著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
no.19, pp.63-76, 2001

本稿は,フランスの宗教学者ロベール・エルツ(1881-1915)の三本目(そして最後)の論文「聖ベス-アルプスの祭祀-(Saint Besse -etude d'un culte alpestre)」を扱っている。エルツについては,ボルネオ島ダヤク族の死をめぐる習俗(具体的には二次埋葬)・観念に時間的構造をみようとした1907年の「死の集合表象の研究」,ニュージーランドのマオリ族の事例を扱い,右手と左手の価値の差を右利きという生理学的要因ではなく,善と悪,生と死,男と女,南と北,聖と俗,浄と不浄といった社会的な価値の両極を象徴するものとして捉えようとした1909年の「右手の優越」が知られている。彼の師・先輩にあたるM・モースはエルツの研究について,「人間性の間の部分(cote sombre de l'humanite)」を対象としたものと言い表していた。「死」(「死の集合表象」),「タブー」(「右手の優越」),「罪」(博士論文)といった具合に,エルツは宗教に注目する事によって,人間性の裏側に光を当てようとしたのである。「聖ベス」論文でも伝承における「妬み」,祭祀における人々の「対立・葛藤」が取り上げられている。しかし,彼が生前残した最後の論文であるこの「聖ベス」は,フィールドワークによる資料採集を行い,事象から離れることなく理論のレヴェルにまで達している点で前二論文とは異なっている。昨年(2000年),雑誌『宗教研究』において,「「民間信仰」研究の百年」という特集が組まれたが,「聖ベス論文」は「民衆」レヴェルの宗教研究として,88年前の論考でありながら現在でも十分参考になり得る。むしろ「民衆」レヴェルの宗教への取り組み方,その概念そのものの再考が要請されている現在だからこそ,この論文を見直す意味があるのではないだろうか。以下では,祭祀とそれにまつわる伝承,歴史について彼がいかなるアプローチを施したかを,同時代のフランスのフォルクロリスト達,フランス社会学派のモースなどと比較しつつ考察し,その位置付けを行なう。
著者
相根 義昌 中川 純一 戸枝 一喜 佐藤 広顕
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.298-306, 2013-09-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
14

食材の香りと風味は,食材に含まれる複数の化合物が人の感覚器によって検出されることによって生まれる.したがって,香りや風味を機器分析によって評価することは困難とされてきた.しかし,人による官能試験と機器分析を組み合わせた方法で香りや風味を評価できる可能性がうまれてきた.一方,好まれる食材の香りを生み出すためには,香りや風味に関わる化合物がどのように合成されるかを解明することが必要である.本稿では,香り成分の視点から,発酵食品中の化合物とその代謝経路,植物の香りに関わる遺伝子の研究について紹介する.
著者
松本 才絵 淡路 雅彦 日向野 純也 長谷川 夏樹 山本 敏博 柴田 玲奈 秦 安史 櫻井 泉 宮脇 大 平井 玲 程川 和宏 羽生 和弘 生嶋 登 内川 純一 張 成年
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.548-560, 2014 (Released:2014-08-01)
参考文献数
14
被引用文献数
4 10

組織観察によるアサリの生殖腺の発達状況及び肥満度の季節変化に関する調査を北海道,関東,中部,九州の 6 地点で 2010 年 4 月から 2012 年 11 月に行った。アサリは 1 個体中に 2 つ以上の発達段階が観察される場合が多かったので,生殖腺の発達段階は観察された各段階の頻度で評価した。組織観察の結果北海道では産卵期は夏であり,一方他の地点では春に産卵が始まり秋まで続き,盛期は春と秋の 2 回であった。肥満度の最大と最小は北海道でそれぞれ 2010 年 8 月と 10 月,その他の地点ではそれぞれ 2011 年 4 月と 12 月であった。
著者
江崎 孝三郎 早川 純一郎 富田 武 尾藤 惇一 野沢 謙 近藤 恭司
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.218-225, 1962 (Released:2008-03-10)
参考文献数
20

1. 長野県西筑摩郡の農家に飼育されている,いわゆる木曾馬の毛色に関して,1860年前後の古文書より,当時の状態を調査した.1943年以降は,「産駒登記原簿」および「伝染貧血症検査台帳」により,また直接に観察して,各種毛色の頻度の推移を調査した.2. 木曾馬産駒集団においては,年々鹿毛は増加,青毛は減少の傾向にあり,栗毛はほぼ一定の割合を維持している.河原毛および月毛は,合計してわずかに5%以下であつた.すなわち,遺伝子aの頻度qaは,1943年に約0.55であつたが,次第に減少して,1960年には約0.35となつた.遺伝子bの頻度qbは約0.45で,1943年以来この値を維持している.遺伝子Dの頻度qDは約0.02であつた.3. 以上の事実は,遺伝子A~aに関しては移行多型(transient polymorphism),遺伝子B~bに関しては平衡多型(balanced polymorphism)となつていることを示している.4. 木曾馬産駒集団における毛色の多型の維持と推移の機構に関して,種畜の選択に際して働く淘汰選抜の作用と,種畜から次の世代に移る間に働く淘汰に注目して,分析を行なつた.その結果,遺伝子aには,その頻度を減少させる方向に,上記二つの淘汰が相加的に作用すること,また遺伝子bに関してはは,前者がその頻度を,減少させる方向に,後者が増加させる方向に働いていることが判明した.そして,これら二つの要因によつて,鹿毛,青毛および栗毛の年次的変遷を遺伝的に説明することができた.
著者
井川 純一 中西 大輔
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.210-220, 2019
被引用文献数
2

<p>本研究では,グリット(Grit:根気・一貫性)とバーンアウト傾向(情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成化の低下)及び社会的地位との関係について,対人援助専門職(医師,看護師,介護福祉士(男性233名,女性217名))を対象に検討した。Gritと社会的地位に関連が認められるのであれば,職業威信スコアの最も高い医師のGrit得点が最も高くなると予測したが,Gritの間に職種間の差異は認められなかった。一方,管理職と非管理職を比較したところ,一貫性において管理職のほうが高い値を示した。また,Gritがバーンアウト傾向に与える影響について検討したところ,根気は脱人格化及び個人的達成感の低下,一貫性は情緒的消耗感及び脱人格化を抑制していた。分位点回帰分析を用いた検討では,これらのGritのバーンアウト傾向抑制パタンは症状の増悪に伴って変化するものの,どのパーセンタイルでもバーンアウトを増加させる要因にはならないことが明らかとなった。</p>
著者
早崎 将光 大原 利眞 黒川 純一 鵜野 伊津志 清水 厚
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.225-237, 2008-07-10
被引用文献数
14

2007年5月8-9日に観測された注意報レベルに達するオゾン(O_3)高濃度事例を対象として,全国の1時間平均大気汚染物質濃度測定値を用いた動態調査をおこなった。O_3濃度上昇は,8日の早朝に日本列島西端の五島から観測され始めた。壱岐における日最高O_3濃度は深夜に観測された,日本海沿岸では,日最高O_3濃度は東側ほど遅い時刻で観測された。離島では,二酸化硫黄と粒子状物質もオゾンと同期した濃度変化を示した。後方流跡線解析とライダーによる人為起源粒子の鉛直分布から,汚染気塊はアジア大陸を起源とすることが示された。9日は主に東日本でO_3高濃度を観測した。日本海側では,前日と同様に東側ほど遅い時刻で日最高O_3濃度を観測した。それに対して,関東平野では観測時刻の遅れは内陸側に向かう方向でみられ,O_3濃度も日を追う毎に高くなった。高濃度期間の汚染物質濃度と気象条件の時空間変動から,関東平野では,大規模海陸風循環の継続による都市汚染の蓄積の影響も大きいことが示唆された。以上の結果から,日本列島規模の広範囲では越境汚染がO_3高濃度の主要因であり,都市近郊では国内起源汚染がそれに上乗せされていたと考えられる。
著者
中川 純一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.149-159, 2008-09-28
参考文献数
18

Since the telephone (RDD) poll of the day is carried out in the call center, which is highly managed, the risk of operator's error generation is low. However, this report suggests the risk of operator's error generation due to intervene of operator's judgment. It is the case that the questionnaire is not carefully examined. Now therefore, the question with an unclear meaning with a long sentence and/or an open-answer question must be avoided when there is not enough time for developing a thorough questionnaire.
著者
長谷川 純一
出版者
Japanese Society for Medical Virtual Reality
雑誌
VR医学 (ISSN:13479342)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.21-29, 2002

In this paper, the present state and the future of virtual endoscopy (VE) are stated. VE is a system which can generate endoscopic images of inner organs only using 3D CT images of a real human body. This new diagnostic tool has advantage that can be applied to patients without pain, and that enables us to observe the state of inner human body from any position and direction. Usually, VE should have several basic functions including rendering, segmentation, measurement and user interface. Recently, some advanced functions for abnormal lesion detection, simultaneous display of real and virtual endoscopic images and organ deformation with force feedback have been also investigated. VE can be applied to many fields including diagnosis, surgery and medical education, and some systemd have already been in clinical use.
著者
石川 浩 星 秀逸 小川 純一 井上 洋西
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.206-210, 1994
被引用文献数
1

症例1は60歳, 男性。突然新鮮血を吐き出し, 意識不明の状態で当センターに搬送された。直ちに気管内挿管を施行した。挿管チューブからは血液は吸引されなかった。吐血を疑われたが上部消化管内視鏡で胃内に出血源は認められなかった。胸部X線写真で左上肺野に腫瘤陰影を認め, 弓部大動脈瘤と診断された。第2病日から大量の喀血が出現, 気管支鏡で左B^<1+2>およびB^3からの出血を認め止血を試みたが, 胸腔内にも出血を来たして死亡した。症例2は61歳, 男性。突然新鮮血を吐き出したため, 当センターに搬送された。初め吐血を疑われたが上部消化管内視鏡では胃内に出血源は認められなかった。胸部X線写真上, 左第1弓に接して腫瘤の存在が疑われ, ivDSA検査で弓部大動脈瘤が確認された。気管支鏡では左B^<1+2>に凝血塊を認め同部からの出血が示唆された。胸部大動脈瘤切迫破裂と診断し手術が予定されたが, 再び喀血し死亡した。喀血の原因は大動脈と肺に瘻孔が形成されたためと考えられる。大動脈肺瘻は稀な病態であるが, 外科的処置が不可欠で早期診断が必要である。
著者
川添 裕三 橋本 英樹 森上 修 村瀬 英一 古川 純一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00159-17-00159, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

To explore the behavior of near-extinction flamelets in turbulent premixed flames, emission intensities of OH, CH and C2 radicals of hydrocarbon-air premixed flames have been examined using the newly developed emission spectroscopy system. It has been shown in our previous study that the emission intensity ratio of 515.5 nm/470.5 nm bands of C2 radical uniquely depends on the temperature of unstrained methane/air and propane/air flames. In the present study, to establish the technique that estimates the temperature of the near-extinction flamelet of turbulent premixed flames, the relation between the temperature and the emission intensity ratio of 515.5 nm/470.5 nm bands of C2 radical of strained flames has been sought by using a counter-flow burner. The unique relation between the flame temperature and the emission intensity ratio of 515.5 nm/470.5 nm bands of C2 radical has been found to exist for the Propane-air and the Butane-air strained flames. Therefore, it can be concluded that the temperature of flamelets of the Propane-air and the Butane-air turbulent premixed flames can be estimated by using the relation between the temperature of the strained flame and the emission intensity ratio of 515.5 nm/470.5 nm bands of C2 radical obtained in the present study.
著者
的場 勝英 利根 斉 新浜 光一 後藤 文孝 坂 雅之 南川 純一
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.407-414, 1999-05-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
3
被引用文献数
1 6

An efficient and practical synthetic route to OPC-15161 (1), a novel inhibitor of superoxide anion generation, is described. Intensive survey on pyrazine ring manipulation has led to the development of multi-kilo synthetic pathway, in which beneficial use of a nitrogen protecting group is the key to the problematic cyclization and O-methylation process, both being carried out in one-pot operation. Thus, the synthesis proceeds in 40% overall yield in four steps from tryptophan methyl ester with simple operation and without chromatographic purification, which also opens a general route for the preparation of related 5-alkoxypyrazin-2 (1H) -one 4-oxide such as emeheterone.
著者
濱田 敏弘 清水 昭伸 長谷川 純一 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1937-1947, 2000-07-15
参考文献数
23
被引用文献数
8

本論文では, 画像内に特定の図形が含まれているかどうかを判定する画像処理手順を, ユーザの与えた誤判定率に関する条件を満たすように自動構成する一方法と, それを用いた新しい画像処理エキスパートシステムIMPRESS-Proを提案する.このシステムは, あらかじめ具体的なアルゴリズムやパラメータが未定の処理系列を用意し, それを構成する各局所処理を誤判定率の条件から推定された要求精度に基づいて逐次的に決定する.本論文では, このシステムをLSIパッケージ表面上の欠陥抽出手順の自動構成問題に適用した結果を示し, システムの可能性と限界について考察する.
著者
大原 利眞 鵜野 伊津志 黒川 純一 早崎 将光 清水 厚
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.198-208, 2008-07-10
参考文献数
24
被引用文献数
22

2007年5月8,9日に発生した広域的な高濃度オゾン(O_3)エピソードの特徴と発生原因について,日本全国の大気汚染測定データと東アジアスケール化学輸送モデルを用いて解析した。全国の測定局で観測されたO_3濃度は,5月8日の朝9時ごろに九州北部で高濃度となり始め,15時には壱岐や五島といった離島を含む九州北部や中国地方西部において120ppbvを超える高濃度となった。高濃度は夜になると低下したが,21時においても西日本の一部の測定局では120ppbvを超える状態が持続した。翌日5月9日9時の濃度レベルは前日よりも全国的に高く,15時になるとO_3の高濃度地域は,北海道や東北北部を除く日本全域に拡大し,関東,中京,関西などの大都市周辺地域や,富山県や新潟県などの北陸地域や瀬戸内地域の測定局において120ppvb以上を観測した。化学輸送モデルは5月7〜10日に観測された地上O_3濃度の時間変動をほぼ再現するが,ピーク濃度レベルを過少評価する。この傾向は,中国沿岸域北部・中部の排出量を増加するに従って改善される。モデルで計算された5月7〜9日の地上付近のO_3濃度分布によると,空間スケールが500kmを越える80ppbv以上の高濃度O_3を含む気塊が,東シナ海上の移動性高気圧の北側の強い西風によって,中国北部沿岸から日本列島に輸送されたことを示す。5月8,9日に日本で観測された高濃度O_3には,中国や韓国で排出されたO_3前駆物質によって生成された光化学O_3に起因する越境大気汚染の影響が大きい。80ppbv以上の高濃度O_3に対する中国寄与率の期間平均値は,青森県以北を除く日本全国で25%以上であり,九州地域では40〜45%に達すると見積もられた。しかし,本研究で使用したモデルは都市大気汚染を充分に表現していないため,大都市域周辺等では越境汚染の寄与率が異なる可能性がある。また,モデル計算結果ならびに地上大気汚染測定局とライダーの観測結果から,O_3とともにSO_2や人為起源エアロゾルも越境汚染していたこと,これらの物質は高度1500m以下の混合層の中を輸送されたことが明らかとなった。
著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
vol.30, no.特別号, pp.179-194, 2013-03

2010~2012年度文部科学省科学研究費補助金基盤研究 (B) 「宗教概念ならびに宗教研究の普遍性と地域性の相関・相克に関する総合的研究」 (研究代表者 : 池澤優) 課題番号 : 22320016 報告書
著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 肥田 満裕 北川 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.433, pp.37-42, 2005-11-17
被引用文献数
5

本論文では, スポーツ動作分析の支援を目的とした人体センシング情報の可視化提示法について述べる.スポーツにおける打撃動作や投球動作の分析は, 筋電位などの運動機能情報を動作フォーム映像と比較しながら行われることが多い.本方法は, 動作中の人物の各要所部位で計測した筋電位値を, 人体骨格を表す3Dモデル上に色の差異として表示し, それをアニメーションとして提示する.これにより, 動作フォームの変化に伴う各筋肉の負荷状態とその時間変化を, 視覚的に理解することが可能となる.
著者
原口 朋比古 瀧 剛志 長谷川 純一
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.565-571, 2011-04-01
被引用文献数
1

This paper presents a system based on the control of PTZ cameras for automated real-time tracking of individual figure skaters moving on an ice rink. In the video images of figure skating, irregular trajectories, various postures, rapid movements, and various costume colors are included. Therefore, it is difficult to determine some features useful for image tracking. On the other hand, an ice rink has a limited area and uniform high intensity, and skating is always performed on ice. In the proposed system, an ice rink region is first extracted from a video image by the region growing method, and then, a skater region is extracted using the rink shape information. In the camera control process, each camera is automatically panned and/or tilted so that the skater region is as close to the center of the image as possible; further, the camera is zoomed to maintain the skater image at an appropriate scale. The results of experiments performed for 10 training scenes show that the skater extraction rate is approximately 98%. Thus, it was concluded that tracking with camera control was successful for almost all the cases considered in the study.