著者
阿部 清治 西 誠 渡辺 憲夫 工藤 和夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1035-1046, 1985-11-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

THALES is a computer code system for the thermal-hydraulic analysis of the core meltdown accident which is the risk-dominant accident of LWR's. Its first version was developed for the PWR analysis, which uses THALES-P for primary system thermal-hydraulics, THALES-M for core heatup and meltdown, and THALES-CV for containment temperature and pressure response. Several program libraries were also developed not only for THALES but for general usage.A new analysis technique of hydraulics in the primary cooling system was developed and used in THALES-P with aiming at accurate estimation of water level in water-steam mixture and shorter computer time, which are necessary for the core meltdown analysis.This report describes the outlines of the THALES code system, as well as the mathematical modeling and sample run results of the above-mentioned codes. Further are discussed the importance of the mixture levels and the necessity of the core slumping models.
著者
長野 文彦 吉村 芳弘 嶋津 小百合 工藤 舞 備瀬 隆広 濵田 雄仁 白石 愛
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.70-79, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
40
被引用文献数
1

【目的】脳卒中患者の骨格筋量と歩行獲得との関連について調査する.【対象及び方法】2015-2016年に連続入院した脳卒中回復期患者204人を対象とした後ろ向きコホート研究.体組成分析を用いて入院時の骨格筋指数・下肢骨格筋指数を評価し,多変量解析により退院時の歩行獲得との関連を解析した.【結果】対象者は204人(平均年齢74歳,男性109人).歩行獲得に有意に関連する因子として,骨格筋指数(P<0.01)・下肢骨格筋指数(P<0.01)がそれぞれ抽出された.【結論】脳卒中患者の骨格筋量は歩行獲得の独立した予測因子であることが示唆された.脳卒中患者の骨格筋量は歩行能力の予後予測に有用であり,全症例に骨格筋量の評価が必要である.
著者
工藤 洋
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.175-183, 2017 (Released:2018-01-30)
参考文献数
47
被引用文献数
2 5

アブラナ科のタネツケバナ属(Cardamine)は約200種からなる。日本の農耕地に見られるのがタネツケバナ,オオバタネツケバナ,ミチタネツケバナの3種である。これらの種を対象に,生活史,生態,進化,系統地理,外来植物,形態形成,ゲノムといった様々な観点の研究がなされてきた。本総説では,これまでの研究を概観し以下の点を論じる。①タネツケバナはC. flexuosaとは別種である。②タネツケバナの学名はC. occulta Hornem.である。③タネツケバナは外来種として世界の温帯圏に広がっている。④オオバタネツケバナの学名はC. scutata Thunb.である。⑤オオバタネツケバナは倍数化によるタネツケバナ属多様化の典型例である。⑥日本のオオバタネツケバナ集団には地理的遺伝構造がある。⑦ミチタネツケバナはヨーロッパ原産の外来植物である。⑧ミチタネツケバナのゲノムが決定し,モデル植物としての基盤が整備されている。⑨ミチタネツケバナの雄しべ数は温度に依存して変わる。これらの研究は,近縁種の分類と同定,農耕地への適応,外来雑草の侵入といった,雑草学研究にとって重要な課題を含み,研究の展開が期待される。
著者
仲野 敦子 有本 友季子 星野 直 工藤 典代
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.40-44, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
12

2012年から2013年の風疹大流行により40例以上の先天性風疹症候群(CRS)の報告があった。我々は出生時には症状がなく先天性風疹感染症(CRI)の診断であったが,1 歳 6 カ月時に左右差のある難聴の診断となり CRS となった症例を経験した。母親は妊娠10週に風疹に罹患し,出生時には児の血清抗体価上昇もあり胎内風疹感染が確認されたが,合併症状はなく自動 ABR は両側パスであり CRI と診断された。風疹分離が陰性となった後の ABR 検査で右60 dBnHL,左無反応で難聴の診断となった。 2013–2014年の CRS 報告45例中 9 例はワクチン接種歴の母から出生しており,妊娠中の風疹罹患歴がなしあるいは不明であった症例は13例であった。このうち何症例で難聴を合併していたかは不明であるが,ワクチン接種歴があり不顕性感染であった母親からの CRS による難聴症例が発生した可能性もあると考えられた。
著者
工藤 郁子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本報告では、プロファイリングなどの自動処理に関する規律形成について検討する。個人のある側面を評価する目的で利用されるパーソナル・データの取扱いについて、社会的課題を分析し、提言案を公表した。この実践を通じて、レピュテーション・マネジメントの観点から、プロファイリングの自主的規律形成に積極的に取り組む企業や業界団体があることがわかった。
著者
鈴木 伸英 工藤 芳彰 宮内 [サトシ]
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.31-40, 2001-03-31
参考文献数
14

本研究は、東京都府中市の大國魂神社の御先拂太鼓を対象として、その実体、保持・運搬用具、演奏方法、太鼓の役割等について検討した。その結果、以下の点が明らかとなった。御先拂太鼓が大型化した要因は、明治初期に祭礼の運営組織を府中四ヵ町に分けたことによって生じた、町内間の対抗心であった。その御先拂太鼓の存在意義は、祭礼の到来を知らせる実用的機能に加え、地域のシンボルであるという社会的役割、さらには音で神輿の道筋を払うという象徴的な機能にある。また、今日、御先拂太鼓が人々に受け入れられている理由として、次の諸要因をあげることができる。ソリッドの木材、麻縄といった伝統的な自然素材を用い、造形美を洗練させたこと。時代・社会の要請に応えて大型化・重量化した太鼓に対応するためにブレーキ付き台車、太鼓を台座から台車に載せ替えるためのクレーンの利用といった用具のシステムをそなえたこと。そうした前提の下で、音の大きさと単純さという根元的な太鼓の魅力を引き出す新しい演奏方法を確立させたことであった。
著者
秋谷 直矩 高梨 克也 水町 衣里 工藤 充 加納 圭
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
no.15, pp.107-122, 2014-06

This practice report raises some questions of dialogical workshop design about science and technology policy topics. Focusing participant's talk, we analyze relationship between presenting participant's identity and facilitator's practice of consolidation of opinions. As a result, we find following points. (1) Presenting identity when particular participant express his opinions make/form relationship with other participant's identity.( 2) Participant's identity changes at each time, and relies on course of interactional context. These results provide the resource when we rethink relationship between conservation of opinions diversity and methods of gathering various opinions, and design workshop that oriented deliberative communication in public.
著者
工藤 典代 花澤 豊行
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.89-92, 1992-04-01

妊娠早期の風疹ウイルス感染により,白内障,心疾患,難聴を主徴とする多彩な先天異常を伴なった先天性風疹症候群(CRS)が生じることは周知の事実である。しかし,妊娠中期の感染でも難聴が生じることはあまり知られていない。今回,妊娠中期に風疹感染の既往があり,出生児に先天性難聴が生じた症例を経験した。このような母体の風疹罹患が原因と思われる難聴児が,当院開設以来2年間に,7例来院している。これらの症例について,風疹罹患時の妊娠月数,難聴の程度,難聴の左右差につき検討を加え報告した。症例は1歳から7歳までの7例で,母体の風疹罹患は妊娠4か月から7か月末であった。難聴は両側性が6例,1側性が1例であった。難聴の程度は中程度から高度,ろうまでみられた。これらの難聴についてまとめると,(1)風疹罹患の時期が妊娠初期に近い程,難聴の程度は高い傾向にあった。(2)妊娠5か月以降の感染の症例は,聴力に左右差が認められた。一般にCRSの発生は妊娠初期が知られているが,難聴に関しては妊娠後期でも生じるため注意が必要である。また,CRSの予防には,ワクチン接種と風疹の抗体価検査が望まれ,広く一般に啓蒙する必要がある。
著者
工藤 教孝
出版者
日本評論社
雑誌
経済セミナー (ISSN:0386992X)
巻号頁・発行日
vol.659, pp.71-79, 2011-05

経済学部生、大学院への進学を希望している学生、大学院生ならびに教員、また経済学についてもっと学びたいという一般の方向けに、マクロ経済学についてどう向き合っていただきたいか、自分が教育者としてどのように「マクロ経済学の作法」を伝えているかについて語ってみたい。
著者
佐藤 誠子 工藤 与志文
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.135-148, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

本研究は,既有知識の変化の困難さについて学習者の推論過程の側面から検討するものである。従来の合理的モデルに従えば,既有知識が変化するには,誤概念など既有知識からの「直観的判断」とルールに基づく「仮説的判断」とが同等におこなわれ,それらが比較対照される必要があるが,実際には後者の判断に困難があることが佐藤・工藤(2015)により示されている。これらを踏まえ,本研究では三角型四角形(三角形の直観的イメージに近い四角形)の分類課題を取り上げ,大学生を対象に仮説的判断の重要性とその方法を教授する授業をおこなうことで,課題に対する判断の転換がみられるかどうかを検討した。その結果,①推論の出発点を直観的判断にしか置けず,それを支えるための説明を生み出す方向にしか推論が展開されない「自己完結的推論」が存在すること(研究1,研究2),②仮説的判断を推論の俎上に載せることができれば,自己完結的推論が抑制され,双方を比較対照する検証過程に持ち込める可能性が高まること(研究2)が示された。これらの結果から,従来の誤概念修正ストラテジーの効果および概念変化達成のための教授学習条件を再考した。
著者
中谷内 一也 工藤 大介 尾崎 拓
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.139-147, 2014 (Released:2014-06-25)
参考文献数
42
被引用文献数
3 7

This study investigated the levels of public trust in organizations associated with the Great East Japan Earthquake. In Study 1 (N = 639), the levels of trust in eight organizations as well as the determinants of trust–perceived salient value similarity (SVS), ability, and motivation– were measured twice, first immediately after the earthquake and then a year later. The results indicated that the trust levels for six of the eight organizations had been preserved, supporting the double asymmetric effect of trust. The results of structural equation modeling (SEM) revealed that SVS explained trust more when the organization had been less trusted. Trust in the organization explains well the perceived reduction of the target risk. The results of SEM in Study 2 (N = 1,030) replicated those of Study 1, suggesting the stability of the explanatory power of the determinants of trust. Implications of the study for risk management practices are discussed.
著者
古賀 政利 井上 学 園田 和隆 田中 寛大 塩澤 真之 岡田 敬史 池之内 初 福田 哲也 佐藤 徹 猪原 匡史 板橋 亮 工藤 與亮 山上 宏 豊田 一則
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10776, (Released:2020-03-30)
参考文献数
46
被引用文献数
3 1

要旨:脳梗塞の診断にはCT もしくはMRI による画像評価が必須である.再開通療法の可能性があれば速やかに最低限必要な画像評価で再灌流療法の適応を決定することが重要である.2018 年に改訂された米国のガイドラインでは,来院から20 分以内に画像診断を行うことが推奨されたが,わが国のガイドラインには画像診断までの時間の推奨はない.わが国では普及率が高いMRI で急性期脳梗塞を評価している施設が多い.機械的血栓回収療法の適応判定には脳実質の評価に引き続き速やかな頭頸部血管評価が必要である.米国では発症6 時間超の脳梗塞に対してCT もしくはMRI を使用した脳虚血コア体積や灌流異常の評価による機械的血栓回収療法の適応を推奨しているが,わが国では灌流画像評価や迅速解析に対応した自動画像解析ソフトウェアが普及していない.急性期脳梗塞に対する適切な再灌流療法を行うための,わが国の医療環境にあわせた画像診断指針が必要であろう.