著者
松永 寿人
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-23, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
40

ICD-11に新設された「強迫症および関連症群(obsessive-compulsive and related disorders ; OCRD)」について,強迫症を主とした強迫スペクトラムの導入,あるいは他の不安障害からの分離といったDSM-5でこの領域になされた改訂との連続性を中心に概説した。OCRDは1990年ごろに提唱された強迫スペクトラム概念を基盤としており,これに分類される精神疾患は,「とらわれ」と「繰り返し行為」を中核的病理として共有し,また不安症との差異として,病的不安を必ずしも伴わないこと,妄想的な場合など洞察水準が多様であること,などが特徴的である。さらにはプライマリケアに加え,内科や外科,皮膚科といった一般診療科,美容整形外科など,多彩な臨床場面で遭遇しやすい点もOCRD内で共通している。このため今回の改変は,ICD-11が目指す臨床的有用性を大いに配慮したものであるが,これが実臨床にもたらすメリット・デメリットに関して,その妥当性あるいは信頼性を含め,さらに検討を要するであろう。
著者
松永 真理 日置 弘一郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.4-13, 1996 (Released:2022-07-22)

女性についての組織論的研究は,当初の女性への制度的不平等の現実関心から,現在では組織論のレベルでの問題関心によって論じられる必要がある.制度的に不平等が存在している場合には,それを指摘するだけで十分な問題提起になり得たが,理論的なレベルでは,女性の組織行動を扱う理論枠組みが必要となっている.本論文では実務と理論の双方から,女性の役割モデルとしての家刀自の概念を提出する.
著者
松本 卓也 松永 篤彦 原 美弥子 齊藤 正和 米澤 隆介 石井 玲 忽那 俊樹 山本 壱弥 増田 卓
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.315-326, 2008-06-01 (Released:2008-08-13)
参考文献数
32
被引用文献数
4 5

PURPOSE : The purpose of this study was to clarify the effects of prolonged expiration (PE) on respiratory and cardiovascular responses and autonomic nervous activity during the exercise.METHODS : Twenty-five healthy men (22±1years) were classified according to the breathing mode during the exercise : 2-second inspiration and 4-second expiration in 1 : 2 group, 3-second inspiration and 3-second expiration in 1 : 1 group and normal breathing in control group. The 6-minute exercise was performed at anaerobic threshold (AT) and 60%AT using a cycle ergometer as an exercise protocol. Respiratory rate (RR) and tidal volume (TV) were measured by the expired gas analysis. The power of low- (LF) and high-frequency components (HF) was analyzed from a Holter electrocardiogram to assess the heart rate variability. RESULTS : RR and LF/HF were significantly lower, TV and HF were significantly higher during the exercise of 60%AT and AT in the 1 : 1 and 1 : 2 groups than in the control group (P<0.05 or P<0.01). The increase of HR was significantly lower and that of HF was significantly higher during the exercise at 60%AT in the 1 : 2 group than in the 1 : 1 group (P<0.05). CONCLUSION : PE activated the parasympathetic nervous activity and consequently restrained an excessive increase of HR during the exercise at 60%AT.
著者
吉澤 隆志 松永 秀俊 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.677-680, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
25

〔目的〕男女における下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べることを目的とした.[対象]下肢に問題のない健常成人48名とした.〔方法〕StrengthErgoにより左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクを測定した.また,Hand Held Dynamometerにより左右の体重比膝伸展筋力を測定した.その後,下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べた.〔結果〕男女間での下肢伸展トルクについて有意差が認められたが,膝伸展筋力については有意差は認められなかった.また,男性では下肢伸展トルクと膝伸展筋力との間に中等度の相関がみられたが,女性では相関がみられなかった.〔結語〕男女における下肢伸展トルク発揮に対する膝伸展筋力の関与の違いがみられた.
著者
吉澤 隆志 松永 秀俊 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.583-586, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
4 2

〔目的〕下肢伸展トルクと股屈伸筋力との関係を検討するために,StrengthErgoにより測定した下肢伸展トルクと,Hand Held Dynamometer により測定した股関節屈伸筋力との相関を調べた.[対象]下肢に問題のない健常成人50名とした.[方法]左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクと,左右の体重比股関節屈伸筋力を測定した.次に,左右の下肢伸展トルクと股関節屈伸筋力との関係をスピアマンの相関係数を用いて調べた.[結果]左右の下肢伸展トルクは股関節屈曲筋力との間に強い相関,股関節伸展筋力との間に弱い相関が見られた.[結語]下肢伸展トルク発揮について股屈伸筋力の関与が示唆された.
著者
髙橋 等 野﨑 英二 松永 由弥子
雑誌
静岡産業大学 情報学部 研究紀要 = Journal of Shizuoka Sangyo University
巻号頁・発行日
no.24,

近年、小学校におけるプログラミング教育の導入等が話題となり、学校教育における情報教育が注目されている。本学においても 2001( 平成 13) 年度より、高校「情報」科の教員養成のための教職課程を開設し、2021( 令和 3) 年度までの 20 年間で、計 163 名の「情報」科教員免許状取得者を輩出してきた。静岡県の「情報」科教員 18 名中 5 名が本学卒業生であることは特筆すべきことである。このような本学教職課程 ( 情報 ) の存在意義も含め、特に高校における情報教育の変遷を考察し、今後の情報教育のあり方を展望した。
著者
松永 剛 水野 博之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2012年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.151-154, 2012 (Released:2013-01-30)

長野県小布施町は、1970年代には、過疎課題を抱えていた。しかし地元の民間企業や行政が地域資源の再確認からスタートし、特産品の地域ブランド化、街並みの修景事業や歴史資産を活かした文化事業などに地域活性化の取組領域を広げた。地域活性化の推進手法に関しても、地域住民の巻き込み、外国人や知識人の活用なども進め、継続的な情報発信で継続的に共感を呼ぶマーケティング手法を確立し、活性化の成果を持続的にあげてきた。本研究では、「成功する地域活性化=街づくりのイノベーション」と捉え、小布施町の取組みを事例とし、その経年分析ならびに取組手法の分析から地方における地域活性化の成功モデルの導出を試みる。
著者
松永 勝彦
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-6, 2000 (Released:2013-02-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
松永 亨 山本 好一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11special, pp.2687-2692, 1985-11-25 (Released:2011-11-04)
参考文献数
14

This study was performed to determine whether electrical stimulation of the autonomic centers, that is, the medial nuclei of the hypothalamus in the diencephalon causes asymmetric per-rotational nystagmus (PRN) in healthy or sympathectomized rabbits. The superior cervical ganglion was removed on one or both sides. Asymmetric PRN occurred very rarely in normal or bilaterally sympathoectomized animals, while directional preponderance (DP) appeared in more than half of the recordings in unilaterally sympathectomized animals. Although the rise in blood pressure (BP) during the intravenous influsion of norepinephrine in unilaterally sympathectomized animals also caused significant DP (previous paper), it was less than the degree of DP appearing with the same increment of BP caused by hypothalamic stimulation. Three of 5 animals with asymmetric PRN caused by stimulation showed side differences of cerebellar oxygen tension.These findings show that asymmetric PRN following hypothalamic stimulation can be explained by a neural action on the vestibular neurons from the hypothalamus via the brainstem reticular formation or the cerebellum in addition to the asymmetric vertebral blood flow induced by symathetic vasoconstriction. We propose that this experimental model shows how psychogenic vertigo and/or dizziness can originate from distrubances of the central autonomic nervous system.
著者
松永 要一 若山 彩 小澤 賢二郎 鳴本 敬一郎 杉村 基
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.30-35, 2015-10

子宮の大きさ(子宮サイズ)を評価する指標として、Ellips 法を用いた子宮最大矢状面における近似楕円面積値の有用性はこれまでに評価されていない。また、子宮サイズが正常範囲内かどうかを判断するための基準となる、指標計測値の年齢別分布の報告は乏しい。本研究の目的は、Ellips 法による子宮近似楕円面積の年齢別分布を作成し、子宮サイズを評価する有用性について検討することである。 検診施設や産婦人科施設へ受診した患者の経腟超音波検査3789 画像のうち、妊娠子宮および子宮異常を除いた2099 画像を分析対象とした。Ellips 法による近似楕円面積値と子宮長径、短径の年齢別分布図を作成し、それらの変動係数を分析した。 近似楕円面積、子宮長径、短径いずれの計測値も閉経後に縮小傾向がみられた。近似楕円面積測定は子宮長径や短径と比較して変動係数が大きく、測定値の収斂性が低い可能性が示唆された。
著者
岡 桃子 山梨 裕美 岡部 光太 松永 雅之 平田 聡
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.107-116, 2019

<p>飼育下の大型ネコ科動物で問題とされている常同歩行の発現には環境エンリッチメント(以下エンリッチメント)の有無や来園者の影響など複数の要因が絡んでいると考えられるが、複合的な検討は行われていない。そこで本研究ではエンリッチメントの有効性及び来園者数と気温がトラの行動に与える影響について検証した。京都市動物園で飼育されているアムールトラ3頭を対象とし、 3分毎の瞬間サンプリングを用いて行動を記録した。放飼場内に設置するエンリッチメントの種類が多いと、トラの常同歩行頻度は有意に減少し(<i>P</i> < 0.05)、エンリッチメントの利用頻度が有意に増加した(<i>P </i>< 0.01)。複数のエンリッチメントの設置はトラの常同歩行の抑制に効果的であり、探索行動や捕食行動等多様な行動を引き出す上で有用であることが示唆された。また来園者の存在によって、トラの休息頻度が増加、エンリッチメントの利用頻度が低下する可能性があると考えられた。</p>
著者
松永 浩史
出版者
日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.66-70, 2020
被引用文献数
2

2021年の5月9日~13日にかけて,国際木材保存会議(IRG52)日本大会が沼津で開催される。2001年の奈良大会(IRG32)以来,20年ぶりの日本開催となる。日本木材保存協会は,IRG52大会組織委員会とIRG52大会実行委員会を立ち上げ,久方ぶりの日本開催を円滑に進める観点から,ここ数年のIRG大会参加への渡航助成や大会参加ツアー,発表プロシーディングの文献抄録紹介(当協会発行の木材保存に掲載)といった機運を高める取組を進めている。この総説もこういった取組の一つである。奈良大会以降のIRG大会を幾つかの期間に分け,各大会の概要を学術的な面や技術開発の側面からおさらいして,世界の木材保存研究の潮流を見渡すことを目的としている。今回は,前報(IRG33(2002年)~IRG37(2006年))に続いて,IRG38(2007年)~IRG40(2009年)を整理する。なお,2008年は本大会とは別にアメリカ地域大会が別途開催されたので,これについても整理する。
著者
田中 皓介 稲垣 具志 岩田 圭佑 大西 正光 神田 佑亮 紀伊 雅敦 栗原 剛 小池 淳司 佐々木 邦明 佐々木 葉 Schmöcker Jan-Dirk 白水 靖郎 泊 尚志 兵藤 哲朗 藤井 聡 藤原 章正 松田 曜子 松永 千晶 松本 浩和 吉田 樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.129-140, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本稿ではCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握することを目的にWebアンケート調査を行った.その結果,感染・死亡リスクを,現実の数倍~数千倍過大に評価している様子が明らかとなった.また,接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低く,周知活動の問題点を指摘した.さらに,緊急事態宣言に対する65%以上の支持率や,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いこと,行動決定のために参考にするのはキャスターや評論家や政治家よりも「専門家の意見」の影響が大きいことなどが明らかとなった.