著者
大山 浩美 小町 守 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.195-225, 2016-03-14 (Released:2016-06-14)
参考文献数
47
被引用文献数
5

近年,様々な種類の言語学習者コーパスが収集され,言語教育の調査研究に利用されている.ウェブを利用した言語学習アプリケーションも登場し,膨大な量のコーパスを収集することも可能になってきている.学習者が生み出した文には正用だけでなく誤用も含まれており,それらの大規模な誤用文を言語学や教育などの研究に生かしたいと考えている.日本語教育の現場では,学習者の書いた作文を誤用タイプ別にし,フィードバックに生かしたい需要があるが,大規模な言語学習者コーパスを人手で分類するのは困難であると考えられる.そのような理由から,本研究は機械学習を用いて日本語学習者の誤用文を誤用タイプ別に分類するというタスクに取り組む.本研究は,以下の手順で実験を行った.まず,誤用タイプが付与されていない既存の日本語学習者コーパスに対し,誤用タイプ分類表を設計し,誤用タイプのタグのアノテーションを行った.次に,誤用タイプ分類表の階層構造を利用して自動分類を行う階層的分類モデルを実装した.その結果,誤用タイプの階層構造を利用せず直接多クラス分類を行うベースライン実験より 13 ポイント高い分類性能を得た.また,誤用タイプ分類のための素性を検討した.機械学習のための素性は,単語の周辺情報,依存構造を利用した場合をベースライン素性として利用した.言語学習者コーパスの特徴として,誤用だけではなく正用も用いることができるため,拡張素性として正用文と誤用文の編集距離,ウェブ上の大規模コーパスから算出した正用箇所と誤用箇所の置換確率を用いた.分類精度が向上した誤用タイプは素性によって異なるが,全ての素性を使用した場合は分類精度がベースラインより 6 ポイント向上した.
著者
松本 昌平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.32, pp.49-56, 2005-03-19
参考文献数
9

近年、インターネットオークション取引の紛争解決手法として、オンラインADRが注目されている。オンラインADRによる紛争解決では、あっせん員が正確な事実認定を行い、その事実に基づいて公正な和解案を作成しなければならない。しかし、インターネットオークション取引においては、あっせん員が正確な事実認定のために必要な情報を十分に取得できない。本研究では、より公正な紛争解決を目指し、正確な事実認定に必要な情報取得を可能にするモデルを構築し評価を行った。Recently, Online ADR is paid attention to as a solution method of dispute in Internet auction dealings. In dispute settlement by Online ADR the mediation member recognizes a fact and makes a fair settlement offer on it. But in Internet auction dealings the mediation member can't acquire necessary information for recognition a fact exactly. In this research, I constructed the model by which acquisition information was enabled for fair dispute settlement and evaluated it.
著者
池田 敬 松本 悠貴 内田 健太 小林 峻 渋谷 未央 水口 大輔 東城 義則
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.91-97, 2017

<p>日本哺乳類学会2016年度大会において,著者らは若手研究者や学生の学識的な交流の場を提供することを目的とした自由集会を開催し,本集会の効果や同年代での交流の必要性を調べるアンケート調査を実施した.本集会への参加者は約50名にのぼり,学部生から社会人まで幅広い構成となった.アンケート結果では,参加者は学生(学部・修士・博士・研究生)が最も多く,全体の75%を占めた.また,アンケート回答者の88%が集会の内容に満足したと回答し,回答者全員が哺乳類学会において同年代との交流や同年代の哺乳類研究,就職状況等に関する企画が必要であると回答していた.他の学会と比較し,哺乳類学会は若手研究者や学生間での交流が限られているため,これらの年代を対象とした企画は人材育成の場や研究発展の場として貢献すると考えられる.その一方で,アンケート結果は参加者の所属や所属地域による偏りがあり,参加者の専門は多岐にわたっていることから,若手研究者や学生の全体的な意見を反映していない可能性がある.そのため,幅広くアンケートを実施し,学会に所属する多くの若手研究者や学生のニーズを汲み取った学会運営が望まれる.</p>
著者
松本亦太郎 木村鷹太郎訳
出版者
冨山房
巻号頁・発行日
1903
著者
金森 仁志 浅井 義行 若江 祐子 窪田 英明 尾崎 吉明 松本 政雄
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.96-97, 2003

Theoretical and experimental approaches for edge enhancement effect of vision on an X-ray radiographic image were carried out. Psychophysically enhanced portions in density unit at the both sides of a step edge image were derived from MTF's of vision and radiographic systems. Experimantal values were obtained using our new method. Experimental values distributed around theoretical values, and their qualitative behaviour was similar to that of theoretical values. Discrepancy between theoretical and experimental results dues to nonlinearity of human visual system.
著者
松本 淳 財城 真寿美 三上 岳彦 小林 茂
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100131, 2017 (Released:2017-05-03)

1. はじめに 地球温暖化をはじめとする気候変動の問題は,地球の将来環境に大きな変化をもたらす懸念もあって,社会的にも大きく注目されている。気候変動の科学的認識には,気象観測データが必須で,人類の気候変動に関する知識は,正確な気候資料の有無に依存しているといっても過言ではない。正確な気候データの基礎となる近代的な気象観測は,17世紀にヨーロッパで始められ,300年以上の歴史がある(吉野, 2007)。一方アジアでは,主に欧米諸国の植民地化の過程の中で,19世紀後半から気象観測が継続的に行われるようになり,百数十年程度の気候データの蓄積がある。日本では1875年に気象庁の前身である東京気象台で気象観測が始まった。観測データは多くの国の気象機関で月報や年報などの印刷物として刊行・公開され,特に月別の統計値は,World Weather Records, Monthly ClimaticData for the Worldなど世界中のデータを網羅したデータとして刊行され,気候変動研究に活用されてきた。1980年代以降は,電子媒体での利用が一般的となり,CRU, GPCCなどでグリッド化されたデータが主に利用されるようになっている。しかし,アジア諸国では,1950年以前は多くの国が植民地だったこともあって,インドなど一部の国を除くと植民地時代の気象観測データは,ディジタル化が進んでおらず,気候変動研究に活用されていない。旧英領インドでも,現在のインド以外の領土(バングラデシュ,ミャンマーなど)の日データはディジタル化されていない。日本では,気象庁の区内観測所での稠密な気象観測データ日別値等はディジタル化されておらず,科研費等による日降水量のディジタル化が進められている(藤部他2008)。気象台とは別に,江戸時代に来日した外国人らによる気象観測が行われており,それらを活用した気候復元もなされている(Zaiki ,2006: 三上他,2013等)。明治時代には,灯台において気象観測が行われていたことも近年になって判明した。さらには戦前・戦中には日本の海外統治域のデータが多く存在する。そかしこれらのデータの多くはディジタル化されておらず,実態さえもよくわかっていない。小林・山本(2013)は戦時中のデータの実態を解明し,山本(2014, 2015)は戦前・戦中の大陸における気象観測の実態を明らかにした。このような古い気象観測データを掘り起こし,気候研究に利用できるようにする活動は,データレスキューといわれ(財城, 2011),国際的にも精力的に取り組まれている(Page et al. 2004等)。世界気象機構WMOのプロジェクトとして,Atmospheric Circulation Reconstructionsover the Earth (ACRE: http://www. met-acre.org/, Allanet al. 2011)が実施され,世界各地でデータレスキュー活動が進められている。このような状況を踏まえ,本シンポジウムでは世界各地に散在するアジア各国の戦前・戦中を中心とした気象観測データのデータレスキューの国内外での現状を整理し,今後の気候変動研究への活用について議論したい。2. シンポジウムの構成 本シンポジウムでは本発表に続き,まず東南アジアや南アジアにおける状況を2発表で概観する。続く5つの発表では,日本における様々の状況について明らかにする。最後にデータレスキューされた資料を活用した長期再解析の現状と課題を示す。別途,関連する発表を,グループポスター発表としている。これらを踏まえ,最後に科学史の立場から気候データレスキュー全般についてコメントを頂戴した後,総合討論を行う。参加者による活発な討論をお願いしたい。なお,本シンポジウムは,科学研究費補助金(基盤研究(S),課題番号26220202, 代表:松本淳及び基盤研究(B), 課題番号????????, 代表:財城真寿美)による成果の一部を活用して開催するものである。
著者
山田 泰之 吉浜 舜 岩崎 祥大 芦垣 恭太 松本 幸太郎 羽生 宏人 中村 太郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00576-16-00576, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

In recent years, the demand for rocket launching has increased due to the development of space technology. However, using inexpensive rockets is not always possible. Although the cost of solid-propellant rockets is relatively reasonable, safely manufacturing a large amount of solid propellant is difficult, and the manufacturing process is disjointed. Therefore, safe and continues manufacturing of solid propellant is necessary. On the basis of the movements of the intestinal tract, we proposed that the movements required for transport and mixing of solid propellants are possible to achieve without the application of a large shear force. The peristaltic motion enables not only the mixing but also conveying even high viscosity slurry. By mimicking these intestinal movements, we have considered and developed the peristaltic pumping by driven artificial muscle as one of the candidates for the continuous and safety mixer. In this research, the mixing completeness of the composite solid propellant slurry by the peristaltic pumping mixer was estimated. The result showed that the mixer we proposed could mix the propellant slurry. In the propellant samples, these variances were sufficiently small. An appropriate combustion state as a solid propellant was confirmed.
著者
廣瀬 拓也 田中 満稔 松本 正明 濱田 和俊 尾形 凡生
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.275-282, 2016
被引用文献数
1

軟X線を照射した花粉を受粉してヒュウガナツの無核果形成を誘導する技術の有用性を,慣行法である四倍体の'カンキツ口之津41号'や'西内小夏'花粉の受粉と比較して評価した.ヒュウガナツの慣用受粉樹である'土佐文旦'と,'カンキツ口之津41号'および'西内小夏'の花粉に,500,1,000,2,000 Gyの軟X線照射して実験に用いた.<br>軟X線を照射した花粉の発芽率およびその花粉をネットで花粉遮断した'宿毛小夏'に人工受粉した時の収穫時の着果率は花粉品種にかかわらず照射線量が高くなるにつれ低下する傾向がみられた.完全種子は無照射の'土佐文旦','カンキツ口之津41号'および'西内小夏'花粉の受粉果では,それぞれ23.8個,0.4個および1.5個形成されたが,軟X線照射花粉を受粉すると,ほぼ消失した.種子長10 mmを超える大きな不完全種子も,無照射の'土佐文旦','カンキツ口之津41号'および'西内小夏'花粉の受粉果では1.5個,3.9個および2.3個形成されたが,500 Gyの軟X線照射花粉の受粉果では0.3個,0.2個および0.1個と減少し,1,000 Gy以上の軟X線照射花粉の受粉果では消失した.顕微鏡観察において,無照射の'カンキツ口之津41号'および'西内小夏'花粉を受粉した'ヒュウガナツ'果実では,一部の胚は受粉8週間後にも生存しているのに対して,軟X線照射'土佐文旦'花粉を受粉した'ヒュウガナツ'果実では健全な胚はまったく認められなかったことから,軟X線照射は種子の発達をより強く阻害するものと考えられた.軟X線照射花粉の受粉によりヒュウガナツ収穫果の果実重は小さくなった.ただし,この小果化は,高知県のヒュウガナツ市場で消費者が少核の小さな果実をより好むことから考えれば,果実の価値を大きく損なうものではない.以上の結果より,軟X線照射した花粉を受粉する方法は大きな不完全種子を残さない点において有用なヒュウガナツ無核化生産技術であり,照射線量は500~1,000 Gyが適当である.
著者
古澤 毅 松本 興三 藤富 豊 穴井 博文 友成 一英 柴田 興彦 内田 雄三
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.1953-1959, 1988 (Released:2011-03-02)
参考文献数
42

若年者胃癌22例23病巣について胃癌取扱い規約に基づいて臨床病理学的検索を行った. 年齢は20歳から29歳, 平均26.3歳で, 男女比は1.4: 1であった. 頻度は切除胃癌の2.9%で, 初発症状では消化性潰瘍を示唆するものが多かった. 占居部位はMが78.3%を占めた. 肉眼型分類では0型が52.2%で, 3, 4型は合計30.4%と低率であった. 組織学的分類では低分化型が87%と多かった. 組織学的進行程度はstage Iが50%, IVは13.6%と低率であった. 手術成績は切除率100%, 治癒切除率86.4%であり, 遠隔成績は切除例の実測5生率は76.5%で, 治癒切除例のそれは92.9%であった. 若年者胃癌治癒切除例の予後は一般胃癌よりも優れた成績であった.
著者
松本 令以 植田 美弥 村田 浩一 比嘉 由紀子 沢辺 京子 津田 良夫 小林 睦生 佐藤 雪太 増井 光子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.79-86, 2010 (Released:2011-03-01)
参考文献数
52

蚊媒介性感染症のベクターとなる蚊の生息状況解明を目的として,2005年5月から5か月間,横浜市立よこはま動物園内においてドライアイストラップ,グラビッドトラップおよびスウィーピング法を用いた捕集調査を行った。その結果,アカイエカ種群蚊(Culex pipiens group),ヒトスジシマカ(Aedes albopictus),トラフカクイカ(Lutzia vorax)など計9属14種2,623個体が捕集された。アカイエカ種群蚊およびヒトスジシマカが捕集蚊全体の約85%を占め,これらの蚊が園内における優占種であると考えられた。神奈川県内で生息が確認されている蚊26種のうち53.8%にあたる種が捕集されたことから,本動物園およびその周辺地域は,各種蚊が選好する多様な環境で構成されていると考えられた。なお,捕集蚊の10.6%で吸血が認められ,動物園動物を吸血源としている可能性が示唆された。動物園動物の蚊媒介性感染症を制御し,希少種の生息域外保全を行うためには,蚊種の生態に応じた防除対策が必要である。
著者
中川 航 松本 一紀 ドゥ ソルビエ フランソワ 杉本 麻樹 斎藤 英雄 仙田 修司 柴田 剛志 池谷 彰彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.J160-J168, 2015 (Released:2015-03-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年、温度カメラは、機械設備・建築物の検査や,人間や動物の体温の検査等,多くの目的に利用されるようになってきた.本論文では,RGB-Dカメラで取得した3次元環境モデルを利用して、このモデル上に温度分布をレンダリング表示することにより,対象環境の温度分布を自由な視点から観察可能なシステムを提案する.本システムでは,3D環境モデルを利用したカメラ位置姿勢のトラッキング手法に基づき,事前に取得しておいた温度分布に対して,現在の温度変化を表示することも可能である.提案システムの有効性を検証するために,幾つかのシーンに対して本システムを利用して表示した温度分布や温度変化分布を示す.
著者
松本 啓子 村井 佳比子 眞邉 一近
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.2-18, 2014-07-30 (Released:2017-06-28)

研究の目的 美容師用集団SSTによって必要な社会的スキルを獲得することで、指名客数が増加するかどうかを検討するとともに、より効果的なSSTにするための要素を明らかにすることを目的とした。実験1 美容師20名を対象に、独立変数:美容師用集団SSTの各スキルトレーニング(笑顔・声・傾聴・雑談・説明)、従属変数:観察者による各スキル評定得点、実験デザイン:集団間多重ベースラインデザインによって検討した。また、SSTを実施することで指名客数が増加するかを調べた。その結果、SSTによって笑顔・声スキルの評定得点が上昇すること、傾聴スキルの評定得点の上昇率と指名客数の上昇率に関連があることがわかった。また、スキル評定得点の上昇率と業務時間中の接客行動自己記録票への記入率に関連があることが示唆された。実験2 美容師8名を対象に、独立変数:傾聴スキルの習得に重点を置いた美容師用集団SST修正版の各スキルトレーニング、従属変数:観察者による各スキル評定得点、実験デザイン:個体内ABデザインおよび統制群比較によって実験を行った。その結果、雑談スキル以外の評定得点が統制群より上昇することが示唆された。結論 美容師用集団SSTによって指名客数が増加する可能性があること、また、指名客数を増加させるためには傾聴スキルを身につける必要があることがわかった。効果的なSSTを実施するには、必要な社会的スキルに焦点化した短期間のトレーニングと、日常業務の中で繰り返し自己記録を取るという組み合わせが有効であることが示唆された。