著者
福岡 捷二 渡辺 明英 新井田 浩 佐藤 健二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.503, pp.59-68, 1994-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
11 7

洪水流や航行する船の造る波の河岸侵食力に対し, 河岸に生育しているオギやヨシがどの程度の河岸侵食軽減機能を有するかを現地観測によって調べている. オギやヨシの生育環境, これらの植生が河岸侵食を軽減する機構を明らかにした上で, オギやヨシを河岸保護に活用する場合, 保護機能が発揮される限界流速を理論的に算定し, これが工学上有効であることを現地観測結果によって, 明らかにしている.
著者
新井 俊文 高崎 健 大原 敏哉 金井 信雄 吾妻 司 原田 徹
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.415-421, 2011-04-01 (Released:2011-04-23)
参考文献数
19

現在,腹腔鏡下胆嚢摘出術(Laparoscopic Cholecystectomy;以下,LCと略記)は胆石症の標準術式となっているが,症例の集積に伴い胆石腹腔内落下による膿瘍形成の報告も散見される.今回,腹腔内落下胆石が原因で胃壁内に炎症性肉芽腫を形成し手術的に除去した非常にまれな1例を経験したので報告する.症例は53歳の男性で,前医にて胆石胆嚢炎に対しLCが施行されたが,術中膿性胆汁と結石が腹腔内に流出し可及的に結石の除去がなされた.6か月後のCTにて腹腔内と胃壁内に腫瘤を指摘され当院へ紹介された.開腹所見は肝S6に接する肝外膿瘍と内部に結石を認め,胃前庭部の小腫瘤を部分切除にて摘出した.結石分析はビリルビンカルシウム結石であった.高度炎症胆嚢では壁損傷もまれではなく,それに伴う腹腔内落下胆石の回収は困難な場合も少なくない.胆石腹腔内落下が必ず膿瘍に結びつくわけではないが散石時には厳重な経過観察が必要と考えられた.
著者
新井 智之 柴 喜崇 渡辺 修一郎 柴田 博
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.165-172, 2011-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
45
被引用文献数
3

【目的】本研究では歩行周期変動と他の運動機能,転倒との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は地域在住高齢者124人(平均年齢74.2 ± 7.7歳)とした。歩行周期変動は小型の加速度計を用いて10m歩行時に測定し,連続する1歩行周期時間のデータから変動係数を算出した。歩行周期変動と他の運動機能との関係は相関係数により検討し,転倒の有無を従属変数,運動機能を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い転倒に関わる運動機能を検討した。【結果】歩行周期変動と有意な相関を示した運動機能は10m快適歩行速度,10m最大歩行速度,Timed Up and Go Test,6分間歩行距離,Functional Reach Test,最大等尺性膝伸展筋力,30-s Chair Stand Test(|r| = 0.31〜0.58)であった。また多重ロジスティック回帰分析の結果,歩行周期変動のみが転倒に関わる要因として抽出された。【結論】歩行周期変動は総合的な歩行能力を示す指標であり,高齢者の転倒発生に関わる有用な指標であるといえる。
著者
數間 貴紀 新井 麻子 大谷 智子 老谷 嘉樹 鈴木 恵子 松永 保
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.67-72, 2023-04-25 (Released:2023-04-25)
参考文献数
10

Tay-Sachs disease involves accumulation of GM2 gangliosides in lysosomes due to a metabolic disorder of brain-abundant gangliosides. In the infantile type, death typically occurs by 3 years of age. We report brain magnetic resonance imaging (MRI) abnormalities in a case of infantile Tay-Sachs disease. The 8-month-old patient had development delay and began regression at 1 year of age. A cherry-red fundus spot and low β-hexosaminidase A (Hex A) levels in leukocytes indicated GM2 gangliosidosis. Gene analysis identified homozygous pathogenic variants in the HEXA gene, leading to Tay-Sachs disease diagnosis.At 10 months of age, brain MRI showed age-appropriate myelination. At 1 year 9 months, T2-weighted imaging showed high intensity in the subcortical white matter, with delayed myelination. At 2 years 4 months, the cerebral white matter, putamen, caudate nucleus, thalami (except ventral), middle cerebellar peduncle, and dentate nucleus showed high intensity on T2-weighted imaging. At 5 years 8 months, cerebral and basal ganglia atrophy was observed. The caudate nucleus and putamen showed high intensity on T1-weighted images and low intensity on T2-weighted images. Unlike typical infantile Tay-Sachs characteristics, higher Hex A activity in this case probably contributed to a milder phenotype and myelination acquisition during infancy.
著者
澤田 匡人 新井 邦二郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.246-256, 2002-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
7 2

本研究は, 小学3年から中学3年までの児童・生徒を対象に, 妬み傾向, 領域重要度, および獲得可能性が, 妬み感情の喚起と, その対処方略選択に及ぼす影響を検討することを目的とした。研究1では, 妬みの個人差を測定する単因子構造の児童・生徒用妬み傾向尺度 (Dispositional Envy Scale for Children; DESC) が作成され, 十分な信頼性, 妥当性が認められた。研究2では, 予備調査において, 妬みが喚起される8つの領域と, 16種類の対処方略が見出された。この結果を受けて, 研究2の本調査では, 仮想場面を用いた対処方略の分析が行われた。その結果,「建設的解決」,「破壊的関与」,「意図的回避」の3因子が抽出された。次に, これら3種類の対処方略の選択に関わる要因として, 妬み傾向, 領域重要度, および獲得可能性を取り上げ, 領域別・年齢帯別に因果関係の検討を行った。パス解析の結果, 成績領域を除き, 中学生では領域重要度が妬みの喚起に影響を及ぼしているのに対し, 小学生ではそうした傾向は認められなかった。また, 小学3・4年では, 妬み感情の対処として主に破壊的関与が選択される傾向にあった。さらに, 全ての領域を通じて小学5・6年以降では獲得可能性が高いと妬みを感じやすく, 意図的回避と建設的解決方略を選択しやすいことが明らかにされ, 妬みの対処方略選択に発達差のあることが確認された。
著者
服部 泰宏 矢寺 顕行 新井 康平
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1-2, pp.1-19, 2022 (Released:2023-04-15)
参考文献数
45

Organizations must make decisions about which resources to prioritize and to whom to allocate them. In order to do so, evaluation practices are used to clarify the quality of employees. The purpose of this study is to examine the relationship between performance appraisal and personal reputation, which are two types of personnel appraisal practices used in organizations. Using questionnaire data and HR data analysis from a Japanese manufacturing company, we empirically took on this problem. The results of questionnaire data and HR data analysis from a Japanese manufacturing company showed that the capital that affects the two evaluation scores was found to be different from each other. In addition, psychological capital was found to be an antecedent of both.
著者
新井 卓二
出版者
学校法人 山野学苑 山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.55-56, 2022 (Released:2023-03-31)

健康経営は、日経平均採用225銘柄のうち8割の企業が健康経営度調査票に回答し、上場企業全体では30%弱が回答しており、大企業を中心に普及している。そうした状況を踏まえつつ、本書は、健康経営を経営戦略の一つと位置づけ、他の様々な経営戦略とも比較し、健康経営の取り組みの現状、健康経営の考え方とイノベーションまでを見据えた効果、効果を得るための具体的な手法についてわかりやすく解説する。また、地域への影響や健康経営を通した新しいビジネスモデルまで紹介し、健康経営に取り組むことで生まれる企業競争力とサステナビリティについて考察する。出版社は同友館、発売日は2022年6月20日、言語は日本語、形式は単行本で225ページである。ISBN-10:4496056003‎、ISBN-13‏:‎978-4496056000
著者
新井 映子 伊東 清枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.161-169, 1991-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14

共立て法によりスポンジケーキを調製するさいの, 卵黄の起泡性ならびにその膨化性について検討を行い, 卵黄泡沫の膨化がスポンジケーキの品質に与える影響について考察した.(1) 全卵中の卵黄量に卵白中の水分量に絹当する水を添加して攪拌すると, 卵黄の起泡性は卵白よりも高くなった.これより, 全卵の状態で攪拌を行う共立て法の場合には, 卵黄はきわめて起泡しやすい状態にあること, また, 起泡力をもつことが確認された.(2) 卵黄泡沫は, 共立て法のバッターに特有の硬さ, 粘り, 付着性等のテクスチャー特性を与えた.(3) 卵黄泡沫も焙焼により膨化することが確認された.ただし, 膨化率は, 全卵および卵白により形成された泡沫よりも小さかった.(4) 卵黄泡沫のみの膨化力で膨化させたスポンジケーキは, 凝集性が小さく, もろく, また, きめもあらかった.(5) 共立て法で膨化させたスポンジケーキの官能評価は, 卵黄泡沫および卵白泡沫がそれぞれ膨化することにより形成される2種類の異なる気孔が存在することにより, はじめて得られるものであった.(6) スポンジケーキの良好な膨化のためには, 卵黄および卵白両者の相互作用が必要であった.
著者
小新井 涼
出版者
Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
International Journal of Contents Tourism
巻号頁・発行日
vol.4, pp.45-59, 2019-03-22

本研究では、コンテンツツーリズムの観点から、コスプレイベントにおけるコスプレ参加者の<リアルでフィクションを再現(re-enactment)する試み>について検討を行う。そのための具体的な研究対象として、北海道洞爺湖町で毎年開催されているTOYAKOマンガ・アニメフェスタを取り上げ、そこでのコスプレ参加者の実践を観察した。その結果、コスプレ参加者がアニメやゲームと結びつきのない洞爺湖町という現実世界(リアル)に、作品世界との形態的・意味的類縁性を見出し、フィクションとしての作品世界を再現している様子が見られた。こうしたコスプレ参加者の実践の分析を通して、コスプレイベントにおいて行われている、コスプレ参加者による<リアルでフィクションを再現するための見立て>が、コンテンツツーリズム実践として位置づけることが可能かについて論じる。
著者
湯田 厚司 小川 由起子 新井 宏幸 荻原 仁美 神前 英明 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.126-132, 2019-02-20 (Released:2019-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

本邦でのスギ花粉とダニが原因のアレルギー性鼻炎合併例は多い. スギ花粉とダニを同時に用いた皮下免疫療法は行えるが, 舌下免疫療法の併用治療 (併用 SLIT) に関する知見は十分ではない. 併用 SLIT が行えれば有用であり, 安全性を検討した. 当院で2017年6月以降にスギ花粉 (シダトレン ®) とダニ (ミティキュア ®) で併用 SLIT を行った53例 (男性31例, 女性22例, 年齢12~53歳, 平均21.7±11.6歳, スギ花粉先行39例) を対象とした. 先行と後行 SLIT の間隔は1カ月以上あけ, 朝夕に分けて開始した後に5分間隔でスギ花粉・ダニの順で行った. 併用 SLIT 後6カ月まで受診毎に副反応を確認した. 完遂率は51/53例 (96.2%) で, 脱落2例の理由は副反応によるものではなかった. 副反応はすべて軽度で, 処置不要であった. 併用 SLIT 期の副反応は, 全副反応で増加せず, 口腔咽頭感覚症状で有意に減少した. 投与間隔による副反応は変わらず, 投与順で副反応は変わらなかったが, ダニ後行 SLIT で維持アレルゲンを減量する例が増えた. 併用 SLIT は1~2カ月以内の短期間間隔で安全に行えた.
著者
伊藤 貴明 新井 利幸 植村 則久 塚原 哲夫 山下 浩正 雨宮 剛
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.931-936, 2022 (Released:2022-11-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)はCOVID-19ワクチン接種の稀な合併症として報告されている.症例は50歳,女性.2回のCOVID-19ワクチン接種の2週間後に過多月経で近医を受診し,血小板減少を指摘され当院を紹介.血小板数1,000/μL,網状赤血球数は増加し,赤血球数は減少.骨髄検査では巨核球は軽度増加のみが指摘された.Helicobacter pylori感染を認めなかった.造影CTでは脾腫や側副血行路を認めなかった.ITPと診断しステロイド治療(デキサメサゾン大量療法40mg/dayおよびプレドニゾロン25mg/day)を実施したが,血小板数は2,000/μL,5,000/μLで効果が認められず,脾臓摘出の方針とした.術前にガンマグロブリン(20g/day 5日間)とトロンボポエチンが投与されたが血小板数が23,000/μLであったため,血小板輸血後に腹腔鏡下脾臓摘出術を実施し,術中・術後合併症なく経過した.術後2カ月で血小板数は75,000/μLで安定した.COVID-19ワクチン接種後のITPに対し,脾臓摘出術が有効であった1例を経験したので報告する.

1 0 0 0 OA 欺く語り手

著者
新井 美智代
出版者
日本スラヴ人文学会
雑誌
スラヴィアーナ = Slaviana
巻号頁・発行日
vol.2, pp.101-111, 2011-03-31
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 野口 公喜 新井 奈津美 角田 麻衣 渡邊 嘉朗 飯郷 雅之
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成21年度(第42回)照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.66, 2009 (Released:2010-01-08)

睡眠障害を含む生体リズム障害の治療法としては,早朝に高照度(≧2500 lx)の白色光を浴びる,光療法が有効とされている.一方,1日を周期に持つ概日リズムに深く関連するメラトニン分泌を,低照度の青色光が抑制する効果が発見された.このことから本研究は,早朝の低照度青色光照射で,日中の覚醒と夜間の良質な睡眠を促し,生体リズム障害を予防・緩和することを目指し,青色光の覚醒と概日リズムへの影響を検証する実験を行った. 光照射実験には,白色照明(蛍光灯)と青色LEDを内蔵する照明器具を使用した.照明条件は,白色照明のみと,それに青色照明を加えた条件の2条件とした.各条件で1週間に1条件,2日間連続して実験を行った.光照射は8:45~10:15とし,1日を通した被験者のコルチゾール濃度,体温,眠気申告,活動量の測定を行い,概日リズムと覚醒度を評価した. 実験結果から,青色照明下の方が白色照明下より授業中の覚醒度が向上し,青色光の日中の覚醒の持続も確認できた.また,青色照明を照射した日の方が夜間活動量を低下させた.このことから,青色光が日中の覚醒と活動量を向上,夜間の活動量を低下させ,メリハリのある睡眠・覚醒リズム形成を促すことが明らかになった.