著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
村山 祐司
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.224-235, 1982 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
6 3

“Urban system” is defined as an aggregate of interrelated sets of cities which are interdependent in such a way that any significant change in economic activity, occupational structure, total income or population of one member city will directly bring about some modification of the other set members (Pred, 1977). The study of urban systems has moved from the static analysis in the 1960's to the dynamic one in the 1970's and it has linked with the study of spatial diffusion which puts stress on the spatial process.This paper attempts to clarify the diffusion patterns of innovation in the three levels of urban systems—international, national and regional, employing the Lions Club as the index. Japan is selected as the case study of the national level, and Yamanashi Prefecture as the case study of the regional level.Several primary findings might be summarized as follows: (1) The peaks of diffusion in the international, national and regional levels were in the 1950's, in around 1960 and in around 1965, respectively, and the distinct time lag of diffusion was recognized from the higher level to the lower level. On the other hand, the regional level has the highest gradient and the international level the lowest in terms of the regression lines between the years of diffusion and the population size (Fig. 3, 7 and 12), indicating that spread of diffusion has been accelerated with time from the international level to the regional level. (2) In the national and regional levels most of the links of the diffusion channels were in accord with those of the nodal structures. Thus in those two levels innovation has been diffused through the socio-economic linkages with the strong interdependency, while in the international level the diffusion channels have been greatly influenced rather by the political structures and the historical circumstances.
著者
宮本 明子 佐古 かおり 古川 瑠美 村山 蘭
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第10巻 都市・環境 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.125-128, 2019 (Released:2020-10-31)

Micro plastics pollution is becoming a global issue and many data of that have been measured in foreign countries. In Japan some data on the micro plastics pollution of rivers or sea water have been reported, however, there are few data on the PET bottle or tap water. In order to clarify the present situation of the pollution on the tap water in Japan, we measured the number of micro plastics containing in the tap water collected at multiple places in the metropolitan area.
著者
北神 慎司 村山 航
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.5, 2011 (Released:2011-10-02)

自己効力感 (self-efficacy) とは,課題をやり遂げる自信のことであり,これが高いと課題への動機づけが高まり,困難な課題にも粘り強く取り組むようになることが指摘されている。これまで,自己効力感を高めるプログラムはいくつも開発されているが,いずれもコストと時間がかかることが問題として挙げられる.本研究では,課題の図と地のコントラストを操作することにより,知覚的流暢性 (perceptual fluency) を高めるだけで,自己効力感が高まり,課題への粘り強さが高まることを示した。研究1では,知能検査の課題を,低いコントラストで呈示する条件と高いコントラストで呈示する条件で比較したところ,低コントラスト条件に比べて高コントラスト条件では,課題に対する自己効力感が高いことが明らかになった。研究2では,知覚的流暢性の操作が行動に与える影響を調べるため,知能検査の課題に解決不可能課題を挿入し,どちらの条件で実験参加者が粘り強く取り組むかを比較した。その結果,高コントラスト条件の課題の方が,低コントラスト条件の課題よりも,より長く取り組まれることが明らかになった。
著者
八木 浩司 高野 岳彦 中村 靖 村山 良之 檜垣 大助
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.161-180, 1991-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

東北地方のスキー場についてその開発過程を整理し, いくつかの視点から立地特性を検討して類型化を行い, スキー場の特徴の包括的な把握を試みた。東北地方における初期 (主に1950年代) のスキー場は温泉集落に付属するものが多数を占めたが, 1960年代には夏型観光地の田沢湖高原や磐梯山などにもスキー場が開かれた。また国体の開催を機にするもの、幹線交通路に接するもの, 都市近郊に開設されたものなど, 立地要因が多様化してきた。1974年以降はリフトの増設は低調になり, 温泉地スキー場の廃棄が目立った。1978年以後, スキー場開発は以前にないほど活発化かつ大規模化し, 人込み客数は急増した。これは, 高速交通体系の整備とレジャー時間の拡大に伴うものといえる。次にスキー場の類型把握のため, (1) 地形的条件, (2) 社会的条件, (3) 規模, (4) 開発経営主体の4点を整理検討した。はじめに, (1) によって以下の3つの自然立地的グループを設定した: i) 山麓型, ii) 山地中腹型, iii) 脊陵主稜型。次いでこれらと (2) を合わせて以下の7つの基本類型を設定した: i)…温泉地型, 集落近隣型, 都市近隣型, ii)…夏季観光地型, 交通依存型, iii)…景勝地亜高山型, 非景勝地脊梁型。これらと (3) (4) との対応から, 各類型の特徴を明確にした。
著者
村山 恭朗 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.215-224, 2012-09-30 (Released:2019-04-06)
参考文献数
31

抑うつ的反すうとはネガティブな認知を繰り返し体験することを指す。反すう傾向が高い場合うつ病リスクは高まるが、反すう傾向が低い場合にはネガティブな認知が抑うつを悪化させるプロセスが緩和される。しかしながら、この抑うつ的反すうが加齢に伴って量的および質的にどのように変化するかに関して、あまり研究されていない。そこで本研究は、大学生群と30・40代の成人群が示す抑うつ的反すう傾向と低反すうの緩衝効果を比較することで、加齢に伴う反すう傾向の変化を検討した。その結果、成人群では反すう傾向が低く、さらに低反すうの緩衝効果が認められた。このことから、加齢に伴って抑うつ的反すうは軽減し、個人はより効果的にネガティブな認知に対応できるようになると示唆された。また本研究結果から年齢に適した予防的介入が議論された。
著者
村山 恭二 安富 暁 細谷 剛
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.200-203, 2021 (Released:2023-04-21)

OMデジタルソリューションズは 、焦点距離2000 mm相当(35 mm判換算)での手持ち撮影を可能にする超望遠PROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400 mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を発売した。本レンズは、超望遠レンズの概念を覆し、最短撮影距離1.3 mの近接撮影性能も有しており、超望遠撮影からテレマクロ撮影まで圧倒的な撮影領域を実現している。今回は、その特長である小型・軽量、手ぶれ補正、近接撮影性能の技術について説明する。
著者
横山 友里 清野 諭 光武 誠吾 西 真理子 村山 洋史 成田 美紀 石崎 達郎 野藤 悠 北村 明彦 新開 省二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.752-762, 2020-10-15 (Released:2020-12-23)
参考文献数
38
被引用文献数
1

目的 「運動」「栄養」「心理・社会参加」を柱としたフレイル改善のための複合プログラムへの参加がその後の要介護・死亡発生リスクや介護費に及ぼす影響を,傾向スコアマッチングを用いた疑似実験的デザインにより検証した。方法 鳩山コホート研究参加者742人のうち,2011年度(47人)と2013年度(30人)に開催した3か月間のフレイル改善教室のいずれかの年度に参加したフレイルまたはプレフレイルの計77人を介入群とした。不参加群は,鳩山コホート研究参加者の中から,介入不参加者(介入対象外であった者のほか,介入対象であったものの,教室参加を拒否した者を含む)を対象に,傾向スコアを算出し,介入群との比を1:2としてマッチングすることにより,設定した。傾向スコアで完全にマッチングできた対象者は介入群70人,不参加群140人,計210人であった。住民異動情報・介護保険情報を突合し,32か月間(教室終了後24か月)の追跡による要介護(要支援含む)・死亡発生リスクをCoxの比例ハザードモデルを用いて算出した。また,ガンマ回帰モデルを用いて介護費の比較を行った。結果 要介護の発生率(対千人年)は介入群が不参加群に比し,有意ではないものの低い傾向を示し(介入群:1.8 vs.不参加群:3.6),不参加群に対する介入群の要介護認定のハザード比と95%信頼区間(95%CI)は0.51(0.17-1.54)であった。また,介入群と不参加群の間で介護費発生の有無に有意な差はみられなかったものの,介護費については,受給者1人あたりの追跡期間中の累積の費用,1か月あたりの費用の平均値はそれぞれ,介入群で375,308円,11,906円/月,不参加群で1,040,727円,33,460円/月と介入群では約1/3の低額を示し,累積の費用(コスト比=0.36, 95%CI=0.11-1.21, P=0.099),1か月あたりの費用(コスト比=0.36, 95%CI=0.11-1.12, P=0.076)ともに,不参加群に比べて介入群で低い傾向がみられた。結論 本研究では統計的な有意差は認められなかったものの,フレイル改善のための複合プログラムの実施により,その後の要介護発生リスクおよび介護費を抑制できる可能性が示された。今後,より厳密な研究デザインによるさらなる検証が必要である。
著者
中崎 聡 村山 隆司 加藤 真一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.88-94, 2011-06-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17

目的:メトトレキサートと低用量ミゾリビンパルス療法併用の有効性と安全性について後ろ向き研究にて検討した. 対象:2006年12月から2009年6月までの間に,メトトレキサート効果不十分例に低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用したRA患者37名を対象とした. 方法:メトトレキサート内服時,同時にミゾリビン1回100mgから始めて,症例によっては150mgまで増量した.効果判定はCRPによる4項目DAS28(DAS28)のEULAR改善基準で行なった.DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例のLUNDEXを計算した.また,ミゾリビンが有効だった一症例を示した. 結果:最終観察日のミゾリビン1回投与量は,100mg2名(5%),150mg35名(95%)であった.評価できた症例の内,DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例は,1か月32名中28%,2か月36名中36%,3か月22名中36%,4か月20名中35%,5か月14名中43%,6か月14名中43%であった.LUNDEXは1か月24%,2か月35%,3か月25%,4か月22%,5か月20%,6か月21%であった.有効例としてDAS28を悪化させずに,プレドニゾロン10mg/日を3mg/日に減量できた症例を提示した.副作用中止例はなかった. 結論:メトトレキサートに低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用することは,安全に実施できており,メトトレキサート効果不十分で生物学的製剤使用不可例に対する治療の選択肢の一つであると考えられた.
著者
髙柳 伸哉 伊藤 大幸 浜田 恵 明翫 光宜 中島 卓裕 村山 恭朗 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.62-73, 2023-03-30 (Released:2023-03-25)
参考文献数
36

本研究では,青年における自傷行為の発生に関連する要因と,自傷行為の発生に至る軌跡の検証を目的とした。調査対象市内のすべての中学生とその保護者に実施している大規模調査から,自傷行為の頻度やメンタルヘルス,対人関係不適応,発達障害傾向等について質問紙による3年間の追跡調査を行った5つのコホートの中学生4,050名(男子2,051名,女子1,999名)のデータを用いた。中3自傷発生群と非自傷群について,各尺度得点のt検定の結果と,非自傷群の中学1年時の得点を基準とした各尺度z得点による3年間の軌跡を比較した結果から,中3自傷発生群は3年時に非自傷群よりもメンタルヘルスや家族・友人関係で問題を抱えていることに加え,1・2年時でも抑うつなどが有意に高いことが示された。中学1―3年時におけるz得点の軌跡からは,中3自傷発生群は非自傷群と比べて1年時からすでにメンタルヘルスや友人関係・家族関係等での不適応が高いこと,3年時にかけて両群の差が開いていくことが示された。本研究の結果,中学3年時に自傷行為の発生に至る生徒の傾向と3年間の軌跡が明らかとなり,自傷行為のリスクの高い生徒の早期発見と予防的対応につながることが期待される。
著者
前川 陽平 錦澤 滋雄 長岡 篤 村山 武彦 竹島 喜芳 安本 晋也
出版者
一般社団法人 日本計画行政学会
雑誌
計画行政 (ISSN:03872513)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.29-36, 2023-02-15 (Released:2023-03-10)
参考文献数
16

In recent years, there have been conflicts with local residents in Japan over issues such as landscape and disaster risk caused by the construction of solar-PV facilities. In order to promote the suitable installation of solar-PV facilities in the future, it is necessary to clarify resident attitudes toward such facilities, not only in the planning stage but also in operation. In this research, a questionnaire survey was conducted among local residents living near a solar-PV facility in operation (that had had conflicts in the planning stage) at Mt. Tsukuba, in Tsukuba city. In addition, a model of resident attitude formation toward the facility was constructed and its determinants were clarified. As a result, it was found that the felt annoyance due to landscape change had a statistically significant relationship with the negative attitude to the project. Moreover, it was also demonstrated that the installation in Mt. Tsukuba was a significant correlated factor with the felt annoyance due to landscape change. The analysis confirms that it is important to avoid installation in mountainous forests of special value to residents, such as Mt. Tsukuba, in order to improve the acceptance from local communities toward solar-PV projects.
著者
田淵 貴大 清原 康介 西浜 柚季子 村山 洋史 大川 純代 山地 太樹 柿崎 真沙子 金廣 有彦 野村 章洋 尾谷 仁美
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

本研究の目的は、日本における新型タバコに関して、(1)ライフコースに応じた詳細な使用状況(使用の決定要因の解明を含む)、(2)その他の健康行動、飲酒・肥満など様々な健康指標との関連、(3)禁煙への影響、を明らかにすることである。日本の一般住民を対象としたインターネット調査を毎年繰り返し、日本を代表するコホート研究データも活用し、新型タバコ研究を継続的に展開する。精緻な統計学手法で解析し、論文を出版し、結果として政策立案者に有益な情報提供をする。
著者
村山 七郎
出版者
北海道大学スラブ研究センター
雑誌
スラヴ研究 (ISSN:05626579)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.105-111, 1960
著者
那波 宏之 村山 正宜
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.147-151, 2019 (Released:2020-03-30)
参考文献数
20

近年,ヒトの知覚認知機能が単純に感覚受容器の信号(ボトムアップ情報)だけを基に発現しているのではなく,記憶,経験,情動の脳内信号(トップダウン情報)によって修正,介入されていることが脳科学領域で重要視されるようになっている。本来,このトップダウン情報は記憶や状況判断より形成され,その予測される情報を感覚受容野に提供することで,より正確に認知することを目的にするのである。しかし実際の感覚受容器からの信号が制限されたり,過度な注意や薬物などによりトップダウン情報が介入しすぎると,予測情報そのものが間違って実感覚として認知される,つまり錯覚や幻覚となる可能性がある。ドパミンはそのトップダウン情報を担う前頭前野の活動を高め,セロトニンは脳全体の情報連合性を亢進させるので,覚せい剤などの薬物が,錯覚・幻覚を誘発する事実とも矛盾しない。ここではトップダウン障害仮説と統合失調症の幻聴・錯聴との関連性について考察を加える。
著者
村山 恭朗 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.13-22, 2014-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

ネガティブな反すうは抑うつを悪化させることが実験的、横断的、縦断的にこれまで見いだされている。先行研究において、反すうはストレッサーの生成を促し、さらにストレッサーは反すうを強めることが示唆されている。本研究では、反すうとストレッサーの関連性が及ぼす抑うつへの影響を検討するために、2回にわたる縦断的調査を行った。111名の成人対象(平均年齢44.30±11.34歳)がT1調査で反すうと抑うつを、その7カ月後に反すう、抑うつ、ストレッサーを測定した。共分散構造分析の結果、T1反すうは直接的にT2抑うつに影響を及ぼしておらず、7カ月間で経験されたストレッサーが抑うつに及ぼす反すうの影響を完全に媒介していた。加えて、T1時点での反すうと抑うつはT1-T2間のストレッサーの生成を促し、それがT2時点における反すうや抑うつを悪化させることも示された。