著者
橋本 美喜男
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.101-114, 2012-04

中学の現場では今でも伝統的な5文型が使用されている。本論の目的は、5文型を認知言語学の枠組みで活用し、英語の初級学習者において、英語の語順の理解を促進させる方法を考察することである。5文型を活用するのは、現場の教員にとってなじみがあり使いやすいためであり、認知言語学の枠組みを使用するのは、プロミネンス等の認知的動機付けに基づき、日本語訳を通した文型理解から生じる問題を解決し、英語の文型の理解を深めるためである。英語の文型の理解を促すためには、守護と目的語の概念の捉えなおしと図式化が有効であることを示す。######In this paper, I will attempt to illustrate the merits of applying###insights from Cognitive Linguistics to pedagogical grammar. I do so by###examining English basic sentence patterns treated in textbooks for junior###high schools, long assumed to be one of the most difficult areas of learning###for Japanese students, and by showing some possible teaching solutions.###The solutions offer the following insights: 1) the grammatical relations (i.###e. subject and object) in English and Japanese are cognitively motivated###in nature (i. e. prominence): 2) the visualization of speaker objectification###may enable students to select appropriate subjects, which means that###they will be able to produce English sentences more fluently. I conclude###that a Cognitive Linguistics approach to basic sentence patterns in###English provides a more accurate, systematic account that, in turn, offers###the basis for a more coherent, learnable presentation of English grammar.
著者
尾崎 勇 橋本 勲
出版者
Japanese Society of Clinical Neurophysiology
雑誌
臨床神経生理学 : Japanese journal of clinical neurophysiology (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.19-28, 2012-02-01

正中神経刺激による体性感覚誘発電位 (SEP) と誘発脳磁界 (SEF) の特徴についてレビューした。視床皮質線維の活動を反映するM15磁界成分と対応するP15電位, 体性感覚皮質の600 Hz高周波信号について最新の知見を述べた。一次体性感覚皮質起源の中・長潜時SEP反応が刺激頻度の相違によって変化すること, また末梢及び中枢体性感覚伝導路の機能障害のためにN20が消失あるいは不明瞭な患者においても, 中・長潜時SEP波形は長い潜時ほど振幅が大きくなる, クレッシェンドパターンで記録され、決して消失しないことを述べた。したがって、N20が消失あるいは不明瞭な場合, 低酸素虚血性脳症など重篤な脳傷害と診断する際には、適切な記録条件で得られた中・長潜時SEP反応が両側性に全て消失していることが重要であると提案した。
著者
白樫 正高 古塩 淳 徳長 靖 橋本 斉 脇屋 正一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.75-82, 1986
被引用文献数
2 1

ポンプ・管路系による雪の水力輸送を,市街地のような広い地域からの排雪手段として適用する場合,小径の管を順次合流させ,大径管により長距離を輸送するのが適当と考えられる.本研究ではこのような樹木状配管における合流部の形状で最も基本的と考えられるT字形合流管における雪水二相流の損失動力を実験的に調べた.内径77mmの本管に同径の支管が直角に交る合流管において,雪の吐出し体積分率の等しいざらめ雪・水二相流が合流する場合の,合流前の本,支管流量Q1,Q2,管に沿った圧力の低下,合流後の雪の吐出し体積分率を測定した.比較のための試料としてプラスチックビーズを用いた.合流後の流量Q3一定の条件下で雪水二相流の合流損失は清水(せいすい)の場合と同様の挙動を示した.すなわち,雪水混合体を均質流体とみなして定義した合流損失係数と流量比Q2/Q3の関係は清水の場合とほぼ一致し,雪の混入による合流損失係数の増加は小さい.これに対し,プラスチックビーズ・水二相流ではビーズの分率とともに合流損失係数が大きくなる傾向が明らかである.以上の結果から,ざらめ雪・水二相流のT字管における合流損失動力は,清水についての合流損失係数を用いて概略推定する事ができると考えられる.
著者
高岡 克宜 鶯 春夫 岡 陽子 唐川 美千代 平島 賢一 別部 隆司 嶋田 悦尚 橋本 安駿 橋本 マユミ 大庭 敏晴
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.F0898-F0898, 2006

【はじめに】<BR> 現在、理学療法分野では腰痛軽減を図る上で様々な物理療法や徒手療法が行われている。当院においては徒手療法を中心に治療を行っているが関節周囲軟部組織の伸張や関節モビライゼーション効果を目的に腰椎間歇牽引器(以下;従来型)を用いて牽引療法も施行している。今回、自重牽引器である浮腰式アクティブ運動療法腰痛治療器プロテック(以下;プロテック)を施行する機会を得たので従来型と比較し、その効果を検討した。<BR>【対象および方法】<BR> 平成17年6月現在の当院職員71名に対し腰痛に関するアンケート調査を行い、腰痛を有しているが整形外科疾患を有していないため治療を行っていない者15名(性別:男性5名、女性10名、平均年齢42.7±13.1歳)を対象とした。なお、対象者に安静時痛や夜間時痛を有する者はなかった。<BR> 方法は対象者を無作為にプロテック群7名、従来型群8名の2群に分け、プロテック群は開始14分間を股・膝関節90°屈曲位、残り1分間を股関節90°屈曲・膝関節完全伸展位で牽引を施行した。違和感が出現した場合は膝関節完全伸展位での牽引を止め、痛みが出現した場合は中止した。従来型群はORTHOTRAC OL-2000(OG技研)を腰椎介達動力牽引の治療肢位で使用し牽引力は体重の1/3、牽引持続時間10秒、休止時間5秒で、15分間施行した。両群とも週2回の頻度で6週間施行した。評価として日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(以下;日整会判定基準)、指床間距離(以下;FFD)、Visual analog scale(以下;VAS)を牽引前、3週間後、6週間後に行い最後にアンケート調査を行った。なお、対象者には本研究に関して十分な説明と同意を得た。<BR>【結果】<BR> 牽引前と6週間後の結果を比較すると、プロテック群の日整会判定基準の平均値は24.0±2.2点から26.5±1.1点、VASは4.8±2.4から2.0±1.5、FFDは2.2±12.0 cmから2.2±11.5cmであった。従来型群の日整会判定基準の平均値は24.0±3.8点から26.8±2.1点、VASは3.6±2.6から1.0±1.3、FFDは3.0±13.9 cm から5.6±14.0cmであった。上記の結果より、両群共に改善が認められたがFFDにおいては従来型群のみに改善を認めた。また、アンケート結果では肯定的回答が両群で4名ずつ得られた。なお、プロテック群では初回牽引後に1名、従来型群では2週間以内に3名、腰痛が出現し牽引を中止した。<BR>【考察】<BR> 両群共に腰痛軽減効果が認められた反面、疼痛が出現し悪化した者も認められた。また、本研究においては症例数が少なかったため統計学的にも両群の差を認めることが出来なかった。今後は牽引肢位や牽引力、骨盤傾斜角度等の検討を行うとともに、症例数を増やし両群の適応を再検討する必要性が示唆された。
著者
橋本 千絵 古市 剛史
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.259-269, 2001 (Released:2009-09-07)
参考文献数
33
被引用文献数
1 5

We examined the 20-years records of female transfer of wild bonobos at Wamba, D. R. Congo. Most females left their natal group between 6 and 9 years old, and immigrated into new groups between 10 and 12 years. Females seemed to travel several groups before settling in a new group. After settling down, they start reproduction and will not transfer to other groups for the rest of their life. We examined average of coefficient of consanguinity of males with whom females may copulate in new groups. The probability of inbreeding drastically decreases when a female transfers groups, and it decreases according to the amount of intergroup travel. Differences in female transfer pattern between bonobos and chimpanzees seem to be due to the differences in the risks of traveling alone, such as predators, social relationships between females, and high social status of females. The balance between cost and benefit of intergroup transfer may determine philopatric social structure in chimpanzees and bonobos.
著者
橋本 健二
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.249-257, 1988-02-10

The state is one of the central problems in a recent social science. There are two key problems in theories of the capitalist state. One is determinant of forms and functions of the state, another is functions of the state to the structure of capitalist society. Many theorists have been engaged in these problems in various way. We need to unify these previous approaches and have a more generalized theory. I try to this by distinguishing Levels of Analysis and Modes of Determination. Functions of the state, to secure reproduction of structure of capitalist society, can be analized on four levels of analysis : levels of mode of production, class structure, social formation, and concrete society. Determinants of functions of the state can be understood as complex of structural limitation, conducts of members of state apparatus and influences of social classes. These theoretical considerations are part of sociology of state activities in general.
著者
吉山 直樹 橋本 明浩
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
看護研究交流センター年報
巻号頁・発行日
vol.17, pp.14-20, 2006-07

■背景: Fake Complianceの少ない情報共有化の手段(Ecological Momentary Communication Tool, EMCTと称することとした)として携帯電話を使用し, 2005年度は, EMCTを想定する携帯電話の機種による相手とのコミュニケーション可能性と,この機種と現行の動画撮影機能を有するデジタルカメラの画像品質の比較をおこなった.■方法:最新のブロードバンド(3G)対応機種による静止画・動画の通信による送付,リアルタイム画像送付機能(TVコール)に関して一定の通信プロトコルに従って実験をおこなった.画像品質の比較には,画素数,画像フォーマット等の条件を揃えて市販のコンパクトタイプのデジカメと比較した.■結果:厳しい通信環境ではないか,と危倶していたが,試用の結果は予想よりも良好であり,ブロードバンド対応の中継器の設置が着々と進んでいることが実感された.静止画の機能は充分であるが,動画機能は末だ極めて貧弱である.通信可能なフォーマットに限って評価してみると,さらに不満足な結果であった.■結論:ブロードバンド(3G)対応機種に期待したが画質的にはまだ不十分である.携帯電話をEMCTとして在宅ケアの現場で使用するには,地域を選び機能を限定して使用することが必要である.今後の展開には,携帯電話そのものの機能向上が本筋であるが,ホームページ利用による携帯用ネットサーバ利用によって解決可能と思われる.
著者
橋本 雄
出版者
歴史教育者協議会
雑誌
歴史地理教育 (ISSN:02881535)
巻号頁・発行日
no.830, pp.20-27, 2015-02
著者
橋本 仁 五十嵐 秀平 行松 健一 村山 秀胤 宮村 崇 塩本 公平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.645-654, 2008-06-01
被引用文献数
2

MPLSにおけるトラヒックエンジニアリング(MPLS-TE)では,与えられたトラヒックを収容する際,各リンクの利用率に注目してその最大値が最小になるパス設定を考える.実際の動的なネットワーク環境下では,トラヒックの変動に応じて最適化を行いネットワークを再構成するのが望ましい.しかし,この再最適化は多くのトラヒックに対するLSPの再設定につながりかねず,切換時にパケット欠落や順序逆転などの転送品質の劣化の原因となり得る.本論文では,動的にMPLS-TEを行う際,全トラヒックの中からいくつかのトラヒックを選択し,選択トラヒックに対してのみLSP再設定を行う部分的な最適化手法を提案する.線形計画法による定式化では再設定トラヒック本数,したがってトラヒック量を明示的に限定することができるため,パス切換に伴う品質劣化リスクも限定可能と考えられる.また再設定トラヒックはトラヒック量から定め,イングレスルータでの測定量から決定可能なものである.この結果,明示的に対象トラヒック量を制限した場合であってもグローバル再最適化に近い効果が得られることが分かった.またシミュレーションの結果から,ほとんどの場合,再最適化対象のトラヒック量を約25%に制限した場合であっても,グローバル再最適化時の1.1倍程度の最大リンク利用率を実現できる結果を得た.これらのことから,パス再設定時のトラヒックヘの影響であるネットワーク品質劣化のリスクを限定あるいは低減する手法として有効であることを明らかにした.
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 原田 正公 木村 文彦 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.132-140, 2013-03-15 (Released:2013-05-29)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

重症感染症ではしばしばdisseminated intravascular coagulation(DIC)を合併することで虚血性の多臓器障害を惹起し,その予後は不良となる。感染症自体のコントロールと適切な抗DIC療法を併せて行うことが重要である。わが国において現在,感染性DICにおいて最も推奨される抗DIC薬はアンチトロンビン(AT)製剤であるが,最近リコンビナントトロンボモデュリン(rTM)製剤の有効性が相次いで報告されている。当院で治療を行った感染性DIC症例に対して後ろ向きに調査し,rTM単独投与群と,rTMとAT併用投与群での臨床効果の比較検討を行った。両群間で患者背景や治療開始時の重症度には有意差はなく,DIC離脱率,7日以内のDIC離脱率,28日後生存率といった予後にも有意差を認めなかった。また血液検査での炎症系マーカー,凝固・線溶系マーカー,日本救急医学会の急性期DIC診断基準のスコア(以下,急性期DICスコア)は,rTM投与により有意に改善したが,rTM単独群とAT併用群の両群間では,その改善の程度に有意差を認めなかった。以上のことから,rTMにATを併用しても必ずしも予後の改善に結びつくとは限らず,rTM単剤でも臨床効果が期待できる可能性があると思われた。
著者
橋本 喜夫 宮本 健司 飯塚 一
雑誌
皮膚病診療 (ISSN:03877531)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.926-929, 2003-08

雑誌掲載版北海道における6年間のマダニ刺咬症例700例を集積し,ライム病ボレリアの保有率とマダニ刺咬症のライム病発症の頻度を検討した.気候の温かい年度は発症例が若干多く,また年次ごとに症例件数は増加傾向にあった.男女差はなく,9歳以下の小児と40〜60歳代に好発していた.罹患部位は頭頸部,躯幹がそれぞれ約1/3を占めた.小児では約4/5が頭頸部を刺されていた.月別では5,6,7月に集中し,特に6月の発生は約45%を占めた.同定可能であった366例中,303例がシェルツェマダニで,63例がヤマトマダニであった.ヤマトマダニによるライム病確実例の報告は未だなく,人口に比べてライム病の報告の少ない函館市は,ヤマトマダニの優占地域であることがその一因と考えられた.522例に皮膚培養を施行し,43例がボレリア陽性であった.ライム病発症は56例8%であった.マダニ自己抜去群330例と,医療機関を受診した370例を比較すると,ライム病発症率は前者が16.1%,後者が0.81%で,直ちに専門医を受診することの重要性が示唆された