著者
福本 陽平 岸本 幸広 前田 直人 西向 栄治 金藤 英二 岡田 克夫 内田 靖 河野 通盛 是永 匡紹 池田 弘 藤岡 真一 西野 謙 河野 友彦 辻 恵二 平松 憲 柴田 憲邦 児玉 隆浩 周防 武昭
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.484-489, 2007 (Released:2007-11-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.
著者
岸本 徹
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.13-20, 2013-01-15 (Released:2017-10-11)
参考文献数
29
被引用文献数
1 2

ビールの製造工程,および製造後の酸化によってビール中に生成するオフフレーバーについて解説した.ビールのオフフレーバーには原料,水に由来するもの,仕込工程,発酵工程中に生成してくるもの,缶やビンに詰めた後の保存後に生成してくる酸化劣化臭がある.それらの中にはSH基をもつ低閾値化合物のように,ビール中にng/L程度しか含まれない微量成分もあるが,近年では分析機器が発達し,定量することも可能となった.ビールのオフレーバーとして過去から近年,着目されている化合物について述べた.
著者
岸本 麻子 井野 素子 多田 直樹 南 豊彦 井野 千代徳 田辺 正博
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.237-242, 2010 (Released:2011-11-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Angina Bullosa Haemorrhagica (ABH) の原因として Oral Allergy Syndrome (OAS) が原因と思われた 2 例を報告した。ABH は特発性に発症する口腔内の大きな血腫で多くは食事中ないし食直後に発症する。原因の一つに硬いものを食した物理的要因が考えられているが、明確にアレルギーとの関連での報告はない。OAS は食物にて発症する接触アレルギーで、食事中ないし食直後に発症する。主な症状は痒みなど刺激症状である。報告した 1 例は頬部に発症した ABH でメロンを食し、1 例は軟口蓋に発症した ABH でリンゴを食して発症した。共に、口腔内に痒みを自覚し、前者は頬部を刺激陰圧化している内に腫れが出現し、後者は舌で口蓋を触れている内に発症した。両者は共にスギ花粉症を持ち、シラカバ抗体が陽性であった。ABH の原因の一つとして OAS があることを示し、その診断にあたっては、シラカバ抗体を含めたアレルギー検査が必要となると考えた。
著者
岸本 圭子 岸本 年郎 酒井 香 寺山 守 太田 祐司 高桑 正敏
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.159-170, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
32

東京都大田区の埋立地に成立する東京港野鳥公園では、国内外来種であるリュウキュウツヤハナムグリの生息が確認されている。園内には他にも外来の個体群である可能性が高いハナムグリ亜科2種が目撃されている。園内で発生しているこうした国内由来の外来種が分布を拡大し東京都の内陸部へ侵入すれば、深刻な生態系改変や遺伝子攪乱の脅威も予想されることから、早急に現状を把握する必要がある。本研究は、東京港野鳥公園で出現が確認されているハナムグリ亜科5種(コアオハナムグリ、ナミハナムグリ、シロテンハナムグリ、シラホシハナムグリ、リュウキュウツヤハナムグリ)を対象に、2014年から2016年に野外調査を実施し、発生状況および利用資源を調べた。その結果、リュウキュウツヤハナムグリは、成虫は自然分布地と同程度に発生量が多いこと、園内に植栽された複数の植物の花や樹液に集まること、土壌中に幼虫が高密度で生息していることが明らかにされた。さらに、これらの幼虫の密度が高い地点の土壌表層部が大量の糞で埋め尽くされている状態であることがわかり、土壌生態系や落葉の分解に大きな影響を与えている可能性が考えられた。また、リュウキュウツヤハナムグリだけでなく、コアオハナムグリ、ナミハナムグリ、シラホシハナムグリも、成虫が東京都区部や近郊に比べて数多く発生していることがわかった。これらのハナムグリ亜科成虫では、花や樹液以外にも特異な資源利用が目撃されており、園内のハナムグリ成虫の利用資源が不足していると推察された。このことから、採餌範囲を広げる個体がますます増えることが予想され、外来のハナムグリ種の内陸部への分布拡大が懸念される。今後もこれら外来ハナムグリ種の発生状況を継続的にモニタリングしていくことが重要だと考えられた。また、DNAレベルの詳細な研究を行い、外来ハナムグリ個体群の起源や侵入経路を解明する必要があるだろう。
著者
高橋 守 三角 仁子 増永 元 田原 義太慶 角坂 照貴 鳥羽 通久 三保 尚志 高橋 久恵 高田 伸弘 藤田 博己 岸本 寿男 菊地 博達
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第62回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

ウミヘビツツガムシV. ipoidesはウミヘビの気管や肺に寄生する内部寄生性のツツガムシで、南西諸島で捕獲したエラブウミヘビ亜科の3種(エラブ、ヒロオ、アオマダラ)に寄生していた。未吸着幼虫は鼻腔内や気管入り口で吸着しないで生存しているのが観察された。気管や肺で観察された幼虫の多くは、体長5-8mmにも達する大型の幼虫であった。エラブウミヘビを水を張った飼育容器内で観察したところ、約2ヶ月後に口から吐き出された生きた満腹幼虫30個体と、肺に吸着している満腹幼虫4個体および未吸着幼虫1個体を得た。なお消化管内での寄生は全く認められなかった。以上のことから未吸着幼虫は、陸上の産卵場所などでウミヘビの鼻腔から侵入し、下顎に開く気管から肺に侵入し、体液を吸って満腹し、気管入り口から外に吐き出されるものと考えられた。満腹幼虫を25℃下で飼育すると、体表にある多数のイボ状突起は約1週間で消え、滑らかになり、やがて腹部に脚原基が形成され、背中の外皮が破れて8本足の成虫が出現した。これは、通常の哺乳類に寄生するツツガムシで見られる第二若虫や第三若虫の形態を経ないで成虫になるという、ウミヘビの生活に適応した生活環とみなされた。成虫になった1-2日後、雄は精包を産出し、雌がこれを取り入れて11日後に産卵した。産卵は16日間続き、1日平均16.5卵(3-31/日)、孵化率52.8%であった。他に発育速度およびstylostomeについても述べる。
著者
岸本 充生
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.116-127, 2021-07-19 (Released:2021-07-19)
参考文献数
32

The relationship between science and policy remains uncertain regarding the response to the novel coronavirus pandemic. It has long been pointed out that there is a gap between science and policy, and a policy-making process based on solution-focused risk assessment has been proposed. However, except for some fields, there is no established methodology on how to connect science and policy in various fields. Trade-offs with socio-economic factors and other types of risks are ubiquitous, and decisions are made with these factors in mind. It is necessary to visualize such factors and establish a decision-making process that explicitly includes them. As with disaster response context, what you cannot do in normal times cannot be done in an emergency. That also applies to the relationship between science and policy. Therefore, it is necessary to proceed with research and development of methods and tools for bridging those gaps in normal times.
著者
下根 光香子 岸本 桂子 福島 紀子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-71, 2015-12-10 (Released:2015-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

In this study, we conducted a questionnaire survey among community pharmacists in Japan, to explore how they and the pharmacy’s management support a fellow pharmacist who has committed a medical error. Using stratified random sampling, we selected 900 pharmacies from national community pharmacies. The response rate for pharmacies was 31.7%, and we analyzed data from 572 pharmacists. It was observed that after a pharmacist committed a medical error, the subsequent treatment was relevant to the years of experience. Supervising pharmacists with little experience tended to answer that they “do not know how to get along with the colleague”. The backup to supervising pharmacists with little experience should be considerable to give care to pharmacist caused dispensing error. A few pharmacies have a support system for pharmacists concerned in an error; 38.9% of supervising pharmacists emphasized the significance of mental support. Therefore, it was suggested that concluded that head offices of pharmacies and the community pharmaceutical association should review their mental support system for pharmacists to work after committing an error.
著者
岸本 由香 若林 茂 徳永 勝人
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.59-65, 2000-12-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We conducted a clinical trial in order to evaluate the effects of continual ingestion of indigestible dextrin on both glucose and lipid metabolism, and fat accumulation and its distribution in human subjects. There were twelve male subjects with either serum total-cholesterol level more than 220 mg/dl or triacylglycerol level more than 150 mg/dl. Subjects were concurrently ingested l0g of indigestible dextrin with meal (3 times/day) for three month. Each was subjected to a glucose tolerance test and CT scan at umbilical level, and also taken blood sample to measure the clinical laboratory data before and after the test period. Compared to the starting levels, percent body fat in all the subjects and the area of visceral fat in subjects with obesity were significantly decreased. Although the average peak level of serum glucose was more than 200 mg/dl at 60 min after 75 g glucose administration, glucose tolerance was improved and the average levels of serum glucose at 30, 60, and 120 min were significantly reduced after the test period. Likewise, serum total-cholesterol and triacylglycerol levels were significantly reduced. No adverse event such as diarrhea was observed through the test period. In conclusion, continual ingestion of indigestible dextrin is useful for reducing the body fat accumulation, especially visceral fat.
著者
岸本 暢将 岡田 正人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2431-2439, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
14

脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)は,強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,反応性関節炎,炎症性腸炎関連関節炎,分類不能脊椎関節炎および小児の脊椎関節炎を含めた体軸関節と末梢関節に病変が起こる炎症性関節炎の総称である.以前の報告では,日本での有病率は欧米と比較すると非常に稀な疾患と考えられてきたが,昨今,生物学的製剤を含めた治療進歩に伴い,その疾患概念や特徴が認知され,日常診療では関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の鑑別疾患として重要な疾患群と考えられている.他科との連携も非常に重要な疾患として臨床的特徴と診断治療について解説する.
著者
岸本 昌子 森 貴久
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.61-68, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
31

ニホンヤマネGlirulus japonicusの体毛の特徴を,下毛と保護毛の密度と長さに着目して,アカネズミApodemus speciosusと比較した.さらにヤマネの体毛の特徴の地域的な差異を調べた.各地の博物館所蔵のヤマネの標本30体と採集したアカネズミ5個体を解析に用いた.ヤマネとアカネズミの体毛の密度と長さについて比較すると,ヤマネの方がアカネズミよりも全体の下毛密度と下毛割合が高く,長さも長かった.保護毛密度はアカネズミの方が高かった.また,ヤマネでは,胸の保護毛密度が他の部位に比べて低かった.さらに,ヤマネの体毛の特徴に基づいて標本をクラスター分析した結果,主に山形県,群馬県,埼玉県,岐阜県産からなる集団と鳥取県,静岡県,兵庫県産からなる集団の2つの集団に大きく分かれた.この集団は,これまでに知られている遺伝集団とは必ずしも一致せず,寒冷適応の程度と関係している可能性が示唆された.
著者
岸本 章宏
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.139-145, 2012-01-15

チェス,オセロ,チェッカー,シャンチーなど,二人零和完全情報ゲームは世界に多い.この手のゲームは両者が最善を尽くすと「先手必勝,後手必勝,または引き分け」という解が求まる.本稿では,すでに必勝法が求められたゲームをいくつか取り上げ,必勝法計算に利用した手法について概観する.
著者
﨑下 雅仁 小川 ちひろ 土屋 賢治 岩渕 俊樹 岸本 泰士郎 狩野 芳伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.B-J45_1-11, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
参考文献数
28

In recent years, population with autism spectrum disorder (ASD) are growing explosively, and diagnosis of ASD is difficult due to difference of interviewers and environments, etc. We show relations between utterance features and ASD severity scores, which were manually given by a clinical psychologist. These scores are of the Autism Diagnostic Observation Schedule (ADOS), which is one of the standard metrics for symptom evaluation for subjects who are suspected as ASD. We built our original corpus where we transcribed voice records of our ADOS evaluation experiment movies. Our corpus is the world largest as speech/dialog of ASD subjects, and there has been no such ADOS corpus available in Japanese language as far as we know. We investigated relationships between ADOS scores (severity) and utterance features we defined. Our system automatically estimated their scores using support vector regression (SVR). Our average estimation errors were around error rates that human ADOS experts are required not to exceed. Because our detailed analysis for each part of the ADOS test (“puzzle toy assembly + story telling” part and the “depiction of a picture” part) shows different error rates, effectiveness of our features would depend on the contents of the records. By comparing an ADOS score prediction result of adults and adults with that of children, we showed common features of ADOS scores between children and adults. Our entire results suggest a new automatic way to assist humans’ diagnosis, which could help supporting language rehabilitation for patients with ASD in future.
著者
川田 愛 岸本 桂子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.12-18, 2020-06-10 (Released:2020-07-01)
参考文献数
32

The purpose of this study was to examine how pharmacists can help patients and consumers to obtain appropriate drug information online. We clarified what kind of information about medicines patients and consumers were seeking online. “Yahoo! Chiebukuro”, the largest knowledge sharing community in Japan, was surveyed. We extracted questions related to drugs and healthcare posted in the period of August 1-7, 2017. The survey period was from January to April 2019. Questions that could not be answered by the pharmacist’s clinical judgment were excluded. The content of the extracted questions was analyzed.The extracted 283 posts included 345 questions. Questions related to prescribed drugs comprised 69.0% of questions and questions related to over-the-counter drugs comprised 17.2% of questions. Overall, 69.9% of the questions required expert judgment to be answered properly, although 80% of questions were posted within the pharmacy opening hours. The breakdown of 180 questions on prescribed drugs included 48 (26.7%) questions on drugs that affect the nervous system and sensory organs, 28 (15.6%) questions on drugs against pathogenic microorganisms, and 27 (15.0%) questions on analgesic/anti-inflammatory/allergic drugs. With regard to annual turnover, it was revealed that an estimated 15,000 medical and health care consultations were made online. A pharmacist should give instructions for taking prescribed drugs based on the assumption that patients and consumers will search for information on the internet.