著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 久保 義郎 佐田 久真貴 松永 美希
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.159-173, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
6

本研究では、「気になる子」を担任する幼稚園教諭(コンサルティ)に対する集団コンサルテーションプログラムを作成・実施し、その効果を検討した。6名のコンサルティに対して全6回(フォーローアップ1回を含む)のプログラムを実施し、行動の見方や対応方法を応用行動分析学に基づき教授した。また、グループワークにおいては、コンサルティが行った「気になる子」の観察記録をもとに対応方法を検討した。その対応をコンサルティが実践した結果、対象児の行動に改善がみられた。さらに、コンサルティが子どもに対応する際に感じるストレスが軽減し、保育者としての効力感が向上した。満足度アンケートによる評価も高く、このコンサルテーションの内容は、幼稚園において実施可能であり、その対応方法は「気になる子」の支援に有効であることが示唆された。

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著者
松永新之助著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1901
著者
數間 貴紀 新井 麻子 大谷 智子 老谷 嘉樹 鈴木 恵子 松永 保
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.67-72, 2023-04-25 (Released:2023-04-25)
参考文献数
10

Tay-Sachs disease involves accumulation of GM2 gangliosides in lysosomes due to a metabolic disorder of brain-abundant gangliosides. In the infantile type, death typically occurs by 3 years of age. We report brain magnetic resonance imaging (MRI) abnormalities in a case of infantile Tay-Sachs disease. The 8-month-old patient had development delay and began regression at 1 year of age. A cherry-red fundus spot and low β-hexosaminidase A (Hex A) levels in leukocytes indicated GM2 gangliosidosis. Gene analysis identified homozygous pathogenic variants in the HEXA gene, leading to Tay-Sachs disease diagnosis.At 10 months of age, brain MRI showed age-appropriate myelination. At 1 year 9 months, T2-weighted imaging showed high intensity in the subcortical white matter, with delayed myelination. At 2 years 4 months, the cerebral white matter, putamen, caudate nucleus, thalami (except ventral), middle cerebellar peduncle, and dentate nucleus showed high intensity on T2-weighted imaging. At 5 years 8 months, cerebral and basal ganglia atrophy was observed. The caudate nucleus and putamen showed high intensity on T1-weighted images and low intensity on T2-weighted images. Unlike typical infantile Tay-Sachs characteristics, higher Hex A activity in this case probably contributed to a milder phenotype and myelination acquisition during infancy.
著者
金沢大学資料館 奥野 正幸 宮島 宏 濱田 麻希 松永 篤知
出版者
金沢大学資料館
巻号頁・発行日
pp.1-17, 2018-09-19

開催期間: 平成30年9月19日(水)~10月28日(日)
著者
岡島 寛 中林 佑多 松永 信智
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.146-152, 2018 (Released:2018-02-23)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

In this paper, we propose a filter to satisfy velocity and acceleration limits for arbitrary input signals. The shapes of input signals are sometimes converted into trapezoidal wave in order to prevent an overload on the robot in FA field. Generally, physical protection of equipments, safety and ride quality are achieved with limitations for input signals about some properties. For achieving such limitation, the filters which limit some signal properties are widely used. A filter structure to satisfy velocity and acceleration limits was designed only simple feedback control with the saturation function. However, this structure had a problem that time-lag between the input signal and modified signal is occurred. To solve this problem, we propose a filter structure which is based on the model error compensator. Modified signal which is generated by the proposed filter satisfies the desired signal constraints for any input signals. By the proposed structure, time-lag can be smaller than the signals obtained by the previous method. The effectiveness of the proposed filter is shown by the numerical examples.
著者
藤江 慎二 松永 千惠子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.91-102, 2021-08-31 (Released:2021-10-29)
参考文献数
19

本研究では,障害者支援施設で発生した施設内虐待の要因を明らかにし,虐待予防について考察することを目的とした.方法としては,施設内虐待の事件の裁判調書を法律に基づき入手し,事件を詳細に把握・分析した.その結果,施設内虐待の事件には,①施設の人材育成の問題が虐待行為と関連していること,②職員間コミュニケーションの不足が虐待行為の慢性化に影響していたこと,③施設・法人の虐待問題を隠蔽しようとする考え方は職員間に広がり,職員の退職にも影響を及ぼしていたことが明らかになった.施設内虐待は構造的な問題であり,職員間コミュニケーションの改善や虐待予防のシステム構築をしていくことが今後の課題であることを指摘した.
著者
稲葉 弥寿子 白井 秀治 矢上 晶子 秋田 浩孝 阪口 雅弘 水谷 仁 松永 佳世子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1893-1900, 2010-08-20 (Released:2014-11-28)

粉製品に含まれたダニの経口摂取によるアナフィラキシー2症例を経験したので報告する.症例1は50歳女性で,開封後に常温保存したお好み焼き粉を,自宅にて調理摂取した約30分後に全身浮腫性紅斑や動悸,嘔気が出現した.患者が摂取したお好み焼き粉は,賞味期限より2年が経過していた.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ23.4 IU/ml,コナヒョウヒダニ33.7 IU/mlで,コムギ関連特異IgE値はコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.持参した同一銘柄の未開封お好み焼き粉と冷凍保存された薄力粉でのスクラッチテストは陰性であったが,ダニ抗原(鳥居薬品)のプリックテストはscore 3+の陽性を示した.症例2は28歳女性で,開封後に数カ月間常温保存したお好み焼き粉(以下事故粉)を自宅において調理中に喘息症状が出現し,摂取中に呼吸困難感や嘔吐,腹痛が出現し,アナフィラキシーショックとなった.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ51.6 IU/ml,コナヒョウヒダニ55.6 IU/mlで,コムギ関連特異IgEはコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.プリックテストは事故粉でscore 3+の陽性,ダニ抗原(鳥居薬品)でscore 4+の陽性であった.また冷凍保存された薄力粉は陰性であった.事故粉にはコナヒョウヒダニが50匹/g検出され,ELISA法で測定したところ,ダニ主要抗原であるDer f 1が64.1 μg/gと多量に検出された.事故粉と患者血清(症例2)を用いたImmunoblot法ではダニ抗原と思われる25 kDa部位にバンドが検出された.さらに血清とダニ粗抽出液を用いたInhibition immunoblot法ではダニ粗抽出物と共通分子量付近に認められた複数のバンドは事故粉より消失した.この結果から事故粉に認められたバンドは粉中のダニ抗原に反応したバンドと考えられた.上記の検討を踏まえ,お好み焼き粉におけるダニ繁殖の実態を調査するため,我々は,お好み焼き用ミックス粉3銘柄と薄力粉におけるダニ数及びダニ抗原の増殖性の違いについて検討した.各粉にコナヒョウヒダニを添加培養し,3週間後と6週間後に評価した.培養6週間後にミックス粉のダニ数とダニ抗原は,薄力粉に比較して3銘柄ともに増加傾向を認め,1銘柄は有意に増加していた.粉類でダニの増殖を防ぐには冷蔵保存が良いとされる.市販のミックス粉の注意書きには冷蔵保存と明記する必要があり,また我々皮膚科医は小麦アレルギーと誤診しないよう注意が必要である.

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著者
松永弾正著
出版者
H.A.B
巻号頁・発行日
2022
著者
三輪 正人 中島 規幸 廣瀬 壮 岩崎 洋子 村上 敦史 松永 真由美 渡辺 建介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1337-1339, 2006-10-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

【背景】老人にみられる鼻の乾燥感あるいは乾燥性鼻炎の存在は知られているが,その詳細な基礎的メカニズムは不明である.その理由の一つとして,客観的な診断法が確立されていないことがあげられる.本研究では,鼻粘膜水分蒸散量の年齢変化について焦点を当て検討した.【方法】対象は,10〜75歳の88名のボランティアで,Tewameter TM300(Courage+Khazaka electric, Germany,日本総代理店:インテグラル)により,水分蒸散量の測定をおこなった.【結果】鼻粘膜水分蒸散量は,年齢により増加する傾向が認められた.【結語】老人にみられる鼻の乾燥感あるいは乾燥性鼻炎の発症機序に,鼻粘膜上皮水分蒸散量の増加が関与する可能性が示唆された.
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
松永 恵 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.226-234, 2022-10-20 (Released:2022-11-09)
参考文献数
31

Background: Yogo teachers (school nurses) face difficulties in dealing with children's unidentified complaints. In general, the Yogo teachers support children in aspects of identifying the causes and accepting children in order to encourage them to resolve their problems independently. However, Yogo teachers often feel difficulties in listening to children and paying attention to their signs of danger. In particular, when Yogo teachers deal with children's unidentified complaints, they also feel difficulties in identifying the causes and returning them to the classroom. Objective: The purpose of study was to elucidate the difficulties that Yogo teachers faced in dealing with children's unidentified complaints. Methods: A 20-item questionnaire was designed based on data from interviews with Yogo teachers. Seven hundred seventy Yogo teachers were surveyed. Data collected from 304 Yogo teachers were conducted on exploratory, confirmatory factor analyses, and compared for attributes. Results: The results of the factor analysis revealed two potential factors for the difficulties of Yogo teachers in dealing with children's unidentified complaints. One was that they felt unable to help children to resolve their problems independently, and the other was that they felt unable to help children aware of the cause for the unidentified complaint. Confirmatory factor analysis revealed that the goodness-of-fit of this model was generally acceptable (GFI=.95, AGFI=.92, CFI=.96, RMSEA=.08). It was found that younger Yogo teachers with less age or experience were likely to face difficulties in supporting children. Conclusion: The results suggest that Yogo teachers felt more difficulty in aspects of accepting children in order to encourage them to resolve problems independently rather than identifying the causes of unidentified complaints. There is a need to investigate the practical knowledge of experienced Yogo teachers in supporting children.
著者
藤中 義史 松永 麻美 高橋 恵 瀬谷 恵 小野山 陽祐 岡田 真衣子 高下 敦子 大橋 祥子 増永 健 岩田 みさ子 瀧川 逸朗
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.37-43, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
22

在胎37,38週のEarly term児における母体患者背景,新生児期合併症,入院率について後方視的に検討した.2014年から2017年に当院で出生した正期産児(4,013例)のうち,多胎,先天異常等を除外したEary term児894例,Full term児1,695例を対象とした.結果は,Early term群で母体合併症,帝王切開(特に予定帝王切開)症例が多く,新生児期合併症は,単変量解析ではEarly term群に新生児仮死と低血糖(< 50mg/dL)が多かったが,多変量解析では低血糖のみ有意差がみられた.新生児科入院率および再入院率は“Early term”が独立したリスク因子であった.当院では予定帝王切開を主に38週台で行っているが緊急帝王切開増加リスクは許容範囲内であり(約8%),欧米の推奨するFull termよりもやや早めに設定することは妥当と考える.
著者
清水 義之 橘 一也 津田 雅世 籏智 武志 稲田 雄 文 一恵 松永 英幸 重川 周 井坂 華奈子 京極 都 奥田 菜緒 松本 昇 赤松 貴彬 竹内 宗之
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.287-292, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
17

近年,小児における末梢挿入式中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:以下PICC)は,新生児領域では頻用されており,幼児や学童においても,重要な静脈アクセス用デバイスである.PICC 留置は視診または触診により静脈を穿刺する以外に超音波ガイド下に留置する方法があるが,わが国において,小児患者に超音波ガイド下にPICC を留置する報告はない.われわれは,41 名の小児において,リアルタイム超音波ガイド下にPICC 留置を試みた.56 回中50 回(89%)PICC 留置に成功し,重篤な合併症は認めなかった.屈曲による滴下不良はなく,62%の症例で合併症なく使用された.留置にはある程度の慣れと,鎮静が必要であるものの,静脈のみえにくい年少児でも留置可能であり,小児における有用なルート確保手段であることが示された.
著者
清野 仁美 湖海 正尋 松永 寿人
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.270-277, 2014-07-15 (Released:2017-08-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1

精神障害を有する妊産婦では,周産期において向精神薬の中断や心理社会的ストレスなどによる精神障害の再発や悪化のリスクが高まるが,予防のための系統的なストラテジーは確立されていない。このため,精神障害患者が周産期において直面する問題のマネージメントを行い,既存障害の悪化を予防し,リプロダクティブヘルスの向上を目指した介入が求められている。今回われわれは,精神障害を有する妊産婦への1)心理教育,2)Shared Decision Makingに基づいた周産期ケアプランの作成,3)社会福祉資源の導入,4)家族教育,5)養育スキルトレーニングで構成される,包括的介入プログラムを作成し,その効果について前方視的調査を実施した。結果,介入後および産後1カ月の時点で,精神症状や全体的機能水準の改善が示唆された。本研究は対照群を設けないオープン試験であり,今後,対照群を設けた多施設研究によりさらに症例数を増やして検討することが望ましいと考える。
著者
松永 幸子 Sachiko MATSUNAGA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-76, 2015-12-01

実際にこれから教師を目指す学生たち―教師の卵―はどのような意識を持っているのか?アンケートを基に分析し、今後の教師の有り方を探究し、また、教師に対する社会の意識改革の一助とすることが本研究の目的である。本学の幼稚園・小学校教員免許取得希望学生141名を対象にアンケート調査を行った。その結果、明らかになったことを順次提示した。学生の教職意識により、学生は、教師は厳しいだけではなく、基本的には優しい教師を求めていることが明らかになった。親身になって子どもの相談に乗るなど、距離の近い教師を理想の教師像としていた。また、さまざまな体験により広い視野を持つため、民間企業等での研修には非常に前向きな意識が見られた。このような若者の意識を、古い既存の価値観の中に押し込めるのではなく、時代とともに変化する教師像に対応するため、教師についての社会の意識をあらためる必要性があることが提案できる。
著者
庄﨑 賢剛 今村 知之 中道 剛 松井 良一 柴田 和哉 松永 圭一郎 玉利 光太郎 原田 和宏 元田 弘敏
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101575, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 現在、腰痛の約80%が原因不明の非特異的腰痛であり、アライメント異常は腰椎椎間関節・腰仙関節などにストレスが生じ、腰部・骨盤帯の不安定性による機能障害や疼痛を引き起こす可能性が考えられる。そのため、理学療法において腰部・骨盤帯に関連する仙腸関節の可動性の評価は重要である。仙腸関節の可動性に関する先行研究では、新鮮死体用いた報告、生体に直接Wire・ボールを挿入しカメラやX線を用いた報告、MRIを使用した報告などがある。しかし、これらの方法では侵襲やコストの面から臨床応用は困難であると思われる。加えてこれらの報告は腰椎前屈・後屈・股関節屈曲での他動的測定姿勢位で行われており、骨盤周囲筋を動員し自動運動時の測定肢位での研究は見当たらなかった。そのため、本研究では安静立位と自動運動時の骨盤前傾・後傾時にそれぞれX線撮影し、仙腸関節の可動性の定量化と信頼性を検討した。【方法】 信頼性の検討では健常成人男性15名を対象とし(年齢:27.9±4.6歳、身長:168.4±5.9cm、体重:60.8±9.0kg)、仙腸関節の定量化の測定では健常成人男性62名とした(年齢:28.7±5.7歳、身長:169.7±5.9cm、体重:64.0±9.3)。X線撮影は安静立位、骨盤前傾立位、骨盤後傾立位の3つの姿勢にて、腰椎・骨盤における矢状面を立位の左側方からX線を照射し撮影を行った(L→R画像を撮影)。骨盤の動きは検査者が徒手的に骨盤前後傾の動きを誘導した。その際、体幹が前傾・後傾することなく、正中位を保持し、両膝が屈曲位とならない範囲での姿勢を保つように指導した。被験者に動きを十分学習させた後、骨盤周囲筋を最大に動員した自動運動の最終域で姿勢を保持させ撮影を行った。再現性に関しては同様の方法で、その後1か月以内に2回目の撮影を行った。得られた画像はDICOM形式医用画像Viewer(Radis Version 1.2.0)を使用してパソコン上に描写し、その画像処理を行った後、GNU画像編集プログラム(GIMP2.6.7)を使用して、骨盤傾斜角、腰仙角(第1仙椎上縁と水平線との角度)を計測した。本研究では、仙腸角は腰仙角から骨盤傾斜角を引いたものと定義した。骨盤傾斜角はASISとPSISとを結ぶ線と水平線とのなす角度とし定義した。X線撮影に関しては当院の医師の指示の基、診療放射線技師が行った。統計学的解析はSPSS Statistics Ver.20 を用いた。信頼性に関しては、相対信頼性として級内相関係数(ICC)を算出し、また絶対信頼性を検証するために測定の標準誤差、最小可検変化量(MDC)を算出した。そして、安静立位、骨盤前傾立位、骨盤後傾立位において各被験者の各姿勢における平均値を算出した。また仙腸関節の可動性として各姿勢での仙腸角の差の絶対値の平均を求めた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は吉備国際大学倫理審査委員会の承認を得て(承認番号11-31)、各対象者に対し研究の主旨を書面と口頭で十分に説明し、同意書に署名が得られた方を対象とし実施した。【結果】 仙腸角について安静立位、骨盤前傾立位、骨盤後傾立位におけるICCは全て0.99となり、MDCは安静立位0.86°、骨盤前傾立位1.38°、骨盤後傾立位1.11°となった。62名の仙腸角の平均値を算出すると安静立位20.04±6.80°、骨盤前傾立位19.29±6.85°、骨盤後傾立位22.25±6.90°であった。仙腸関節の可動性は安静立位と骨盤前傾立位との比較では3.06±2.65°(最大値9.82°、最小値0.12°)、安静立位と骨盤後傾立位では3.91±2.75°(最大値13.43°、最小値0.13°)という結果になった。骨盤前傾の際、腸骨に対し仙骨が後屈した者は38名(-3.23±2.40°)、前屈した者は24名(3.19±2.63°)であった。骨盤後傾の際は仙骨が前屈する者は37名(5.13±2.73°)、後屈する者は25名(-2.10±1.64°)であった。【考察】 今回の結果ではICCは0.99となり、相対信頼性が良好であることが確認できた。またMDCは0.86°~1.38°となり、仙腸関節の可動性がMDC以上の値となり、「誤差以上の変化」が見られた。今回、仙腸関節は安静立位と骨盤前傾立位との比較では3.06±2.65°、安静立位と骨盤後傾位では3.91±2.75°の可動性が見られた。仙腸関節の可動性に関する先行研究では、竹井らは一側の股関節最大屈曲位にて仙腸関節は2.3°前屈位となり、両側の股関節屈曲では仙腸関節の動きは認められないとし、Sturessonらは股関節90°屈曲の際に-1.0°~ -1.2°の仙骨の後屈が見られたと報告している。本研究においては仙腸関節の可動性は先行研究を超える値が示された。その原因として、本研究での測定は骨盤周囲筋を最大限に動員した自動運動の測定肢位で行われたことなどが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 今回考案したX線を用いた仙腸関節の測定法での信頼性の確認と仙腸関節の可動性に関する新たな知見は臨床応用に繋がる可能性がある。
著者
松永 敦
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.104-106, 2008-12-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
3
著者
小林 千草 松永 康佑 Jaewoon JUNG 杉田 有治
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.298-300, 2022 (Released:2022-11-25)
参考文献数
9

筋小胞体カルシウムイオンポンプは代表的なP型ATPaseであり,ATP加水分解のエネルギーを用い輸送を担う.著者らは分子動力学法計算を基にした反応経路解析によりカルシウムイオンポンプによる輸送の分子論的なメカニズムを提唱した.膜タンパク質の構造変化とカルシウムイオン輸送の関係について述べる.