著者
上田 実 入江 一浩 渡邉 秀典 品田 哲郎 小林 資正 叶 直樹 岡本 隆一 松永 茂樹 井本 正哉 半田 宏 渡辺 肇 佐々木 誠 木越 英夫 西川 俊夫 石橋 正己
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

共同研究による本学術領域の推進により、多くの天然物の標的決定が行われた。これは、天然物化学者と生物学者の共同研究によって、ビーズテクノロジーの天然物への応用が拡大したこと、ならびに数多くの標的同定法が試行されたためである。これらの成果によって、多くの天然物が種標的と同時に複数のオフターゲットと結合することが明らかになった。天然物リガンドは、従前の理解のように、生体内において「鍵と鍵穴」の様に極めて特異性の高い作用機構を持つのではなく、生体内で「鍵束」のように機能し、複数の錠前と相互作用することを示している。本領域の研究成果によって、天然物リガンドの作用に関する理解は大きく変化したと言える。
著者
松永 智子
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.235-247, 2013-03-28

This study was performed to explore the nature of readers' experiences with English-language newspapers in occupied Japan. Focusing on Nippon Times, an English-language paper managed by Japanese but controlled by the GHQ in 1945-1951, this study shows how global media, such as English papers, cause their writers and readers identify with their own culture and nationality. Originally, Nippon Times was established to improve Japanese international relations in 1897. After the Manchurian Incident in 1931, the paper was expected to function as Japanese propaganda but after World War II, it became a mouthpiece for the GHQ. However, the newsroom included multicultural staff such as Japanese-Americans, and under the censorship of the GHQ, they identified themselves as a medium to express themselves to GHQ on behalf of the Japanese people. During the occupation, the paper's main readership was the American military and their family members in Japan, but many Japanese people subscribed to study English. Articles about Japan in English functioned as instructive texts for students and some readers actively tried to express their opinions to an international audience. Some Japanese readers actively tried to translate their domestic opinions into international ones. Through the examination of such articles written by Japanese, Nippon Times was an educational medium enhancing Japanese identity, portraying an internationalized Japan.
著者
山田 智一 松永 昭一 川端 豪 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.198-205, 1994-02-25
被引用文献数
19

仮名・漢字の文字連鎖確率に基づく統計的言語モデルを利用した日本語Dictationシステムについて述べる.日本語の統計的言語モデルとして,仮名・漢字の文字連鎖確率(次に出現する文字の,既に出現した2文字による条件付き確率)に基づくモデルを利用した方が,従来の音韻や音節の連鎖確率に基づくモデルよりも有効であることを,パープレキシティ(情報論的な意味での平均分枝数)に基づいて検討する.更に,仮名・漢字連鎖のモデルを用いた日本語Dictationシステムを構築し,(1)仮名・漢字連鎖確率のみによるモデルを利用した場合,(2)(1)モデルと読みの辞書を用いて,出力された漢字仮名混じり系列に対する読みを考慮した場合,(3)あらかじめ読みを考慮して作成した,仮名・漢字連鎖確率によるモデルを用いた場合について,パープレキシティとシステムの文字変換率(正解表記に用いられる文字を,出力文字系列がいくつ含んでいるか),文節変換率(出力文字系列がすべて正しく,かつその読みも正しいものの割合)で比較・検討する.国際会議の問合せに関するタスクにおいて,特定話者1名による,語いの仮定なしでの274文節の変換実験に対し,(3)の場合に,文節変換率65.0%,文字変換率79.0%を達成した.
著者
本田 卓士 松永 力 金谷 健一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-8, 2012-11-26

空間をわずかに移動する複数の点の移動前後の位置を 3 次元センサーで計測し,どのような並進,回転,スケール変化が生じているのか,あるいは生じていないのかを判断するモデル選択のために,誤差のある 3 次元データにさまざまな運動モデルを最適に当てはめる新しい方法を提案する.これは, 3 次元アフィン変換の部分群が変数にさまざまな内部拘束を指定して得られることに着目して,内部拘束をもつ 3 次元アフィン変換を拡張 FNS 法によって計算するものである.これにより,従来のように運動ごとに別々のパラメータを導入する必要がなく,すべての部分群が同一の方法で計算できる.この手法をステレオ視による 3 次元シミュレーションデータに対する幾何学的 AIC,幾何学的 BIC,幾何学的 MDL を用いたモデル選択に応用する.Given 3-D sensing data of points slightly moving in space, we consider the problem of discerning whether or not translation, rotation, and scale change take place and to what extent. For this purpose, we propose a new method for fitting various motion models to 3-D noisy data. Based on the observation that subgroups of the 3-D affine transformations are defined by imposing various internal constraints on the variables, our method fits 3-D affine transformations with internal constraints using the scheme of EFNS, which, unlike conventional methods, dispenses with particular parameterizations for particular motion models. We apply our method to simulated stereo vision data and show how model selection using the geometric AIC, the geometric BIC and the geometric MDL works.
著者
高橋 将一 小松 邦彦 松永 亮一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.67, pp.59-61, 2001-05-15

子実の青臭み(豆臭さ、豆腐臭さ)発生に関与する酵素, リポキシゲナーゼL-1, L-2及びL-3の全てを欠失した大豆品種は, 飲用豆乳や豆乳を素材とするデザート類に対する加工適性が高いだけでなく、小麦粉、卵などの他の食品素材と一緒に用いた場合にでも、加工食品中の過酸化脂質の生成を低レベルに抑え、風味・食味に優れた大豆加工食品を得ることができるなど、従来の大豆にない優れた利用特性が認められる(西場ら 1993, 古田ら 1993, 須田ら 1993). これまでリポキシゲナーゼ欠失大豆として「ゆめゆたか(L-2, L-3欠)」(喜多村ら 1992)と「いちひめ(全欠)」(羽鹿ら 1997)が育成されているが, 両品種の栽培適地は南東北から北関東地域に限定される. 現在, 「いちひめ」は豆乳原料として栃木県のみで生産されているため, 不作になると, 当年度における実需者の必要量を満たすことができなくなるばかりか, 安定供給の不確実性が今後の需要拡大の大きな支障となっている. 安定供給を図ることが問題解決に重要であり, 暖地での栽培に適する品種育成が要望されてきた.
著者
安浦 寛人 村上 和彰 黒木 幸令 櫻井 幸一 佐藤 寿倫 篠崎 彰彦 VASILY Moshnyaga 金谷 晴一 松永 裕介 井上 創造 中西 恒夫 井上 弘士 宮崎 明雄
出版者
九州大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002

本研究では,システムLSI設計技術を今後の高度情報化社会を支える基盤情報技術ととらえ,システムLSIに十分な機能・性能・品質・安全性・信頼性を与えるための統合的な設計技術の確立を目指す.1.高機能・高性能なシステムLSIを短期間に設計する技術では,無線通信機能を有するシステムLSI設計技術の研究を行い,シリコンチップ上にコンパクトで安定なRFフロントエンドを実現するためにコプレナー線路を通常のCMOSプロセスで形成する技術を確立した.また,新しい可変構造アーキテクチャとしてSysteMorphやRedifisプロセッサを提案し,それに対する自動設計ツールとしてRedifisツール群を開発した.2.必要最小限のエネルギー消費を実現する技術としては,データのビット幅の制御,アーキテクチャの工夫,回路およびプロセスレベルでのエネルギー削減技術,通信システム全体の低消費エネルギー化設計手法などを構築した.3.社会基盤に求められる信頼性・安全性を実現する技術としては,安全性・信頼性を向上させるための技術として,ハッシュ関数や暗号用の回路の設計や評価を行った.また,電子投票システムや競売システムなどの社会システムの安全性を保証する新しい仕組みや,セキュリティと消費電力および性能のトレードオフに関する提案も行った.4.社会システムの実例として,個人ID管理の仕組みとしてMIID(Media Independent ID)を提案し,権利・権限の管理なども行えるシステムへと発展させた.九州大学の全学共通ICカードへの本格的な採用に向けて,伊都キャンパスの4000名の職員、学生にICカードを配布して実証実験を行った.本研究を通じて,社会情報基盤のあり方とそこで用いられるシステムLSIの研究課題を明示した.RFIDや電子マネーへの利用についても利用者や運用者の視点からの可能性と問題点をまとめることができた.
著者
松永 俊男
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学キリスト教論集 (ISSN:0286973X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.81-95, 2001-03-01

1996年6月にヴァチカン天文台で,進化論と分子生物学に関する会議が開かれ,27人の諸分野の研究者が1週間にわたって議論を続けた。この会議に基づく論文集『進化生物学と分子生物学:神の行為についての科学的考察』が1998年に刊行された。本稿はこの論集に基づいて,現代のカトリック神学で進化論がどのように解釈されているかを考察するものである。教皇ヨハネ・パウロ2世(在位1978-)は,この会議の直後の1996年10月22日付で教皇庁科学アカデミーに進化論に関する書簡を送付しているが,これについては前稿で紹介し,進化論に対するカトリック教会の態度の変遷を概観した。本稿では,カトリックの神学者が,進化論と信仰の関係をいかに理解しているかを見ていきたい。
著者
松永 和人 中西 裕二 片多 順
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

松永は,仏教が定着していない鹿児島県徳之島において,死の儀礼にかかわって「神葬祭」の研究調査を実施し,死者が死後神となるプロセスを分析した。当地において家内部には先祖神のみが祭られ,死者と先祖神とのかかわりにおいて死の観念上よくいわれている死の穢れということはいえず,死の穢れの概念は,本土と比較するとき,ムラの氏神に祭られている神その他外来神とのかかわりで認められるということがいえそうである。そのために,死の穢れの観念を神の種類との関係において分析的にみる必要があるということが研究調査の一つの結果である。片多は,人口100万人以上の社会としては世界一長寿である沖縄を調査地に,長寿の社会文化的要点を分析し,とくに健康と長寿を祝う沖縄に独特の儀礼を焦点に研究した。その結果,数え年85歳,97歳に行われる儀礼が,天寿を全うし安らかに死を迎える準備として機能していることが判明した。また,このような長寿儀礼は沖縄の伝統文化が生みだした人生終末期の儀礼であり,(1)仮葬儀の意味合いをもつ,(2)この機会に人々のつながりが再確認,再強化される,(3)長寿者の死への移行をスムースにする,などから長寿から死への通過儀礼としてとらえられることを提起した。中西は,沖縄において数え年の13歳から97歳まで12年毎に行われるトゥシビ-と呼ばれる年祝いの儀礼に注目し,中でも88歳のトウカチ,97歳のカジマヤ-の現地調査を行った。具体的には沖縄県北部の名護市と本部市をフィールドに,長寿を祝う儀礼についての民俗知識や観念についての聞き取り調査と参与観察を実施した。その結果,長寿儀礼の中に高齢者をめぐるコミュニティーの紐帯の強さを確認できた。しかし,その伝統が儀礼を家単位で行う傾向とともに弱体化する可能性を示唆した。また,長寿者に「アヤカル」という観念と行為を長寿以外の文脈でみていくことが今後の課題として残された。
著者
中須賀 真一 森 治 矢入 健久 松永 三郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

東京大学・東京工業大学の学生が手作りで製作を進めてきた10cm立方,1kgの超小型衛星CubeSat"XI(サイ)"および"CUTE-1"は最終的な機能試験を行い、平行して衛星の国際標識(Spage Warn)の登録、使用周波数に認可と衛星局・地上局の免許取得、輸出許可申請などの手続きを行い、日本での作業を完了した。2003年6月に打ち上げ射場であるロシア・プレセツク宇宙基地に学生・教官の手で輸送され、ROCKOTという3段ロケット上段に取り付けられる作業までを共同で実施した。同ロケットは6月30日23時15分(日本時間)に成功裡に打ち上げられた.7月1日午前0:48に高度824kmの太陽同期円軌道に投入され,その後順調に飛行し,午前4時すぎに日本上空を通過する際に,東京大学および東京工業大学の地上局にてビーコンが受信された。投入軌道は予定通りで,正常に起動・分離・アンテナ展開されたことが確認できた.その後、両大学において、順調に軌道上運用が行われ、それぞれに計画していた種々の展開実験、通信実験,地球画像の撮像とそのダウンリンク実験,姿勢運動の推定などの実験を行ってきた。8ヶ月たった2004年2月末においてもまったく異常なく動作を続けている。これらの実績は、宇宙開発、特に衛星分野における大学の存在を示した点で、また民生品を用いた低コスト・短期間開発の超小型衛星バスでも軌道上で正常に動作することができることを示した点で、大きな成果であったと考えられる。また、打ち上げに向けて実施した種々の国際調整や手続きは貴重な経験であり、今後大学で衛星を開発しようというグループにとって有益な情報をもたらすであろう。また、超小型衛星の軌道上運用の方法を実践的に獲得し、新しいプロトコルや地上局ネットワークを試行し効果があることを確かめられたことも、今後の超小型衛星の軌道上運用にとって大きな成果であると考える。
著者
金子 由芳 松永 宣明 駿河 輝和 太田 博史 藤田 誠一 香川 孝三 三重野 文晴 川畑 康治
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アセアン諸国の従来の制度構築は、欧米モデルの端的な移植、あるいは多国籍企業の便宜に応える設計に重きが置かれてきた。本研究は、中小企業の利益に根ざした制度構築の課題を、グローバリゼーションにおける中小企業政策、コーポレート・ガバナンス、金融促進、労働者の保護育成、などの多角的視点から、経済学と法学の融合的アプローチを通じて分析することをめざした。成果として、中小企業の技術効率の総合的な評価手法、中小企業の効率の特殊要因を反映した中小企業政策、企業経営判断と企業規模分布の関係性の複合要因、輸出志向型産業への労働移動の貧困削減効果、輸出牽引型産業における金融部門の貢献の限定性、中小企業促進に立った教育政策・労働法制の見直し、閉鎖会社・無限責任会社に重点を置いた企業法制の見直し、といった諸点が明らかにされた。
著者
福田 誠治 遠藤 忠 岩崎 正吾 袴田 邦子 関 啓子 松永 裕二
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、これまでの経験の蓄積をもちながらすでに変化を始めているロシアをフィールドとして、教育の多様化・個別化を総合的に検討しながら、英才教育の歴史的展開の研究、今日の学校多様化の実地研究、学校多様化の制度モデルの構築を行うことである。初年度はモスクワ、ヤロスラブリ、カザン、また次年度はモスクワ、サマーラ、ノボシビルスクの現地調査を行った。これによって政策、実施状況、実施上の問題点などを明らかにしてきた。これと関連して、2003年3月には「ロシアにおける英才教育と学校の多様化・個性化に関する総合的調査研究-中間報告」を、および2004年9月には「ロシアにおける英才教育と学校の多様化・個性化に関する総合的調査研究-中間報告2」を編集し、刊行した。また、ロシアにおけるエリート教育の国内研究として月1回の研究会と年1回の合宿を継続した。これは、研究分担者がそれぞれの専門性を発揮して研究を進め、毎月、国立教育政策研究所を会場にして研究会を開催するものである。とりわけ、今年度は、ロシアからの行政関係者ならびに研究者を招聘した国際会議を開催し、会議資料を編集・刊行した。国際会議は、2004年11月22日に、国立教育政策研究所(東京都目黒区)にて開催された。川野辺敏「あいさつ」に引き続いて、モスクワ市教育政庁普通教育局長オリガ・ジェルジツカヤ氏が「モスクワ市における英才教育の実践と課題」を報告し、質疑応答に入った。続いて、ロシア連邦教育科学アカデミー心理学研究所ナタリヤ・シュマコーワ氏が「英才を育てる、『星座』の実践から」を報告し、質疑応答を行った。さらに、ジェルジツカヤ、シュマコーワ、福田誠治でパネルディスカッション「ロシアの英才教育」を行った。参加者は、国立教育研究所などの研究員と、関東近県のスーパーハイスクールの教員、国内ロシア教育研究者、および本研究の研究参加者など30名余である。以上の成果をもとに、成果報告書を作成した。さらに、この成果は、2005年6月の比較教育学会にて共同発表される。
著者
松永 泰弘
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ものづくり大好きな子どもたちを育てる創意工夫教材の開発と教育実践による検証を行った。機能性材料を用いた教材(形状記憶合金エンジン)と2足歩行教材(受動歩行模型, サーボモータを用いた2足歩行ロボット)を中心に教材開発を行い, 小学校(7校20クラス), 中学校(2校)において授業実践し, 教材としての有効性を検証した。教材の不思議・驚きが子どもたちの興味関心を引き起こし, 創意工夫可能な教材であり, 学校全体, 家庭も巻き込むことができる教材であることが明らかとなった。
著者
松永 修一 岸江 信介
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

松永・岸江が収集した南九州、特に宮崎県・鹿児島県における在来方言の自然度の高い談話資料のアナログデータをデジタル化し、文字化と音声データの公開の準備を整えることができた。文字化資料の一部は冊子体で公開した。また、新たに奄美大島での調査を進め、奄美大島本島だけでなく、徳之島、加計呂麻島での臨地調査を行い、46 地点の高品質な音声と映像による話者の発話情報を記録・収集し音声言語地図の準備を完了した。