著者
佐々木 真由美 伝法 公麿 賀来 亨 佐藤 昌明 森 道夫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.254-265, 1981

3'-Me-DAB投与による肝癌発生過程の初期および胎仔,新生仔のラット肝について免疫組織化学的にα-フェトプロテイン(AFP)とアルブミン(ALB)の単染色及び二重染色を行なった.<BR>1) 3'-Me-DAB投与初期肝:細胞質の少ない,ごく少数の移行型細胞にのみAFP単独保有が認められたが,それよりも細胞質が多くなると,ほとんどのAFP産生細胞は同時にALBも保有していた.さらに成熟して明らかに肝細胞と同定できるようになるとALBのみの産生細胞となる.<BR>2) 胎仔,新生仔肝:ごく初期の胎仔肝(胎生12日)では,すでにほとんどの肝細胞がAFPとALBを同時に保有し,胎生期は同様の傾向を示し,生後は周辺部よりAFPのみ産生が認められなくなり,ついに肝細胞は100% ALBのみの産生細胞となる.<BR>3) 1)2)から3'-Me-DAB発癌初期肝のAFPとALB産生細胞の関係は肝の個体発生におけるそれと非常によく類似し,ほぼ後者をre-traceすることが明らかとなった.
著者
宮西 祐香子 長濱 澄 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.149-152, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
10

本研究では,指尖容積脈波を用いて学習活動時のストレス指標を計測し,従来の生体情報計測手法と比較して安価で容易に教育現場に導入しやすい計測手法の意義を検討することを目的とした.大学生7名を対象に,学習活動時における安静状態と心的負荷をかけた状態との,心拍変動のストレス指標を計測および比較した.また,ストレス指標と主観評価質問紙との関連性を分析した.重回帰分析の結果,主観評価質問紙で測定した項目のうち,理解度項目と疲労度項目それぞれの平均値でストレス指標値が推定できる可能性が示唆された.
著者
田村 昌一 松村 隆 鈴木 庸介 篠原 尉浩 富田 正機 橋本 雅和 本田 竜未 大橋 利仙 森 和男
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2007年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2007 (Released:2008-03-28)

本研究では小径ボールエンドミルを送り方向に傾け,パイレックスガラスを溝加工した.工具形状,コーティング材質,切削条件がガラスの切削特性に及ぼす影響について評価した.その結果,一切れ刃あたりの送り速度12nm/edgeで脆性損傷のない良好な加工面が得られた.またダイヤモンドコーティング工具では仕上げ面に細かい脆性損傷が生じることがわかった.
著者
森下 隆治
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.89-93, 2005

JAVA開発における開発方法論,実践については,最近は多く出てきているとはいえ,まだまだ小規模開発でのUML,RUP等の適用事例にとどまっており,大規模開発の際の開発方法の適用の仕方は,これといったものがないのが実情ではないだろうか?筆者が担当するProjectでは,レガシーシステムの刷新化計画が急ピッチで推進されてきており,レガシーであった大規模システムをオープンシステム化,JAVA化が要求されている.PM観点では,その開発方法を選定適用するに当たり,オブジェクト指向開発をそのまま適用することは,経験上の問題と規模的な問題,SKILLリソースの確保の問題など,リスクが高いとの認識である.そこで従来型の手法DOAをベースとした大規模JAVA開発というアプローチを試み実践した.またSCOPEの変更管理における影響分析,品質確保の仕組みはPM諸氏が苦労されているところと思われるが,PM観点から,それに対応できる開発方法として,CASEツールによる設計リポジトリィを構築し,JAVA生成ツールを独自開発し適用する方式を上流から下流まで適用統合化することにより,影響分析,品質確保などの実現,保守における生産性UPの実現を目指し実践してきており,その経験をPM諸氏につたえ,今後の大規模開発JAVA開発に参考にしていただくことが本論分の目的である.
著者
森川 明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0816, 2012

【はじめに、目的】 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及び津波において、東北地方に甚大な被害がでた。日本理学療法士協会からは宮城県を皮切りに東北各地域の被害者に対するボランティア派遣を行い、岩手では同年4月19日から活動が開始した。同年9月31日をもって日本理学療法士協会からのボランティア派遣は終了し、東北地方各県理学療法士会からのボランティア派遣が実施されている。今回、私自身が日本理学療法士協会派遣のボランティアとして、4月26日から5月2日に岩手県陸前高田市で、宮城県士会派遣のボランティアとして、10月31日から11月4日に宮城県石巻市で行った災害支援活動について報告する。【方法】【活動内容】 4月26日からの岩手県陸前高田市でのボランティア活動は被災後50日前後であり、瓦礫の撤去も全くと言っていいほど進んでおらず、避難所生活する方が多く存在した。4月19日からボランティア派遣が開始されたが、それ以前にも岩手県理学療法士会による活動があった。避難所にある保健師ボランティアチームの活動に参加し、巡回保健師の情報を頼りに、被災住民が生活不活発に陥り活動性低下することを事前に予防するための支援をした。具体的には避難所や住宅訪問し、啓発活動を中心に、必要物品の給付、運動指導などを行った。様々な団体の活動も活発で、連携を視野に入れての情報整理等も行い、必要に応じてデイサービスや医療への移行を提案した。10月31日からの宮城県石巻市でのボランティア活動は被災後7ヶ月以上経過した時期でもあり、避難所はなくなり、仮設住居がいたる所に建っていた。被災当初は避難所での介入など早期の活動は出来る状況にはなかったため、情報収集と福祉的避難所に限定した活動になっていたとのことだった。7月1日に宮城県理学療法士会に支援要請があった地域包括支援センターを拠点として、ケアマネージャー、社会福祉士からの依頼により、生活不活発に陥っている被災住民に対しての個別相談対応を行った。具体的には、仮設住宅を中心に訪問し、運動・動作指導や介護方法の検討を行い、デイサービスなどへの移行を提案した。仮設住宅からは商業施設が遠いなどの不便があり、敷地内は舗装された地面ではなく不安定な足場で、ベンチなどの足を休める場所もなく、仮設住宅に移転してから活動量が低下した住民もいた。すでに生活不活発に陥り、下腿浮腫の増悪や、筋力低下をはじめとする運動器機能低下を呈している住民に対して、リラクセーション、関節可動域運動や筋力増強運動のセルフエクササイズを模倣させるなどでの指導し、運動機能維持に努めるよう促し、仮設住宅内や周囲屋外の安全かつ安楽な歩行指導を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 個人を特定できる内容は述べず、各地域関係者に報告の旨を伝え同意を得た。【結果】【考察】 災害後の支援内容や経過が、被災後の支援開始時期や地域性により違うことがわかった。被災直後で早期に支援活動が開始されると予防的な活動に重点を置くことができ、その後も個別での対応から仮設住宅でのコミュニティーづくりに参加するなどの集団的な対応についても早期に対応出来ていたとのことだった。被災後、長期期間が経過しているとすでに生活不活発による障害が発生しており、集団対応や啓発活動では対応できない状況となっており、個別に定期的な介入が必要にならざる得ないことを感じた。被災した後も、避難所から仮設住宅への移転など、その都度、周辺環境や住民との関係を築いていくことは高齢者や障害者でなくとも難しいことであり、出来るだけ早期に介入し引き籠りなどで不活発にならないように努めることが必要であると感じた。また、被災をきっかけに大規模な巡回調査が行われ、被災前から介護やリハビリテーションが必要である対象者が新たに現れ、地域の訪問サービスなどでは対応ができず、現場での更なる混乱を招いていたように思う。また、ボランティア活動終了後の対応を引き継ぐ委託先がはっきりと決定していなければ、状況が停滞していると感じた。地域の病院や保健師、介護保険サービスなどとの積極的な連携が既になされている地域においては、他職種により早い対応が出来ており、その後の活動経過もより早く発展的なものとなっていた様子で、地域と連携などの重要性を再認識した。【理学療法学研究としての意義】 災害支援における理学療法士の働きはまだまだ手探りの状況である。具体的な活動内容を報告することで今後の災害場面での理学療法士の活動に繋げていけるものと思われる。
著者
古森 健吾 戸井 武司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.18-00103, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
8

Numerical simulations, such as the finite element method have been widely used to predict noise and vibration behavior. This allows reducing the development time and production cost of products. However, these results have been calculated based on the governing equations at each physical areas as the idealized conditions. Then, these simulations are not taken into account the fluctuation of response characteristic by the uncertainties of noise factors. Therefore, it is important to restrain the fluctuation of products properties by the uncertainties. In this paper, focusing on the transient analysis, we propose a robust design for minimizing the time history amplitude fluctuation by structure uncertainties. The robust design is implemented based on the combined use of the stochastic finite element method and the structural optimization. Since this method is performed by minimizing the 1st sensitivity, we will formulate the 1st and 2nd sensitivity in the time domain. Then, the proposed method is validated by applying it to the simple mass-damper-spring system whether the fluctuation of the time history response amplitude is restrained.
著者
平光 立拓 難波江 裕之 鈴森 康一 遠藤 玄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.18-00083, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Pneumatic artificial muscles have many advantages. They have high force mass ratio, high compliance and simple structures. Especially, the flexibility contributes to compose novel mechanisms. The flexibility of pneumatic artificial muscles releases us from the spatially strict design required for rigid mechanical elements: it could actualize compact mechanisms made of a fewer parts. Our research group developed a thin McKibben actuator. The thin McKibben actuators is more flexible than conventional McKibben actuators. Authors succeeded in manufacturing novel soft mechanisms that are made of only braided artificial muscles. We aim to establish a design method for these novel mechanisms. We already have fabricated a cylindrical mechanism made of helical muscles. In this paper, we report a geometric model for the cylindrical mechanism. We focus on only deformation of a side surface in the coordinate system of muscles to simulate the movements of the cylindrical mechanism. The movement was verified by an experiment, and besides, it was simulated successfully in the geometric model that was created. The deformation of height and radius directions changed according to muscles alignment.
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 吾郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15
参考文献数
23
被引用文献数
7

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
森本 美典 角田 裕 藤井昌 麻呂 北村 尚臣 竹沢 英郎
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.403-411, 1981

NYHA III~IV度で入院したうっ血性心不全患者9例( 年齢64~88歳, 男5例, 女4例) にPrazosinを2~4mg経口投与し, 血行動態, 臨床症状の変化を検討した.右房圧, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧はSwan-Ganzカテーテル,心拍出量は熱稀釈法により測定.Prazosin投与後肺動脈楔入圧(p<0.001) , 肺動脈拡張期圧(p<0.01),平均動脈圧(p<0.01),末梢血管抵抗(p<0.01), 肺血管抵抗(p<0.05) は有意に下降減少し, 心係数(p<0.01)は有意に増加した.心拍数,Transmural coronaryflow gradient(拡張期動脈圧-肺動脈楔入圧)は不変であったがDouble product(心拍数×収縮期動脈圧)は減少の傾向を示し, 心筋酸素供給- 需要バランスを保ちながら心機能の改善が得られた.これらの血行動態の変化は投与後約30分でおこり, 効果のピークは60~120分後にみられた.<BR>これら循環動態の改善に伴い心不全症状は9例中7例で約30~60分後に軽減ないしは消失した.以上よりPrazosinはうっ血性心不全に対し有効であると判定することができた.
著者
武森 真由美 坂牧 成恵 貞升 友紀 植松 洋子 門間 公夫 新藤 哲也 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.99-105, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

HPLCおよびLC-MS/MSを用いた食品中のエリスリトール,マルチトール,ラクチトールおよびトレハロースの分析法を開発した.HPLC分析では,アミノ基結合型ポリマーカラムを用い,カラム温度を室温とすることで定量することが可能になった.LC-MS/MSでは,SRMモードにより定量・確認を行うことができた.また,試験溶液を1,000倍以上に希釈することで,試料由来のマトリックスによる影響を抑えられた.紅茶飲料,ゼリー,ラムネ菓子およびチョコレートを用いた添加回収試験の結果,回収率はいずれもHPLCで90%以上(CV≦6.1%),LC-MS/MSで94%以上(CV≦4.8%)であった.クッキーについては,まず水で抽出してからエタノールを加えることで,HPLCで回収率83%以上(CV≦4.1%),LC-MS/MSで回収率90%以上(CV≦3.0%)と良好な結果が得られた.
著者
島村 穣 高橋 史典 竹中 宏隆 吉田 ふみ 池田 昌彦 森 健太郎 黒川 弘康 安藤 進 宮崎 真至
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.333-339, 2012
参考文献数
26

目的:OCTイメージへの影響因子として,歯質の乾燥状態がOCTイメージおよび信号強度に及ぼす影響について検討した.材料と方法:実験には,光源に中心波長1,310nmのSuper Luminescent Diodeを用いたTime-Domain型OCT装置(モリタ東京製作所)を用いた.測定においては,ヒト抜去歯を精製水から取り出し,サンプルステージに静置直後の歯質表面が湿潤している条件,エアブローを10秒間行うことによって歯質表面の水分を除去した条件,エアブロー後1,5分あるいは10分間放置した条件の合計5条件を設定した.以上の条件で得られたOCTイメージおよび信号強度を比較検討した.成績:いずれのOCTイメージにおいても,内部断層構造の観察が可能であり,エナメル質および象牙質が色調の違いとして識別できた.湿潤条件においては歯質表面付近に2本の高輝度のラインが観察されたのに対して,ほかの条件のいずれにおいても高輝度のラインは1本のみ観察された.また,湿潤条件においてはエアブロー条件と比較して得られたOCTイメージが不明瞭であったのに対し,放置条件では放置時間の経過とともに歯質表面の信号強度が強くなる傾向を示した.結論:歯質の乾燥状態は,OCTによって得られる画像に影響を及ぼすことが明らかとなった.臨床的には,観察部表面に対してエアブローを10秒間行うことによって可及的に水分を除去することで,より鮮明なOCTイメージが得られることが示唆された.
著者
森本 義信
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.135-143, 1974

今回の調査で, 沖繩本島と石垣島からはじめてムカシエビ類が見つかった。沖繩本島産のオナガムカシエビ属の1種は, 奄美大島のアマミオナガムカシエビParabathynella gracillima insularisと同一であり, 石垣島のカワリムカシエビ属Allobathynellaの1種は, 幼体であったので種の決定ができなかった。沖繩本島産のムカシエビ属の1種には, オキナワムカシエビBathynella okinawanaという新名を与えてこの論文に記載した。今回の分をあわせて, 琉球全体のムカシエビ類を総括すると, ほぼ次のようになる。オオシマムカシエビBathynella oshimensisとアマミカワリムカシエビAllobathynell giganteaとは, どちらも奄美大島と徳之島とに分布し, アマミオナガムカシエビは, 前述のとおり奄美大島と沖繩本島から同じ種がとれている。また, オキナワムカシエビは, 四国南西部のヤノムカシエビBathynella yanoiに近い種であって, いずれの場合にも中部琉球と日木のものとの関連性がみられる。しかし, 石垣島産のカワリムカシエビ属の1種は, 中部琉球や日本のものと似ていないので, 中部琉球と石垣島とのあいだで, ムカシエビ類の分布に断絶があるのではないかと思われる。