著者
セレスタ ギャヌ ラジャ 松本 昭英 樽谷 勝仁
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.647-652, 2017 (Released:2017-10-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1

症例は80歳の男性, 糖尿病性腎症により, 2014年5月に血液透析導入された. 糖尿病に対して2014年11月よりビルダグリプチン (VDG) 100mg/日を投与された. 2015年6月に右上腕シャント部と左上肢前腕部に掻痒を伴う浮腫性紅斑, 水疱とびらんの皮膚症状を認めた. ステロイド軟膏による治療で経過観察するも緊満性水疱が現れ, びらんがさらに広がり, 皮膚症状が増悪した. 皮膚科を受診, 生検の所見ならびに抗BP180抗体が高値であったことにより水疱性類天疱瘡 (BP) と診断, 塩酸ミノサイクリン (MINO) 100mg/日とプレドニゾロン (PSL) 20mg/日の治療開始となった. 2か月後に皮膚症状が治癒傾向にあり, MINOを中止, PSLの投与量を漸減後中止した. しかし6か月後に右上腕シャント部に強い掻痒, 水疱とびらんの皮膚症状の再燃を認めた. MINOとPSLによる治療を再開した. この頃にVDGの薬物有害反応 (ADR) による国内でのBPを発症した症例の報告がありVDGを中止した. 皮膚症状の改善によりMINOを中止, PSLも漸減し, 中止した. 8か月経過したが皮膚症状の再燃はなかった. VDGの副作用による維持血液透析治療中に発症したBPの1症例を経験したので報告する.
著者
中村 妙子 松本 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.19-23, 1980-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

ラックダイはスズ化合物で媒染することにより, 鮮明な赤色に呈色するといわれているが, スズ化合物には 2価と4価のスズ化合物が存在し, また, 媒染方法にも, 先媒染, 後媒染, 同浴の3つの方法がある.そこで, どのスズ化合物を用い, どのような方法で媒染を行えば, 堅ろう度が良好で鮮明な色のラックダイ染色物が得られるか検討した.その結果, 堅ろう度が優れ, 彩度の高い色に呈色させるには, 無水塩化第1スズで先媒染すればよいことが確認された.この場合の最適使用濃度をラツクダイの染着量および無水塩化第1スズの染着量より調べると, ラックダイの染着量と無水塩化第1スズの染着量がほぼ同じ比率になるような使用濃度で染めれば最適であることが認められた.その条件を付記する.(i) 淡色無水塩化第1スズ0.5%ラックダイ 0.5 %(ii) 中色無水塩化第1スズ1%ラックダイ 1 %(iii) 濃色無水塩化第1スズ2%ラックダイ 2 %しかし, 染着量が同じ比率であればムラ染になりやすいため, ラツクダイを過剰に用いたほうが均一に染められる.天然染料はくり返し染色を行うことが多いが, この場合, 4回以上行っても染色物の色濃度 (K/S) の値はあまり変化しないことが確認された.
著者
中村 一穂 尾下 竜大 高坂 拓矢 一ノ瀬 玄幸 松本 幹治
出版者
The Society of Powder Technology, Japan
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.250-260, 2009-04-10
参考文献数
18

The transition phenomenon, which is a feature of the filtration properties of non-woven fabric filter, is the change in filtration mode during filtration from the first stage of deep bed filtration to the second stage of surface blocking filtration or the cake filtration. In this study the effect of filter structure in depth direction on the transition phenomenon was studied with the filters prepared by layering three types of polypropylene non-woven fabric filters and binary mixture suspension of uniform PMMA particles. The change in the apparent pore size distribution of prepared filters was measured by the differential flow method. In the case of filters stacked with the same type of filters the change in the filtration performance by the stacking could be explained by the change in the surface blocking filtration condition in the first stage filtration period and it could be roughly predicted from the change in the apparent pore size distribution. But in the case of the filters stacked with different types of filters the change in the filtration performance did not show clear trends with the stacking condition and could not be explained from the change in the apparent pore size distribution.
著者
阿部 達也 松本 茂 岩田 和之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.203-214, 2017-05-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
47

近年,ハイブリッド自動車等のエコカーへの需要が高まり,政府も補助金や減税等でエコカーへの買い替えを後押ししている。これらの買い替え促進政策は主に自動車の性能に応じて設定され,その適用は全国一律となっている。一方で,燃費改善に伴い走行距離が増加してしまうというリバウンド効果の存在は国内でも確認されているものの,地域間でリバウンド効果に差があるかどうかは今のところ検証されていない。もし,地域間でリバウンド効果に差があるならば,全国一律のエコカー普及制度は非効率的なものとなる。そこで,本研究では地域間,特に大都市圏と地方部との間でリバウンド効果に差が見られるかどうかを,790世帯の家計調査の結果を用いて検証した。分析の結果,大都市圏ではリバウンド効果は確認されなかった一方で,地方部ではリバウンド効果が約34%もあることが明らかになった。このことは,大都市圏と地方部で一律のエコカー普及策を導入した場合,地方部での費用対効果が大都市圏よりも低くなってしまうことを意味する。より効率的に自動車からの温室効果ガスを削減させるためには,現状のような全国一律の普及施策ではなく,地域間で補助金等の価格差を設けると同時に,地方部では公共交通機関への代替を促すような制度設計も必要である。
著者
松本 沙羅 玉城 耕二 柴原 健太郎 本郷 由貴 木下 佳子 西條 修光
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.268_3-268_3, 2016

<p> オープンスキル系のバスケットボール競技では、絶えず変化する状況の中で、その場に応じた的確な状況判断が要求される。これまで、認知的トレーニングの研究が多くなされてきたが、一致した効果はみられていない。その原因の一つは、認知的トレーニングの介入効果が主に指導者の評価に依存し、選手自身の状況判断の変容に目が向けられていないことである。例えば、夏原はMcpersonの言語報告から知識を定量化する方法を用いて、熟練者ほど優れた知識構造を持っていることを明らかにしている。そこで本研究は、選手自身の知識構造の変容を明らかにすることで、認知的トレーニングの介入効果を検討することにした。実験参加者は関東大学女子2部リーグに所属するA大学の女子バスケットボール部員14名であった。認知的トレーニングの介入効果を検討するために、関東大学女子1部リーグの公式戦の映像を用いた状況判断テストに加え、40分のゲームを行った。状況判断テストでは、当該状況での判断に至るまでの知識構造を目的、条件、動作の分類から評価し、介入前後での変容について検討した。方法の詳細及び結果、考察については発表当日に報告する。</p>
著者
亀谷 均 堀江 克明 幸田 憲明 久間 英樹 松本 浩介 内村 和弘 小森 健一 増木 新呉 東 裕人
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00147-17-00147, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
7

Lower to middle tier regions of dam reservoirs often fall into the anoxic states in summer. When the anoxic state is reached, living things die, heavy metals such as manganese and iron, hydrogen sulfide and methane are eluted from mud deposited on the lakebed. Since it is not possible to release heavy metals exceeding environmental standards, an improvement of dissolved oxygen concentration in dam lakebed is required. So far, there is no system that can automatically improve the dissolved oxygen, in the lower to middle tier regions of dam lakebed. This study was carried out for developing an automatic system to improve the lakebed dissolved oxygen concentration to 6mg/L or more. The developed oxygen dissolution apparatus can diffuse a high concentration oxygen water horizontally at a rate of 1km per day. Thus, by raising and lowering this oxygen dissolution apparatus in water, a system that creates 3 - dimensional spreading of the dissolved oxygen not only to the lower tier but also to the middle tier regions was developed. The demonstration experiments, reported of the effectiveness of the system that can raise the dissolved oxygen concentration from the low oxygen-free state to the target of 10 mg / L in 5 days. Moreover, the system demonstrated its ability to automatically raise the dissolved oxygen concentration to 10mg/L in the 10m region from the bottom of lakebed.
著者
松本 仁
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1350-1355, 2002 (Released:2008-04-24)
参考文献数
27
被引用文献数
1 7

The transformation behavior of near equiatomic NiTi alloys were precisely measured by a four-probe potentiometric method in order to investigate the effects of the repetition of the transformation with thermal cycling. Complete and incomplete thermal cycles induce an anomalous increase in electrical resistivity which is attributed to formation of the R-phase. The incomplete thermal cycle is effective in the formation of the R-phase in comparison with the complete thermal cycle. The behavior of the transformation to the R-phase with thermal cycles depends on the composition and it is more difficult to induce and stabilize the R-phase by thermal cycling in NiTi with higher Ms. The characteristics on the effects of the thermal cycles are the shift of the Ms to the low-temperature side and the stabilization of the R-phase, which are taken to be attributable to the accumulation of transformation-induced defects. The precise measurement of the electrical resistivity proved helpful in order to detect the trace of the R-phase and characterize the effects of the thermal cycles.
著者
中原 さおり 松本 順子 市瀬 茉里 畑中 玲 武山 絵里子 与田 仁志 武村 民子 石田 和夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.1217-1223, 2013-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
28

【目的】臍帯潰瘍は胎児上部消化管閉鎖症に合併し,ひとたび臍帯からの出血が起こると,高頻度に子宮内胎児死亡や児の重度障害を起こすことが知られている.原因として胎児の吐物による臍帯のワルトンゼリー変性の可能性が挙げられているが,詳細はいまだ不明である.胎児吐物中の膵酵素がワルトンゼリー変性に関与する可能性を探るために,羊水中の膵酵素濃度の上昇の有無を調べた.【方法】2009 年7 月から2011 年6 月までに当センターで経験した上部消化管閉鎖症6 例(A 群)とこれらを伴わない羊水過多症6 例(B 群),計12 例の羊水中の胆汁由来物質(総ビリルビン,直接ビリルビン,胆汁酸),および膵酵素(膵アミラーゼ,リパーゼ,膵フォスフォリパーゼA2,トリプシン)の濃度を測定した.【結果】A 群では膵アミラーゼを除く膵酵素の異常高値を認めた.具体的にはB 群の膵アミラーゼ9 IU/ l,リパーゼ3.5 IU/ l,膵フォスフォリパーゼA2 99 ng/dl,トリプシン170 ng/ml(それぞれ中央値)に対し,A 群6 例の中央値はそれぞれ16.5 IU/ l,4,055 IU/ l,63,050 ng/dl,30,400 ng/ml であった.【結論】限られた症例数ではあるが,臍帯潰瘍を合併することが知られている十二指腸閉鎖症および空腸閉鎖症の羊水中では,膵アミラーゼを除く膵酵素の濃度が著明に上昇していることが明らかとなった.羊水中の膵酵素濃度の上昇が臍帯潰瘍発生に関与する可能性があると考えられる.
著者
北村 美穂子 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-25, 2006

高精度の機械翻訳システムや言語横断検索システムを構築するためには, 大規模な対訳辞書が必要である.文対応済みの対訳文書に出現する原言語と目的言語の単語列の共起頻度に基づいて対訳表現を自動抽出する試みは, 対訳辞書を自動的に作成する方法として精度が高く有効な手法の一つである.本稿はこの手法をベースにし, 文節区切り情報や対訳辞書などの言語知識を利用したり, 抽出結果を人間が確認する工程を設けたりすることにより, 高精度で, かつ, カバレッジの高い対訳表現抽出方法を提案する.また, 抽出にかかる時間を削減するために, 対訳文書を分割し, 抽出対象とする文書量を徐々に増やしながら確からしい対訳表現から段階的に抽出していくという手法についても検討する.8,000文の対訳文書による実験では, 従来手法は精度40%, カバレッジ79%であったのに対し, 言語知識を利用した提案手法では, 精度89%, カバレッジ85%と向上した.さらに人手による確認工程を設けることにより, 精度が96%, カバレッジが85%と向上した.また, 16,000文の対訳文書による実験では, 対訳文書を分割しない方法では抽出時間が約16時間であったのに対し, 文書を4分割する方法では, 約9時間に短縮されたことを確認した.
著者
工藤 拓 山本 薫 松本 裕治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.47(2004-NL-161), pp.89-96, 2004-05-14

本稿では Conditonal Random Fields (CRF) に基づく日本語形態素解析を提案する. CRFを適用したこれまでの研究の多くは 単語の境界位置が既知の状況を想定していた. しかし 日本語には明示的な単語境界が無く 単語境界同定と品詞同定を同時に行うタスクである日本語形態素解析にCRFを直接適用することは困難である. 本稿ではまず 単語境界が存在する問題に対するCRFの適用方法について述べる. さらに CRFが既存手法(HMM MEMM) の問題点を自然にかつ有効に解決することを実データを用いた実験と共に示す. CRFは 階層構造を持つ品詞体系や文字種の情報に対して柔軟な素性設計を可能にし label biasやlength biasを低減する効果を持つ. 前者はHMM の欠点であり 後者はMEMMの欠点である. また 2つの正則化手法(L1-CRF/L2-CRF) を適用し それぞれの性質について論じる.
著者
松本 敏治
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.103-113, 2006-07-31 (Released:2017-07-28)

漢字の読み書きに困難を示し意味錯読が顕著にみられる青年の平仮名読みの処理特性を意味的処理・音韻的処理の側面から検討するため、2つの単語リスト読み課題と漢字読み判断実験を行った。本症例では、1)第一の単語リスト読み課題では、平仮名一文字・イラスト・有意味単語の読み速度は健常成人と差がなく、無意味語読みにおいてのみ顕著な遅れがみられた。2)第二の単語リスト読み課題では、意味性の高い単語は繰り返しにより読み速度が顕著に上昇した。3)漢字読み判断課題では、読みが正しくないとの判断の場合、漢字と意味的に関連した場合(町・むら)での反応が意味的に無関係な誤り読み(町・かめ)の場合に比べ反応時間が有意に長かった。また、本症例は本実験実施時、日常生活において漢字の読字書字困難は顕著であったが、平仮名読みの困難は認められなかった。これらの結果に基づいて、本症例の平仮名読み習得と障害機序を考察した。
著者
松本 定
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-141, 2003-12
被引用文献数
3

The ornamental fern, Cyrtomium falcatum (L. f.) C. Presl native in Eastern Asia naturalized coastal region of the warm-temperate zone in the world. The chromosome number for cytotypes on 186 localities (341 individuals) and the spore-number per sporangium for reproductive mode on 794 localities (2,467 individuals including herbarium specimens and population samples) in Japan were surveyed. Four cytotypes, two sexual diploid (A1: dwarf, A2: normal), one sexual tetraploid (C) and one apogamous triploid (B) were mainly recognized. In central Japan, A1, B and C types show that the habitat segregation among sea-cliff, coastal grassy ground and forest floor are sympatric. While, A1 and A2 types show that the geographic segregation between northern part and southern part in Japan are allopatric. And also, several polyploid hybrids were recognized at contact zones of each cytotype and another apogamous triploid species. There are one sterile triploid (A1×C), one apogamous and sexual tetraploid (A1×B) and four apogamous pentaploid [C×B (♂), C×D (D: C. laetevirens (Hiyama) Nakaike: ♂), C×E (E: C. fortunei (J. Sm.) var. clivicola (Makino) Tagawa: ♂), C×F (F: C. caryotideum (Wall, ex Hook, et Grev.) C. Presl: ♂). The polyhaploid (apogamous dihaploid) was gotten from reduced spores (64 spores in a sporangium) of the tetraploid (A1×B). This apogamous dihaploid considered to make variation of B type as donor of sperm by backcross (hybrid cycle: 3x to 4x to 2x to 3x). Artificial hybrid for genome analysis were synthesized as follow, fertile diploid (A1×A2), sterile triploid (A1×C) and sterile and apogamous tetraploid [C×(A1×B)]. Sexual meiosis of all hybrids including natural apogamous hybrids and dihaploid were analyzed for the basic 4 types, A1, A2, and B types were same genome as AA, AA and AAA respectively, but C type was allotetraploid having AABB (see Fig. 3-5). On the genetic background of agamospory, the apogamy was considered to be one dominant gene from the segregation ratio of gametophytes to originate in reduced-spores of tetraploid hybrid, A1×B. And also linkage of apogamy and diplospory genes considered as to be present, for reason to show diplospory on the almost dihaploid. On the variation of mating systems, ratio of the gametangium formation (mix or separate antheridia with archegonia) and sporophyte formation by intragametophytic selfing test were investigated on the A1, A2 and C types, and one hybrid A1×A2. A2 and C were separate types, but A1 was variable from separate to mix type and the hybrid was intermediate type with the half ratio. Sporophyte formation of the mix types including parent (A1) of the hybrid were high frequencies by self-fertility, but that of separate types were low in A1 and A2 types of diploid or relatively low in C type of tetraploid. And also sporophyte formation of separate types later one month than that of mix type. On the comparative study under the cultivation, dwarf form of A1 type specialized genetically from A2 type was considered as 'Progenesis'. The shape of B type intermediates between A1 and A2 types. While, C type was distinguished from another types with shape of pinna and presence of micro-scale on upper surface of frond. Correlation of the ecological structure and speciation on basic 4 cytotypes of Cyrtomium falcatum complex in Japanese Archipelago were considered from viewpoint of species ecological study (see Fig. 4-1). Most basic A2 type growing subtropical maritime forest with cross mating evolved under K-selection. The A1 type growing warm and cool temperate sea-cliff evolved under r-selection from A2 type, as follows, the first by genetic drift, migrating only grayish indusium strain with self mating, the second by progenesis, shorten the life cycle from three years or more to one or two years. Most widely spread B type growing the coastal forest edge with apogamous reproduction evolved by hybridization at several times or by hybrid cycle from A2 and A1 types under competition environment. The C type growing warm temperate wetly forest floor evolved under K-selection, by hybridization between A2 type and unknown another species of Cyrtomium. Taxonomy of basic 4 types on Cyrtomium falcatum complex was as follows by examination of two holotype specimens. Cyrtomium devexiscapulae (Koidz.) Ching (C type) C. falcatum (L. f.) C. Presl subsp. falcatum (B type) subsp. littorale S. Matsumoto (A1 type) subsp. australe S. Matsumoto (A2 type)
著者
遠藤 昌樹 松本 主之 菅井 有
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.3763-3774, 2014 (Released:2014-11-28)
参考文献数
78

十二指腸腺腫や早期癌の発見は増加しているが,疾患の頻度の低さもあり鑑別診断については曖昧な点が多い.生検による腺腫,早期癌の診断も容易ではなく,内視鏡診断・病理学的診断ともに他の消化管に比し課題が多いのが現状である.内視鏡治療に関しても適応の問題,手技の困難性,偶発症が高率である点などが問題である.さらに,鑑別診断を考える上では非腫瘍性隆起性病変の特徴を知ることも重要である.異所性胃粘膜とブルンネル腺過形成の頻度が高いが,拡大所見を含めた詳細な観察で鑑別が可能である.また腸型の腺腫・粘膜内癌では絨毛の白色化が特徴であり,重要な所見である.白色化と粘液形質の関連など臨床病理学的な検証が今後の課題といえる.
著者
松本 弘紀 角田 初恵 夏堀 裕之 原田 利佳子 田中 光郎
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.405-411, 2007

少子化と齲蝕罹患者率の減少という社会状況において当小児歯科に求められている役割の現状を把握し,的確に対応する方策を検討するために,平成13年4月から平成17年年3月までの5年間に本学小児歯科外来を受診した全初診患児の初診時の問診表およびカルテをもとに実態調査を行い,以下の結果を得た.<BR>1.初診患児数は3歳から7歳が多かった.これは,歯科疾患実態調査の結果に比べて,一人平均齲蝕歯数が多い年齢層であり,また齲蝕を主訴として来院する比率も高かったことから,治療に対する協力性が乏しく,治療が困難であるために当科を受診した患児が多かったためと推測された.<BR>2.患児の居住地は盛岡市内と近郊で62.6%を占めていたが,その他の地域から来院する患児では50.8%と紹介率が高く,当科の北東北地区における二次・三次医療機関としての役割を示唆していた.<BR>3.当科への紹介患者は全初診患者の38.7%であり,平成13年度から平成17年度にかけて,21.6%増加した.開業医からの紹介と医学部からの紹介に増加傾向が認められ,この結果も当科の二次・三次医療機関としての位置づけが示されていた.<BR>4.初診時の主訴は齲蝕処置が40.6%で最も多く,次いで歯列咬合18.4%,診査希望13.0%,外傷10.6%の順であった.これは大学病院小児歯科にはいまも低年齢児や非協力児に対しての齲蝕処置が患者からも開業歯科医師からも求められているためと考えられた.<BR>5.年齢別一人平均齲蝕歯数(乳歯)は,平成17年歯科疾患実態調と比較して,殆どの年齢において実態調査の一人平均齲蝕歯数を上回っており,5歳以下ではその傾向がさらに明確に認められた.年齢別一人平均齲蝕歯数(永久歯)は,平成17年歯科疾患実態調査と比較して,10歳以上の年齢において実態調査の一人平均齲蝕歯数を上回っていた.また未処置歯分類(乳歯)ではC2,C3を持つ者の割合が多かった.
著者
村田 伸 甲斐 義浩 大田尾 浩 松永 秀俊 冨永 浩一 松本 武士 吉浦 勇次 北嶋 秀一 角 典洋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.499-503, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
35
被引用文献数
3 1

〔目的〕女性高齢者の膝関節痛の有無と大腿四頭筋筋力との関連について検討した。〔対象〕整形外科医院に通院加療中の女性高齢者47名(平均年齢77.9±6.2歳),94肢とした。〔方法〕膝関節痛の有無,大腿四頭筋筋力,筋組織厚,大腿部周径を評価し,膝関節痛の有無別にそれぞれの測定値を比較した。〔結果〕膝関節に痛みがない群(45肢)の大腿四頭筋筋力は大腿部周径(r=0.56),筋組織厚(r=0.64)との間に有意な正相関が認められたが,膝関節痛有り群(49肢)の大腿四頭筋筋力は,大腿部周径や筋組織厚との間に有意な相関は認められなかった。〔結語〕今回の結果から,膝関節痛を有する高齢者の大腿四頭筋筋力の測定は,現在報告されている測定法では,潜在的に有する最大筋力を測定できない可能性があること,また,彼らの最大筋力を測定するための工夫や新たな測定方法を開発する必要性が示唆された。
著者
中川 洋 鈴木 麻希 竹内 瑛一 松本 良
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.969-985, 2009-10-25 (Released:2010-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
5 6

Plantonic and benthic foraminifera are analyzed with 11 sediment cores recovered from the Umitaka Spur area of the Joetsu Basin off Joetsu, Niigata Prefecture. The area is characterized by active methane seeps and methane hydrates. We recognize 12 foraminiferal biozones (Biozone I to XII in descending order) in the last 32000 years based on three selected cores (two well-dated and one longest), and apply them to another 8 cores for correlation. Sediment cores are divided into five lithologic units as massive to bioturbated mud (lithologic unit 1), thinly laminated mud (unit 2), gray massive mud (unit 3), thinly laminated dark mud (unit 4), and bioturbated mud (unit 5) from upper to lower. Lithologic units 2 and 4 correspond to basin-wide thinly laminated layers, previously reported as TL-1 and TL-2, respectively. The Japan Sea became a closed inland basin during the lowest sea level period of the last glacial maximum (LGM) at 27-26cal kyr BP (Biozone VIII). The surface water reached the lowest salinity level, while the bottom water was strongly anoxic due to reduced vertical circulation. An expulsion of a large amount of methane occurred on the Umitaka Spur during the LGM due to a massive dissociation of subsurface methane hydrate. Biozones VIII, VII, and VI at around 27-17 cal kyr BP with planktonic foraminiferal maximum and benthic foraminiferal minimum are found in a dark layer of TL-2, which was formed during the period of the lowest sea level in the LGM. Biozone IV, 12-11 cal kyr BP, is characterized by low oxygen tolerant benthic species of Bolivina pacifica, and correlates with dark layer TL-1, which implies that the deep circulation of Japan Sea was severely reduced for a short period during (or soon after) the Younger Dryas Cooling Event. B III represents the planktonic foraminiferal minimum zone, which marks the transition from cool water species to warm water species in planktonic foraminifera. Foraminiferal stratigraphy reveals that the sedimentation rate of the Umitaka spur sediments varied significantly depending on topography such as pockmarks or mounds.