著者
佐藤 義夫 林 淳子 西森 真理 小野 信一 竹松 伸
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.193-204, 2000-07-05

海水(Mn~2+:約50ppm;pH:約8.0)中でバクテリアの媒介によって生成するマンガン酸化物鉱物を, いろいろなマンガン酸化バクテリアと海水の組み合わせを用いて調べた。その結果, hydrohausmannite, feitknechtite(β-MnOOH), manganite(γ-MnOOH), unnamed MnO_2 mineral(JCPDS Card:42-1316)および10Å manganate(buseriteあるいはtodorokite)が生成したが, マンガン酸化物が生成しない組み合わせもかなり存在した。バクテリアのマンガン酸化活性が高いときには, 酸化状態の高いMn(IV)酸化物が, それが低いときには, Mn(III)酸化物が, それぞれ生成した。各鉱物は, 中間物質を経ることなく, Mn~2+の酸化によって直接生成したものと考えられる。海洋環境に存在するMn(IV)酸化物は, 純粋な無機的反応よりもむしろ微生物の媒介によって生成するものと考えられる。
著者
林 雅人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.705-711, 2003-01-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

高齢者の生活習慣病対策は若壮年とは異なった視点が必要である。BMIについて男性ではやせ群の生存率が低く, 高齢男性群はがん死亡者を除外しても有意に低い。血清総コレステロールについて高齢者男性群は中年群より血清総コレステロール低値群の生存率が明確に低く, 5年以内のがん死亡例を除外してもその傾向は変わらない。この事実は基本健診で得られた高齢者高コレステロール血症に対する食事指導を若年者と同様に行うべきでないことを示している。血清アルブミンと血清総コレステロールは男女, 中年・高齢群すべてにおいて有意に正相関しており, がん死亡例を除外してもその傾向は変わらない。この相関は高齢者程より明確であった。この点からみても高齢者食事指導にあたっては若壮年者と同様に行うべきではない。
著者
松田 忠久 斉藤 雅人 阿部 昌弘 橋本 哲也 小林 裕之 渡辺 泱
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1417-1422, 1987-08-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2

1982年6月から1985年10月までに, 京都府立医科大学泌尿器科学教室を受診した腎腫瘤症例で, 腹部CT, 腎超音波検査, 腎血管造影などにて診断が確定し得なかった10例に対して, 選択的腎生検を施行した.選択的腎生検にて得られた組織診断は, 腎細胞癌6例, 乳頭状腎細胞癌1例, 移行上皮癌1例, 血管筋脂肪腫1例, 膜性増殖性糸球体腎炎1例で, それにより各々の症例の治療のために極めて重要な情報が得られた. また生検を契機とした腫瘍細胞の播種をはじめとした合併症は, 認められなかった.よって腎腫瘍に対する選択的腎生検は, 従来の諸検査では診断できなかった腎腫瘍の診断に非常に有用であると思われた.
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-84, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall
著者
小林 衛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.550, pp.281-286, 2001
被引用文献数
1 1

This paper deals with Carlo Maderno's construction-principle of church facade in the first period of 17th century. This paper, especially, takes up S. Susanna in Rome, which regarded as a milestone of Baroque, and pays attention to typical churches of Counter-Reformation, for example II Gesu in Rome, and S. Fedele in Milan.The purpose of this paper is to show Maderno's treatment of wall according to analysis of architectural order on the facades, clarifying division of the wall from frame of the order. In a word, Maderno's method acquires plasticity of wall, independent of the order.
著者
佐伯 潤 山本 精治 矢部 眞人 長崎 淳一 林 健一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.135-140, 2015
被引用文献数
1

狂犬病予防法は91日齢未満の幼齢犬にワクチン接種義務を課していない.このようなワクチン未接種幼齢犬は,移行抗体による防御免疫を有する場合もあるが,その消失に伴い免疫を失うと考えられる.狂犬病発生時,幼齢犬が本病の拡大や人への伝播に関与する可能性もあるが,国内での抗体保有状況に関する報告は少なく,その実態は明らかではない.そのため,91日齢未満の幼齢犬における狂犬病中和抗体の保有状況を調査し,狂犬病発生時を考え,家庭で飼育されている幼齢犬の狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価の推移を調査した.その結果,中和抗体価8倍以上の幼齢犬は,216頭中34頭と少なかった.幼齢犬への狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価は,一時的な上昇にとどまるか,十分に上昇しなかった.しかし,その後の追加接種により感染防御が可能な有効抗体価が得られた.
著者
中橋 和博 大林 茂
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、亜音速場でよく用いられる縦渦導入による境界層剥離制御法が超音速流中の境界層剥離に対しても有効かどうかを数値解析でもって調べること,およびそのための効率よい数値計算手法の構築を目的とし,研究を以下のように進めて大きな成果を得た.1.超音速流中のボルテックスジェネレーターまわりの詳細な数値計算を効率よく行うための数値解法の開発を進めた.従来の差分法計算法に生じる計算特異点等の問題点を解決するため,非構造格子法によるナビエ・ストークス計算コードの開発を進めた.その結果,計算特異点等の問題が解決されたことにより計算時間は従来の計算法に比べ数分の1に減らすことが可能になり,その有効性を確認した.この計算法は,世界的に現在主流の差分法に基づく計算法に取って代わりうる能力があり,数値流体力学研究への貢献は非常に大きい.2.平板上に三角錐状の突起をつけた場合および同様の形状の空洞を設けた場合について,それらが超音速流中において誘起する流れ場をナビエ・ストークス数値計算により調べた.その結果,突起形態および空洞形態ともその後流に対の縦渦を誘起することを確認し,かつその誘起渦度の強さは三角錐の開き角と一様流のマッハ数との関係で大きく変化することを見いだした.また,空洞型ボルテックスジェネレーターは超音速場での衝撃波発生および空力加熱問題点で有利であるが,生成された縦渦が下流では壁面へと進んで平板境界層と融合し,境界層外の運動量を境界層に導く効果は弱くなってしまうこと,また,三角錐開き角とマッハ数との関係も上流境界層が厚い場合は明確ではないとの結果を得た.以上の研究において,備品として購入したコンピュータはプログラム開発および計算前処理と後処理端末として非常に有効であった.
著者
竹林 秀晃 弘井 鈴乃 滝本 幸治 宮本 謙三 宅間 豊 井上 佳和 宮本 祥子 岡部 孝生
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100757, 2013 (Released:2013-06-20)

【目的】近年,身体保持感や運動主体感などの自己身体感覚の研究において,視覚と体性感覚が時間的・空間的に一致することによりラバーハンド錯覚や体外離脱体験などの現象が引き起こされることが報告されている.一方,慢性疼痛の原因は,視覚情報と体性感覚情報の不一致が疼痛の原因となることが報告されている.そして治療として,鏡,ビデオ映像やVR 技術などを使用し,視覚と体性感覚のマッチングが有効であるとの報告がある.こうしたことから,自己身体を正確に認識するためには,様々な感覚モダリティの情報を統合することが必要である.しかし,姿勢制御において視覚刺激と身体情報の一致・不一致性についての報告は少ない.視覚情報と身体感覚情報(体性感覚,前庭覚)が一致しなければ,身体の違和感が起こり姿勢制御能力の低下やパフォーマンスがうまくできなくなる可能性がある.そこで,今回リアルタイムに視覚情報を変化させることで身体感覚情報との不一致をつくり,姿勢制御への影響を探ることを目的とした.【方法】対象は,健常成人18 名(年齢21.9 ± 0.4 歳)とした.測定肢位は,Head Mounted Display; HMD(HMZ-T2,SONY社製)を装着したタンデム肢位とした.HMDとデジタルビデオカメラ(HDR-CX270V,SONY社製)を同期化させ,被験者自身の後方から撮影した映像をリアルタイムにHMDに映写した.映像としてカメラを前額面上で右回転させ,設定角度は0°・45°・90°・135°・180°の5 つをランダムに映写した.測定時間は各30 秒とし,15 秒で設定角度へと傾け,15 秒で0°へと戻した.データは,重心動揺計(アニマ社製)にて,サンプリング周波数50HzでPCに取り込み,総軌跡長,矩形面積を算出した.統計学的解析は,一元配置分散分析と多重比較検定(Bonferroni法)を用いた.また,測定後,測定時の主観的感覚を聴取した.【倫理的配慮,説明と同意】実験プロトコルは,非侵襲的であり,施設内倫理委員会の承認を得た.なお,対象者には,研究の趣旨を説明し,同意を得た.【結果】総軌跡長は,映像の回転角度180°において,回転角度0°より有意に高値を示した (p<0.01) .矩形面積は,回転角度135°と180°において回転角度0°より有意に高値を示した (p<0.01) .被験者からの主観的感覚の回答としては,「映像に抵抗しようと傾きと反対方向に傾いてしまう」などの映写された自己身体像に対して没入感があったことが窺える回答が得られた.【考察】立位姿勢保持では,視覚・体性感覚・前庭覚の情報が統合されて成り立つが,視覚情報による影響が大きい.しかし通常,自身の姿勢を視覚的に取得することは困難であり,本研究のように自己身体の後方からの映像は非日常的である.さらに,リアルタイムに映写する身体像を回転させることで,視覚情報に外乱刺激を与え,身体感覚情報との不一致の状況のみならず,遠心性コピーとの不一致も与えることになる.結果として回転角度が大きい場合において有意に重心動揺が大きくなった.これは,視覚情報と身体感覚情報の不一致の度合いが大きく,身体図式との整合性が合わず姿勢制御に影響を及ぼしたことを示唆している.これは,Mental Rotation課題において実際動かすことが難しい120°,240°に回転させた手の写真に対する反応時間が延長する報告やBiological Motionにおいて180°回転させた時には、運動の認知が低下する報告と同様なものと考えられる.日常見る機会の少ない角度の視覚情報であるため,視覚映像としての経験的要素が少なく身体図式が形成されていないためと考えられる.また,各回転角度が増大するにつれて回転角速度が速くなることが姿勢制御に影響を与えたことも考えられる.一方,回転角度が少ない場合は,日常経験可能な角度であることから身体図式の形成がされており,映写された身体像との不一致があっても,感覚の重みづけの変化がおこり,視覚情報よりも他の身体感覚情報がより賦活されている可能性や予測的側面により重心動揺を制御できる可能性を示唆している.【理学療法学研究としての意義】姿勢制御において,視覚操作や視覚と身体感覚の一致性に着目する必要がある.視覚情報と身体感覚情報との不一致の状況では,感覚の重みづけの変化により体性感覚など自己身体へのアプローチを閉眼という環境以外で与えることが出来ると考えられ,新たな姿勢制御戦略や視覚や身体感覚情報の統合障害がある場合での評価やトレーニングにつながる可能性があると考えている.
著者
泉川 晴紀 安永 隆一 鯨井 勝弘 寺地 重巡 白井 良和 小林 直 杉山 敬三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.463, pp.361-365, 2013-02-28

筆者らは,セルラシステムなどの無線システムのカバレッジマップ/カバレッジホールマップを,受信信号強度や受信信号品質といった無線品質情報と位置情報とから構成される移動端末からの測定レポートにより構築する検討を行っており,3GPPにおいてもMDT(Minimization of Drive Tests)と呼ばれる同様の取り組みがなされている.それらの取り組みでは,受信信号強度や受信信号品質が所定閥値以下になる事象を測定レポートの生成トリガにすることを想定している.ここで,当該マップの用途としては,無線サービス品質向上を目的としたカバレッジ最適化や基地局増設等であると考えられるが,前述の受信信号強度や受信信号品質といった無線信号|青報のみに基づいたレポートトリガでは,例えばトラヒック集中による通信品質低下を検出することが難しく,無線サービス晶質向上に資する上で十分とは言えない.そこで,本稿では,利用されるアプリケーション毎のトラヒック利用状況(受信トラヒック量の変動や上り方向/下り方向のパケット数比率等)を移動端末内で学習し,当該学習結果を元に新たに発生したトラヒックの品質に対する良否を推定する手法を提案する.本手法に基づく測定レポートトリガにより,(無線品質は良好だが)いつもよりもレスポンスが遅い,といった主観的な通信品質(QoE; Quality ofExperience)低下事象の検出が可能になることが期待される.提案手法を実装したスマートフォンの被験者利用に基づく予備評価の結果,QoE低下事象を75%の割合で検出できた.
著者
宗像 源博 塩田 真 誉田 栄一 立川 敬子 春日井 昇平 倉林 亨
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.196-201, 2004-06-30 (Released:2015-02-10)
参考文献数
19

Evaluation of jawbone quality is very important for successful implant treatment; however, a method to evaluate bone quality of the jaw has not been established. Furthermore, at present, bone classifications are relatively rough and subjective methods for pre-operative assessment. This study compared the buccal and the lingual cortical bone mineral densities (BMD), and correlation trabecular BNID and cortical BMD by quantitative computed tomography (QCT). The subjects were 56 patients with mandibular distal extension defect (20 males, 17 pre-menopausal and 19 post-menopausal women;age range 30 to 79 years). The buccal and lingual cortical BMD and the trabecular BMD were measured by QCT. The difference and the correlation among the three groups were estimated. The results were as follows. 1. The buccal cortical BMD was significantly higher than the lingual cortical BMD in the male and pre-menopausal group. However, no significant difference was seen between the buccal and the lingual cortical BMD in the post-menopausal group. 2. The buccal cortical BMD correlated well with the trabecular BMD in the male group. 3. The buccal and the lingual cortical BMD did not correlate with the trabecular BMD in the pre-menopausal group. 4. The buccal cortical BMD correlated significantly with the trabecular BMD in the post-menopausal group. In conclusion, it is important to consider these tendencies of mandibular BMD in dental implant treatment.

1 0 0 0 OA 菅公伝

著者
高山林次郎 著
出版者
同文館
巻号頁・発行日
1900
著者
農林水産省
雑誌
農業気象資料
巻号頁・発行日
1982
被引用文献数
2