光線(レーザーやキセノン光)を用いた星状神経節近傍照射との比較研究や、効果の検証を進める必要があるのではなかろうか。その一方で、今回の結果は、女性に対するSLの星状神経節近傍照射が「睡眠への介入の可能性」という観点で、今後更なる検討の余地があることも示している。このことは、理学療法上、極めて意義深い示唆ではないかと考えられる。

2 0 0 0 OA 胃梅毒の1例

著者
中山 真緒 勝部 隆男 加藤 博之 坂本 輝彦 山田 理恵子 芳賀 駿介 久原 浩太郎 今野 宗一 村山 実 臼田 敦子 塩澤 俊一 吉松 和彦 島川 武 成高 義彦 小川 健治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.68-69, 2007-06-07 (Released:2013-08-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は47歳,男性。3型胃癌の診断で紹介されたが,上部消化管内視鏡検査で幽門前庭部から胃体部にかけて易出血性の不整な多発潰瘍を認め,胃梅毒を疑った。生検組織でTreponema pallidumを確認し,Benzylpenicillin benzathineによる駆梅療法を施行した。症状は速やかに改善し,潰瘍も瘢痕化,治癒した。 胃梅毒の内視鏡所見は特徴的で,本症の存在を念頭において内視鏡検査を行うことが重要と考えられる。
著者
山田 健二 須藤 明治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.183-186, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

〔目的〕足把持力と足関節周囲筋との関係について明らかにすることとした.〔対象と方法〕健康な男子大学生8名を対象とした.足把持力の計測は,足指筋力測定器を用いて任意の片足とした.最大把持時における前脛骨筋,腓腹筋外側頭,母趾外転筋,短趾屈筋の筋活動量を計測した.〔結果〕足把持力と筋活動量との関係において,前脛骨筋,母趾外転筋,短趾屈筋との間に正の相関関係が認められた.〔結語〕足把持力と筋活動量の関係が明らかになった.足把持力には,母趾だけでなく全ての趾が重要であることが考えられ,全ての足趾を鍛えることが重要であると推察された.
著者
寺田 忠史 藤本 勝彦 野村 誠 山下 純一 / 小武内 尚 武田 節夫 南 慶典 吉田 健一郎 山口 秀夫 山田 雄次 Yuji YAMADA
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.907-912, 1993-05-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
58
被引用文献数
6 10

1-β-Alkyl derivatives of 1-desoxypodophyllotoxin were synthesized, and their cytotoxicity and inhibitory effects on DNA topoisomerase II (Topo-II) and tubulin polymerization were examined.The reaction of epipodophyllotoxin derivatives (1a-c) with trimethylallylsilane in the presence of boron trifluoride etherate gave 1-β-allylated compounds (2a-c). The regiochemistry and the β-stereochemistry of the 1-allyl group were confirmed by comparison of the 13C-NMR spectra and NOE's (%) of 2c, podophyllotoxin (POD) and epipodophyllotoxin (1b). 1-β-Alkyl-1-desoxypodophyllotoxin derivatives (3-8) were prepared from 2b.None of the tested compounds (3-8) showed any inhibitory effect on Topo-II. 1-β-Propyl compound (3) and its 4'-demethyl compound (4) inhibited tubulin polymerization and the cytotoxicities of these compounds were equal to that of VP-16. 1-β-(2, 3-Dihydroxypropyl) compounds (5 and 8) and 1-β-(2, 3-diacetoxypropyl) compounds (6 and 7)showed no inhibitory effect on tubulin polymerization. Although 5 did not inhibit either Topo-II activity or tubulin polymerization, it showed a high cytotoxicity against sarcoma 180.
著者
加藤 和夫 森川 満隆 田上 道弘 山田 眞二 武田 徹
出版者
Japan Society of Powder and Powder Metallurgy
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1057-1061, 2003-12-15
参考文献数
5

In the previous paper, we reported the densification of the bronze matrix was promoted by the diffusion of Cr under solid state sintering at 1030 K. In the present work, effects of V addition on sintering properties and microstructures of the bronze matrix were investigated, and compared with Cr. Mixed powders were prepared from pulverized V powders and atomized 90Cu-10Sn powders, of which particle sizes were 106-150μm and 1-38μm respectively. Compacts pressed at 390 MPa were sintered at 670-1030 K for 0.3-180 ks in H2. V diffuses preferentially into the surface and grain boundary of the bronze powder. With increasing sintering time at 1030 K, pores of matrix decrease rapidly. This indicates that the densification of the bronze is promoted by the diffusion of V as same as the case of Cr. However, some pores are observed on the matrix and the grain size is bigger than the case of Cr after 180ks sintering at 1030 K. From these results, it is assumed the effects of densification by V addition is slightly smaller than Cr.
著者
加藤 和夫 田上 道弘 山田 眞二 武田 徹
出版者
Japan Society of Powder and Powder Metallurgy
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.812-817, 2002-09-15
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

In order to develop Graphite dispersed sintered bronze bearing material standing in the use of a higher load application, effects of Cr addition on sintering properties and microstructures of the bronze matrix were investigated. Mixed powders were prepared from elemental Cr powders and atomized 90Cu-10Sn powders, of which particle sizes were 106-50μm and 1-38μm, respectively. Compacts pressed at 390 MPa were sintered at 670-1030 K for 0.3-180 ks in H<SUB>2</SUB>. With increasing sintering time at 1030 K, pores decrease rapidly with the refinement of grain size in the bronze matrix surrounding Cr particle. This indicates that the densification of the bronze is promoted by the diffusion of Cr.
著者
増田 俊樹 坂井 智行 山田 伸一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.65-69, 2016

症例は79歳, 女性. 糖尿病性腎症を原病とし, 73歳時に血液透析を導入された. 76歳頃より無尿であった. 糖尿病性神経障害による下肢壊疽のため, 両側下腿切断術を受け入院加療中であった. 術後に血尿, 下腹部痛および透析中の著明な血圧低下を認めたため精査したところ, 腹部造影CTにて膀胱壁の肥厚および膀胱粘膜下のガス貯留像を認め, 気腫性膀胱炎と診断した. 発症時の尿からは<i>Escherichia coli</i>が培養されたが, 血液からは<i>Bacteroides fragilis</i>が培養され, 両者を起因菌とした気腫性膀胱炎から敗血症をきたしたと考えた. 抗生剤投与, 膀胱ドレナージを実施し, 速やかに軽快した. とくに無尿の維持血液透析患者において, 気腫性膀胱炎の報告は少ないが, 発症が認識されないまま経験的抗生剤投与にて軽快している可能性がある. 気腫性膀胱炎の大部分は適切な抗生剤投与と排尿管理で軽快するが, 治療開始の遅れから重篤な経過に至ることがあり, 早期に診断し治療を行うことが重要である.
著者
永井 聖剛 山田 陽平 仲嶺 真
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.294-300, 2019 (Released:2019-08-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

Previous studies have shown that the physical movements of participants influence creativity thinking. We examined whether another type of movements (bigger or smaller arm movements) modulates creative idea productions. In Experiment 1 participants were required to generate new names for rice after performing bigger or smaller arm movements. Bigger arm movements were associated with more divergent idea productions (e.g., non-typical ideas) compared to smaller arm movements. In Experiment 2, another task was used to generate as many ideas as possible for creative gifts the participants might give to an acquaintance, and the results showed the possibility that bigger arm movements led to more flexible idea generation than did smaller one. Taken together, the current study suggested the size of movements modulated creative thinking: bigger ones increased divergent creative thinking, possibly because bigger physical movements facilitate the divergent cognitive processing mode.
著者
佐原 寿史 関島 光裕 山田 和彦
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.016-023, 2015-03-10 (Released:2015-03-31)
参考文献数
49

Although improvements in operative techniques and immunosuppressions have paved the way for increases in the organ donor pool through living donor kidney donations, a vast disparity remains between the number of organs available for transplantation and the demand. Indeed, though progress has been made in the fields of regenerative medicine and stem cell technologies, neither de novo nor regenerated tissues are currently capable of sustaining life in animal models. Xenotransplantation would provide an inexhaustible supply of donor organs. Although there have been reports of severe immunologic response between swine and humans, much progress has been made in the past decade largely because of advances in our understanding of the xenoimmunobiology of pig-to-nonhuman primate transplantation as well as the availability of pigs that have undergone genetic modifications, including the alpha 1,3-galactosyltransferase gene knockout (GalT-KO) swine. The results of preclinical transplantation studies with pig organs or cells have been encouraging when co-stimulatory blockade or more-advanced tolerance-inducing treatment strategies were used. In these studies, the survival times for heterotopic heart grafts were more than a year, for life-supporting kidneys it was approximately three months, and for islets, six months. In this review, we summarize recent progress in the field and discuss strategies for successful clinical trials of xenotransplantation.
著者
田浦 俊春 妻屋 彰 山田 香織
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.38-55, 2018-06-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

本稿では,イノベーションの進む方向性とイノベーションのためのデザインに寄与する創造的思考について論じる。まず,イノベーションは利便性や効率を重視する「量的イノベーション」とライフスタイルや文化の変化をもたらす「質的イノベーション」に区分されるとし,現代社会では質的イノベーションへの転換が必要であることを述べる。次に,イノベーションのためのデザインを,プロダクトを介して科学技術と社会との間を橋渡しすることと捉えた上で,デザインの起因に注目し,それを社会のニーズにおく「ニーズ先導型」,科学技術の探求におく「シーズ先導型」,両者の橋渡しをするプロダクトの構想からはじめる「プロダクト先導型」に区分できることを示す。これらの区分を2軸として戦後日本のイノベーションを対象に事例調査を行った結果,質的イノベーションではプロダクト先導型のデザインが多くみられた。さらに,質的イノベーションに寄与する創造的思考について議論し,ブレンディング型のシンセシスやプロダクトと場の組合せ型のシンセシス,シンセシス型の創造的思考に則ったタイプのメタファ型のシンセシスを用いた創造的思考が効果的であることを述べる。