著者
森泉 美穂子 松永 俊朗
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.304-309, 2009-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
63
被引用文献数
9
著者
松永 康佑
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

樺太アイヌ古式舞踊の記録・継承を目的として、樺太アイヌ協会員の方々の舞踊の収録・モーションキャプチャ計測・撮影を行い、顔、衣装を含めた再現CG映像の制作を行った。過去に携わった伝統舞踊CG映像の経験をふまえつつ、AIベースの顔作成手法を取り入れた本制作のワークフローについて説明する。
著者
谷田 公二 松永 勝也
出版者
日本交通心理学会
雑誌
交通心理学研究 (ISSN:09109749)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-9, 2006 (Released:2020-06-23)
参考文献数
18

The aim of this study was to investigate the relationship between the estimation of "time headway" and its real value in drivers of an automobile. In the experiment the subjects who were driving an experimental vehicle, which was equipped with both GPS and laser radar, were required to follow another vehicle in front of them. The "time headway" which was measured automatically by appropriate instruments was compared with the "time headway" of the subjective estimates from the subjects. The estimated times of the subjects showed a high variability in all subjects; some subjects showed a significant variation of estimated time during the course of a day. Furthermore, the estimates of the "time headway" were on a statistically level significantly inaccurate. In other experiments which a "time headway" of 3 seconds or 4 seconds was required to be maintained by the subjects by counting aloud, thus, trying an adjustment to the subjectively perceived "time headway", it was observed that in such situations the actual "time headway" frequently was reduced by almost 1 second after counting. In contrast, in the same situation, but with guidance provided by a clicking sound at regular intervals of 1 second, the perceived estimation of "time headway" improved to an acceptable degree of accuracy.
著者
松永 直美 矢吹 信喜 亀山 勇一 福田 知弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.728, pp.2317-2326, 2016

&nbsp;This study was conducted to consider the factors related to change in Noh stage style using <<<i>johakyu go dan</i>>> (<i>johakyu</i> five parts), which was established by Zeami (1363-1443) as &ldquo;The grammar of Noh.&rdquo; To this end, we examined the relations between Noh stage (<i>jo</i> zone, <i>ha</i> zone, and <i>kyu</i> zone) and musical accompaniment and dancing by employing three-dimensional computer graphics (3DCG) and statistical methods.<br>&nbsp;Research was conducted with emphasis on the relation between the following two points as a method to clarify the factors of change in Noh stage after Zeami&rsquo;s time. 1) Zeami changed ancient Chinese three-part <<i>johakyu</i>> to the five-part style of <<<i>johakyu go dan</i>>>, incorporated it into Noh scripts with dancing, chanting, and musical accompaniment, and formulated the basic principle: &ldquo;The grammar of Noh.&rdquo; 2) Areas for <<i>johakyu</i>> exist on a Noh stage, each of which has a conventional direction method. It is designed to enhance stage effects to a great degree.<br>&nbsp;The following findings were obtained:<br>&nbsp;1. We tried to extract <<i>johakyu</i>> from data of small hand drums, shouts, and dancing. The results led us to observe the following characteristics of <<i>johakyu</i>>: &ldquo;The part of <i>jo</i> is light, and the expression is slightly rough, &rdquo; &ldquo;<i>Ha</i> delicately folds ups and down, adds a little relaxation, and keeps a moderate speed, &rdquo; and &ldquo;<i>Kyu</i> is very fast and tense, and the tempo becomes faster.&rdquo; Furthermore, in the part called &ldquo;<i>kuse</i>&rdquo; in which the most characteristic acting is performed in a Noh drama, the characteristics of <<<i>johakyu go dan</i>>> were noticed clearly.<br>&nbsp;2. Results of statistical analysis revealed correlation existed between each zone and each area of <<i>johakyu</i>> of Noh stage and dancing and musical accompaniment (small hand drums and shouts) of <<<i>johakyu go dan</i>>>. Therefore, we found that <<<i>johakyu go dan</i>>> might be involved in change in Noh stage style.<br>&nbsp;Noh was mainly a Shinto ritual until the Heian period (794-1185). It had been developed and initiated by shrines and temples. After the Kamakura period (1185-1333), public entertainment such as <i>Kanjin</i> (temple solicitation)-Noh performance rose suddenly and reached its prime during the Muromachi period (1336-1573). Coupled with that, shoguns and court nobles came to play the role of Noh supporters instead of shrines and temples. <<<i>Johakyu go dan</i>>> was effective to attract shoguns and nobles with performance as seen in <i>Fushikaden</i> written by Zeami. It is considered that the construction of stage space was necessary to practice <<<i>johakyu go dan</i>>> effectively.
著者
谷 聖一 佐久間 拓也 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介;中野由章 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-14, 2016-08-15

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013年と2014年に引き続き,2015年と2016年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した.「大学情報入試全国模擬試験」の目的は,「どのような試験方法、どのような範囲・内容・水準の問題が適切であるかについて意見を交換し、その成果として具体的な入試問題の試作を行い世の中に公開すること」ことであった.2015年実施の模試には約2000名の高校生が,また,2016年実施の模試には約750名の高校生が参加した.本報告では,その実施概要と結果について報告する.適切な範囲・内容・水準を確立するためのの議論の素材となりうる具体的な入試問題を提示したという点で,目的をある程度達成できたといえる.
著者
中野 雅則 松永 利明 松永 真由美
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-4, 2012
参考文献数
6
被引用文献数
1

無線LAN、長距離RFIDのような移動体通信がコンクリート壁や窓ガラスや人により電波伝搬に影響を受けることに注目し、家族が住んでいる部屋の日常生活を想定して、コンクリート構造における集合住宅内部の電界強度分布を、コンクリートやガラスによる縮小モデルを用いた実験及びFVTD法を適用した数値計算により解析を行う。比較対象として窓ガラスがある場合と無い場合を比較し、窓ガラスがある場合はガラスの反射の影響で無い場合よりも室内の電界強度が高くなる。窓ガラス後方ではガラスを透過する際に減衰し、ガラスが無い場合に比べ電界強度が低いことが分かった。また計算値と実験値は同様な傾向を示した。
著者
中野 雅則 松永 利明 松永 真由美
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.9-12, 2011
参考文献数
5
被引用文献数
2

無線LAN、長距離RFIDのような移動体通信がコンクリート壁や人により電波伝搬に影響を受けることに注目して、コンクリートを用いて縮小モデルを製作し、家族が住んでいる部屋の日常生活を想定して人を配置する。そのコンクリート構造における集合住宅内部の電界強度分布の実験を行い、FVTD法を適用した数値計算値との比較を行う。その結果、部屋の仕切りを透過する際に大きく減衰し、計算値と実験値は同様な傾向を示した。また比較対象として複数室間に人がいる場合と無人の場合を比較すると、無人の場合に比べ人がいる場合は、人より波源側では人からの散乱や反射で無人に比べ電界強度が高い値を示し、遠方では人を透過する際に減衰し、無人の場合に比べ電界強度が低い値を示した。このことから人がいる場合は無人に比べて複雑な伝搬をすることが分かった。
著者
松永 美希 鈴木 伸一 岡本 泰昌 吉村 晋平 国里 愛彦 神人 蘭 吉野 敦雄 西山 佳子 山脇 成人
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.181-191, 2012
参考文献数
29

本稿では、広島大学病院において心理士が中心になって実施しているうつ病の集団認知行動療法(cognitive behavioral group therapy:CBGT)について、薬物療法との併用効果を検討した。当院のCBGTプログラムは、心理教育、セルフモニタリング、行動活性化、認知再構成といった技法を用いた12セッションから構成されている。本プログラムの効果を検討するため、うつ病患者74名について、CBGT前・後・12ヵ月後で、ベック抑うつ質問票(BDI)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、DSM-IVの全体的機能評価(GAF)、36-item Short-Form Health Survey(SF-36) 、自動思考尺度改訂版(ATQ-R)、非機能的態度尺度(DAS)を実施した。その結果、CBGT後において抑うつ症状(BDI,HAM-D)、非機能的認知(DAS,ATQ-R)の得点が有意に減少しており、また社会的機能(GAF,SF-36)の得点は有意に上昇していた。したがって、すべての指標において改善が認められた。またこれらの改善は1年以上維持されている可能性が示唆された。
著者
青田 壮大 市ノ瀬 円香 山下 早紀 松永 信介
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.837-838, 2015-03-17

文部科学省は「生きる力」を育む事を目的としたキャリア教育を義務教育期間から推進している。しかし、小学校においてキャリア教育の十分なカリキュラムが定まっていない。そこで、小学生の間でトレーディングカード集めやシール交換が盛んに行われているという実情を踏まえ、電子化した職業カードを用いて、収集と交換を通じた様々な職業に関する知識を協調的に学べるのではないかと考えた。本研究では、職業カードを収集・交換できるシステムを構築し実践使用した結果、児童が既知の職業への理解を深めるとともに未知の職業を発見する効果を得る事ができた。本発表では、構築システムと検証結果について報告する。
著者
中村 良介 山本 聡 松永 恒雄 小川 佳子 横田 康宏 石原 吉明 廣井 孝弘
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-24, 2014

我々は月探査機「かぐや」に搭載されたスペクトルプロファイラ(SP)データの全量解析を行い,月表面に露出しているカンラン石・低カルシウム輝石に富む岩相の全球分布を調べた.その結果,(1)カンラン石はモスクワの海・危難の海といった地殻が薄く比較的小さい衝突盆地周辺に(2)低カルシウム輝石は月の三大衝突盆地,すなわち南極=エイトケン盆地・雨の海・プロセラルム盆地の周囲に,それぞれ局在することが明らかとなった.表層の斜長岩地殻が完全に吹き飛ばされた衝突盆地の内部では,その下にあるマントルが大規模に溶融して「マグマの海」が形成される.原始地球への巨大衝突によって形成された月は,当初数百km以上の厚さのマグマオーシャン(マグマの大洋)によって覆われていた.「マグマの海」は,このマグマオーシャンのミニチュアであり,SPが捉えたカンラン石・低カルシウム輝石の分布は,その分別結晶化過程を反映していると考えられる.今後「かぐや」分光データの詳細な解析をすすめ,「マグマの海」の組成およびその分化過程を読み解いていけば,同じ手法を用いてマグマオーシャンの分化過程や月の内部構造・バルク組成にも強い制約を加えることができるだろう.同様に月の「マグマの海」の研究は,ほぼ同規模の小惑星ベスタ上のマグマオーシャンや,月よりもさらに規模の大きい地球のマグマオーシャンの分化過程についても,新たな知見をもたらすことが期待される.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
村田 伸 村田 潤 大田尾 浩 松永 秀俊 大山 美智江 豊田 謙二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.509-515, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
42
被引用文献数
3 1

〔目的〕高齢者を対象にウォーキングによる運動介入を行い,その介入が身体・認知・心理機能に及ぼす効果について,無作為割付け比較試験によって検討した。〔対象〕地域在住高齢者69名(平均年齢72.0±4.4歳)である。〔方法〕ウォーキングによる運動介入の前後に,身体・認知・心理機能を評価し,比較検討した。〔結果〕週3日,1回につき30分のウォーキングを12週間継続できた介入群25名の測定値は,介入後6分間歩行距離が延長し,主観的健康感,生活満足度,生きがい感といった心理面の向上が認められた。一方,その他の指標とした上下肢筋力や立位バランスなどの身体機能,および認知機能には有意差は認められなかった。なお,統制群29名におけるすべての測定値に有意差は認められなかった。〔結語〕ウォーキングによる運動介入は,地域在住高齢者の介護予防や健康増進に有用である可能性が示唆された。ただし,身体機能や認知機能を向上させるためには,本研究における介入の期間や頻度,および運動強度などの検討がさらに必要であることが明らかとなった。
著者
中島 瑞季 松永 皐希 横井 聖宏 齊藤 剛
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.2_51-2_58, 2021-09-30 (Released:2021-11-03)
参考文献数
19

電子書籍での読解における物語世界への没入感に着目し,レイアウトデザインに注意の集中を促すマスクをかけると読解時の注視点と没入感にどのような影響を与えるのか検討した.実験は輝度勾配を用いたマスク 2 種とマスク無しの計 3 種類に対して視線計測を行いながら読書をしてもらったのち,没入感評価とレイアウト評価を行うものである.その結果,マスクをかけると一定の場所に注視点が集まり,没入感の向上に繋がることが明らかとなった.しかし,マスクと文字色が近い場合はスクロール時に文字がちらつくことで気が散るため,読解に集中できず没入感の向上を望めない.そのため,マスク色と文字色の関係がスクロール動作によってどのように変わるのか考慮することがデザインを決定する上で必要となることがわかった.
著者
根本 裕太 桜井 良太 松永 博子 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.888-898, 2021-12-15 (Released:2021-12-24)
参考文献数
23

目的 自然災害時において,情報通信技術(ICT)機器を用いることで,迅速に多様な情報を収集できる。本研究では性別・年齢階級別のICT機器利用状況を示し,ICT機器利用者における自然災害時に想定される情報収集の特徴を明らかにすること,インターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因を解明することを目的とした。方法 東京都府中市の18歳以上の住民21,300人を対象に郵送調査を実施した。ICT機器は,パソコン,スマートフォン,タブレット端末,携帯電話の利用状況を調査し,いずれかの機器を利用する者をICT機器利用者とした。自然災害時に想定される情報収集手段として,テレビ,ラジオ,インターネット検索,緊急速報メール,防災行政無線,行政機関のホームページ,近隣住民,家族,友人から該当するものをすべて選択してもらった。このうち,インターネット検索,緊急速報メール,行政ホームページを,インターネットを介した情報収集手段とした。ICT機器利用割合の性差と年齢階級差ならびにインターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因を検討するため,ロバスト分散を用いたポアソン回帰分析を実施した。結果 9,201人(回答率43.2%)から有効回答を得た。ICT機器利用者は,70歳未満では95%程度以上,80歳以上では女性66.7%,男性70.6%であった。ICT機器利用者の災害時に想定される情報収集手段は,インターネット検索を選択した者は,女性では60歳未満,男性では70歳未満の70%以上であったが,80歳以上の女性では7.8%と低かった。インターネットを介した情報収集手段に関連する人口統計学的要因は,インターネット検索では,女性,世帯収入が高い者,教育年数が長い者,配偶者がいない者で選択する者が多く,同居者がいる者や高年層,とくに高齢女性では少なかった。緊急速報メールを選択した者は,女性,教育年数が長い者で多く,高年層,配偶者がいない者では少なかった。行政ホームページを選択した者は,女性,教育年数が長い者で多く,同居者がいない者,配偶者がいない者や高年層,とくに高齢女性で少なかった。結論 ICT機器利用者における災害時に想定される情報収集手段は性や年齢階級により異なることが示され,インターネットを介した情報収集手段に関連する要因は情報収集手段によって異なることが示唆された。
著者
井出 留美 五明 紀春 三浦 理代 古川 知子 室園 荘一 松永 勝治 伊藤(藤村) 知子 藤村 知子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.102-110, 2004-09-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

シリアルは一般にビタミン・ミネラルが強化され, 食物繊維が豊富なものもあり, 体調, 特に便秘や疲れ, 肌の状態を改善することが期待される。このようなシリアルの効果を検証するため, 朝食欠食の習慣がある10~30代男女70名及び, 朝食摂取している10代女性16名, 計86名について, 全粒穀物シリアルの, 体調及び肌に及ぼす影響について調べた。試験データの収集にあたっては, どこでも送受信が可能である利点を考慮して, 一般に普及している携帯電話のメール機能も利用した。
著者
桑坪 憲史 河野 公昭 村橋 淳一 勇島 要 室田 一哉 木村 由香里 長屋 孝司 松永 義雄 山賀 寛
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P3132, 2010

【目的】ジュニアユース(U-15)年代は成長期であることや、より激しいパフォーマンスが要求されるようになることなどから、成長期特有のスポーツ傷害を生じやすい時期である。傷害予防の為には成長期の身体特性を考慮する必要があり、メディカルチェックはとても重要な手段である。その為、我々は2007年よりスポーツ現場でのコンディションチェックだけでなく、当院でのメディカルチェックを試み、問題点と予防法などをフィードバックし傷害予防に努めている。そこで今回は、メディカルチェックの結果から選手の身体的特徴の変化を捉え、傷害発症との関連を検討し、今後のメディカルサポートに役立てることを目的とした。<BR><BR>【方法】2007年度にメディカルチェックを実施したジュニアユース(U-15)サッカー選手17名(レギュラーメンバー)を対象とした。競技レベルは全国大会レベルであり、我々がメディカルサポートを行っているチームである。メディカルサポートの介入内容としては、週1回の練習時のケアおよびコンディショニング指導、公式戦へのトレーナー帯同、そして、メディカルチェックのフィードバックである。メディカルチェックの実施日は2007年4月4日(メディカルサポート介入前)と同年12月3日(介入後8ヶ月でU-15年代最終戦の全国大会直前)の2回であった。メディカルチェックの内容は身体計測・アライメント測定・タイトネステスト・関節可動域測定・関節弛緩性テスト・筋力検査・パフォーマンステストの7項目であり、1回目と2回目の結果から、選手の身体的特徴の変化を検討した。そして、介入後8ヶ月の間に発症した傷害について調査し、傷害発症群と非発症群において、1回目のメディカルチェックの結果で指摘した異常値が、どの様に変化していたかも検討した。異常値の設定は、メディカルチェックの結果を標準偏差に基づいて5段階にランク分けし、Average-1.5×標準偏差(SD)より逸脱したものをランクE(異常値)と設定した。<BR><BR>【説明と同意】今回、測定を行った17名およびチーム関係者には、測定の意義・目的を説明し、同意を得た。<BR><BR>【結果】介入後8か月間の身体的特徴の変化としては、身体計測(身長・体重)・筋力検査(膝屈曲筋力・握力)・パフォーマンステスト(反応時間)に有意な増加(P<0.01)が認められた。また、身体計測(BMI)・タイトネステスト(傍脊柱筋・股関節内転筋群・腓腹筋)・筋力検査(膝伸展筋力)に有意な増加及び改善(P<0.05)が認められた。しかし、関節可動域測定(足関節踏込み角度)の有意な低下(P<0.01)も認められた。傷害発症件数は、慢性外傷4件(1,000時間1人あたり0.67件)急性外傷6件(1,000時間1人あたり1.01件)であった。傷害発症群と非発症群におけるランクE(異常値)の含まれる数については、両群間に有意な差は認められなかった。また、2回目の測定においては、Eランク(異常値)の改善は認められたものの、新たな項目にEランク(異常値)が出現していた。<BR><BR>【考察】今回の結果から、身体計測や筋力検査の向上は、この年代が成長期であることを示す結果であり、成長期の身体的変化に対応していくことの重要性が認識された。成長期は骨の発達が著しいため、一般的に筋のタイトネスが発生しやすく、骨端症などの成長期特有の傷害が発症しやすい時期といえるが、タイトネスの改善が認められたことは、メディカルサポートの介入の効果が反映しているものと思われた。しかし、足関節の踏み込み角度の低下が認められたことは、成長期のサッカー競技が足関節のStiffness増大に関与しているものと思われた。その為、今後は、足関節のセルフケアを徹底させたり、コンディショニングの指導を行っていく必要があるものと考えられた。メディカルチェックの結果からランクE(異常値)を抽出し、選手にフィードバックしていくことは、傷害予防として重要であると考えられるが、今回の結果からは、必ずしもランクE(異常値)を多く含む選手が傷害を発症しておらず、その関係は見いだすことは出来なかった。しかし、1回目でのランクE(異常値)の数は2回目の測定では減少しており、メディカルサポートの介入の効果は認められたと思われた。しかし、新たなランクE(異常値)が出現していることから選手の状態は常に変化しており、継続的なメディカルチェックやメディカルサポートの体制を確立していくことが重要であると思われた。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】医療の現場からスポーツの現場へ、理学療法士の担う役割は大きいと思われる。今回の研究結果から、成長期のスポーツ傷害を少しでも軽減し、次のカテゴリーへステップアップさせることが重要である。そして、日本のサッカー競技の向上に微力ながら貢献できれば幸いである。