著者
小林 理 成田 昌紀 河内 広志 浅野 良三 外山 譲二 永井 明彦 来生 哲 荒川 正昭 藤田 雅 広井 忠夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.925-931, 1984-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

症例は, 25歳男性で家業は味噌製造業である. くり返す気管支喘息, 血清IgE上昇, くり返す肺浸潤影があり, 気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像を認めた. こうじに含まれる Asp. oryzae およびその亜種が喀痰中より検出された. エドワードの二重透析法によりそれらの真菌より抗原を作成し, オクタルニーの沈降抗体法を施行したところ患者血清との間に沈降線を認めた. 吸入誘発試験では, 即時型および遅発型反応が陽性となった. TBLBでは, 肺胞壁および肺胞腔内に, 好酸球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認めた. 以上より Asp. oryzae およびその亜種によるABPAと診断した.
著者
水谷 慎作 有上 幸治 小林 喜男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部研究発表梗概
巻号頁・発行日
no.59, pp.16-22, 1970-11-30

NAAと蔗糖の併用処理の効果はデコラの発根にわずかながらみられたにすぎず、印度ゴムの挿木ではその効果はあまり期待出来ない様である。2.NAAとリン酸の併用処理は発根および芽の伸長に相当の効果を示し、特にクライギーの発根および両品種にわたってNAA 25ppmとの併用処理でその効果が大きかった。P_2O_5で0.4%と言う高濃度であったにもかかわらず、相当の効果を示しているので、NAA処理との関連で更に検討を進めたい。3.NAAとホウ素の併用処理の効果は発根についてはデコラでわずかにみられたにすぎないが、芽の伸長については、両品種にわたって多少その効果がうかがえたので、ホウ素の処理濃度が芽の伸長におよぼす効果の検討を進めたい。4.発根におよぼすNAAの影響は顕著であり、処理濃度別にみれば、デコラでもクライギーにおいても50ppm処理の方が25ppm処理よりすぐれていた。品種別にみれば、デコラでは25ppm処理の成績は50ppm処理の成績に比してさほど劣らなかったが、クライギーにおいては著しい差異を示した。芽の伸長を抑制する作用はNAA処理濃度の高い方が著しく、品種間の差異は少ない結果となったが、本実験ではカイネチン処理の影響がおよんでいるので、将来これを除いてNAAのみの影響として、発根・発芽の品種間差異を再検討したい。5.TTPは二、三の要因との間に交互作用があらわれ、発根・芽の伸長ともに目的とする効果を示さなかった。これは本実験の様な処理方法で100ppmと言う濃度に問題があると思われるので再検討したい。6.カイネチンは本実験でNAA50ppmとの併用処理が発根を促進したが、NAA25ppmとカイネチン1, 000ppmの組合せはよくないようであったし、デコラでは芽の伸長をそれほど抑制しないのにクライギーで抑制が著しかったのは、NAA処理の結果と併せ考えて、品種間のオーキシンレベルの差とオーキシンレベルとカイネチン濃度との均衡の上から興味ある問題である。
著者
加辺 憲人 黒澤 和生 西田 裕介 岸田 あゆみ 小林 聖美 田中 淑子 牧迫 飛雄馬 増田 幸泰 渡辺 観世子
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.199-204, 2002-08-20
被引用文献数
27 20

本研究の目的は,健常若年男性を対象に,水平面・垂直面での足趾が動的姿勢制御能に果たす役割と足趾把持筋力との関係を明らかにすることである。母趾,第2~5趾,全趾をそれぞれ免荷する足底板および足趾を免荷しない足底板を4種類作成し,前方Functional Reach時の足圧中心移動距離を測定した。また,垂直面における動的姿勢制御能の指標として,しゃがみ・立ちあがり動作時の重心動揺を測定した。その結果,水平面・垂直面ともに,母趾は偏位した体重心を支持する「支持作用」,第2~5趾は偏位した体重心を中心に戻す「中心に戻す作用」があり,水平面・垂直面での動的姿勢制御能において母趾・第2~5趾の役割を示唆する結果となった。足趾把持筋力は握力測定用の握力計を足趾用に改良し,母趾と第2~5趾とを分けて測定した。動的姿勢制御能と足趾把持筋力との関係を分析した結果,足趾把持筋力が動揺面積を減少させることも示唆され,足趾把持筋力の強弱が垂直面での動的姿勢制御能に関与し,足趾把持筋力強化により転倒の危険性を減少させる可能性があると考えられる。<br>
著者
林 行雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.110-116, 2007 (Released:2007-03-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

もともとα2アゴニストは鎮静, 鎮痛, 交感神経の抑制などの多彩な薬理作用をもっているが, これらの作用の多くが麻酔管理に有用であることが麻酔領域でのα2アゴニストの臨床応用を促進した. 新たに開発されたDexmedetomidineは強力なα2アゴニストであり, 麻酔領域への臨床応用が図られたが, 諸般の理由でいったん臨床試験は打ち切られたものの, その良質な鎮静作用により, 後日術後鎮静薬として上市された. 今後の臨床応用の拡大と副作用の抑制が大きな課題といえる.
著者
小林 久泰
巻号頁・発行日
2005

筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成17年3月25日授与 (乙第2111号)
著者
小林 龍生
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.347-352, 2011-12-03

筆者は1995 年以来国際符号化文字集合の標準化活動に関わってきた.この過程で,文字集合として符号化する文字の異同を判断する粒度の基準が,言語文化や使用目的によって異なることに起因する合意形成の困難さと対峙し続けてきた.この問題解消の一助とするため,VS(Variation Selector)というメカニズムの提案および規格開発に主体的に関わってきた.本稿では,これらの経験を踏まえ,標準規格策定および実用システム開発に当たっては,利用者側が利用意図を明確に意識した上で,文字異同の判断基準を明確にすることの重要性について述べる.
著者
松本 光吉 富永 明彦 斎藤 祐一 若林 始
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.233-236, 1993
被引用文献数
7

1954年, Nelsonらによって開発されたタービンが世に出て, 約40年の歳月が流れたが, 依然として, タービンによる歯質切削時の不快音, 象牙質切削時の麻酔の必要性は完壁には改善されていない.これらの諸問題を前進させるために開発された酸化アルミニウム粉末噴射法について, 噴射時のエナメル質, 象牙質切削面の形態学的変化を検討するために本実験を行った.被験歯として, 人の抜去歯20本を使用した.酸化アルミニウムの粉末粒子の径は約27μmと約50μのものを使用した.また, 噴射装置は, American Dental Laser社のKCP-2000を使用した.噴射速度はSlowが80 psi (5.6) kg/cm<SUB>2</SUB>, Mediumが120 psi (8.4kg/cm<SUB>2</SUB>), Highが160 psi (11.2kg/cm<SUB>2</SUB>) であった.切削法は粒子の大きさと切削速度を組み合わせて, 約1-2mmの距離より粉末を歯質表面に噴射した.なお, チップの直径は約0.34mmで, 噴射時に生じる切削片や粉末は付属のバキューム装置で吸引した.切削而の観察は, 肉眼的, 実体顕微鏡, 走査型電子顕微鏡によって行った.その結果, 酸化アルミニウムの粉末の粒子の大きさ, 切削速度の差によって, 切削面の形態学的差はなく, 滑沢な, 砂丘状を示した.酸化アルミニウムの粉末および切削歯質は噴射時に大方は飛散してバキュームにより吸引されたが, 一部は歯表面に残存していた.特に象死質では, 躯細管内に圧入されていた.歯融象頒の切削時に, 周囲と明らかに区別される物質が観察された.なお, 以上の観察所見には炭化や溶解.嫉凝固などの変化は観察されず歯質の本来の色調を示していた.
著者
林博士遺著刊行会 編
出版者
東京開成館
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1937
著者
林博士遺著刊行会 編
出版者
東京開成館
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1937
著者
藤本 直正 林屋 慶三
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.83-88, 1961

1) 家蚕着色繭品種61種を供試して, 繭に含有されるフラボノイドとカロチノイドとの割合によって品種の分類を行なった。<BR>2) 大部分がカロチノイドでわずかのフラボノイドを含む品種の群と家蚕の祖先型のクワコと同様に両色素がほぼ等量宛含有される群と全色素がフラボノイドである群の3群およびそれら3群の各中間の割合を示す品種の群を認めた。<BR>3) 大部分がカロチノイドである群には欧洲種の大部分の品種が属し, 熱帯系のすべてはほとんどあるいは全部の色素がフラボノイドである群に属していた。<BR>4) クワコと同様に雨色素がほぼ等量ずつ含まれる群には欧州, 中国, 日本の各品種の1.2が属していた。<BR>5) 外観から黄繭系とみられるもののうちにもカロチノイドよりフラボノイドの方がかえって多く含まれる品種が存在する。また, フラボノイドの全然含有されない着色繭品種は1種も認められなかった。
著者
林 隆嗣
出版者
こども教育宝仙大学
雑誌
こども教育宝仙大学紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-45, 2014-03-12

The Visuddhimagga (Vism) composed by Buddhaghosa, the most eminent commentator in Theravāda Buddhism, is undoubtedly an essential text to comprehend the Theravādin’s aspect of the Buddhist philosophy and practice. In the chapter 12 of the Vism, surveying various kinds of the supernormal powers, Buddhaghosa quotes the Canonical description that the one with the power touches the moon and sun, and he introduces an interpretation by the elder Tipiṭaka-Cūḷanāga (contemporary with the king Kūtakaṇṇatissa, reigned 41-19 BC) that this power physically enlarges one’s hand. Here, Cūḷanāga refers to the story called “Nandopanandadamana” relating a psychic duel between the royal nāga Nandopananda and Mahā-Moggallāna,one of the chief disciples of the Buddha. The textual evidence shows that this story was not only known to the monk in the 1st century BC, but also commonly accepted among the Theravādins still in the 5th century AD. The Nandopananda[damana], explicitly recognized in the Vinaya commentary as one of the dhammas “which were not listed in the three councils”, even exists in the Tibetan and Chinese translations. This fact throws a new light on the study of apocryphal literature of Pāli Buddhism as well as on the study of source materials of the Pāli commentaries.
著者
朱 近康 佐々木 重信 丸林 元
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B-(0xF9C2) 通信 (0xF9C2) (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p207-214, 1991-05
被引用文献数
44

スペクトル拡散 (Spread Spectrum: SS) 通信方式における最も重要な課題の一つは周波数利用効率である.帯域制限のある伝送路にSS方式を適用する場合,データの高速化に伴って処理利得が低下し,SS方式のメリットが生かせなくなる.本論文では,これらの問題に対して有効な新しい並列組合せSS通信方式を提案する.本方式を用いれば,系列長NのN個の直交拡散系列(例えば直交Gold系列)を利用して,送信情報によりN個の系列からr個の系列を並列に組み合わせることにより,(r+log2(NCr)) ビットのデータを同時に送信でき,Nが大きい場合には,例えばr=N/4のとき,Nビットのデータを,またr=2N/3のとき,1.58Nビットのデータを伝送できる.本論文では,並列組合せSS通信方式について,基本原理,システム構成を示し,処理利得と周波数利用効率の関係,組み合わせたr個の系列の誤り率,ビット誤り率,耐振幅制限性,などの特性を解析し,その利点を明らかにする.
著者
渡部 生聖 林 同文 今井 靖 光山 訓 瀬戸 久美子 新谷 隆彦 橋口 猛志 野口 清輝 真鍋 一郎 戸辺 一之 山崎 力 永井 良三
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.383-390, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

ミッションプログラム医療安全研究グループにおいては, 日々の診療で膨大に発生する各種の診療情報から, 情報処理技術の適用により医学的知見を抽出し, その知識を国内で共有化する為の汎用的な手法について研究を行っている. 研究にあたっては, 倫理面に配慮された適切な情報収集・管理手法によって得られた実際の診療情報を, 医学と工学, それぞれの専門家が共同で体系化することにより, 臨床的に有用な知見を得るにいたっている. これらの医学的成果及びその普及手段としての技術的成果を併せて報告する.
著者
遠藤 友基 外山 史 千葉 親文 森 博志 東海林 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.6, pp.1-6, 2015-03-13

本論文では,次世代シーケンサから得られた大量のデータに対して,大規模なゲノムのアセンブリが可能となるように,消費メモリ量の少ない de novo アセンブリアルゴリズムを提案する.実験では,E. coli K-12 strain MG1655 及びヒトの 14 番染色体から得られたリードに対してアセンブリを行った.その結果,本手法は E. coli に対しては従来手法の約 20%,ヒト 14 番染色体に対しては他手法の約 60% の消費メモリ量で de novo アセンブリが可能であることを確認した.In this paper, we propose an algorithm for de novo assembly with lower memory. In our experiments using the E. coli K-12 strain MG 1655, the average maximum memory consumption of the proposed method was approximately 20% of that of the popular assemblers. Moreover, in the experiments using human chromosome 14, the average amount of memory of our method was approximately 60% of that of the popular assemblers.
著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 小林 正義 塩川 延洋
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-185, 285, 1989-12-25
被引用文献数
44 69

燐酸塩を結合剤とし,アルミナ/シリカを耐火材とする埋没材の鋳型に市販のチタンを鋳造した。鋳造体の表層構造をEPMAによって調べ,それが次の4層からなることを明らかにした。すなわち,第1は反応層(焼き付き層),第2は酸素とAlで安定化したα相の層,第3はSi, P, C及び酸素が所々に濃縮された層,そして第4は針状または板状結晶の集合体である。鋳造体の体積が大きいほど,また鋳型温度が高いと,各層が厚くなり,針状結晶も粗大になる。 この多層構造は鋳込みの際に埋没材が溶湯に巻き込まれてできたものではないことは実験結果から明らかである。埋没材の還元されやすい成分の分解によって生じた元素が鋳造体の内部へ拡散してできたものと考えられる。
著者
奥津 朋彦 小林 誠 小出 容子 高田 貴虎 滝口 尚 山本 松男
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.165-172, 2007-09-30
被引用文献数
1

近年, 培養歯根膜細胞やそこから分取した組織幹細胞の歯周組織再生への応用は, より確実な歯周組織再生療法を確立するための一つの戦略であると考えられている.しかし, この細胞集団はヘテロであり, 現時点では種々の問葉系細胞の前駆細胞や問葉系幹細胞がどの程度存在するかを直接的に知ることはできない.そこで本研究では, このような細胞療法を確実なものにするための第一段階として, 培養ヒト歯根膜細胞 (HPL cells) の骨, 脂肪, 軟骨への分化能を, コントロールとして使用したヒト骨髄問葉系幹細胞との比較において定性的に評価した.その結果, HPL cells中には骨芽細胞様細胞が豊富に存在しており, また脂肪細胞前駆細胞も存在するもののその数は著しく少ないこと, 一方, 軟骨細胞前駆細胞の存在の可能性は著しく低いことが明らかになった.さらに, 脂肪細胞前駆細胞はHPL cellsから分取したalkaline phosphatase陽性細胞率の低い細胞集団に多く存在していた.