著者
松永 裕
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取によってミトコンドリアの生合成が高まることが報告される一方で、分解機構に与える影響について詳細は明らかではない。この分解機構はミトコンドリアの品質管理を行う上で重要な働きを担う。そこで本研究では、BCAAの摂取がミトコンドリアの分解機構に与える影響を明らかにする。本研究により、BCAAの摂取がミトコンドリアの制御にどのような影響を与えるのかについて合成および分解の両視点から明らかにすることが可能となる。さらに、BCAAの新たな生理機能の発見につながることや、スポーツ現場に対して科学的根拠に基づいた栄養摂取方法を提供する一助となることが期待される。
著者
野口 岩男 森 有永 清水 弘一 松永 昂
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.326-330, 1965-11-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
9

1.膜電位を細胞内電極を用いて測つた正常Krebs液での平均値は-55mVで-65~-45mVの拡りを示した.2.KCI濃度の変化に伴い高濃度域ではNernstの理論式にしたがいKCI濃度の対数と膜電位との間には直接関係が成立し直線部分では濃度が10倍となると膜電位は32mVだけ低下した.3.Krebs液中のNaClを等張sucrose, cholineなどで置換すると膜電位は前者ではあまり変化せず, 後者では過分極が起こつた.4.NaClをsucrose置換したKrebs液内でCaC12増加は多少の過分極がみられた.5.CaCl2減少では膜電位は1/7倍ではあまり変化がなかつたがCaCl2を全く除くと多少過分極を示した.この場合1/7倍CaCl2環境では40mVの自発性の活動電位を発生し, 無CaCl2環境では10mVの自発性の活動電位を発生した.6.Achによつて著しい脱分極をみた.稿を終るに臨み, 御懇篤なる御指導を賜つた井上清恒教授に深く感謝の意を表します.
著者
姫野 泰雄 稲垣 雅男 後藤 剛 阿波 純二 土井 修 松永 和夫 藤野 俊夫 光藤 和明 福田 博司
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.408-415, 1985-04-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
20

左冠動脈主幹部に完全閉塞をきたした急性心筋梗塞は非常に重篤であり,発症早期の診断と適切な治療が必須である.われわれが急性心筋梗塞発症早期に冠動脈造影を施行した72症例中,5例に左主幹部完全閉塞を認め,それらの心電図所見に共通した特徴ある所見を認めたため,臨床症状,経過をも含め報告する.いずれもショック状態を呈する著明な心機能の低下をきたし来院したが,心電図上は,I,aVLのST上昇を認めるのみで広範な心筋梗塞を疑わせる所見を欠いていた.全例にintraaortic balloon counterpulsation(IABP)を施行し,5例中4例にpercutaneous transluminal coronary recanalization(PTCR)を,1例にpercutaneous transluminal coronary angioplasty(PTCA)を,そして3例に緊急A-Cバイパス術(coronary arterybypass graft(CABG)を施行したが,4例は心原性ショックなどで死亡した.また,陳旧性心筋梗塞の冠動脈造影では左冠動脈主幹部を責任冠動脈とする例は1例も見られなかった.このように重篤な左主幹部閉塞による急性心筋梗塞に対し早期診断は非常に重要である. 心電図上I, aVLのみのST上昇が高度に認められ,胸部誘導のST上昇があまり高度でなく,特に心機能の低下している場合は左冠動脈主幹部閉塞による急性心筋梗塞を疑い,直ちに積極的な治療が必要と考えられた.
著者
金子 洋子 楊川 堯基 林 苑子 張 紅 塚原 知樹 松永 恒明 多留 賀功 石津 隆 小林 正貴 野口 雅之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.999-1006, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
6

53歳,男性.浮腫にて受診.蛋白尿,心肥大,四肢疼痛ならびに腎不全を認め,αガラクトシダーゼA(α-galactosidase A:GLA)酵素活性の低下,腎生検にて糸球体上皮細胞内に高電子密度物質の沈着,責任遺伝子変異を認め,Fabry病と診断した.末期腎不全のため透析導入し,酵素補充療法(enzyme replacement therapy:ERT)を開始したが,心肥大は進行し,心不全のため死亡した.病理解剖にて多臓器に高電子密度沈着物を認めた.近親者3症例にERTを継続している.本疾患は,早期に診断し加療介入することが重要である.
著者
松永 篤知 Matsunaga Atsushi
出版者
金沢大学資料館
雑誌
金沢大学資料館紀要 = Bulletin of the Kanazawa University Museum (ISSN:24238864)
巻号頁・発行日
no.14, pp.51-60, 2019-03

近年、金沢大学資料館では、年間5回以上の企画展(学生企画展、特別展、アウトリーチ展を含む)を実施している。それらが功を奏し、年々来館者数は増加しており、昨年度は史上最多の年間8,990人の来館を記録した。平成元年の開館から10年間は、年間来館者数200~300人程度だった状況から考えると、これは驚異的な数字である。しかし、ここ数年の伸びについては、平成28年度に当館が博物館相当施設に指定されたこと、平成29年度に当館所蔵の加賀藩校扁額が金沢市の有形文化財に指定されたことなど、来館者が増えるような出来事が続いたことが少なからず影響しているものと思われる。そのような流れの中で今年度(平成30年度)は、資料館として特別大きな動きはなく、来館者数を維持ないし増加させるにはさらなる活動展開が必要となった。そこで今年度、金沢大学資料館初の試みとして、筆者が小学生向けの考古学ワークショップを企画した。当初、他の歴史系博物館や埋蔵文化財センターの事例を参考に、石器作り体験やガラス玉作り体験、機織り体験、縄文施文体験、拓本体験など、様々なワークショップ案を検討したが、資料館所蔵考古資料との関連付けや筆者の学術的専門性、ワークショップの実施費用などを勘案して、今回は縄文時代の編物を題材とすることにした。以下、本論では、その内容と成果、今後の課題などについて具体的に記す。
著者
松永 裕樹 高橋 正道 大倉 淑寛 志水 祐介 前原 弘武 北川 幹太 山川 潤 杉山 和宏 三上 学 濱邊 祐一
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.353-358, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
9

外傷性腹部大動脈損傷は稀だが, 死亡率が高く, 迅速な診断・治療が肝要である. 当院はCTと透視装置を備えたハイブリッドERを有し, 移動を伴わず, 蘇生・診断・治療が可能である. ハイブリッドERで, resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (以下REBOA) で出血を制御し, ステントグラフト留置で救命した1例を経験した. 70歳代男性. ワゴン車乗車中の事故で, ショック状態で搬送された. CTで血管外漏出を伴う腹部大動脈損傷がみられた. REBOAを大腿動脈からZone3に留置し, 出血制御後, 手技中の循環安定のため, 左上腕動脈からの留置に変更した. コイリング, ステントグラフト留置で止血を得た. ハイブリッドERでのステントグラフト治療は, 移動を伴わず迅速な診断・治療が可能である.
著者
酒向 あずみ 左京 瑛奈 松永 浩明 関口 昌利 一色 滉平 越前 宏俊 伊藤 慎 鈴木 祥司 西 功
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.124-134, 2022 (Released:2022-10-13)
参考文献数
17

本邦において外来心臓リハビリテーションに参加する患者集団における服薬アドヒアランスへの影響因子の検討は十分ではない。本研究ではこの集団の服薬継続支援のため、処方薬服用遵守度だけではなく患者の治療に対する自発性等も調査できる構造化対面式アンケート調査法を用いて服薬アドヒアランスの調査と影響因子の探索を行った。35名の患者からUenoらの質問票を用いて得た服薬アドヒアランス評価に関する下位尺度スコアは、「服薬遵守度」(中央値15点)及び「服薬の納得度および生活との調和度」(14点)は高かったが、「服薬における医療従事者との協働性」(8点)と「服薬に関する知識情報の入手と利用における積極性」(7点)が低値であった。また「服薬遵守度」は非就労者で高く(15点)、「服薬における医療従事者との協働性」は有配偶者で高かった(11点)。本研究は予備的ではあるが、今後外来心臓リハビリテーション患者の服薬アドヒアランス向上或いは維持を図るためには、薬剤師が「患者との協働性」を改善するために患者の求める情報の察知に基づく薬物の情報提供を行い、患者の治療への主体的参加への動機付けを高める事が重要であると考えた。
著者
中原 ひかり 松永 康佑
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.204-205, 2020-08-22

二次元で描かれたイラストを立体的に動かす技術が発展しており、近年多くのコンテンツで利用されている。本研究では、Live2Dを用いたキャラクターの疑似的な立体表現と、従来の3DCGによる立体表現を重ね、それぞれ異なるカメラワークと立体表現の組み合わせによる映像を制作する。異なる立体表現を同時に提示することで得られる空間認識刺激を利用した映像表現手法について報告を行う
著者
松永 信也 西園 浩文 平瀬 博之 岩下 睦郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.1059-1062, 1997-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13

A 76-year-old female was admitted to Izumi City Hospital with otalgia, a sore throat, dysphagia and dyspnea. A physical examination revealed ear and pharyngo-laryngeal herpetic lesions and a IX, X cranial nerve disorder. The patient underwent a tracheostomy on the second day of hospitalization because of laryngeal stenosis. Palsy involving the VII cranial nerve and auricular herpetic vesicles were recognized on the third hospital day. Otalgia, the sore throat and dysphagia were improved rapidly after acyclovir treatment. The W and K cranial nerve palsy was improved gradually, but the X cranial nerve disorder remain. Accordingly, physicians should be alert to the possibility of air way stenosis in cases of laryngeal herpes zoster.
著者
輪湖 建雄 土田 孝 松永 康男 濱本 晃一 岸田 隆夫 深沢 健
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.602, pp.35-52, 1998-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22
被引用文献数
9 6

阪神・淡路大震災で被災した神戸港のケーソン式岸壁の復旧方法として背面固化による方法が考えられた. 特に嵩上げと耐震性向上を必要とする場合, 従来, 港湾・海洋環境での施工実績が乏しかった軽量混合処理土工法を, 港湾施設へ増粘剤等を用いないで水中施工で適用することが要求された. このため, 筆者らは室内試験・現場打設試験を行って課題を抽出し, それらを満たす施工システムを構築して本施工を実施した. その後, 追跡試験によりその妥当性を検証できた. こうした一連の課題解決方策は, 軽量混合処理土工法ばかりでなく, 他の固化処理工法を適用する上で役立つものと期待される.
著者
岸本 朗 井上 雄一 松永 慎次郎 中村 準一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

現在、精神科臨床においては、複数の抗うつ薬に抵抗してうつ状態が持続するいわゆる難治性うつ病者の存在が問題となっている。難治性うつ病者にみられる臨床的特徴は急性期にみられるような高コルチゾール(COR)血症がしばしば観察されるところにある。そこで本研究は平成7-8年にかけて、難治性うつ病者に対して、COR合成阻害薬であるmetyraponeを投与するとともに、corticotropin-releasing hormone(CRH)を健常者や通常(非難治性)のうつ病者を対照として、難治性うつ病者に対して負荷し、それに対するadrenocorticotropic hormone(ACTH)やcortisol(COR)の反応を観察したものである。その結果、計9名の難治性うつ病者に対して1日量2,000mgまでのmetyraponeを、計16回にわたって使用したところ、双極性障害のみにおいて寛解が観察されたが、大うつ病では寛解が観察されなかった。また高COR血症が消失してもうつ状態の持続をみるものがあった。次に合計68名の対象について、100μgのCRHを静脈内に注射投与して得られたACTHやCOR反応を健常者や各うつ病者群と比較すると、難治性うつ病者においてはCRHに対するACTH反応,COR反応が服薬治療を受けている非難治性うつ病者、あるいは未治療者などにおけるそれらより有意に不良となっていた。以上の研究結果から、難治性うつ病者にみられる高COR血症は状態依存性ではあるが、必ずしもうつ病の原因とはなりえないこと、CRHに対するACTH,COR反応の不良性は長期間続く高COR血症のために下垂体や副腎皮質の反応性が不良となったものと考えられた。またCRH負荷試験は真の難治性うつ病から、不十分な抗うつ薬療法が行われているために、臨床効果が得られないうつ病者(すなわち偽難治性うつ病者)を区別する極めて有用な指標となるものと考えられた。
著者
山本 洋平 小倉 咲 ゴーマン マイケル 下條 恵子 舌津 智之 高野 泰志 松永 京子 貞廣 真紀
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、西部文学・西部表象を移動・環境・女性の観点から捉え直すことを試みる。これまでの研究の多くが東部作家による西部表象の問題を扱ってきたのに対し、本研究は、西部へと流入してきた作家、あるいは、西部間を移動する作家が西部をどのように描いているのかという問いを主軸に置く。この問いを考える上で、トランスリージョナリズムという本研究独自の概念(ヒト・モノの移動が地域に及ぼす文化的諸相)を提唱する。さらに、主として男性作家に担われてきた西部文学にあって女性はどのように描かれているのか、女性作家は西部をどのように描いているのか、移動の文化と女性との関係はいかなるものか、といった問いを追究する。