著者
中本 裕也 松永 秀夫 相馬 武久 植村 隆司 松永 悟 小澤 剛
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.126-130, 2013-02-20
参考文献数
12

5カ月齢の雄のロシアン・ブルーが尿道閉塞に類似した排尿困難を主訴として,紹介元動物病院を受診した.各種検査所見から下部尿路炎症に対する治療を開始したが,数日後に両後肢での起立困難となった.神経学的検査では,軽度な頭部振戦や両後肢の上位運動ニューロン性不全麻痺が認められた.MRI 検査では,脳室周囲,頭部から腰部にかけての髄膜,腰髄実質における信号強度の異常が認められた.血清及び脳脊髄液における猫コロナウイルス(FCoV)の抗体検査や遺伝子検査結果から,FCoV-I型感染による中枢神経型猫伝染性腹膜炎ウイルス性髄膜脳脊髄炎が強く疑われた.雄猫における尿道閉塞による排尿障害は頻繁に遭遇する疾患だが,幼齢期で類似した症状を呈した場合にはFCoV 感染による中枢神経障害を鑑別疾患として考慮する必要があり,飼い主への慎重な説明が重要と考えられた.
著者
伊原 研一郎 岡田 宗正 松永 尚文
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.294-295, 2017-03-26

1.いずれも単純CTで大動脈壁内が三日月状の高吸収域として認められるサイン2.high–attenuatingcrescentsignは腹部大動脈瘤の切迫破裂を示唆し,high–attenuatingcrescentsignは急性期の偽腔閉塞型大動脈解離を示唆するサイン3.画像所見では,石灰化した内膜が内方へ偏位している場合,大動脈解離と診断でき,hyperdensecrescentsignは,偽腔が頭尾方向に連続して認められるため,両者の鑑別は可能となりうる
著者
松永 喬
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.113-118, 1993-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
29

Tornwaldt's disease, which was first described by Tornwaldt as one of the causes of epipharyngitis, is inflammation or abscess of the embryonic remnant cyst of the pharyngeal bursa appearing at the posterior median wall of the epipharynx. Although many cases are asymptomatic, symptoms are often caused by nasal tamponade, trauma, adenotomy, or other mechanical stimuli. Only a few cases have been reported from 1929 till 1992 in Japan. In about the 10th week of embryonic development the pouch, which is made by adhesion of the pharyngeal ectoderm to the notochord at the most cranial end of the notochord, is closed at the orifice (cystic type), or crusts adhere to the orifice without closing (crust type). The symptoms are those of upper respiratory tract infection with obstinate occipital pain, purulent choanal discharge, nasal obstruction, halitosis, feeling of ear fullness, clearing of the throat, etc. Posterior rhinoscopy, simple lateral view X-ray tomography, nasopharyngeal fiberscopy, CT scan and MRI are useful in showing adhesion to the cervical vertebrae. While complete extirpation via a transpalatal approach is desirable, incision or excision of the cyst can also be performed.
著者
栁澤 節子 小林 千世 山口 大輔 上原 文恵 吉田 真菜 鈴木 風花 松永 保子
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌 (ISSN:18822312)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.107-113, 2018-03

本研究の目的は、主観的健康感と生活形態、健康維持への意識、および地域社会活動との関連を検討することであった。2015 年7 月にM 市内の総合球戯場でゲートにいた成人と、2016 年9 月から10 月にM市内の商業施設の成人の来店者とS 大学医学部主催の健康講座に来た成人の参加者を調査対象者とした。調査内容は対象者の属性、主観的健康感、生活形態、直接スポーツ観戦の有無などであり、無記名式質問紙調査を実施した。分析は、主観的健康感について「主観的健康感高群」と「主観的健康感低群」に分けて、それらを従属変数とし、「地域活動に関する事柄」、「生活習慣に関する事柄」、「健康維持に関する意識」、「直接スポーツ観戦の有無」を独立変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果、「夢中になれるもの」(OR=3.41、95% CI=1.270─9.167)、「規則正しい生活」(OR=2.64、95% CI=1.251─5.585)、「直接スポーツ観戦」(OR=2.584、95% CI=1.158─5.766)が、主観的健康感を高める要因であった。これらのことから、人生において、夢中になれるものがあることや、規則正しい生活を送ること、直接スポーツを観戦することが、主観的健康感に大きな影響を与えていることが分かった。また、直接スポーツを観戦することや、直接スポーツをすること以外にも、スポーツに関わる、あるいは携わることが、健康に対する意識を高め、健康の保持増進に影響を与えることが推察された。したがって、スポーツができない高齢者や患者においても、スポーツを観戦することで、主観的健康感が高まり、人生における楽しみや生きがいにつながり、「近隣の人との交流」、「地域での活動に参加する」などの社会的活動やその役割、意識をも高め、主観的健康感も高まると考えられた。今後、健康寿命の延伸に向けた健康づくりのためには、今回明らかになった主観的健康感を高めるような要因が充実する介入や支援ができる体制を作り上げることが重要であると考えられた。
著者
松永 康史
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDFOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVERSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
no.20, pp.159-174, 2019-11-30

本稿では、武富健治によるマンガ『鈴木先生』の第1,2話を対象とし、教師の「自己理解」を射程に入れた「子ども理解」について考察・教材化し、授業の構想を試みる。考察では、教師自身がこれまでの生活の中で築いてきた自分の見方や考え方があり、そのフィルターを通してしか子どもを理解できていないことを示し、教師の「自己理解」の必要性を記した。そのことを踏まえ、子ども理解と学生自身が自らを見つめ直す機会としての授業を構想した。
著者
塚本 研一 戸枝 一喜 船木 勉 大久 長範 松永 隆司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.313-319, 2007-07-15 (Released:2007-10-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

秋田県産のはたはたずし製品について秋田県内3地域の代表的製品の製品形態,各種化学成分,遊離アミノ酸,有機酸,遊離糖類,微生物について検討した結果,以下の特徴を明らかにした.(1)沿岸北部の製品は原料にハタハタ,米,野菜を主に使用し,熟成期間が短く乳酸発酵がない早ずしである.主に食酢処理による酢酸の浸透により微生物を抑制していた.(2)沿岸中央部の製品は原料にハタハタ,米,米麹,野菜を主に使用し,乳酸発酵があるなまなれずしである.使用原材料ではいずしに近く,米麹,野菜を使用し乳酸発酵を促進するなまなれずしの伝統的な製造法に近かった.(3)沿岸南部の製品は原料にハタハタ,米飯,米麹,野菜を主に使用し,米飯の米麹による糖化を十分に行っているが,乳酸発酵はない早ずしである.使用原材料ではいずしに近いが,食酢処理による酢酸の浸透および米飯の米麹による十分な糖化と砂糖添加による水分活性低下で微生物を抑制していた.これらの結果から秋田県のハタハタずし製品は乳酸発酵があるなまなれずしタイプと早ずしタイプの2つに分類された
著者
吉永 眞人 池田 裕子 樽井 里佳 松永 朋子 上村 雄一郎 横田 真弓
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.273-275, 2019
被引用文献数
1

<p>【はじめに】100種類以上の酵素の構成要因として生体の様々な代謝系の調整に関与し、重要な微量元素の一つとされる亜鉛は、蛋白質合成・代謝などの生命維持に関係し、亜鉛の摂取については肉類・魚類・種実類からが主とされる。特に亜鉛欠乏症においては味覚障害・舌痛・貧血・食欲不振など様々な症状が表れ、近年注目される指標の一つとされるが、各医療機関において、あまり測定されていないのが現状である。今回、我々は当院健診受診者を対象に血中亜鉛濃度を測定し、世代別に有意な差が存在するか検討した。</p><p>【対象者および対象期間】2017年7月から12月までの当院健診受診者を対象とした。</p><p>【測定方法】採血は原則空腹時の早朝採血(午前8:30~9:30)。</p><p> 血清亜鉛値の測定は、生化学自動分析器LABOSPECT008(株式会社日立ハイテクノロジーズ)およびアキュラスオートZn(株式会社シノテスト)を使用。各年代別の血清を用い比較した。</p><p>【検討方法】</p><p> ①年代別および男女別で血清亜鉛値を比較</p><p> ②「亜鉛欠乏症の診療指針」に挙げられる血清ALP活性値・血清亜鉛値について比較</p><p> ③炎症マーカー(CRP)と血清亜鉛値との比較</p><p>【結果および考察】各年代別に血清亜鉛値を比較した場合、20代男性が最も高く40代女性が最も低い結果であったが、年代別および男女別で明らかな有意差は認めなかった。</p><p> 亜鉛欠乏が疑われる血清ALP活性値が 150U/L以下では血清亜鉛値基準値下限 80μg/dLを下回る割合が多く、活性値低下の一つの要因になっているのではないかと推測された。</p><p>また、女性の20代から40代および60歳以上では約4割近くで、潜在性亜鉛欠乏が疑われた。</p><p> 炎症マーカー(CRP)と血清亜鉛値は負の相関関係を認めた。</p><p> 日本人の1日当たりの亜鉛摂取推奨量は、成人男性 10mg女性 8mgとされるが、その摂取量は男女ともに不足ぎみで、症状はなくとも日頃の食生活の偏りで亜鉛欠乏は潜在的に起こりうる。食生活を意識的に改善することが重要であり、それを知る上で血清亜鉛測定の有用性が示唆された。</p>
著者
松永 賢次
雑誌
高校教科「情報」シンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.23-35, 2019-10-19
著者
不破 泰 北辻 佳憲 酒井 清一郎 松永 彰 大河 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.200-209, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
10

山岳登山ブームの中,遭難者の増加が問題になっている.このことを背景に,我々は登山者見守りシステムを開発している.このシステムは,登山者の位置ログを作成し,このログから遭難の発生を自動的に判定し,安全・迅速に救助することを目的としている.そして,通信システムとして山全体をカバーするLPWA と,特定の遭難者の状況を高精細映像等で把握する5G を組み合わせて採用している.実際に中央アルプスにおいて,2018 年7 月からLPWA の実証実験を行い,更に2019 年10 月には5G 総合実証(評価実験)を行った.本稿では,主にこの5G の評価実験について述べ,5G の有用性とカバレージについて論じる.
著者
松永 修一
出版者
十文字学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では自然度の高い音声データ収集を行い、音調の世代差と変化の方向性を探索した。特に、若年層の自然談話の収集に力を入れ、その中で出現する方言語彙、アクセントなどを抽出し分析を行った。また、高校生100人に対して、伝統的方言の残存度、宮崎方言の浸透度、帰属意識、方言意識などの項目を調査した。また、都城市内の高校生、中年層、高年層の方々を対象に、自分たちの方言を考えるワークショップを都城市教育委員会との共催で開催した。自分たちの方言の多様性について考え、地域づくりのリソース、また、帰属意識の醸成のためにどのように活かせるかなどを考え、対話型の研究手法についても試行した。
著者
松永 賢次
雑誌
高校教科「情報」シンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.9-12, 2019-10-19
著者
荻野 仁 松永 亨
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.503-508, 1985-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
20

Coenzyme Q10 is said to increase the efficiency of oxygen utilization and ATP production in ischemic tissue. The present study was undertaken to determine the blood levels and clinical effects of Coenzyme Q10 in 83 patients with vertigo. The mean blood level of Coenzyme Q10 in 83 patients with vertigo was 0.61±0.27 μg/ml, which was lower than the normal value of 0.81±0.34 μg/ml (p<0.01). Blood levels of Coenzyme Q10 were significantly lower in patients with sudden deafness, central dizziness and vertigo than in those with MÉNIÈRE's disease. The time course of vertigo was followed in the MÉNIÈRES's disease patients in whom blood levels of Coenzyme Q10 could be determined at various times. As a result, it was found that there was a correlation between blood levels of Coenzyme Q10 and vertigo. Briefly, the mean blood level of Coenzyme Q10 was 0.72±0.22 μg/ml during remission, while it was 0.43±0.19 μg/ml when the patients were conscious of vertigo. After 2 weeks of treatment the clinical effects of Coenzyme Q10 on vertigo were determined in a group of 14 patients on Coenzyme Q10 (Neuquinon) alone, 30-90mg/day, and in a group of 23 patients on combination therapy with Coenzyme Q10 (Neuquinon), 60-90mg/day, and an cerebral metabolic activator. The drug effect evaluations were in principle made on the basis of changes in subjective and objective symptoms at the end of treatment period. The rate of effectiveness was 90% for patients on combination therapy and 35.7% for those on single therapy with Coenzyme Q10. This result suggests that the transport of Coenzyme Q10 to tissue is enhanced when it is combined with an excitometabolic cardiovascular drug and that they pharmacologically produce a synergistic effect with each other.
著者
村松 博士 住吉 葉子 栗林 景晶 沼田 隆明 山内 尚文 井原 康二 西里 卓次 高柳 典弘 長岡 康弘 佐藤 勉 松永 卓也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2470-2472, 2001-12-10
参考文献数
3
被引用文献数
1

症例は, 52歳,女性.主訴は意識障害,発熱.入院時,著明な高血糖あり,腎盂腎炎を疑い感染症治療を開始したが, DICを併発し重症化した.感染源の検索を行ったところ,腹部CTで左腎臓が腫大し腎実質内に低吸収域を認め,気腫性腎盂腎炎と診断した.第2, 3病日の血液培養でE. coliが検出され,敗血症を合併していた.糖尿病を基礎にきわめて重篤化したが,保存的治療にて治癒した気腫性腎盂腎炎の1症例を報告した.
著者
脇坂 しおり 小橋 理代 菱川 美由紀 山本 百希奈 池田 雅子 坂根 直樹 松永 哲郎 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.297-304, 2009 (Released:2010-01-29)
参考文献数
29
被引用文献数
9 4

胃電図は, 腹部に装着した表面電極から経皮的に胃筋電活動を記録する非侵襲的な胃運動評価法である。本研究では, 胃電図を指標として朝食欠食と朝の胃運動の関連を検討するために, 朝食摂取習慣のある女性11名 (21.5±0.2歳) に, 1週間の朝食欠食および1週間の再摂食試験を連続して行った。各試験の前後に検査日を設け, 前夜から絶食した被験者の体組成, 空腹感と食欲 (Visual analog scaleによる) を測定し, 午前9時より胃電図と心電図を同時に記録した。得られた胃の電気信号を解析し, 1分間に約3回生じる正常波パワー (Normal power), 正常波パワー含有率 (% Normal power) およびその出現頻度 (Dominant frequency; DF) を定量した。心電図からは心臓自律神経活動を定量した。1週間の朝食欠食は, 有意ではないが% Normal powerとDFを低下させた。DFは欠食後から再摂食後にさらに低下した (p=0.074 versus baseline) 。朝食欠食後の空腹感スコア (r=0.55, p=0.077), 食欲スコア (r=0.60, p=0.051) と % Normal powerの相関には有意傾向が認められた。以上の結果より, 1週間の朝食欠食が習慣的に朝食を摂取している若年女性の胃運動を減弱させる傾向が認められたこと, および, 胃収縮運動の強さが空腹感や食欲の強さと関連している可能性が示唆された。
著者
畝田 道雄 松永 敬弘 高橋 佳宏 澁谷 和孝 中村 由夫 市川 大造 石川 憲一
出版者
社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.448-453, 2016-08-01 (Released:2016-11-25)
参考文献数
16

本研究では,サファイア基板(ウェーハ)のCMPを対象とし,接触画像解析法に基づく研磨パッド表面の定量評価の観点から,研磨パッド表面温度と研磨レートの関係解明を目的とする.その手法として,研磨ヘッドと定盤(研磨パッド)の回転数が研磨レートに及ぼす影響,ならびにチラーによって設定される研磨定盤の温度が各評価パラメータ(研磨パッド表面温度,研磨レート,研磨パッド表面性状,研磨パッド硬度)に及ぼす影響を実験的に検討し,相関関係からの影響解明を試みた.その結果,研磨パッド表面温度の増加に伴って研磨パッドは幾分軟化し,接触点数が増加することで研磨レートは増加すること,ならびに不織布パッドは研磨パッド表面温度の影響によって研磨パッド表面性状および研磨パッド硬度が変化することを明らかとした.