著者
楠見 孝
出版者
白桃書房
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.6-15, 2014

ホワイトカラーの熟達化と,それを支える実践知(暗黙知)の構造,その獲得について認知心理学の知見に基づいて論じた.そして,ホワイトカラーに質問紙調査を実施し,マネジメントの暗黙知の獲得は,管理職経験年数,経験学習態度,批判的思考態度,類推,省察,職場内の暗黙知と形式知の知識変換が関与していることを示した.最後に,個人学習と組織学習の相互作用が実践知の獲得を促進し,管理職への熟達を導くことを議論した.
著者
楠見 孝
出版者
日本認知心理学会
巻号頁・発行日
pp.12-12, 2009 (Released:2009-12-18)

本研究の目的は,ホワイトカラーの実践知と批判的思考の関係を明らかにするために29人のホワイトカラーに対して,質問紙調査をおこなった.評定結果に基づいて,仕事に関する実践知の構造を,テクニカルスキル,ヒューマンスキル,コンセプチュアルスキルに分けた.そして,それらのスキルの獲得は,省察と知識変換といった思考活動,批判的思考態度と柔軟性といった学習の態度が支えていることを明らかにした.さらに知識のリソースとして,自己経験,上司同僚の役割が大きいことを明らかにした.あわせて,対照群である教員と比較検討した.
著者
栗山 直子 上市 秀雄 齊藤 貴浩 楠見 孝
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.409-416, 2001-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
21

我々の進学や就職などの人生の意思決定においては, 競合する複数の制約条件を同時に考慮し, 理想と現実とのバランスを満たすことが必要である。そこで, 本研究では, 高校生の進路決定において, 意思決定方略はどのような要因とどのような関連をもっているのかを検討することを目的とした。高校3年生359名に「将来の目標」「進学動機」「考慮条件」「類推」「決定方略」についての質問紙調査を実施した。各項目の要因を因子分析によって抽出し, その構成概念を用いて進路決定方略のパスダイアグラムを構成し, 高校生がどのように多数存在する考慮条件の制約を充足させ最終的に決定に達するのかの検討を行った。その結果, 意思決定方略には,「完全追求方略」「属性効用方略」「絞り込み方略」「満足化方略」の4つの要因があり, 4つの要因間の関連は,「熟慮型」と「短慮型」の2つの決定過程があることが示唆された。さらに,「体験談」からの類推については, 重視する条件を順番に並べて検討する「属性効用方略」の意思決定方略に影響していることが明らかになった。
著者
栗田 季佳 楠見 孝
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.481-492, 2012

障害者に対する態度は両面価値的であるといわれているが、その構造は、明確にはわかっていない。本研究は、障害者に対する両面価値的態度について、態度の現れ方に関する表明次元と、態度の内容に関するステレオタイプ内容次元という2つの視点から検討した。大学生・大学院生30名に対して、潜在的および顕在的な障害者に対する評価、能力ステレオタイプ、人柄ステレオタイプを測定した。その結果、表明次元にかかわらず障害者に対して、ネガティブな能力ステレオタイプ(能力が低い)とポジティブな人柄ステレオタイプ(あたたかい)が存在することがわかった。障害者に対する評価は表明次元によって異なり、顕在的にはニュートラルであったが、潜在的にはネガティブであった。これらの結果は、障害者に対する両面価値的態度が表明次元と内容次元に生じていることを示している。
著者
河村 悠太 楠見 孝
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
2015

Advertisements for charity generally employ one of two advertising strategies. The first appeals to the efficacy of support, while the second appeals to the necessity of support. Two experiments investigated the effect of each type of charity advertising on donations and on donors' explicit and implicit evaluations of the recipients. The results indicated that although participants' explicit evaluations of charity recipients were not changed by efficacy-based advertising, they were negatively influenced by necessity-based advertising. Furthermore, Experiment 1 detected moderating effects of empathic concern. The explicit evaluations of participants in the necessity-based advertising group were negatively correlated with their empathic concern. Implicit evaluations were consistently negative in both groups. Both advertising strategies were more effective at securing donations than the control group, which did not use any strategies. These findings suggest practical implications for charity advertising.
著者
MANALO Emmanuel 鈴木 雅之 田中 瑛津子 横山 悟 篠ヶ谷 圭太 溝川 藍 SHEPPARD Chris 植阪 友理 子安 増生 市川 伸一 楠見 孝 深谷 達史 瀬尾 美紀子 小山 義徳
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

1年目の今年は、3つのユニットに分かれ、21世紀型スキルのメカニズムの解明を中心に取り組んだ。1年ではあったが、複数の学術論文の学会発表を行った。グローバル・コミュニケーションユニットでは、第一に、大学における英語学習において、学力別にグルーピングすることの効果を明らかにした。第二に、日本の大学生を対象とした研究において、単純な反復課題では、学生の英語力の向上に結びつかないことを明らかにした。さらに、英語学習におけるe-learningの効果についても現在、検討中である。ディープ・ラーニングユニットでは、第一に、賛成反対の両方の立場を十分に理解した上で、統合的な議論を行う力を促す実験授業を行った。第二に、道徳授業において生徒の問いを重視するような授業の効果を明らかにした。第三に、大学生の宿題において、図表を活用しながら学習内容を説明することを促す実践を行った(この実践はグローバル・コミュニケーションの促進も狙っている)。また、3月にシンポジウムを実施し、全国から70名ほどの参加者を集めて議論を行った。クリティカル・シンキングユニットでは、第一に,探究学習活動を通して,学習スキルや批判的思考態度が育成されることを解明するために,高校の探究学習における学習スキルや批判的思考態度を測定する尺度,および「問い」を作る力を測定するパフォーマンス課題を作成した。そして,探究学習活動に取り組んでいる高校1年生を対象に質問紙調査を実施して,学習スキルと批判的思考態度の関係を明らかにした.第二に,青年期以降の道徳性と共感性を批判的思考に基づいて検討するために,社会的状況における道徳判断について測定する課題を作成した。そして、この課題とこれまでに開発してきた他の尺度を用い、10代~60代の参加者を対象にWeb調査を実施した。
著者
河村 悠太 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.21-31, 2015 (Released:2015-04-25)
参考文献数
34

Advertisements for charity generally employ one of two advertising strategies. The first appeals to the efficacy of support, while the second appeals to the necessity of support. Two experiments investigated the effect of each type of charity advertising on donations and on donors’ explicit and implicit evaluations of the recipients. The results indicated that although participants’ explicit evaluations of charity recipients were not changed by efficacy-based advertising, they were negatively influenced by necessity-based advertising. Furthermore, Experiment 1 detected moderating effects of empathic concern. The explicit evaluations of participants in the necessity-based advertising group were negatively correlated with their empathic concern. Implicit evaluations were consistently negative in both groups. Both advertising strategies were more effective at securing donations than the control group, which did not use any strategies. These findings suggest practical implications for charity advertising.
著者
楠見 孝
出版者
白桃書房
雑誌
組織科学
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.6-15, 2014-12

編集: 組織学会
著者
田中 優子 楠見 孝
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.514-525, 2007-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
21
被引用文献数
4 or 0

本研究では, 大学生を対象とし, 目標や文脈という状況要因が批判的思考の使用に関わるメタ認知的判断に及ぼす影響を検討することを目的として, 研究1では, 批判的思考が「効果的」な文脈と「非効果的」な文脈を収集した。研究2では, 収集した文脈の分類を行い, それぞれの特徴を抽出した。2つの文脈にはそれぞれ異なる特徴がみられた。研究3では,「正しい判断をする」「物事を楽しむ」という2つの目標と文脈を独立変数として, 批判的思考をどの程度発揮しようとするかというメタ認知的な判断に及ぼす影響を検討した。その結果,「物事を楽しむ」という目標よりも「正しい判断をする」という目標においてより批判的思考を発揮しようと判断すること, 同じ目標であっても文脈によって批判的思考の発揮判断が変化することが明らかになった。さらに, 批判的思考の発揮判断は, 目標や文脈を考慮するものの全体的に批判的思考を発揮しようとするタイプ, 効果的な文脈で非常に高く批判的思考を発揮しようとするタイプ, 非効果的文脈では目標に関係なくほとんど発揮しようとしないタイプという3タイプによって特徴づけられることが示された。
著者
松田 憲 楠見 孝 瀬島 吉裕
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-75, 2013 (Released:2013-02-15)
参考文献数
38
被引用文献数
2 or 0

We investigated the effects of pre-preferences for CG characters (avatar), gender of CG characters, exposure frequency, and the concordance between CG characters and the background on the impression formed about CG characters. During 8 sessions, 36 participants were shown a succession of CG characters presented against concordant or discordant backgrounds. During sessions 1, 3, 5, and 7, participants evaluated each CG character in terms of post-preference, intelligence, and reliability using a 7-point scale. Session 8 involved a delay condition. The results showed that post-preference evaluation scores in the high pre-preference condition were associated with better first impressions of CG characters, and increased with exposure frequency. However, background conformity influenced the impressions of CG characters when pre-preferences were medium or low. In addition, post-preference and reliability evaluation scores were higher for female than male characters.
著者
平山 るみ 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.157-160, 2010
被引用文献数
1 or 0

本研究では,知識や学習について個人がもっている認識論的信念(epistemological beliefs)を測定するために,SCHOMMER(1990)の認識論的信念尺度に基づいて,日本語版認識論的信念尺度を構成した.大学生426名の評定値に基づいて因子分析をおこない,「生得的な能力」,「じっくりした学習」,「自己努力による学習」,「単純な知識」の4因子25項目の日本語版認識論的信念尺度を構成した.さらに,認識論的信念と批判的思考態度との関連性の検討をおこなった.認識論的信念の「生得的な能力」,「じっくりした学習」,「自己努力による学習」と,批判的思考態度との間に,有意な相関がみられ,どのような認識論的信念をもつかが批判的思考態度と関連していることが明らかとなった.
著者
鍋田 智広 楠見 孝
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.545-575, 2009

False memories refer to memories of events that did not occur. The Deese-Roediger-McDermott (DRM) paradigm represents a conventional experimental methodology for examining false memories; this paradigm involves the presentation of associated words (bed, rest, etc.), which induce a false recall and/or false recognition of a non-presented word (critical lure; sleep). Many studies using the DRM paradigm have demonstrated that (a) participants exhibit false memories robustly and (b) they experience these memories in a vivid and detailed manner. First, this article theoretically reviews the mechanisms that robustly produce false memories. Subsequently, accounts on subjective experience of false memories are discussed. Based on the review, this paper finds discrepancies among the accounts with regard to whether the activation of critical lure causes false memories and their subjective experience; some studies show that the activation of critical lure mediates false memories, while others show that the activation does not result in false memories. The review concludes that none of the existing accounts sufficiently resolve this discrepancy, suggesting that this issue needs to be investigated by future studies.
著者
乾 健太郎 岡崎 直観 楠見 孝 渡邉 陽太郎
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

(i) Web上の様々な医療・健康情報の間に潜在的に存在する同意、対立、根拠等の隠れた論理的関係を同定する言論間関係認識技術を研究開発した。(ii) (i)の要素技術として、大規模言語データからの知識獲得、述語項構造解析の洗練、仮説推論の高速化と機械学習に関する研究に取り組んだ。(iii) (i)(ii)の技術をソーシャルメディア上の情報に対する信頼性分析に応用し、ソーシャルメディア分析のケーススタディを行った。(iv) ネット調査を行い、批判的思考態度や教育歴がヘルスリテラシーを高め、適切なネット上の医療・健康、食品安全性に関する情報の利活用を促進していることを明らかにした。
著者
永岑 光恵 楠見 孝
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.119-132, 2010-02

What do people know about the state-of-the-art neuroscience research and developments promoted by it? Recently it is empathized that to be educated consumers, people need to acquire neuroscience literacy (NL). What is the NL? This study investigated its components and constructed its scale. In a preliminary study, we created the NL inventory, and 274 subjects (35 working people and 239 university students) completed the NL questionnaire. An exploratory factorial analysis was conducted, and after that the questionnaire was revised for the next studies. In the first study, 240 university students completed the questionnaire. Exploratory factorial analyses extracted four factors which could be called (1) "denial of naïve knowledge," (2) "perspective on neuroscience," (3) "allowance of neuroscience research," and (4) "allowance of practical applications of neuroscience research." In the second study, we used the NL inventory and examined the effect of the NL education on 210 subjects (113 subjects had the NL education). After the NL education, the scores of (1), (2), and (3) increased, but that of (4) decreased. These results suggest that the NL education promotes neuroscientific knowledge, the allowance of neuroscience research, and attentiveness to allowing practical applications of neuroscience research.
著者
佐藤 究 布川 博士 楠見 孝 野口 正一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.75, pp.41-48, 1993-08-27
被引用文献数
5 or 0

ユーザがコンピュータシステムを道具として使いこなすためには,システムの構造や機能を"理解する"必要がある.しかし,全くの初心者ユーザにとってコンピュータシステムを理解することは非常に困難である.そのため,ユーザがシステムを楽しく容易に"理解"できるように支援するユーザインタフェースとして,メタファーを提供するユーザインタフェースが研究されているが,そのような認知科学的手法がどれだけ有効であるかを評価する手法の確立も非常に重要である.本稿では,我々が作成したメタファーを提供する分散システムのためのUI,メタファーネットワークDoReMiを用いた、メタファー提供の有効性を評価する認知心理学実験について述べる.We propose 'Metaphor-oriented User Interface', which make it possible that unpracticed users understand the systems they work on now. It is almost impossible for ordinary users to make good use of their systems, even if they employ (conventional) Graphical User Interface (GUI). Our 'Metaphor-oriented User Interface : Metaphor-Network DoReMi' present such systems to users through metaphor, which is more familiar to us, for making it easy for non-expert to understand structures, functions and operations of their systems. In this paper, we describe results of cognitive-psychology experiment which use Metaphor Network DoReMi., and evaluate efficiency of 'DoReMi' itself with cognitive-scientific methods.