著者
村井 俊哉 後藤 励 野間 俊一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

病的賭博に代表されるなんらかの行為の対する依存は「プロセス依存」と呼ばれ、物質への依存症と共通する病態機構を持つのではないかと推測されている。プロセス依存の基盤となる認知過程・脳内過程の解明を目的とし、病的賭博群に対して、報酬予測や意思決定課題を用いた機能的神経画像研究を実施した。結果、病的賭博群において報酬予測時における報酬系関連脳領域の神経活動の低下を認め、さらにその賦活の程度と罹病期間の関連が見出され、同神経活動が病的賭博の臨床指標になりうる可能性が示唆された。
著者
松永 幹生 後藤 春彦 吉江 俊
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.760, pp.1411-1421, 2019 (Released:2019-06-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

Edward Relph, a Canadian geographer said that there are psychological connections named “sense of place” between people and place, and they are important in terms of making good places. In Japan, It is said that the urban developments without consideration of psychological connections have destroyed places and their social memory. The purpose of this research is to analyze the character and inheritance of “sense of place”, by observing habitual use of places inherited in university students in Takadanobaba. There were three investigations and followings were obtained: 1) The whole picture of places where university students usually use It became clear that the places where university students usually use can be divided into fifty four groups based on the industry classification. University facilities, Izakaya, Ramen shop etc. were the most popular places. And it became clear that the places where university students usually use can be roughly divided into nine groups through analysis of purpose for using place. There are the places for intellectual activities, cultural activities, sports, shopping, drinking parties, eating, gathering, killing time and rest. Moreover, it became clear that university students were relating nine places with each other to be network. 2) The target youth’s formation process of Local-oriented mind 162 habitual uses of places are gained through the survey. They can be roughly classified into two actions. One is action done by using necessary items already prepared in the places, and the other is actions done by bringing necessary items from other places by themselves. The latter is done in the outdoor space, and it became clear that it is done outside of university more than inside of university. It is confirmed that most places where habitual use of places are done were located around each campus and Takadanobaba Station. And it became clear that many habitual uses of places are done in three types of places; places for leisure activity, places as node, and places for moving. 3) Actors for inheritance of “sense of place” 134 habitual uses of places are inherited beyond school grade. Groups or people keeping on planning events and the groups with multi-generation members are main actors for inheritance of the habitual use of places, thus they are considered to be one of the actors for inheritance of “sense of place”. And it became clear that two environments were important for the inheritance of “sense of place”; appropriate urban space for purpose and the experience of seeing behavior of others.
著者
登本 洋子 伊藤 史織 後藤 芳文 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S41022, (Released:2017-12-06)
参考文献数
9

アカデミック・ライティングの指導の重要性は,大学だけでなく中学校や高等学校においても高まっている.本研究は,中学生にアカデミック・ライティングを指導する過程において,論文を書くことができない生徒を,発表の機会を生かすことによって支援することを目的とした.具体的には,発表と論文執筆の順序を入れ替えて,発表の機会を生かすことにより,論文の質の変化を比較した.その結果,「テーマ設定,情報収集,発表,論文執筆」の順で行なったほうが,論文および発表ともにその質が向上することが確認された.
著者
三谷 友倫 堂園 大雅 後藤 弘輝 迫田 達也
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.149, 2016

現在、日本の下水道普及率は77.6 %となっており、他の先進国と比べると低い水準となっている。排出される生活排水、産業排水には難分解性有機物が含まれており、一般的な処理では分解が困難である。著者等は、より高効率な処理を目的とした水中プラズマ装置を提案している。本装置は、高い酸化電位をもつオゾン、OHラジカル等を利用することで難分解性有機物の分解を可能とする。 本報では、水中プラズマによって生成される紫外線に処理能力が伴うか検討した結果について述べる。結果として、OHラジカル由来の発光スペクトルは観測されたが、石本装置による紫外線に殺菌効果は殆ど無いことが確認された。
著者
後藤 明
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.164-178, 2014-09-30

While the human interest in astronomical phenomena has a long history, the academic study of cultural phenomena with astronomical significance has only begun in the middle of the 20_<th> century: e.g., studies of Stonehenge and Megalithic structures in Europe pioneered by astronomers and archaeologists. That trend stimulated similar studies in the New World, with many studies of ancient civilizations, such as the Aztec, Maya and Inka, first appearing in the 1970's. In contrast to Old World studies, which are mainly based on archaeological methods, the studies in the New World tend to integrate archaeological and ethnographic information. One reason for that seems to stem from the difference of disciplines, since archaeology in the United States was long treated as part of anthropology. It also used to be possible to research ethnographic information concerning astronomical phenomena in the New World based on archival study and fieldwork. In that context, several excellent pieces of literature of ethnoastronomy have been written that explicate a different way of viewing the sky and universe [e.g. Hudson and Underhay 1978; Urton 1981; Chamberlain 1982]. In addition, the concept of cosmovision proposed by J. Broda [1982, 1993] has been found to be a useful device to approach an integrated view of cosmology and cosmogony [Fairer 1992]. A similar trend is found in other parts of the world, such as Oceania and Africa [e.g. Sharp 1993]. Under those circumstances, the author argues that archaeological and ethnological studies are to be integrated as an anthropology of astronomical phenomena, or "astronomical anthropology." Through that integration, anthropology will serve an important role in the interdisciplinary field of "astronomy in culture" or "cultural astronomy" [Ruggles and Saunders 1993; Valls-Gabaud and Boksenberg 2011]. Recently, the positioning of astronomy in culture and society has become an important topic, with serious discussions of the reevaluation of indigenous astronomy and its teaching to the younger generation [Holbrook et al. 2009; Ruggles 2011]. The author argues that the anthropologists interested in astronomy should not restrict their role to recording past and endangered customs, but instead should participate actively in revitalizing indigenous astronomy as a form of practical knowledge (e.g., the education of modern star navigation in the context of the Oceanic canoe renaissance). In that sense, astronomical anthropology will be able to contribute to reconstructing "neo-science," meaning the refraining of indigenous knowledge as another system of science. Its reutilization should be directed not only toward the construction of symbols of cultural revival activities, but also such practical educational purposes as weather and seasonal reckoning.
著者
後藤田 章人 山口 泰彦 岡田 和樹 松樹 隆光
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.93-102, 2007-02-28 (Released:2010-10-13)
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

本研究の目的は, 咀嚼筋活動や顎位など管楽器演奏時の顎機能の特徴を明らかにし, 管楽器演奏により顎関節や咀嚼筋へかかる負荷を検討することである, 被験者として金管楽器奏者18名, 木管楽器奏者12名を対象に管楽器演奏時の咬筋, 側頭筋, 口輪筋, 顎二腹筋の筋電図測定, および下顎切歯点の移動距離の測定を行い, 以下の結果を得た.1.口輪筋, 顎二腹筋の筋活動量は比較的大きかったが, 咬筋, 側頭筋の活動量は最大咬みしめ時に比較すると極めて小さかった.2.音量の大小で各筋の活動量に明らかな変化はなかった.3.金管群と木管群の楽器群間では咬筋, 側頭筋, 顎二腹筋の筋活動量に明らかな差はなかったが, 金管群の方が咬筋活動量の個人間のばらつきが大きかった,4.下顎切歯点については, 木管群の方が下方への移動量が大きかったが, 移動方向の個人間のばらつきは金管群の方が大きかった.以上より, 一般的な楽器演奏では閉口筋の緊張は僅かであり, 顎関節への圧縮方向の力の負荷は少ない可能性が示唆されたが, 個人差の影響についての今後の検討が必要と考えられた.
著者
後藤 彬文 奥野 伊展 河島 来実 清水 麻衣
雑誌
2020年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020-09-11

本研究の目的は星形ナンプレの初期ヒント最少個数の解明である。星形ナンプレ特有の法則の発見、ヒント数9の問題が存在し、8の問題が存在しないことの証明を通して、初期ヒント最少個数が9であることを解明した。
著者
田島 靖崇 後藤 春彦 山村 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.960-965, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2

初期に開発された日本のニュータウンは現在、人口減少や施設の老朽化などの問題を抱えている。とりわけ、これらのニュータウンの商業施設として計画された「近隣センター」は苦境に立たされている。そこで、周辺エリアを含めて、商業環境の変化を丁寧に読み解き、生活拠点としての近隣センターの役割を再定位することは重要であると考えられる。 本研究では、以下の3点を明らかにした。1)ニュータウン内部に加えて、隣接地域を含めた商業施設立地から、当初近隣センターが担っていた商業機能の一部が外部に移っていること。2)近隣センターの機能変化として、小売店舗数が減少し、新たにNPOや福祉が新規参入している傾向があり、近隣センターによって、機能変化の程度に差があること。3)住民は距離的近接性を重視して近隣センターやコンビニを選んでおり、こうした実態は近距離施設の重要性を指摘していること。
著者
佐藤 千恵 後藤 政幸 Chie SATO Masayuki GOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.149-155, 2015-03

内分泌かく乱作用が懸念されるピレスロイド系農薬の環境生態系への影響を把握することを目的に、貝類中微量ピレスロイド系農薬の分析方法の開発を試みた。ホンビノス貝(Mercenaria mercenaria)を対象に5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を添加して、微量濃度における回収率(ホンビノス貝中各農薬濃度0.1ppm)および分析の迅速性、クリーンアップ処理の妥当性について検討した。農薬分析の前処理には高速溶媒抽出およびゲル浸透クロマトグラフクリーンアップを採用した。結果、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレートおよびデルタメトリンの回収率はそれぞれ67、86、76、82および79%であり、「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ライン」(平成22年12月厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)に定められた回収率の目標値(70〜120%)のほぼ範囲内であった。また、高速溶媒抽出により分析時間の短縮等有効な抽出ができ、ゲル浸透クロマトグラフクリーンアップ法を取り入れたことでガスクロマトグラフ/質量分析時の夾雑物質による検出器等の汚染や定量感度の低下が解消された。
著者
安田 康紀 大河内 昌弘 本田 浩一 馬場 卓也 近藤 好博 加藤 幸正 後藤 章友 神谷 泰隆 大野 恒夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.332, 2008 (Released:2009-02-04)

糖尿病患者の究極の治療目標は、糖尿病細小血管合併症・大血管合併症の発症・進展を阻止し、健常人と変わらない日常生活の質の維持・寿命の確保であるが、その目標を達成するためには、薬物・運動療法に加えて、食事療法が重要であることは言うまでもない。最近、糖尿病患者の食後高血糖が、糖尿病性心血管合併症と密接に関連し、食後血糖が高いほど、糖尿病性心血管合併症を発症しやすいことが示されてきている。食後血糖値の上昇幅を表す指標として、Glycemic Index(GI)が知られており、GI値が高い食品ほど食後高血糖が上昇しやすい。多くの日本人が主食としている白米は、GI値が高いのに対し、玄米や発芽玄米はGI値が低く、食後の血糖上昇が低いことが知られている。また、発芽玄米の更なる利点は、発芽玄米が、白米、玄米に比べて、糖尿病ラットの神経伝導速度および尿蛋白漏出量を著明に改善するとの最近の報告から、糖尿病患者の神経症・腎症を予防できる可能性が示されてきていることにある。発芽玄米は、玄米を水に浸してほんの少し発芽させたお米であり、発芽によって眠っていた酵素が活性化し、新芽の成長に必要な栄養素が増加する特徴があり、-アミノ酪酸や抗酸化成分などが、白米、玄米に比べて豊富に含まれる。 そこで、我々は、発芽玄米食に注目し、入院中の糖尿病患者の食事療法に発芽玄米食を取り入れた処、糖尿病コントロールが劇的に改善し、著明なインスリン注射単位数の節減効果をもたらすことが出来た症例を経験したので報告する。症例は、54歳女性、身長157cm、体重58kg、BMI 21.6kg/m2。うつ病で、当院精神科にH19年4/19に入院となった。糖尿病は、10年程前から指摘されており、入院前は、ノボラピッド朝10, 昼10, 夕8単位+ペンフィルN眠前12単位 の4回注(計40単位)でHbA1c8.6%と糖尿病コントロール不良であった。尿中C-peptide3.6μg/dayと内因性インスリン分泌は低値であった。糖尿病性網膜症・腎症・神経症は認めず、肝臓にも異常を認めなかった。糖尿病コントロール不良のため、入院時H19年4/19より、ヒューマログ朝14, 昼14, 夕14単位+ペンフィルN朝16, 眠前16単位 の5回注(計74単位)に変更したところ、毎食前血糖値100-130mg/dl, HbA1c5.6%と安定し、その後3ヶ月間血糖コントロールは安定して経過した。その後、注射回数が少ない方がよいとの患者の希望があり、H19年7/4より、ヒューマログ50mix朝16, 昼16, 夕14単位の3回注(計46単位)に変更したが、食前血糖値100-130mg/dl, HbA1c5.3%と、半年間、安定して経過した。その後も本人の血糖コントロールに対する意欲が高かったため、H20年1/11より、食事療法として、白米から発芽玄米食に変更したが、食事カロリー(1520kcal)はそのままとした。また、その他の治療方法は、精神科薬も含めて、全く変更しなかった。そうした処、発芽玄米食に変更以降、毎食前血糖値が急激に下がり始め、インスリンの減量を頻回に必要とするようになり、H20年2/5には、ヒューマログ50mix朝12, 昼6, 夕8単位の3回注(計26単位)で、食前血糖値70-110mg/dl, HbA1c4.9%、4/23には、ヒューマログ50mix朝10, 昼2, 夕6単位の3回注(計18単位)で、食前血糖値80-110mg/dl, HbA1c4.7%と、インスリンの必要単位数の激減に加えて、血糖コントロールの更なる改善が得られた。インスリン抗体等の低血糖を起こす要因は認めず、発芽玄米食摂取が、血糖コンロールの著明な改善を促し、インスリン注射単位数の劇的な節減効果をもたらした貴重な一例と考えられた。
著者
三木 章江 後藤 月江 渡邊 幾子 植田 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】我々は、徳島県海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究に取り組んでおり、鞆浦漁協の名物である大敷網漁(定置網)で水揚げされる未利用魚の有効活用を検討してきた。本研究では、鞆浦漁協における大敷網漁で水揚げされたシイラ・クロサギの調理および加工適性から活用方法を検討し、未利用資源の有効な活用を図ることを目的とした。<br />【方法】シイラとクロサギを試料とし、調理・加工特性を考慮して活用方法の検討を行った。シイラは様々な形態や味付けで活用可能であるというこれまでの結果をベースに、すり身としてアイスクリーム、ほぐし身にしてパイ、切り身を使った料理、そして無塩干物のバーガーへの活用を検討した。また、クロサギは魚臭さの軽減を目的として、ドーナツ、フィッシュカツ風フライ、ボーロへの活用を検討した。各試作品については、本学および鞆浦漁協で開催された「とれとれ市」において官能評価を実施し、総合的な品質評価とした。<br />【結果】官能評価の結果より、シイラは淡泊な味であるため「さかなパイ」、「おさかなアイス」の菓子にも活用が可能であることが示唆された。シイラの切り身を利用した料理では「ロールキャベツ」の評価が高く、シイラの無塩干物を使用した「フィッシュバーガー」も好評であった。また、クロサギの活用では、牛乳に浸漬することで風味や食感が向上し「ドーナツ」への活用の可能性が示唆された。「おさかなボーロ」においては、香りの強いラム酒を添加することで魚臭さが軽減され、高評価に繋がった。「フィッシュカツ風フライ」ではカレー粉の使用が風味の改善に寄与していた。未利用資源を有効活用するためには、検討したシイラ・クロサギの活用方法を広く発信することが重要であると考える。