著者
伊藤 弘 埴岡 隆 王 宝禮 山本 龍生 両角 俊哉 藤井 健男 森田 学 稲垣 幸司 沼部 幸博
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周治療の一環として禁煙治療が歯科保険に導入されるためには、禁煙治療の介入による歯周治療の成果が極めて良好となることが重要である。そこで、禁煙外来受診による改善を、一般的に行われている臨床パラメータと歯肉溝滲出液と血漿成分の生化学的成分解析、さらには禁煙達成マーカーである血漿中コチニンと呼気CO濃度の変化を検索した。その結果、禁煙外来受診により、禁煙達成マーカーが減少し、さらには自己申告による禁煙の達成から、禁煙外来受診は禁煙に対し有効な戦略である。しかしながら、生化学的変化は認められなかった。今後長期的な追跡が必要であると考えている。
著者
藤友 崇 森本 佳伸 大井 潤 澤井 典子 石田 幸子 松原 善 一圓 剛 皆川 直人 鴨井 久博 田中 司朗 鴨井 久一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.70-86, 2018-06-29 (Released:2018-06-29)
参考文献数
24

歯周病のリスク評価ができる自己申告アンケートは,歯周病の早期発見や疫学研究において有効な手段となるが,これまでに統計的,臨床的な妥当性を評価された日本人向けの歯周病リスク評価アンケートが開発された事例はない。本研究では,歯周病のリスクを評価できる日本語版自己申告アンケートを開発することを目的とした。歯周病患者50名と非歯周病患者51名に,歯周病で観察される症状の有無をアンケート形式で回答させた。アンケート回答に対して,多重ロジスティック回帰分析を実施し,歯周病を予測できるアンケート項目を抽出し,アンケートの質問項目の信頼性を確認した。また,ROC曲線解析を実施し,抽出されたアンケート項目による歯周病のリスク予測の精度を検討した。結果,50人の歯周病患者および50人の非歯周病患者を解析対象とした。多重ロジスティック回帰分析と歯周病の臨床的観点から,年齢,歯肉の腫れ,歯の動揺,プラークと歯石,口臭および掻痒感の6つのアンケート項目が自己申告によって歯周病のリスクを予測できる項目であることが分かった。また,ROC曲線解析によりAUCが0.90であった。本研究より,我々は,6つの自己申告アンケートで歯周病のリスクを判定できる日本人向けの歯周病セルフチェックアンケートを開発し,その信頼性,内部整合性及び精度を,40歳から83歳の大学病院歯科を受診した人を対象に検証した。
著者
坂西 雄太 原 めぐみ 福森 則男 草場 鉄周 田中 恵太郎 杉岡 隆 日本プライマリ・ケア連合学会ワクチン・プロジェクトチーム
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.254-259, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

目的 : わが国のプライマリ・ケア医のワクチンの接種状況, 接種推奨の割合および障壁を明らかにする.方法 : 2012年に日本プライマリ・ケア連合学会に属する医師から3000名を無作為抽出し質問紙調査を行った.結果 : 卒後2年以内など119名を除外した2881名のうち, 744名より回答を得た (有効回答率25.8%). 接種状況および接種推奨の割合は, 定期接種が29.0~91.4%および58.2~70.2%, 任意接種が15.2~89.5%および14.1~50.9%であった. 定期接種推奨の際の医師側の障壁は, 接種スケジュールの複雑さ, 被接種者・保護者の考えが多く, 被接種者側の障壁は, ワクチンの安全性, 対象疾患の理解不足が多かった. 任意接種推奨の障壁は医師, 被接種者側ともに, 接種費用負担, 安全性が多かった.結論 : わが国のプライマリ・ケア医のワクチンの接種状況, 接種推奨の割合および障壁の現状が明らかとなった.
著者
中村 仁美 岩森 光 千葉 紀奈 中井 俊一 木村 純一 常 青 風早 康平
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.238, 2014 (Released:2014-09-12)

近年,我々は,初めて有馬温泉水中の希土類元素(REEs)の定量とともに,Sr-Nd-Pb同位体比組成を得ることに成功した(Nakamura et al., accepted).これは,低温(~500度)で脱水したスラブ起源流体の組成と河川水の混合で説明することができ,スラブ起源流体は非火山域であっても,構造線などの大断層沿いに上昇している可能性があることを示唆する.本研究では,溶存イオン種と濃度,軽元素同位体情報を基に,中央構造線沿いの有馬型温泉水を調査・採水し,標準添加法によりREEs組成を定量分析する.これらの結果に基づき,スラブ起源流体を含む有馬型温泉水の特徴が,非火山域である西南日本から,火山域も含む中部日本にかけて,どのように変化するかについて制約を与える.
著者
坂本 秀樹 森 啓信 小嶋 文博 石黒 幸雄 有元 祥三 今江 祐美子 難波 経篤 小川 睦美 福場 博保
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.93-99, 1994
被引用文献数
1 23

トマトジュースの連続飲用による血清中のカロテノイドの濃度の変化を調べた。また同時に飲用による血清中のコレステロール濃度の変化も調べた。65名の被験者を1日1本, 2本, 3本のトマトジュース飲用区と対照のリンゴジュース1本の飲用区の4区分に分け, 連続4週間の摂取を行った。<BR>1) リコペン濃度は飲用本数の増加に従い有意に増加し, 2本以上の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は3倍以上となった。<BR>2) β-カロテンは, トマトジュース中の含有量はリコペン量の約1/30であるにもかかわらず, 血清中において有意な増加を示し, 3本の区分では飲用後の飲用前に対する血清中濃度は約2倍近くとなった。<BR>以上の結果より, トマトジュースの飲用は血清中のリコペンとβ-カロテンの濃度上昇に有効であることが明らかとなった。<BR>3) トマトジュース中のリコペンはall-<I>trans</I>型がほとんどであるのに対して, 飲用後の血清中ではcis型の増加も見られたことから, 体内ではリコペンの異性化起きていることが示唆された。<BR>4) いずれの試験区においても, 血清中のLDL-コステロールをはじめとする脂質の増加は見られず, トマトジュースの飲用によるカロテノイドの血清中の濃度上昇は, 血清脂質濃度の上昇を促さないと考えられた。
著者
森田 茂紀 豊田 正範
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.217-223, 2000-06-05
参考文献数
28
被引用文献数
3

メキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州のゲレロ・ネグロで, 日本政府とメキシコ政府の共同事業として, メキシコ沙漠地域農業開発プロジェクト(以下, プロジェクト)が実施された.プロジェクトの目的は, 沙漠地域で野菜と果樹を点滴灌漑栽培するための技術を開発し, 移転することであった.プロジェクトの圃場の土壌と, そこで用いられる灌漑水は, いずれもpHと塩類濃度が高いという問題を持っているため, 作物の耐塩性に関する問題は重要な課題である.そこで本研究では, 耐塩性の問題を研究していくための基礎的なデータを得るために, 根から吸収されて茎葉部へ転流される様々なイオンについて検討した.すなわち, プロジェクトで重要な作物であるトウガラシとメロンについて, 成熟期の出液中に含まれているイオンの分析を行なうとともに, 出液速度を測定した.露地栽培したトウガラシでは出液中のイオン濃度に昼夜で差があったが, 出液速度も昼頃にピークを持つ山型の日変化パターンを示した.一方, 畝立マルチ栽培のメロンでは, イオン濃度も出液速度も昼夜に関係なくほぼ同じレベルであった.そこで, 出液速度を考慮して検討したところ, 耐塩性に関係しているナトリウムイオンの濃度は出液速度が大きいと低く, 出液速度が小さいと高いことが明らかとなった.なお, 土壌のイオン濃度も場所によって異なっていたため, バックグラウンドとして土壌成分を基準にした比較も行なった.以上のように, 出液成分に着目したアプローチによって, 作物の耐塩性を研究するために基礎的データが得られるが, 出液速度や土壌条件を考慮して解析する必要があることが明らかとなった.
著者
日本ペインクリニック学会用語委員会 寺井 岳三 長櫓 巧 西江 宏行 有田 英子 表 圭一 鈴木 孝浩 中谷 俊彦 藤井 善隆 森脇 克行
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.509-514, 2009-09-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
35

Neuropathic painは,ペインクリニック用語集第2版で,神経障害(因)性疼痛,ニューロパシックペインと和訳されているが,他の用語集ではニューロパチックペイン,ニューロパシー性疼痛と和訳されている.そこで,日本ペインクリニック学会・用語委員会は,用語集第3版でneuropathic painの和訳をどのようにすべきか検討した.医学辞典でneuropathyはニューロパシーおよび神経障害と和訳され,neuropathicで始まる言葉は神経障害性と和訳される場合が多い.医学中央雑誌のウェブ検索では,1991年から2008年まで神経因性疼痛の使用頻度が最も高く(66.5%),神経障害性疼痛(15.3%),ニューロパシックペイン(4.7%)であったが,2008年には神経障害性疼痛が著増(47.4%)し,神経因性疼痛は減少(48.5%)した.この神経障害性疼痛の使用頻度増加は,より的確な和訳語を使用することになったためと考えられる.医学辞典の和訳および現在の言葉の使用状況より,用語委員会ではneuropathicを神経障害性と和訳することを提案する.
著者
森本 康裕 佐伯 仁 牧野 朝子 松本 聡 岡 英男 宮内 善豊
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.135-139, 1999-03-15

各種の医療用エアゾル剤を用いて,麻酔ガスモニター測定値への影響について検討した.フロンガスを含むメプチン<sup>®</sup>エアーでは,ブリューエルケアー1304で,エタノールを含むニトロール<sup>®</sup>スプレーでは,オメダ5250で測定値が影響を受けた.ミオコール<sup>®</sup>スプレーには,代替フロンHFC134aとエタノールが含まれており,オメダ5250とブリューエルケアー1304ともに影響を受けた.アルティマMM206は今回検討したエアゾル剤に関して最も影響を受けにくいモニターであった.麻酔ガスモニター使用中にエアゾル剤を使用する際は,エアゾル剤中に含まれる噴射剤の成分とモニターの測定原理に注意する必要がある.