著者
横山 泰之 各務 翔太 小山 裕美 白木 克繁 内山 佳美
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

本研究では森林の水源涵養機能について重要な要素となる樹冠遮断損失に着目する。樹冠遮断率は立木密度と共に大きくなることが知られており、立木密度の高い荒廃人工林の遮断損失量は水源涵養機能の低下に繋がると考えられる。本研究の調査地である貝沢試験地では2012年に本数割合17%の間伐整備を行っている。流域内、15m×15m内にスギが11本存在するAプロットと28本存在するBプロットの2か所を設定し2015年9月~12月まで林内雨量及び樹幹流下量の観測を行った。林内雨量はA・Bプロット共に貯留タンクを10個ずつ、0.5mm転倒枡型雨量計を1つずつ設置した。樹幹流下量は貯留式・水道メーター・自動記録式流量計の3方式でAは全木・Bは11本で測定を行い、得られたデータから樹冠遮断率を算出した。この結果樹冠遮断率はAプロット:14.3%、Bプロット:17.4%であった。立木密度と遮断率の関係を森林整備前後の林班ごとの立木密度に適用したところ、樹冠遮断量の森林整備による減少は年間10mm程度と推定された。これは対照流域法により求められた森林整備による流出水量増加の1割にも満たず、今後蒸散量変化についても分析が必要である。
著者
菅 浩伸 浦田 健作 長尾 正之 堀 信行 大橋 倫也 中島 洋典 後藤 和久 横山 祐典 鈴木 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

海底地形図や空中写真から沈水カルストの存在は指摘されていた。しかし,多くは陸上の露出部によって沈水カルストであると認識されており,海底の地形図は提示されていない。浅海域の地形を具体的に可視化することは難しく,地形の広がりについて議論されることは世界的にもなかった。本研究では石垣島名蔵湾中央部の1.85km&times;2.7kmの範囲でワイドバンドマルチビーム測深機R2 Sonic 2022を用いた三次元地形測量を行い,沈水カルスト地形を見いだした。本発表では測深によって作成した1mメッシュの詳細地形図を基に,潜水調査結果などをあわせて,大規模かつ多様な形態をもつ名蔵湾の沈水カルストについて報告する。<BR><br> 測深域では多数の閉じた等高線をもつ地形が可視化された。類似の地形はサンゴ礁地形など海面下で形成される地形になく,スケールもサンゴ礁の微地形より大きい。このため閉じた集水域より,地下水系によってつくられた地形,すなわちカルスト地形と判断できる。ここでは以下の5つのカルスト地形が認められ,これらがブロックごとに異なったカルスト発達過程を反映しているようである。 1) ドリーネカルスト,2) 複合ドリーネおよびメガドリーネ,3) コックピットカルスト,4) ポリゴナルカルスト,5) 河川カルストである。名蔵湾ではこれらのカルスト地形が現成の礁性堆積物によって覆われ,海底の被覆カルストを形成する。この過程で「カレン」のような規模の小さなカルスト地形は埋積されたとみられる。礁性堆積物の被覆により,水中の露頭で母岩を観察するには至っていない。名蔵湾でみられるような比高30mに達する凹凸の大きいカルスト地形は一般に透水性が低い石灰岩の弱線に沿って発達する。琉球石灰岩は透水性が高く,このようなカルスト地形を形成しにくい。名蔵湾の地形が頂部および旧谷底部に定高性をもつことから,母岩は陸棚で発達した第三紀宮良石灰岩ではないかと推定される。<BR><br> 本研究では名蔵湾の中央部で沈水カルスト地形が確認された。空中写真で視認できる沿岸域の地形とあわせて,名蔵湾のほぼ全域が沈水カルスト地形の可能性が高いといえる。名蔵湾は南北6km,東西5kmの広がりをもつ。この範囲は南大東島や平尾台とほぼ同じ大きさであり,日本最大の沈水カルスト地形の存在が示唆できる。
著者
横山 卓志 楠田 哲士 曽根 啓子 森部 絢嗣 高橋 秀明 橋川 央 小林 弘志 織田 銑一
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.207-214, 2012-12-30
参考文献数
12

飼育下キンシコウ(<i>Rhinopithecus roxellana</i>)の新生仔における行動発達を明らかにすることを目的とし,名古屋市東山動物園で2009年4月に生まれた雌の新生仔において,8ヶ月齢までの成長に伴って観察された行動の経日変化を記録した.また,それらの結果を,中国の国立陝西周至自然保護区の半野生集団および他の飼育下個体における報告と比較した.東山動物園の新生仔は,出生後約1ヶ月間は母親に依存していたが,1ヶ月齢から周辺環境や姉に興味を示し,積極的に接近や探索の行動を開始した.2~3ヶ月齢では姉と2頭で過ごしたりグルーミングに似た行動をしたりするなど社会行動が観察された.生後60日目以降,積極的に姉に近づくようになり,姉の存在がその後の新生仔の行動発達に影響を与えたと考えられた.自然保護区と比べ,木の登り降りや餌に興味を示す行動の発現が著しく早く,また5ヶ月齢以降,腹部接着や支持,近接,接近,離反およびグルーミング受容の行動スコアがほぼ一定となったことから,5ヶ月齢が行動発達の1つの区切りであったと考えられた.東山動物園におけるキンシコウ新生仔の行動発達過程は,群れの数や環境が大きく異なる中国の自然保護区の結果と一致していた.しかし,一部の行動の開始時期には大きな差が認められ,木の登り降りや餌への興味といった行動の発達は,成育環境に影響を受けているとも考えられた.<br>
著者
長谷川 直子 宮岡 邦任 元木 理寿 大八木 英夫 谷口 智雅 戸田 真夏 山下 琢巳 横山 俊一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100036, 2013 (Released:2014-03-14)

2013年春の日本地理学会において、地理学の社会的役割を考えるというシンポジウムが開催された。発表者の何人かは、一般の人に地理学的な視点(広い視野、総合的な視点、現象間の関係性を理解する)がないことが問題であると指摘していた。それでは一般の人にそのような視点を持ってもらうためにはどうしたら良いか。具体的に何か作成し、普及できないか。そのような視点に立ち、筆者らは2013年春から研究グループを立ち上げて活動を開始している。地誌学的な視点の一般への普及の手段として、地誌学の視点から地域を理解する教材を子供向け(義務教育における副読本や教員向け実践実例集等)と大人向け(旅行ガイドブック)に作成できないか考えた。現在市販されているガイドブックを地誌学の視点から眺めると、単なるスポット・事象の羅列になっており、スポット間の関係性や、スポット・事象がそこに存在する理由などの地誌学的説明が見られない。旅行ガイドブックにこれらの説明をうまく入れられれば、旅行者がガイドブックを読むことで地誌学的視点が身に付くようになるのではないかと考えられる。そして、観光ガイドブックにどのように項目を取り上げ、地誌学的な記載をするかについて、検討を行った。
著者
横山 純也
巻号頁・発行日
pp.1-57, 2017-03-25 (Released:2017-10-06)

首都大学東京, 2017-03-25, 修士(工学)
著者
小川 昭利 横山 諒一 亀田 達也
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.366-375, 2017-10
著者
丹波 澄雄 相馬 孝志 吉田 功 横山 隆三
出版者
社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.381-392, 1988-12-30 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13

陸奥湾海況自動観測ブイシステムによる実測水温データを用いて,AVHRR水温から推定される海表面温度の精度を調べた。Ch.4及びCh.5の輝度温度の二重回帰式では,標準誤差は0.5℃程度で推定できた。2つのスペクトルバンドを用いることによって,大気効果にともなう誤差は効果的に補正できたが,大気一海面の相互作用による誤差は補正できなかった。現在さらにデータ数を増した場合やCh.5のバンドを有していない偶数号(6,8,10号)のNOAAデータの解析も進行中であり,これらの結果を総括してAVHRRから得られる水温情報の精度の総合評価をおこなう予定である。また大気一海面の相互作用と熱放射との因果関係の解明や測定原理の異なる水温情報の利用及び判読についても,今後の研究に待つところが大きい。本研究に用いたAVHRR画像データは東京大学生産技術研究所より,陸奥湾海況自動観測ブイデータは青森県水産増殖センターより,気象観測記録は青森地方気象台から提供された。ここに各位に対し深謝するものである。なお本研究は文部省科学研究費特定研究(1)「宇宙からのリモートセンシングデータの高次利用に関する研究」(昭和60~62年度)によりおこなわれたものである。
著者
赤塚 朋子 佐々木 和也 横山 弘美 大原 弘子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2016

<目的><br>&nbsp;&nbsp;衣生活領域の消費者教育を発達段階に応じて教材開発するための課題を抽出し、授業案を作成することを目的とした。<br><br><方法><br>&nbsp; 衣生活における消費者問題の把握と、衣服に関する知識を知るためのイメージマップ法と衣生活に関する実態を調査するためのアンケート調査を行った。<br><br><結果><br>1.衣生活における消費者問題の把握 <br>&nbsp; 県消費生活センターによれば、平成26年度の苦情相談件数上位5位の商品・サービスでは、19歳以下では1位「放送・コンテンツ等」、2位「履物」、3位「他の身の回り品/レンタル・リース・賃借」、5位「健康食品/書籍・印刷物/自動車/補習教育/役務その他」、20歳代では1位「放送・コンテンツ等」、2位「融資サービス」、3位「レンタル・リース・賃借」、4位「自動車」、5位「インターネット通信サービス」となっている。19歳以下で、2位、3位と上位に衣生活関連の消費者問題があることがわかった。<br>&nbsp; 衣生活に関する相談では、クリーニング・トラブル(しみ・変色・形状変化・破損・紛失など)、購入した商品に関する苦情(組成、耐久性、着心地など)、その他(柔軟剤、購入時および売却処分時のトラブル、製品に起因する事故など)があがった。関連して紹介があった事例では、着用で体にしみができたブラジャー、手にはめたところヌルヌルした手袋、詰め物が表示と違っていたこたつ布団など具体的であった。こうした衣生活における消費者問題が存在することの事例は、当事者にならなければ気が付かないことが多い。また実際に話を聞かなければ、原因が身に着けていた衣服であることも想像できない。県消費生活センターと連携することの重要性を痛感することとなった。<br><br>2.衣生活実態調査<br>(1)イメージマップ法 <br>&nbsp; 小学生、中学生、高校生、大学生に対して、衣服を中心に置き、そこから派生してイメージするワードをつなげてもらった。年齢が進むにつれて、アイテムの単語が多かったのが、衣服の成り立ちや手入れ、布の性質に関連する単語の出現が多くなり、大学生は衣服を環境面でとらえる割合も増えている。<br>(2)アンケート調査 <br>&nbsp; 主に中学生と高校生を対比して検討した。中学生から高校生へと年齢があがるにしたがって、衣生活での自分での行動が増えているようである。しかし、衣服を選ぶのは誰かの問いに対して、最も多いのは、両者ともに「自分と保護者」であることから、衣生活消費の面での自立が遅いことがうかがえる。衣服をインターネットで購入したことがあるかどうかの問いに対しては、中学生は半数に満たないが、高校生は約6割近かった。スマフォの所有率に比例すると考えられる。成長期のこの時期は、「服のサイズが合わなくなって着られなくなったから」、「長い間使用していてもう着られないと感じたから(例:布が薄くなるなど)」という理由で処分の対応をしていることがわかり、衣生活の消費の側面では、堅実さが垣間見られた。衣服の再利用やリメイクにも関心がないわけでもないこともわかった。<br><br>3.教材開発のための課題<br>&nbsp; 衣生活領域の消費者教育を発達段階に応じて教材開発するためには、1)衣生活をいつから自分で成り立たせているか、つまり衣生活の自立がいつから始まるかに大きく関係するため、その把握が重要であること、2)衣服の消費は既成品の中から選択することが多いため、その衣服がどのように作製され手元に届き、身に着け、最後はどうなるのかという一連の衣服のライフサイクルへの理解を知識としてどのように押さえるのか、3)購入時の知識は教材化しやすいが、管理・保存の知識・技術は実感を伴った教材になりにくいこと、4)ITの進展によるネットショッピングの普及により、身に着けるものでありながら、素材の安全性や繊維そのものの性質を知る機会をどう保障するのか、5)授業時間のない中、製作の場面を想定できる教材が必要だが、どうすればいいか、などの課題が抽出された。<br><br>4.授業案作成 <br>&nbsp;&nbsp;課題を受けて、発達段階に応じた授業案を検討した。
著者
坂下 吉弘 竹末 芳生 横山 隆 大毛 宏喜
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.173-177, 2000 (Released:2009-06-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

潰瘍性大腸炎に対し,大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術を行った若年女性患者の妊娠出産を含めた術後のquality of lifeについて,女性患者23例のうち,20~39歳の12例に対してアンケート調査を行い検討した.術後の出産症例は5例で,計7児出産していた.回腸瘻閉鎖から初回出産までの平均期間は3年8カ月(1年7カ月~8年3カ月)であった.分娩方法は帝王切開が3例計5回,経膣分娩が2例計2回であった.帝王切開の理由は,児逆位,胎児仮死,早期剥離で,いずれも産科的な適応によるものであった.児性別は男児4例,女児3例で,7例とも妊娠週数は,正期産であった.生下時体重は2,638g~3,778gで,いずれも正常児で身体的異常を認めなかった.妊娠中に排便回数の増加を認めた症例はなかったが,2例で妊娠後期に漏便の増加を認めた.しかし,分娩後,妊娠前の状態に戻り,機能低下を残す症例はなく,回腸嚢肛門吻合術後の妊娠,出産は安全であると結論した.
著者
横山青娥 著
出版者
交蘭社
巻号頁・発行日
1933
著者
横山 俊一郎
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.305-326, 2014-03-31

文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点
著者
田村 雅成 神山 達哉 添田 隆弘 兪明連 横山 孝典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.2660-2670, 2012-12-15

モデルベースによる組み込み制御ソフトウェア開発の効率向上のため,SimulinkモデルをUMLモデルへ自動変換するモデル変換環境を提案する.一般に,組み込み制御ソフトウェア開発は制御設計とソフトウェア設計の2段階で行う.制御設計ではMATLAB/Simulinkを用いて制御ロジックをSimulinkモデルとして設計することが多い.一方,ソフトウェア設計ではUMLモデルを用いて設計を行うのが一般的である.本研究では,制御設計からソフトウェア設計への移行をスムーズに行うために,SimulinkモデルからUMLモデルへの変換ツールを開発した.本ツールが生成するUMLモデルはデータとデータの算出処理をカプセル化したクラスからなる.また,変換後のUMLモデルの再利用性向上のため,変換元のSimulinkモデルに対して階層化を行うが,その階層化作業を効率化するため,階層化支援ツールを開発した.そして,複数のSimulinkモデルに対して適用実験を行い,その有用性を確認した.
著者
小川 一太郎 横山 想一郎 山下 倫央 川村 秀憲 酒徳 哲 柳原 正 田中 英明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本稿では複数のRCカーによる自律走行の獲得を目的としたDeepQ-Networkによる協調学習手法を提案する。RCカーが他車にぶつからないこと及びコースアウトをしないことに加え、交差点で指定された方角へ曲がることが可能となる。天井に取り付けられたカメラの映像から得られる車両の位置と向きからLIDAR情報に変換し、走行の開始から終了までの走行を1エピソードとしたデータをもとに学習を行う。

1 0 0 0 IR トピックス

著者
広報誌編集委員会 横山 広美
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.12-12, 2015-11-20

祝 2015 年度秋季学位記授与式・卒業式/東大理学部ホームカミングデイ2015

1 0 0 0 IR トピックス

著者
広報誌編集委員会 横山 広美
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.12, 2015-11-20

祝 2015 年度秋季学位記授与式・卒業式/東大理学部ホームカミングデイ2015