著者
横山 耕治 川上 裕司 陰地 義樹 久米田 裕子 高橋 治男
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.143-149, 2008 (Released:2008-10-07)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

Aspergillus section Nigri によるオクラトキシンの産生性や産生菌の分離頻度,分布に関する日本における報告はなく,Aspergillus section Nigri の詳細な分類に基づく調査研究が必要となった.山梨で行った調査の結果,A. niger チトクロームb 遺伝子に基づくDNA タイプAN-D-5, AN-D-7 の菌は,ほとんどはオクラトキシンを産生しないが一部の株でわずかながら産生が見られた.DNA タイプAN-D-4 のA. carbonarius は,オクラトキシン産生の主要な株で,産生量が多く産生株がほとんどではあるが,一部の株では同じ培養条件で産生が認められなかった.ぶどう園土壌および空中浮遊の菌は,ほとんどが,DNA タイプAN-D-1, AN-D-2 のA. japonicus とAN-D-5, AN-D-7 のA. niger であり,DNA タイプAN-D-4 のA. carbonarius は,土壌分離株129 株中1 株であり分離頻度は非常に低かった.収穫後の管理を適正に行えば,食品への汚染は極めて少ないと考えられる.
著者
林 友直 横山 幸嗣 井上 浩三郎 橋本 正之 河端 征彦 大西 晃 大島 勉 加藤 輝雄 瀬尾 基治 日高 正規
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: M-3SII型ロケット(1号機から3号機まで)(第1巻) (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.29, pp.141-171, 1991-06

M-3SII型ロケットでは, M-3S型と異なり, 新たに装備されたサブブースタSB-735の性能計測等のために, サブブースタにテレメータ送信機を搭載した。また, サブブースタの分離状況を画像伝送するため第2段計器部に画像伝送用テレメータ送信機を搭載し, さらに3号機では新たに開発された第3段モータの性能計測のために, 第3段計器部を設けてテレメータ送信機を搭載する等の大幅なシステム変更がなされている。搭載テレメータ送信機で新規に開発されたのは, 画像伝送用テレメータ送信機で, M-3SII型ロケットの試験機であるST-735ロケットで予備試験を行い, 地上追尾系を含めて総合的に性能の確認を行ったのち, M-3SII型1号機から本格的に搭載された。地上系では, 第2段モータの燃焼ガスが通信回線に大きな障害をもたらす等の問題が生じ, 2号機から高利得の18mパラボラアンテナを使用し, 従来の高利得16素子アンテナに対する冗長系を構成した。また, 第3段目の機体振動計測データ等を伝送していた900MHz帯テレメータは3号機から送信周波数がS帯へ変更されたのに伴い, 地上受信アンテナとしてはこれまで使用していた3mφパラボラアンテナをやめ衛星追跡用10mφパラボラアンテナを使用する事となった。データ処理系では, 計算機によるデータ処理が本格化し, 姿勢制御系, 計測系, テレメータ系のデータ処理のほか, 従来のACOSやRS系へのデータ伝送に加えM管制室へもデータ伝送が出来るようになった。コマンド系では, 1∿2号機は従来と同様であるが, 3号機から第1段の制御項目等を増やす必要からトーン周波数を増し, コマンド項目を3項目から6項目にし, さらに操作上の安全性を向上させた。集中電源は, 充電効率や管理の点等から見直しをはかり, 従来M-3S型で用いられていた酸化銀亜鉛蓄電池に替わりニッケルカドミウム蓄電池が使用されるようになった。資料番号: SA0167008000
著者
中村 文隆 藤井 正和 七里 圭子 西 智史 篠原 良仁 伊橋 卓文 横山 新一郎 武内 慎太郎 今村 清隆 渡邊 祐介 田本 英司 高田 実 加藤 健太郎 木ノ下 義宏 安保 義恭 成田 吉明 樫村 暢一
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-77, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
29

ERAS の手術侵襲軽減策は,多職種のスタッフによる介入が不可欠である.入院前の不安要素は患者個々に異なり,消化器外科では,術後の食事摂取,人工肛門に対する不安は多い.各医療スタッフの専門的立場の助言が治療意欲を向上させる.術後の腸管機能の回復促進対策としては,輸液量の適正化,胸部硬膜外鎮痛,早期経口摂取,早期離床などチームで取り込む事項が多い.早期離床では,プログラム内容や行動目標を定め施行することが望ましい.疼痛管理としては,急性痛サービスAPS を組織することが,安心な周術期環境を効率的に提供し,今後わが国でも普及することが望まれる.回復を実感する環境づくりは,重要であり,チームメンバーは,各専門的な知識や技術を生かし患者のセルフケアーを支援することで,早期回復の実感と不安の解消につながり,満足度の高い退院につながる.
著者
山崎 瑞紀 倉元 直樹 中村 俊哉 横山 剛
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.305-314, 2000-09

山崎・平・中村・横山(1997)に引き続き, 本研究においては, アジア出身学生の対日態度, 及び対異文化態度と, それらに影響する要因の関係を検討した。態度形成モデルは, エスニシティ(民族性)の観点から構成された。「対日態度」, 「対異文化態度」, 「友人関係」, 「肯定的経験」, 「否定的経験」, 「自分たちのエスニシティがホスト社会に受け入れられているという認知」といった構成概念が測定された。日本語学校に通う399名のアジア出身学生が質問紙に回答した結果, 以下の点が示唆された:(1)「日本人による受容の認知」は, 肯定的な対日態度, 対異文化態度の形成に重要な役割を果たす, (2)中国出身の学生は, 韓国出身の学生よりも, 日本人と豊かな「友人関係」を形成しており, 「肯定的な経験」が多く, 滞在社会は自分たちの民族文化に対して関心を持っている, と感じており, より親和的な「日本人イメージ」を形成している, (3)さらに, 前回, 留学生を対象に行った調査結果と比較したところ, 日本語学校生は留学生よりも, 「肯定的経験」が少なく「否定的経験」が多いこと, 「日本人との交流意図」, 「異文化との交流意図」が低いことが示唆された。
著者
小川 昭利 横山 諒一 亀田 達也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.366-375, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
45
被引用文献数
1 4

Theory-of-mind (ToM) has been extensively studied using neuroimaging, with the goal of finding a neural basis for ToM and its associate emotional and cognitive processes. In neuroimaging, a functional localizer is used when a region of interest needs to be identified in a way that is statistically independent of the main experiment. The original ToM localizer (ToM-L) for functional magnetic resonance imaging (Dodell-Feder et al., 2011) measures brain activity when a set of English sentences and related questions are read and answered by participants. We developed a linguistically localized version of the ToM-L for use with Japanese speakers, and evaluated it by scanning 70 participants. The results showed that this localizer could be used to define individual ToM-related areas, requiring about one-third of the scanning time of the original ToM-L while maintaining its statistical ability to identify individual ToM-related brain regions.
著者
田坂 さつき 島薗 進 一ノ瀬 正樹 石井 哲也 香川 知晶 土井 健司 安藤 泰至 松原 洋子 柳原 良江 鈴木 晶子 横山 広美
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究には、政府が主催する会議などの委員を歴任した宗教学者島薗進、倫理学者香川知晶に加えて、医学・医療領域の提言のまとめ役でもあり、ゲノム編集による生物医学研究の黎明期から先導的に発言してきた石井哲也も参画している。医学・医療領域におけるゲノム編集に関する提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を作成し、ゲノム編集の法規制の根拠となる倫理的論拠を構築することを目指す。
著者
横山 智史 谷川 智洋 広田 光一 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.265-274, 2004-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
4

Recently, various types of display system can present aural, visual and haptic information related to the position. Also, it is important to present olfactory information related to the position, and we focus on the spatiality of olfaction. Olfactory information consists of the kind and density of an odorous molecule. And, human can know the position of an odor source, by perceiving the density distribution of the odorous molecule. In this research, we constructed and evaluated wearable olfactory display to present the spatiality of olfaction at outdoor environment. By simulating density distribution of the odorous molecule based on diffusion equation, we generate two types of olfactory field which represented olfactory information related to the position. According to positions of user and odor source, our prototype system control density of odorous molecule and blow generated odor air to the user's nose. By using the proposed system, user can specify position of odor source in outdoor environment. Also, the user can feel as if he/she passed each other with the perfumed people.
著者
横山 利夫・藤田 進太郎・武田 政宣 藤田 進太郎 武田 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.169-176, 2015

最近,自動車の自動運転に関する関心が急速に高まってきている.まずは自動運転に対する世の中の期待を紹介する.現在の道路交通条約および自動運転システムのレベル定義を説明した後,自動運転技術の実用化に向けた国際基準調和活動を概説する.その後,自動運転を実現するための主要な技術への取り組みを紹介し,最後に,自動運転実用化に向けた今後の展望を述べる.
著者
横山 順一 カンノン キップ 仏坂 健太 伊藤 洋介 茂山 俊和 道村 唯太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

重力波を用いた宇宙物理学の研究を包括的に展開します。具体的には、①独立成分解析によってノイズを効率的に除去し、KAGRAによる重力波の初検出を目指します。②連星ブラックホールの質量分布関数とパルサーの周期擾乱で観測される長波長重力波背景放射を用いることにより、予想外に多数存在することがわかったブラックホールの正体を明らかにします。また、③連星中性子星合体については、マルチメッセンジャー宇宙物理学において、光学対応物となるガンマ線バースト及びキロノバの物理過程を数値相対論によって明らかにすると共に、r過程元素合成を計算し、銀河の化学進化の観測と照らし合わせて、金や銀などの起源を明らかにします。
著者
横山 淳一 山本 勝
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.79-84, 2010-02-15 (Released:2011-01-20)
参考文献数
4

本論文において,著者らは個人の生活習慣に関心を喚起するための生活行動記録システムを提案し,携帯電話で利用できるシステムのプロトタイプを開発した。生活行動記録システムは,食事や飲酒といった生活習慣に関わる行動について,利用者がそれらの行動を行う度にボタンを押すことで,時間および行動内容を記録するものである。本論文では,11名の大学生を対象に生活行動記録システムを利用する11日間の実証実験を行った。その結果,システム利用前と利用後で健康に対する関心および生活習慣に対して有意な向上が見られた。以上のことから,本システムが個人の生活習慣を見直すきっかけとなる有効性が示唆された。
著者
横山 利夫・藤田 進太郎・武田 政宣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.169-176, 2015-06-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

最近,自動車の自動運転に関する関心が急速に高まってきている.まずは自動運転に対する世の中の期待を紹介する.現在の道路交通条約および自動運転システムのレベル定義を説明した後,自動運転技術の実用化に向けた国際基準調和活動を概説する.その後,自動運転を実現するための主要な技術への取り組みを紹介し,最後に,自動運転実用化に向けた今後の展望を述べる.
著者
横山 和弘 竹島 卓
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1_42-1_61, 1988-01-14 (Released:2018-11-05)

A. K. Lenstra, H. W. LenstraとL. Lovaszが格子算法を整数環上の1変数多項式の因数分解アルゴリズムに応用し,計算時間がその多項式の次数に対してその次数の多項式オーダーになることを可能にして以来,格子算法が種々の因数分解アルゴリズムに応用されている.本論文では,A. K. Lenstraによる格子算法の基本的性質を抽出し,Euclid付値環上の因数分解およびGCD計算に格子算法が適用できることを示す.また,ある種の条件の下ではEuclid環上の因数分解へも応用が可能であることを示す.