著者
古田 睦広 尾崎 元昭 原田 禹雄 高橋 俊一郎 村上 元正 松本 繁雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.139-144, 1972 (Released:2011-10-19)
参考文献数
14

Histopathological examination of tuberculosis was done on 107 autopsy cases in Komyoen Leprosarium from 1962 to 1970. Seventeen cases showed pulmonary tuberculosis, including healed and calcified lesions. The average age of these cases was 66.6. Active pulmonary tuberculosis was found in 10 cases; half of them formed tuberculous cavity. Only 2 cases showed remarkable extension of the disease to the other organs. This was quite different from the formm of tuberculosis before 1900 which was predominantly accompanied with direct or miliary type extension. Gaseous pneumonia of 4 cases between 1967 and 1666 suggested possibility of reinfection on the aged. Active tuberculosis on the aged seemed to have a tendency to become caseous pneumonia. There was no correlation between the types of leprosy and tuberculosis. We deny any specific relation of tuberculosis to leprosy patients.
著者
松本 勅 寺沢 宗典 田和 宗徳 山川 緑 西川 弘恭 森本 武利
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.17-25, 1990-04-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
20

寒冷刺激に対する足趾の反応の特性を明らかにするため, 男性25名の左第一趾と示指の同時氷水浸漬時の寒冷血管反応を測定し, 比較検討した.同室温 (25~26℃) にもかかわらず, 浸漬前皮膚温は示指で4.5℃, 第一趾で9℃の個体差があり, 第一趾皮膚温は示指のそれに比べて有意な低値を示した.浸漬後の第一趾の皮膚温下降の時定数は示指の1.8倍で有意に大きく, 上昇発現時間は有意に長く, 浸漬中平均皮膚温は有意に低い値を示した.浸漬前皮膚温が等しいグループ間の比較においても指趾の反応には有意な差が認められた.浸漬前の足底深温部は手掌深部温に比して有意に低く, 浸漬中は共に有意な下降を示した.浸漬終了20分後に手掌深部温は速やかに回復を示したが, 足底深部温は測定終了までには回復しなかった.足趾と手指の反応の差異には, 両部位の体積差 (足趾が手指の約2.2倍) に基づく組織熱容量の相違等の関与が示唆された.
著者
松本 邦彦
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今期は朝鮮学校と外国人教育をめぐる基礎的な資料の収集とともに、戦前期の植民地統治の一翼を担い戦後も言論界で活躍した人物でありながら、あまり注目をあびてこなかった鎌田澤一郎を中心に資料収集を進めた。まだ概略にとどまるが、鎌田の生涯と業績について以下にまとめておく。鎌田は1894年(明治27年)生まれ、学校教育は高等小学校までで、1979年に没するまで、公職や研究職、教育職には就かなかった経営者、ジャーナリストである。郷土徳島で文化活動を始め、兵役後に経済界に進出、さらに上京して出版業に進む。文化人や経済人との交友を深める一方で、鶴見祐輔、後藤新平、また鐘紡経営者・武藤山治の政界浄化運動を応援。鶴見を介して陸軍大臣時代の宇垣一成の側近となり、1931年の宇垣の朝鮮総督赴任とともに朝鮮に渡る。総督顧問をしつつ独自の研究所を設立し、講演や著作にて宇垣の「南棉北羊」政策を支持、宣伝をおこなう。1936年に宇垣が総督を辞したのちも朝鮮にとどまり、総督府支配の一翼を担ったが、南次郎総督らの創氏改名、内鮮一体政策を批判したことがあり、後年の鎌田は、これもあって戦後も朝鮮人からの感謝ありと誇っていた。敗戦後に鎌田はほぼ無一文で引揚げたが、文筆で宇垣の政界進出を支持する一方で朝鮮戦争を機に在日朝鮮人問題や日韓問題で精力的に発言し、李承晩の反日政策を批判、そしてその後の朴正煕の維新革命やセマウル運動を支持した。戦後の鎌田の主張が在日朝鮮人政策に与えた影響はまだ判然としないが、朝鮮支配が「宥和と培養」であったという主張(1950年『朝鮮新話』など)が、日韓交渉を決裂させた1953年の久保田発言に影響していた可能性が判明し、彼の戦後日韓政策への影響力は意外に大きい可能性も出てきている。
著者
松本 希
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.142-145, 2013-05-20 (Released:2014-06-01)
参考文献数
9
著者
松本 亜沙香 林 春男 立木 茂雄
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 = Journal of social safety science (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.463-472, 2011-11-01
参考文献数
9

<p>The authors conducted an internet survey regarding the March 2011 Great Eastern Japan Earthquake Disaster. The sample was taken from the nationwide internet monitor, an internet-based survey, living outside the disaster areas Optimal scaling and cross tabulation were used to analyze behaviors such as "panic buying," "giving monetary donation," and "sending supplies." The result showed the following: a) social capital affect the behavior of cash donation and sending/offering of supplies; b) people who donate or send goods tend to reduce their expenses, and c) people living near the disaster area feel a strong sense of insecurity which leads to panic buying.</p>
著者
松本 紘典 中田 康城 蛯原 健 加藤 文崇 天野 浩司 臼井 章浩 横田 順一朗
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.877-885, 2013-10-15 (Released:2013-12-30)
参考文献数
20

飲食物による咽喉頭および食道熱傷は臨床上,しばしば経験されるが,その報告例は少ない。今回,我々は90℃の高温飲料の摂取後に緊急気道確保を要する咽喉頭熱傷および遅発性瘢痕狭窄を来した食道熱傷の1例を経験したので報告する。症例は28歳の男性。飲酒の席で約90℃のコーヒーを約200ml飲用し,呼吸苦・嚥下痛にて当院受診となった。来院時,上気道粘膜の腫脹が強く,喉頭ファイバーにて喉頭蓋および声帯の腫脹も認め,気道緊急の状態にあり,気管切開による緊急気道確保を行った。咽喉頭熱傷については,経時的に粘膜腫脹は軽快してきたものの喉頭蓋の腫脹が遷延し,容易に誤嚥する状況が続いた。喉頭蓋の腫脹改善とともに第39病日に気管切開チューブを抜去でき,その後も瘢痕形成などは来さなかった。食道熱傷について,受傷早期は食道穿孔等を来さずに経過したが,第25病日に吐血のため,上部消化管内視鏡検査をしたところ,下部食道を中心として食道全長に渡る粘膜の易出血性びらん,潰瘍所見を認めた。第40病日に再度上部消化管内視鏡検査を施行したところ,内視鏡通過は可能であったが,散在性に瘢痕狭窄所見を認めた。粘膜所見は治癒経過にあり,流動食より食事を開始し,第48病日の食道透視検査にて全体的に伸展不良を認めたが,普通食まで摂取可能となったため,第53病日に退院となった。しかしながら,その後も緩徐に食道狭窄は進行し,食道拡張術も奏功せず,第264病日に食道切除術施行となった。温熱熱傷においても,上気道閉塞および遷延する喉頭蓋腫脹に伴う嚥下障害に対する気道管理や,食道瘢痕狭窄に対する経時的な評価,治療が必要である。
著者
前澤 裕之 松本 怜 西田 侑嗣 青木 亮輔 真鍋 武嗣 笠井 康子 Larsson Richard 黒田 剛史 落合 智 和地 瞭良 高橋 亮平 阪上 遼 中須賀 真一 西堀 俊幸 佐川 英夫 中川 広務 笠羽 康正 今村 剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

近年、火星では赤外望遠鏡やキュリオシティなどによりメタンが検出され、その起源については、生物の可能性も含めた活発な議論が展開されている。また、2010年には、ハーシェル宇宙望遠鏡に搭載されたHeterodyne Instrument for the Far Infrared(HIFI)により、低高度で酸素分子の濃度が増加する様子が捉えられ謎を呼んでいる。系外惑星のバイオマーカーの挙動を探る上でも、こうした分子の変動を大気化学反応ネットワークの観点から詳細理解することが喫緊の課題となっている。現在、東京大学航空工学研究科の中須賀研究チームが火星への超小型深宇宙探査機/着陸機の検討を進めており、我々はこれに搭載可能な簡易なTHz帯のヘテロダイン分光システムの開発検討を進めている。火星大気の突入速度とのトレードオフの関係から超小型衛星に搭載できる重量に制限があるため、現時点で観測周波数帯は450 GHz帯、750 GHz帯の2系統で検討しており、地球の地上望遠鏡からでは地球大気のコンタミにより観測が難しいO2やH2O,O3や関連分子、それらの同位体の同時観測を見据えている。これにより、昼夜や季節変動に伴う大気の酸化反応素過程に迫る予定である。これらの分子の放射輸送計算も実施し、バージニアダイオード社の常温のショットキーバリアダイオードミクサ受信機(等価雑音温度:4000 K)、分光計にはマックスプランク研究所が開発したチャープ型分光計(帯域1GHz)を採用することで、火星の地上から十分なS/Nのスペクトルが得られる見込みである。重量制限から追尾アンテナなどは搭載せず、ランダーではホーンアンテナによる直上観測を想定している。着陸はメタン発生地域近傍の低緯度の平原を検討中であるが、現時点ではまだランダーとオービターの両方の可能性が残されている。ランダーによる観測の場合は、off点が存在しないため、通常のChopper wheel法による強度較正が行えない。そこで、局部発振源による周波数スイッチと、2つの温度の黒体/calibratorを用いた較正手法を検討している。システムを開発していく上でPlanetary protectionも慎重に進めていく必要がある。本講演では、これら一連のミッションの検討状況について報告する。システムや熱設計の詳細は、本学会において松本他がポスターにて検討状況を報告する。
著者
小島 荘明 (1992) 小島 莊明 NOYA Oscar NOYA Belkisy 古田 隆久 松本 直樹 北 潔
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

芽殖孤虫は、無制限ともみえる自己増殖を行ない、人体に寄生した場合最終的には全身諸臓器を侵して宿主を死に至らしめる寄生虫であるが、その生活史や感染経路については未だ明らかでない。そこで、この寄生虫の自然界における宿主を見出すべく、ヴェネズエラにおいて、トカゲ・カエル・フクロネズミなど水辺において捕獲した小動物の寄生虫について検索した。その結果、芽殖孤虫は発見できなかったが、これらの動物から、新種と思われる糸状虫1種、Taenia属条虫3種を見出したほか、回虫類、鞭虫、蟯虫、鉤頭虫などを得た。さらに、感染宿主の免疫応答や免疫変調、感染に対する感受性や病理学的変化の差異について検討するため、各種の純系マウスを用いて感染実験を行なった。虫体を1虫ないし1/3から1/7まで切断し、マウス腹腔内に注入し、経時的に血球算定と抗体産生について検討するとともに、虫体の増殖と病理組織学的反応について検討した。その結果、IgE抗体の産出については、C57BL/6において最も早く感染後18日目から検出され、かつ7週目に最も高いPCA抗体価(1:160)が得られた。虫体の増殖や感染動物の病理学的反応は必ずしも一定せず、また注入した虫体の大きさにも関係なく、早い場合には感染後3週目に腹水の貯留が顕著となり、死亡する個体も出現したが、奇妙なことには、それらから得られた虫体を同系統のマウスに継代しても、同様に激し状を起こすことなく6カ月以上経過する例も存在した。腹水貯留例について剖検すると、腹水は血性、膿性はリンパ性で激しい腹膜炎が起きており、肝表面に白色苔状の付着物が認められ、辺縁部は鈍となり、肝脾の腫脹が認められた。虫体は注入時より成長し、複雑に分岐したり、分裂増殖して個体数が増加していた。断端組織構造は、D.erinaceiのプレロセルコイドに類似していた。
著者
松本 美富士
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.239-252, 2015

&nbsp;&nbsp;&nbsp;本邦の多くのリウマチ医は線維筋痛症(fribromyalgia; FM)の病名の認識はあるが,疾患の存在に否定的であり,診療に対して拒否的である.最近の脳科学の目覚ましい進歩を背景に,非侵害受容性疼痛,特に慢性疼痛の分子機序,脳内ネットワークの解明などから,FMの疼痛も脳科学から解明されつつある.また,本邦では2003年から厚生労働省の研究班が組織され,疫学調査,病因・病態研究,診断基準,治療・ケア,診療体制の確立,ならびに診療ガイドラインの作成など精力的にプロジェクト研究が行われ,疾患の全体像がかなり具体的に見えてきた.その中で,特筆すべきことはFMの疼痛を,他の慢性疼痛と同様にアロディニアを伴う痛みの中枢性感作によるものと説明し得ること,この現象に脳内ミクログリアの活性化が認められ,いわゆる脳内神経炎症(neuroinflammation)の概念で説明できる可能性である.これら所見は近未来的な病態発症機構を標的とした画期的治療法の開につながるものであり,今後のさらなる発展が多い期待されるところである.病態以外にも厚労省研究班で得られた知見を中心に解説し,またEvidence Based Medicine (EBM)手法を用いて厚労省研究班と学会が合同で作成した,診断,治療・ケアについてのガイドラインも概説した.
著者
渡辺 雄介 松本 奈緒 WATANABE Yusuke MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学 = MEMOIRS OF FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY EDUCATIONAL SCIENCES (ISSN:24334952)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.129-144, 2019-03-01

It was known that sports coach, instructor, teacher has a particular belief and ideas to teach sports performance, lead athlete to better physical and mental condition, facilitate organic training programs. In this study, it was focused to reveal sports coach’s beliefs and tactics in local pole vault club through in-depth interviews include viewpoints life history research. The dates were taken from seven times interviews account for five hours and forty minutes. Outcomes said as below: This coach’s life experience as bread sales person. The effects to this belief making remarkable results as coach leads to other’s trusts. Thinking practice longer and harder lead to good record for all athlete not having much talents. The Mental facilitation is important to enhance self-trust through sports carrier not only to be good athlete but also to be tough person can make decision in their own futures.
著者
長澤 岳大 松本 奈緒 NAGASAWA Takehiro MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.47-58, 2017-03-31

運動部活動はスポーツを通じて生徒の総合的な成長を支える活動である.この指導に関しては伝統的に学校の教員が担ってきたが,教員の多忙化の原因にもなり,これを軽減するために文部科学省は外部指導員の導入を決定した.このように重要性を指摘され,今後着目される外部指導者について研究する意義があるだろう.本研究の目的は中学校運動部の外部指導者の信念や教育的意義,教育内容,顧問や学校,保護者との関係について事例研究として明らかにすることであった.研究の結果,外部指導者は指導信念として,強くなるだけでなく,スポーツを通じて感動を体験させる,スポーツを通じた人間関係や出会いの素晴らしさを知る等,人格形成や人間関係の構築も含めた幅広い考えを持っていることが明らかとなった.指導内容や指導方針として,基本的な技術の習得や自分で考えることを含めた練習,動きながら教えること等の考えを持っていることが明らかとなった.関係性については,顧問とはある程度主導権を持ちながらも上手く分担し,保護者とはコミュニケーションを取るように気を配っていることが明らかとなった.しかし,中学校における部活動の意義については理解しておらず,また,学校に対し部活動の活動時間の制約が多いことを不満に思い,改善してほしいという,運営・管理上の事情を踏まえない過度な要望を持っていることが明らかとなった.
著者
松本 光広
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.82, no.834, pp.15-00127, 2016 (Released:2016-02-25)
参考文献数
16

A bicycle wheel consists of a hub, spokes, nipples and a rim. The rim deforms from true circle to irregular circle when a worker assembles the wheel. People can ride a bicycle in safety when the rim is the true circle. The worker needs to correct the deformed rim. The worker can correct the deformed rim through the use of a relation between a nipple position to rotate a nipple rotation angle and rim displacements. I developed a task support equipment to correct the deformed rim through the use of the relation. The worker does not need to know the relation through the use of the developed task support equipment. The worker can correct the deformed rim through the use of the developed task support equipment. The developed task support equipment shows the worker the nipple position to rotate the nipple rotation angle. The worker rotates the nipple as shown by the developed task support equipment. I measured the relation between the nipple rotation angle and the rim displacements. I suggested a method to calculate the corrected rim displacements through the use of the relation. I made up a hardware and a software in the task support equipment. I implemented the method in the software. I checked performance of the developed task support equipment. I corrected the deformed rim through the use of the developed task support equipment. The results have shown the usefulness in the developed task support equipment for correcting the deformed rim.
著者
三宅 悠介 松本 亮介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-42, no.2, pp.1-7, 2018-06-21

EC サイトの商品種類増大に伴う情報過多問題を解決するため,利用者の要求を満たす商品を自動的に提案する機能が EC サイトにとっての関心事となる.大規模 EC サイトで商品を提案するために扱う特徴量は大規模かつ高次元ベクトルの集合となるため,類似度の比較は精度と計算量を抑えた近似解を用いなければならない.商品を自動的に提案する機能には,可用性を担保しつつ,提案内容の的確さと充分な応答速度が求められる.本報告では,大規模 EC サイトで商品を提案することを想定して,精度と速度を両立した分散可能な近似近傍探索エンジン Sanny を提案する.Sanny は,検索質問データ (クエリ) に対する高次元ベクトル集合の近傍探索結果の上位集合が,クエリと高次元ベクトル集合を任意の次元数で等分した部分ベクトル単位で近傍探索した結果と類似しやすいことに着目して,提案すべき商品の近傍探索を部分ベクトル単位での探索に分解することで分散処理可能にし,その探索結果の和集合である近傍候補から再度近傍探索を行うことにより,全体として高速に近似近傍探索を行える.実験では,従来の近似近傍探索に対する速度並びに精度面での性能比較について評価を行う.