著者
石田 眞弓 手塚 宏幸 長谷川 智美 曹 利麗 今田 敏文 木村 英一郎 松本 英希 河野 るみ子 新井 平伊
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.305-311, 2011
被引用文献数
5

食塩の過剰摂取は血圧上昇の一因であり, 脳卒中や心臓疾患の原因と考えられている。近年, これら疾病の予防や病態の改善を目的とする減塩食の必要性が高まっているが, 料理中の食塩を減らすと味がもの足りなくなり, 病院給食では入院患者の摂食量低下による栄養摂取量の不足が問題となる。我々は, ナトリウム (Na) を含まないうま味物質であるグルタミン酸マグネシウム (MDG) を用い, おいしさを維持した減塩料理の提供を試みた。通常の病院給食として供食している通常料理, Na量を減らした減塩料理とMDGを用いたうま味添加減塩料理の3通りの料理についての官能特性を比較した。その結果, 減塩料理は通常料理に比べて全ての項目で低値を示し, うま味添加減塩料理では顕著に改善した。この結果から, 通常料理を減塩する際にうま味を呈するMDGを用いても料理のおいしさを損なうことなく, Na摂取量を減らす有効な方法であると考えられる。
著者
松本 武夫 淵之上 康元 米丸 忠 田中 万吉
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.19, pp.6-9, 1962-11-15 (Released:2009-07-31)
被引用文献数
1 2

"Oku-Musahi" is a new variety for green tea. This was developed by the Tea Breeding Laboratory, M. A. F.-designated, Saitama-Ken Tea Exp. Stat., and the registration of this variety was made in 1962. "Oku-Musashi" was selected from the hybrids between "Saya-mamidori" and "Yamatomidori".The superior points of this variety are as follows;1. It grows vigorusly, and produces high yield and, especially, is cold resistant. It is, adapted to the northern zone of green tea production in Japan as Saitama Ken.2. It grows leaves of superior qualities for green tea. And, therefore, the tea has good characters, especiaially, in aroma and taste.3. "Oku-Musashi" is a late variety, that is, the plucking time is a few days later than "Sayamamidori" and 7 to 10 days later than "Yabukita, " both are main varietys cultivated in Saitama district. Therefore, the tea growers can control the labour of tea leaf plucking.
著者
栗原 千絵子 松本 佳代子 石光 忠敬
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.91-106, 2003-03-01 (Released:2003-03-26)
参考文献数
102
被引用文献数
1 1

The Japanese Pharmaceutical Law was revised at the end of July 2002. The important features of this revision are the postmarketing safety scheme, especially for biological products, and reconstruction of the legislation for effective pharmaceutical development. This is based on the national policy to foster life sciences such as genetic research and regenerative medicine for both healthcare improvement and industrial promotion. Such research requires study participants who donate human tissue including abandoned embryos or aborted fetuses, which may touch the human dignity. In particular, fetal stem cell research appears to have unpredictable risks not only to women who undergo abortions but also to societal epistemology. The authors conducted risk-benefit assessment of fetal stem cell research, reviewing the scientific, ethical, legal, and social aspects, including a case study of critical appraisal on a report of the double-blind, sham surgery-controlled trial of implantation of fetal tissues in patients with Parkinson's disease conducted in the USA. It is concluded that risk-benefit assessment with a wide, profound perspective is necessary for advanced biotechnology. Some types of research should not be assessed based only on such utilitarian viewpoints as risk and benefit. Conscientious reflection is necessary to reach a public consensus on which types of human material can be utilized as research or pharmaceutical resources.
著者
明見 駿 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.436-443, 2023-12-11 (Released:2023-12-11)
参考文献数
28

本研究は、広域的な視点からの効率的な図書館配置に向けた条件を明らかにすることを目的とした。この施設配置分析では、公平に提供されるべき図書館サービスの評価指標値を設定した。さらに、複数の市町が連携して策定している立地適正化計画と、近隣市町の図書館へのアクセス利便性を考慮して4つの施設配置シナリオを作成した。その結果、効率的な図書館配置を実現するためには、都市機能誘区域への図書館移転が有効であることが明らかになった。そのため、市町村は、公共交通機関へのアクセスが便利な都市機能誘導区域内に図書館を移転した場合、他の市町村の図書館へのアクセシビリティが向上することを考慮した図書館配置計画を策定することが求められる。
著者
伊藤 秀一 八代 梓 松本 充史 木村 嘉孝
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-7, 2019 (Released:2019-10-02)
参考文献数
27
被引用文献数
1

Until recently, Japanese zoological gardens have primarily been considered as entertainment facilities. However, their roles in wildlife research, education and species conservation are becoming increasingly important. It has been shown that zoo animals exhibit abnormal behaviours and stress responses, which are concerns from both research and animal welfare perspectives. Therefore, attempts have been made to introduce new exhibition or management techniques to ensure that particular behaviours are displayed and to keep the animals occupied. However, the effects of these actions on zoo animals have not been sufficiently verified. In this article, we introduced the research that our team recently conducted at a zoo and will discuss other activities that were carried out at the zoos, ending with suggestions for future research directions.
著者
森 俊文 松本 早代 井本 佳孝 四宮 寛彦 和田 哲 友成 哲 谷口 達哉 北村 晋志 六車 直樹 高山 哲治
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.254-258, 2014-05-20 (Released:2014-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

症例は21歳,フィリピン人女性.18歳までフィリピンにて生育,以降日本に在住.呼吸困難の精査目的で撮影したCT検査で肝臓内に網目状模様を認め,日本住血吸虫症を疑い血清抗体価を測定したところ高値であった.プラジカンテル40 mg/kg/日を投与し,6カ月後に抗体価は低下した.本邦では,新たな日本住血吸虫症はみられなくなったが,輸入症例や陳旧症例の報告が散見される.非流行地域において特徴的な肝画像所見を呈したことにより発見された本症の1例を報告する.
著者
荒牧 英治 若宮 翔子 岩尾 友秀 川上 庶子 中江 睦美 松本 妙子 友廣 公子 栗山 猛
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.337-348, 2018 (Released:2020-02-28)
参考文献数
8

急速な医療のIT化と共に,様々な医療情報や医薬品情報が電子化されつつある.しかし,医薬品の適正使用に欠かせない添付文書については表記が統一されているか等の質に関して,これまで体系的な調査は実施されていない.そこでわれわれは,小児領域に着目し,添付文書に小児に関する情報がどのような形で記載されているかを調査した.その結果,小児に対する用法・用量の情報が記載されている割合は添付文書全件の13.5%,小児頻用医薬品についても49.2%にとどまっていることが分かった.特に,詳細な小児区分である低出生体重児や新生児に関しての記述が少ないことが判明した.さらに,添付文書の記述方法についても,年齢区分や安全性,記載場所に曖昧性が存在し,小児医療の現場での医薬品適正使用の障壁となっている可能性が高い.本研究により,今後は添付文書の表現のゆれや曖昧性をなくす等の添付文書自体の質の向上も必要であると考えられる.
著者
清水 基之 田中 英夫 高橋 佑紀 古賀 義孝 瀧口 俊一 大木元 繁 稲葉 静代 松岡 裕之 宮島 有果 高木 剛 入江 ふじこ 伴場 啓人 吉見 富洋 鈴木 智之 荒木 勇雄 白井 千香 松本 小百合 柴田 敏之 永井 仁美 藤田 利枝 緒方 剛
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.271-277, 2023-08-31 (Released:2023-09-21)
参考文献数
22

目的:日本の新型コロナウイルス第6波オミクロン株陽性者の致命率を算出し,これを第5波デルタ株陽性者と比較する.方法:2022年1月に7県3中核市3保健所で新型コロナウイルス感染症と診断され届出られた40歳以上の21,821人を,当時の国内での変異型流行状況からオミクロン株陽性者とみなし,対象者とした.死亡事実の把握は,感染症法に基づく死亡届によるpassive follow up法を用いた.2021年8月~9月にCOVID-19と診断された16,320人を当時の国内での変異株流行状況からデルタ株陽性者とみなし,同じ方法で算出した致命率と比較した.結果:オミクロン株陽性者の30日致命率は,40歳代0.026%(95%信頼区間:0.00%~0.061%),50歳代0.021%(0.00%~0.061%),60歳代0.14%(0.00%~0.27%),70歳代0.74%(0.37%~1.12%),80歳代2.77%(1.84%~3.70%),90歳代以上5.18%(3.38%~6.99%)であった.デルタ株陽性者の致命率との年齢階級別比は,0.21,0.079,0.18,0.36,0.49,0.59となり,40歳代から80歳代のオミクロン株陽性者の30日致命率は,デルタ株陽性者のそれに比べて有意に低かった.また,2020年の40歳以上の総人口を基準人口とした両株の陽性者における年齢調整致命率比は0.42(95%信頼区間:0.40-0.45)と,オミクロン株陽性者の致命率が有意に低値を示した.結論:日本の50歳以上90歳未満のCOVID-19第6波オミクロン株陽性者の致命率は,第5波デルタ株陽性者に比べて有意に低値であった.
著者
猪股 誠司 松本 英夫
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.83-89, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
51

自閉症を対象とした脳の形態学的画像研究と機能的画像研究について概説した。脳の形態・容量に関しては,小脳や大脳の形態学的な異常に加えて,大脳容積の増加と発達早期における脳の過形成(hyperplasia),また脳内ネットワークの異常について紹介した。脳機能に関する所見については,“心の理論(theory of mind)”,“表情認知タスク”,“感情処理タスク”を基にした研究結果を紹介しながら,彼らの認知の障害と脳内の機能障害の領域などとの関係について述べた。脳の機能的ネットワ ークの減少は自閉症者の共通な特徴であることが証明されつつあり,さらなる機能の解明が期待されている点について述べた。

4 0 0 0 OA 熱中症とは

著者
松本 孝朗
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.5-6, 2015 (Released:2015-01-25)
被引用文献数
1 1
著者
松本 和也 河内 茉帆 森繁 優衣 品川 葵 沼田 美里 杉原 迅紀 吉村 耕一
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.137-143, 2019 (Released:2020-01-14)
参考文献数
27

本研究では、バーチャルリアリティ(VR)映像を用いて、周りに人が居る状況や屋外を散歩する状況を擬似的に体験することにより、ストレス緩和や気分状態改善が得られるか否かについて実験的に検証した。具体的には、被験者に暗算計算作業によるストレス負荷を課した後で、VR映像の視聴による介入を行い、緊張やリラックスの評価のための脳波測定と質問紙による気分状態評価を行った。その結果、周りに人が居る状況と独りの状況の比較実験では、VR視聴の介入中に脳波の緊張値の低下がみられた。気分状態評価による気分障害の程度には差を認めなかった。屋外の散歩と室内の比較実験では、VRによる散歩映像の介入終了後に、脳波の緊張値の低下とリラックス値の増加が認められた。また、室内のVRでみられた気分障害が散歩のVRではみられなかった。これらの結果から、VR映像の視聴(例えば、VR散歩)は、入院患者や自宅療養者の手軽なストレス緩和法として期待できる。
著者
井上 基浩 勝見 泰和 川喜田 健司 岡田 薫 中村 辰三 松本 勅
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.130-140, 1998-06-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ラットの腰部への鍼刺激による坐骨神経の血流変化についてレーザードップラー法を用いて検討した。また、その機序を調べる目的で坐骨神経の電気刺激による坐骨神経血流の反応と、薬物投与の影響についても併せて検討した。その結果、鍼刺激時には増減さまざまな変化を認め、約半数において血圧の変化に同期した反応であった。しかし、半数においては血圧の変化と必ずしも一致しない反応を認めた。神経の電気刺激は測定側の同側と反対側で行ったが、同側では血圧の変化はみられず血流のみが増加した。この増加反応はアトロピンの投与によりやや減少した。反対側の刺激では血圧の変化と必ずしも一致しない反応を認めた。これらの結果から、鍼の刺激部位や方法によっては、血圧の変化を伴わない坐骨神経に対する血管拡張性の反応が得られる可能性が示唆された。
著者
松本 孝朗 小坂 光男 菅屋 潤壹
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.65-69, 1999-08-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
20
被引用文献数
1

暑熱に繰り返し暴露されると, 暑熱による負荷を軽減する適応が生じる.規期の暑熱順化では, 発汗能の亢進により熱耐性が獲得される.一方, 長期暑熱順化した熱帯地住民は, 非蒸散性熱放散能に優れ, 少量の発汗で有効に熱放散を行える.その発汗抑制には発汗中枢の活動性抑制と汗腺のアセチルコリン感受性低下の両者が関与する.発汗量を減少させる長期暑熱順化は, 暑熱環境での生存のための経済性を重視した適応戦略であり, 発汗量を増加させる短期暑熱順化は暑熱環境下での行動能率を重視した適応戦略と言えよう.後者は脱水の危険をはらんでおり, 体液・浸透圧調節の面からは, 前者が優れている.発汗反応の点からは両者は両極に位置するが, 果たして短期暑熱順化の延長線上に長期暑熱順化が位置するのか否か, 興味深い.地球温暖化が危惧されている今日, 暑熱環境への適応は重要な課題となるであろう.