著者
三星 暢公 長舩 哲齊 Harvard LYMAN 松本 茂 小川 光哉 塔尾 武夫
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.31-39, 2001-11-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
23

The bacterial flora of the dohyo (sumo ring) has received little attention. If the flora are identified then treatment or prevention of any bacteriallesions or infections incurred by the wrestlers is possible. In the present study, using the automatic identification kit, the VITEK Auto Microbic System or Automatic Tests in Bacteriology, we describe the bacterial flora found in the dohyo over the four seasons of the year. Anaerobic bacteria, such as Clostridium tetani, were found, a possible source of serious infection. The exotoxin formed by Clostridium tetani, the causative agent of lockjaw tetanic spasm, is also neurotoxin. Nippon Sport Science University's dohyo is not a possible. source of infection by the spores of Clostridium tetani as the dohyo in the University is well maintained.
著者
松本 博之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1013-1017, 1993-11-01

I.はじめに 肢端紅痛症(erythromelalgia, erythermalgia)は,四肢末端の灼熱痛,紅潮,皮膚温の上昇を三主徴とする稀な症候群で,1872年にMitchell32)が初めて本症を記載した。皮膚科領域では皮膚紅痛症の用語も使用されている。現在,欧米で多用されているeryth—romelalgiaの語源はギリシャ語のerythros(赤い),me1os(四肢),algos(疼痛)であるが,Smith & Allen46)はこれでは主要症状である皮膚温上昇が表現されないので,erythrotes(赤い),therme(熱),algos(疼痛)を意味するerythermalgiaが適切であることを指摘し,本症を特発性と続発性とに分類することを提唱した。 Kurzrock & Cohen27)は成人期発症と小児期発症との分類を試みたが,これに対しては適切でないとの反論がある16)。症例の中には家族性11)のものや,常染色体優性遺伝19)を示すものも報告されている。
著者
田和 康太 細浦 大志 露木 颯 長谷川 雅美 佐久間 元成 遠藤 立 安東 正行 松本 充弘 黒沼 尚史 中村 圭吾 佐川 志朗
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.21-00033, (Released:2022-07-21)
参考文献数
60
被引用文献数
1

コウノトリの採餌環境として着目されている田中調節池において,魚類を対象とした生息状況調査を 2018 年および 2019 年に実施した.また,台風 19 号通過に伴う洪水前後での魚類の分布状況を比較することで,平水時の田中調節池における魚類の生息地としての問題点および今後の配慮方針について検討した.平水時の農閑期(2018 年 12 月)では,支線排水路における魚類の分類群数および個体数は少なく,魚類の全く採集されない調査区も存在した.また,同時期に幹線排水路で確認された魚類が末端排水路ではほとんど記録されなかった.洪水後の農閑期(2019 年 11 月~12 月)には,支線排水路において魚類の分類群数,個体数ともに洪水前に比べて顕著に増加し,洪水前にはみられなかったタモロコやメダカ属等が採集された.また,洪水前には乾燥していた支線排水路も洪水後には湛水され,ドジョウ等の魚類が採集された.洪水後の各支線排水路におけるドジョウの個体数や魚類全体の個体数および分類群数には泥深が正の効果を示し,底泥の柔らかい水路環境が魚類の越冬環境として好適と考えられた.2019 年の農繁期における水田調査では,カラドジョウの繁殖のみが田面で確認された.以上より,洪水によって利根川本川から幹線排水路,支線排水路まで水域が連続し,魚類の分布域が拡大することが示唆された.その一方で,平水時の支線排水路までの連続性は低く,農繁期に多種の魚類が田面まで遡上できないこと,農閑期には支線排水路で魚類が十分に越冬できないことが明らかになった.平水時の田中調節池における魚類の繁殖場所・越冬場所としての機能を高めるためには,特に幹線排水路と支線排水路,そして支線排水路と田面との落差を解消させること,さらに底泥の柔らかい水路区間を積極的に保全し,河道内のワンド等とも連続させることで魚類の越冬場所を確保することが重要と考えられた.その一方で,こうした取り組みによって外来種の分布域を拡大させる可能性があることにも留意し,健全な水域の連続性の確保を目指す必要があるだろう.
著者
松本 敏秀
出版者
仙台市科学館
雑誌
仙台市科学館研究報告 (ISSN:13450859)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.22-23, 2017 (Released:2021-09-07)

透明骨格標本の作製において,2015 年の研究でタンパク質の分解にパンクレアチンを使用することに成功したが,軟骨染色に失敗した。今回は軟骨を青く染めることができた。
著者
小野 眞紀子 大野 奈穂子 長谷川 一弘 田中 茂男 小宮 正道 松本 裕子 藤井 彰 秋元 芳明
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-85, 2008-08-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
34
被引用文献数
4

15種類のカルシウム拮抗薬による歯肉増殖症発生頻度を検討した.歯肉増殖症はamlodipine, diltiazem, manidipine, nicardipine, nifedipineおよびnisoldipine服用者に認められたが, azelnipine, barnidipine, benidipine, efonidipine, felodipine, flunarizine, nilvadipine, nitrendipineおよびverapamil服用者にはみられなった.最も高い発生頻度はnifedipine (7.6%) であり, diltiazem (4.1%) , manidipine (1.8%) , amlodipine (1.1%) , nisoldipine (1.1%) , nicardipine (0.5%) の順であった.Nifedipineによる歯肉増殖症発生頻度は, amlodipine, manidipine, nicardipine, nisoldipineの発生頻度と比較して有意に高かった.
著者
小野 秀樹 松本 欣三 太田 茂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

フェニルエチルアミン(PEA)は生体内に存在する微量アミンであり, 精神機能と関わりがあると考えられている. その化学構造や薬理作用は覚醒剤であるメタンフェタミン(MAP)のものと類似しているが, その作用機序は不明である. 本研究においては, PEAのラット脊髄の単シナプス反射増強の機序をMAPと比較しながら研究した. 麻酔ラットの腰部脊髄を露出し腰髄第5髄節の単シナプス反射を記録した. PEA(1mg/kg, iv, )は単シナプス反射を増強した. この増強はα_1-アドレナリン受容体を選択的に遮断するプラゾシンにより抑制された. さらにアミン類を枯渇するレセルピン処理, ノルアドレナリンの合成を阻害するジスルフィラム処理, 下行性ノルアドレナリン神経を破壊する6-ヒドロキシドパミン処理, およびすべての下行性神経を破壊する慢性的な脊髄切断処理もPEAの単シナプス反射増強効果を抑制した. MAP(0.3mg/kg, iv, )もPEAと同様に単シナプス反射を増強した. この増強効果も, α_1-遮断薬, ノルアドレナリン枯渇薬, ノルアドレナリン神経の破壊処理によって抑制され, MAPがPEAと同様の機序で単シナプス反射を増強することが示された. PEAとMAPの作用はセロトニン拮抗薬およびドパミン拮抗薬によっては影響されなかった. またPEAの効果はB型MAO阻害薬のデプレニルによって増強, 延長され, PEAが代謝されないで作用していることが示された. さらにPEAとMAPの単シナプス反射増強作用は血圧変化に起因するものではないことも示された. 以上, PEAおよびMAPは, 脳幹から脊髄へ下行するノルアドレナリン神経の終末からノルアドレナリンを放出させることにより, 単シナプス反射を増強, すなわち, 運動系を亢進させることが示された. さらにPEAが脊髄に比較的高濃度存在することから, PEAが脊髄運動系の調節になんらかの役割を持っている可能性が示された.
著者
松本 明子
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.55-68, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
179
被引用文献数
3 16

Human aldehyde dehydrogenase 2 (ALDH2) is a 56 kDa mitochondrial protein that forms homodimers through hydrogen bonding interactions between the Glu487 and Arg475 residues of two ALDH2 proteins. Two ALDH2 homodimers can interact to form an ALDH2 tetramer. ALDH2 is widely distributed throughout the organs of the body. In addition to its dehydrogenase activity, ALDH2 also exhibits esterase and reductase activities, with the main substrates for these three activities being aldehydes, 4-nitrophenyl acetate and nitroglycerin, respectively. ALDH2 can be readily inhibited by a wide variety of endogenous and exogenous chemicals, but the induction or activation of this enzyme remains unlikely. The polymorphism of ALDH2 to the corresponding ALDH2*2 variant results in a severe deficiency in ALDH2 activity, and this particular polymorphism is prevalent among people of Mongoloid descent. It seems reasonable to expect that people with the ALDH2*2 variant would be more vulnerable to stress and diseases because ALDH2 defends the human body against toxic aldehydes. However, it has been suggested that people with the ALDH2*2 variant are protected by alternative stress-defending systems. The ALDH2*2 variant has been reported to be associated with many different kinds of diseases, although the mechanisms underlying these associations have not yet been elucidated. ALDH2 polymorphism has a significant impact on human health; further studies are therefore required to determine the practical implications of this polymorphism in the fields of preventive and clinical medicine.
著者
今井 悦子 早川 文代 松本 美鈴 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.108-115, 2002-09-15 (Released:2013-08-15)
参考文献数
7

The effect of granular size on the preference of samples was examined by preparing patties from three kinds of ground meat, i.e., beef, pork and chicken, which had been passed through one of five plates with orifice diameters of 2.4 - 9.6mm. The difference in preference according to the granular size of the pork and beef samples were large, while that of chicken was small. The consistency by the panelists in their granular size preference for the pork samples was higher than that for the beef samples, but the preference for the chicken was inconsistent. The patties of the most-preferred granular size were those prepared from ground meat that had been passed through a plate with an orifice diameter of 3.4 or 4.8 mm. This result indicated that the preference was related the physical properties of the patties.
著者
富成 司 市丸 亮太 松本 千穂 平田 美智子 宮浦 千里 稲田 全規
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.59-66, 2019 (Released:2020-01-01)
参考文献数
20

カテキンは緑茶に含まれるポリフェノールであり,エピカテキン(epicatechin, EC),エピガロカテキン(epigallocatechin, EGC),エピカテキンガレート(epicatechin gallate, ECG),エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate, EGCG)の4種類が含まれる.これらカテキンは抗酸化作用などさまざまな生理活性を示すことが明らかとなっているが,骨代謝に対する効果については不明な点が多い.これまで,筆者らは,天然由来因子の骨代謝調節作用の解析や骨系統疾患への効果に着目し,ポリフェノールやカロテノイドについて,骨粗鬆症や歯周病への予防効果を検討してきた. カテキン類の中で,ガレート基を持つEGCGは強い生理活性を持つことが知られている.近年,特定の茶品種に高含有のメチル化EGCG(methylated EGCG, EGCG3’’Me)に生理活性があることが示された.筆者らは,これらカテキンに破骨細胞の分化抑制作用があることを見いだした.その作用機序として,EGCGおよびEGCG3’’Meが骨芽細胞に作用することで,IκBキナーゼ(inhibitor of NF-κB kinase, IKK)の活性阻害を介してNF-κB(nuclear factor κB)の活性化を抑制し,プロスタグランジン(prostaglandin, PG)E2産生,破骨細胞分化誘導因子(receptor activator of NF-κB ligand, RANKL)の発現を抑制することが明らかとなった. In vivo実験における歯周疾患のモデルマウスにおいては,歯周疾患原因子であるリポ多糖(lipopolysaccharide, LPS)の投与により誘導される歯槽骨吸収において,EGCGまたはEGCG3’’Meの投与によってその歯槽骨吸収が改善されることを明らかにした. 現在,日本の超高齢社会において,骨と歯の健康増進は生活の質(quality of life, QOL)の向上に繋がるため国民的課題となっている.EGCGの経口投与実験では,閉経後骨粗鬆症モデル動物におけるエストロゲン欠乏性の骨量減少が改善されたという報告もある.茶に高含有のカテキンは日常的な摂取が可能であり,歯周病など骨系統疾患に有用な機能性成分として期待される.そこで,本総説では,カテキンの中でも特に強力な生理活性を持つEGCGおよびEGCG3’’Meの骨代謝調節作用について最近の知見を紹介し,骨の健康増進作用について解説する.
著者
宇佐美 貴士 松本 俊彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1139-1148, 2020-08-15

抄録 わが国における10代の薬物乱用の実態を調査するために,全国の有床精神科医療施設を対象に実施した病院調査から得られた10代の薬物関連精神障害症例71例を比較検討した。危険ドラッグは2014年調査の48%から2018年調査で0%へと低下し,市販薬は2014年調査の0%から2018年調査で41.2%へと増加し,乱用薬物が危険ドラッグから市販薬へと推移していた。2014年の危険ドラッグ乱用群と2018年の市販薬乱用群を比較すると,学歴やICD-10 F1分類の下位診断カテゴリー,併存障害が異なり,臨床現場において,新たな薬物乱用層が出現していることが示唆された。得られた知見から今後のわが国の薬物乱用防止教育と精神科医療に求められることについて考察を行った。
著者
丸山 祥 松本 仁美 岡和田 愛実 新藤 恵一郎 赤星 和人 金子 文成
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.1437-1442, 2020-12-15

Abstract:脳卒中後の重度上肢麻痺に対する視覚誘導性自己錯覚(KINVIS)療法と従来型運動療法による複合療法に,Aid for Decision-Making in Occupation Choice for Hand(ADOC-H)を加えたアプローチによって日常生活での手の使用に変化がみられたので報告する.患者は50代男性で,左脳梗塞発症後3.5年経過していた.介入(10日間)は,①視覚誘導性自己錯覚療法,②従来型運動療法,③ADOC-Hを用いたアプローチを毎日行った(③のみ7日間).結果,上肢運動機能の改善を認め,日常生活での麻痺手の使用が増加した.本結果は,視覚誘導性自己錯覚療法と従来型運動療法によって運動機能改善が得られ,さらにADOC-Hを用いたアプローチによって日常生活での麻痺手の使用が促進することを示唆している.
著者
鎌田 智有 春間 賢 井上 和彦 石井 学 村尾 高久 山中 義之 藤田 穣 松本 啓志 眞部 紀明 楠 裕明 畠 二郎 塩谷 昭子 高尾 俊弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.750-758, 2016-05-25

要旨●H. pylori感染胃炎に対する除菌治療が2013年2月に保険認可された.現在,除菌による胃癌の予防が期待されているが,その一方で除菌後に胃癌が発見される症例も臨床上少なくない.除菌後10年未満と除菌後10年以上で発見された症例での臨床的特徴を比較検討した結果,10年以上で発見された胃癌は腫瘍径20mm大以下の比較的小さな病変であり,2次癌の比率が有意に高率であった.共通する特徴として,両群共に非噴門部領域に発生する0-IIc型病変を中心とした分化型早期癌であり,胃体部には高度な萎縮性変化を伴っていた.このような症例では,除菌から長期が経過しても胃癌発生のリスクが残存することを理解しておくことが重要である.
著者
松本 啓太 善方 日出夫
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.46-50, 2017-04-20 (Released:2018-05-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ユーザー体験(UX)に基づいてインタラクティブシステムを評価するための質問紙を開発することを目的に行った本研究は,利用体験それ自体ではなく,ユーザビリティや実用性を含むシステム全体を評価する点を特徴としている.質問項目は,既存の関連規格,文献,先行研究,独自のエピソード分析から得られたUXに関する構成概念や個別要素をベースとし,人間工学・心理学の専門家,UXデザインや品質評価に関わる実務担当者らによって検討,試行,修正を行い策定した.最終的に,「利用可能度」5項目,「役立ち度」7項目,「共感度」7項目の19項目,および補足項目からなるβ版を開発し,運用を行っている.今後は,継続的にフィードバックを得ながら,実効性の高い質問紙に改善していく予定である.
著者
松本 敏治 崎原 秀樹 菊地 一文
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.113, pp.93-104, 2015-03-27

松本(2011, 2014)は、特別支援教育関係の教員に対してASD・ID およびTD の方言使用についての調査を行い、ASD において顕著に方言使用が少ないとする結果を得ている。松本・崎原・菊地(2013)は、方言の社会的機能説にもとづく解釈仮説を提出し、ASD の方言不使用の原因を対人的・社会的障害に求めている。しかしながら、幼児ASD においても方言不使用がみられるとの報告があり、上記の仮説では、この現象を十分に説明出来なかった。そこで、ASD 幼児の方言不使用について、理論検討を行った。本論では、ASD とTD の“模倣”にみられる違いを端緒として、共同注意・意図読み等他者の心的状態についての理解が自然言語習得に及ぼす影響を議論するとともに、それらに困難を抱えるASD の言語習得のあり方を想定することで、ASD 幼児の方言不使用という現象を解釈しようと試みた。また、方言の社会的機能説による解釈についても心的状態の理解の側面から再検討した。
著者
松本 浩子 内田 敬 楊川 優太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_491-I_500, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
6

視覚障碍者の街歩き支援として「ことばの地図」を用いた音声ARアプリの実用化研究を進めてきた.しかし,歩行時は危険との隣り合わせで,初めて訪れる街で安全に使用し,正しく情報を理解することは困難である.そこで屋内で,音声ARアプリと実都市の臨場感を再現した環境音を用いたバーチャル散歩システムによる予習環境を試行している.将来的には,バーチャル散歩システムを改善し,晴眼者がガイドマップや Google「ストリート・ビュー」などで享受している疑似旅行・外出体験と同様の経験機会を,視覚障碍者に対して聴覚情報として提供する「ことばの観光地マップ」の作成を目指す. 本論文では,まずことばの観光地マップについて概説する.次に,実験計画・内容を示し,実験結果をまとめ,今後の展開を示す.
著者
前納 玲 松本 正生
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.61-72, 2019

(株)グリーン・シップは,「寄付型ショートメール調査」と名付けた独自方式の調査を2018 年4 月から毎月実施している。この調査は対象者のスマートフォンに架電し,調査への協力意思を確認した後,ショートメール(SMS)を送信する。架電対象をスマートフォンに限定しているのは,若年層にとって最も身近な通信デバイスだからである。また,現行の世論調査や情勢調査に代わる新方式を開発するための実験的な試みでもある。Since April 2018, Green Ship Co., Ltd., has performed a monthly survey using an original method referred to as “donation-type SMS survey”. To conduct the survey, the company calls potential respondents on their smartphones to confirm their participation and then sends the survey via SMS. The company only calls participants with smartphones in order to target the younger demographic. The survey is also an experiment in developing a new method to replace current opinion polls and attitude surveys.