著者
山本 聡 松永 安光 徳田 光弘 漆原 弘
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.3, pp.989-994, 2006-10-25 (Released:2018-06-26)
参考文献数
9

本論は、1990年代初頭イギリス政府都市再生政策「シティチャレンジ」の対象地域に選定されたマンチェスター市ヒューム地区を評価とモニタリングのシステムを適用したもっとも典型的な事例としてとりあげ考察したものである。このシステムはこのプロジェクトに当初から組み込まれていたものであり、現在に至るまで機能している。1997年と2002年当プロジェクトの節目には広範にわたる評価報告がなされている。現地の関係機関を通して入手された資料などを検討した結果、この継続的なプロセスの利点が明らかにされた。このシステムによればプロジェクト当初に策定された目標そのものも、その後の変化に対応して変更することが可能になることが判明した。これがわが国の、特に長期にわたる都市再生事業の評価システムに貢献することを期待する。
著者
那須 啓一 志田 大 松岡 勇二郎 谷澤 徹 松永 裕樹 真栄城 剛 宮本 幸雄 井上 暁 梅北 信孝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1485-1492, 2011-11-01 (Released:2011-11-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1 2

S状結腸癌の術前検査にて偶発的に発見され,癌手術に際して同時切除した仙骨前面の骨髄脂肪腫の症例を経験した.症例は70歳の男性で,S状結腸癌の術前検査の腹部CTにて第3から第5仙椎前面に内部不均一に淡い造影効果を示す径4cmの腫瘤が見られた.MRIでは脂肪成分の含有を認め辺縁も一部不整であったことから,脂肪肉腫の術前診断にて,S状結腸癌の手術にあわせて同時に切除した.仙骨前面腫瘤は径4cm大の被膜形成の明瞭な充実性腫瘤で仙骨前面に比較的強固に付着していたが浸潤はなかった.組織学的には成熟脂肪組織の増生とその中に混在する三系統(赤血球,白血球,血小板)の造血細胞からなる骨髄組織が見られ,悪性所見はなく骨髄脂肪腫と診断した.骨髄脂肪腫は,主として副腎に発生する比較的まれな軟部組織由来の良性腫瘍であり,副腎以外の部位に発生する骨髄脂肪腫は極めて少ないことから,画像診断も含めて文献的考察を加え報告する.
著者
松永 信博 櫨田 操 鵜崎 賢一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.635, pp.113-126, 1999-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
46
被引用文献数
1 2

風洞付き二次元造波水槽を用いて強風下の沖合い海域で発生する飛沫量の実験を行った. 白波砕波上の飛沫の粒径分布から飛沫濃度を定量的に評価し, 水表面に作用する風応力との関係を明らかにした. 飛沫量は水面上の摩擦速度と飛沫の沈降速度に強く依存する. また, 画像解析結果から, 飛沫粒径および飛沫の沈降速度は高さの-1乗に比例して減少することが示された. 以上の検討結果に基づき, 高さ10mの平均風速と卓越波の波速と波高から, 白波砕波を伴う実海域における任意の高さでの飛湯濃度を評価できる半経験手法を提案している.
著者
松永 宣史 山田 陽子 山田 加奈子 内海 健太 中南 秀将 野口 雅久 笹津 備規
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.362-368, 2011 (Released:2012-02-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1

接触感染は,院内感染の最も主要な感染経路である.接触感染の防止には,患者や医療従事者が頻繁に触れる場所(高頻度接触表面)の汚染状況を把握し,医療従事者の病院内環境に対する意識を向上させる必要がある.本研究では,院内感染の主要な原因菌であるPseudomonas aeruginosa,メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA),およびSerratia marcescensについて,高頻度接触表面の環境調査を行った.2005年から2008年の4年間,のべ1,513試料から,MRSA 13株(0.9%),P. aeruginosa 69株(4.6%),およびS. marcescens 24株(1.6%)が検出された.検出された細菌の特徴を調査するため,抗菌薬感受性試験およびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を行った.その結果,環境分離MRSAの抗菌薬感受性と遺伝学的背景は,臨床分離株と類似していた.一方,環境分離P. aeruginosaおよびS. marcescensの80%以上が,調査した抗菌薬全てに感受性を示した.また,環境分離P. aeruginosaと臨床分離株の遺伝学的類似率は低いことが明らかとなった.したがって,高頻度接触表面に付着していたMRSAは患者や医療従事者由来株であり,P. aeruginosaおよびS. marcescensの大部分は,環境細菌であることが強く示唆された.さらに,細菌検出数の経時変化を調査したところ,初回調査時の18株/89試料(20.2%)が最も多く,調査2回目は7株/89試料(4.5%)と大きく減少した.これは,MRSAの検出数が著しく減少したことに起因していた.したがって,環境調査を行うことによって,職員の環境に対する意識が向上し,各部署における清掃および消毒が頻繁に行われるようになったと考えられる.
著者
松永 昌宏
出版者
愛知医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

私たち人間には、他者の内的状態を知り、他者が感じるのと同じように感じることができる「共感性」という能力が備わっている。共感性は乳児期からすでに獲得されており、例えば産婦人科内の赤ちゃんベッドが並ぶ部屋では、一人の赤ちゃんが泣きだすと、つられたように周囲の赤ちゃんも激しく泣き出す現象が見られる。これは、最初の赤ちゃんの悲しい感情が周囲の赤ちゃんに伝染したために起こる、情動伝染と呼ばれる最も原始的であると考えられている共感性である。カリフォルニア大学のファウラーらの研究によると、自分の周りに幸せな人が多くいる人は、自身の幸福度が将来的に上昇する確率が高くなるという。このことは、幸福感のようなポジティブ感情においても情動伝染が起こる可能性を示唆するものであるが、ポジティブ感情の情動伝染についてはあまり研究がなされていない。そこで本研究では、場面想定法を用いた共感性課題を用いて、幸福感の情動伝染の分子・神経基盤を明らかにすることを試みた。実験に使用した課題は、こちらが提示する色々な場面に遭遇した時のことを想像してもらい、その際の自身の幸福度はどれくらいかを評価するというもので、場面の感情価(快、不快、中性)×幸せそうな友人の有無(一緒に経験、自分ひとりで経験)の2要因混合計画で実施された。実験の結果、自己評価質問票における喜び感情の伝染得点の高さと、幸福感の伝染の程度との間に正の相関が見られるとともに、下頭頂葉ミラーニューロン活動との間にも正の相関が見られることが示された。また、下頭頂葉ミラーニューロン活動はオキシトシン受容体遺伝子多型、セロトニン2A受容体遺伝子多型と関連していることも見出された。これらの結果から、ポジティブ感情の情動伝染においてもミラーニューロンシステムが関係していることが示唆されるとともに、その活動をオキシトシンやセロトニンが修飾していると考えられる。
著者
賈 瑞晨 佐藤 廉也 縄田 浩志 松永 光平 劉 国彬 張 文輝 山中 典和
出版者
九州大学大学院比較社会文化学府
雑誌
比較社会文化 : 九州大学大学院比較社会文化学府紀要 (ISSN:13411659)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-35, 2011

経済成長に伴う貨幣経済の急速な浸透によって、中国内陸部の農村における物質・社会生活は激しく変容している。こうした背景のなかで、本稿は中国・黄土高原の農村における一つの結婚式を取り上げ、その縁談成立から挙式までの詳細を記述することによって、現代中国農村における伝統と変容の一断面を明らかにし、考察の材料を提供することを目指した。結果として、貨幣経済の浸透によって結婚式は豪華かつ派手になったことにより、婿方の出費は膨大となり、借金の返済が出稼ぎ流動を促す大きな要因となっていることが明らかになると同時に、一方で嫁取り婚・夫方居住や男児偏重の傾向、さらには村の互酬的な人間関係が基層的な社会関係として持続している様相が浮かび上がった。
著者
大石 優 永尾 隆 石田 春磨 中島 孝 松永 恒雄
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.299-306, 2015-11-20 (Released:2016-05-21)
参考文献数
15

The preparation of the launching of Greenhouse gases Observing SATellite-2 (GOSAT-2) in fiscal 2017 has been progressing. GOSAT-2 will be equipped with two earth-observing instruments: the Thermal And Near-infrared Sensor for carbon Observation Fourier Transform Spectrometer 2 (TANSO-FTS-2), and the Cloud and Aerosol Imager 2 (TANSO-CAI-2). Cloud contamination within the instantaneous field-of-view (IFOV) of the FTS-2 leads to incorrect estimates of major greenhouse gases concentration. Thus, cloud-contaminated FTS-2 data will be identified and rejected using the CAI-2. The observed time difference between the FTS-2 and CAI-2 may be longer than the FTS and CAI because the CAI-2 is a push-broom imaging sensor which has the backward and forward looking bands. Consequently, we examined the probability of cloud contamination within the IFOV of the FTS-2 by moving cloud though it was cloud-free region when the CAI-2 observed there. And we propose a method using the CAI-2 cloud discrimination for screening of cloud-contaminated FTS-2 data.
著者
在家 正行 松永 教仁 佐藤 智哉 山田 篤志 鶴谷 敏則 山本 昌志 畑農 督 城野 哲
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.419-420, 2019

<p>電子線集束機構を内蔵し、半値全幅0.2mmの小スポットを実現する小型・軽量の950keV線形加速型X線源とそれを搭載したCTシステムを開発した。矩形溝サンプルの透過像により空間分解能の検証を行い、0.2mmの構造を解像可能であることを確認した。自動車のエンジンブロックのCT撮像を行った結果、2mm~3mm程度の構造が視認可能であり、開発したX線源が高い透過力を有していることを確認した。</p>
著者
松永 晶子 米田 誠
出版者
日本臨床検査医学会事務所
雑誌
臨床病理 (ISSN:00471860)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.271-278, 2009-03-25
参考文献数
28
被引用文献数
2
著者
松永 繁
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-43, 2019 (Released:2019-07-16)
参考文献数
13

専門学校における従来の学習継続困難、中途退学に関する研究では、経済的な側面や「学力」の側面から検討されてきた。本研究では、非認知能力の人間関係形成能力をキーワードにして、介護福祉士養成専門学校で学ぶ学生の学習継続困難要因、背景、教員の対応に焦点を当て検討した。結果、課題としては、【構成員からの離脱】【自己中心的な世界観】【孤立させる行動】の概念を生成し、背景では、【理想の子ども像】【スキル形成機会の剥奪】の概念を生成した。教員の具体的支援については、≪個別面談≫≪個別指導≫≪他の教員との情報共有≫≪家族への連絡≫の4つのカテゴリーを生成した。 結論として、人間関係形成能力の発達途上に学習継続困難となる課題が生じていることが示唆された。