著者
池田 剛 井上 豊 山本 潔 幸島 明男 山下 倫央 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.187-193, 2008-02-27

環境内に設置されたセンサーノードを用いて人や環境の物理的状態を見守るシステムにおいて,無線センサーネットワークの構成手法,すなわち通信方法・通信プロトコルの設計,ハードウェアとソフトウェアの役割分担,省エネルギー設計などは重要な問題である.しかしながら,多くの既存ノードデバイスは汎用的機能を重視しているために,必ずしも実環境に適応した設計がなされていないこともある.そこで本研究では,ComPassと呼ばれる無線センサーネットワークシステムを提案する.ComPassノードデバイスはシンプルな構成の微弱無線通信モジュールであり,たとえば屋内空間での位置推定などのアプリケーションを想定し,実環境において実用に供することを目標に設計されている.すなわち,乾電池駆動も可能な低消費電力であり,かつ,シンプルな構成によって低コスト化も図っている.一般に低コストのハードウェアでは信号ビットレートの自動認識やデータ補正などは困難であるが,ComPassノードではこれらの処理の一部をソフトウェアにて実装することによりハードウェアの単純化とコストの削減を実現した.本稿ではまず無線センサーネットワークと関連研究について述べた後,ComPassノードのハードウェア概要について述べる.そして,次にComPassノード間の通信プロトコル,プロトコルスタック,無線送受信処理などの組み込みソフトウェアのアーキテクチャーを示す.最後にComPass無線センサーネットワークシステムを適用した,スマートフォン上での屋内自律型測位システムについて述べる.In development of the system that watches over humans and physical statuses using numerous wireless sensors, it is important how to design the sensor nodes and how to construct networks of the nodes. Although many studies of wireless sensor networks have been proposed before, most of the studies focus on designs of general-purpose sensor networks. Thus, facilities of the nodes are redundant and not always suitable for an environment where it requires low cost and low power consumption networks. Rethinking practical use of the sensor networks, we propose an extremely low power wireless sensor network system called ComPass. It is designed for practical application services in everyday environments, such as indoor position estimating services. A ComPass node device realizes automatic bit rate detection and data complementation by software so as to achieve simplification and cost reduction of the device. In this paper, first, we describe overview of the wireless sensor network and related works. Second, we descr be ComPass, hardware of the node and software architecture: communication protocol, protocol stack and wireless transmission processing. Last, we describe a practical indoor position estimating system as an application of the ComPass system.
著者
井上 豊 池田 剛 山本 潔 幸島 明男 山下 倫央 麻生 英樹 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.195-202, 2008-02-27

本論文では,衛星測位システムが利用できない場所,特に屋内での自己位置を推定するためのシステムを用いた実証実験について報告する.近年,カーナビゲーションシステムや携帯電話ナビゲーションシステムなどの衛星測位システムを用いた位置情報サービスは広いユーザー層に利用されており,産業の発展や市民の生活になくてはならないものとなりつつある.しかし,この衛星測位システムによって得られる位置情報は,基本的に人工衛星から測位信号を受信可能な屋外でのみ利用することが可能な情報であるため,屋内でのナビゲーションサービスには利用することができない.そこで,衛星測位システムを利用できない屋内での位置情報を提供するための微弱無線ビーコンを用いた屋内自己位置推定技術,さらにはカーナビゲーションシステムや携帯電話ナビゲーションサービスのように,利便性の高いサービスを商業施設や住居施設などの建物の中でも利用できるようにするための屋内ナビゲーションシステムを開発した.この屋内施設における自己位置推定技術,およびその技術を応用したナビゲーションサービスの実現性および有効性を検証するために大規模商業施設での実証実験を行った.In this paper, we describe demonstration experiments using an autonomous positioning system to estimate self-position in indoors, where is impossible to receive GPS signal. In recent years, position information systems using GPS, such as car-navigation system and portable navigation system, are used for many users. These systems contribute to development of industry and relieve civil life. However, since position information calculated using GPS signal is available only in the place which is possible to receive the satellite signals, GPS cannot be used for routing guidance in indoor environments. Then, we developed an indoor autonomous positioning system using extremely low power radio wave beacon devices to provide position information in indoors. Moreover, we developed an indoor navigation system to provide convenient service like car-navigation system and portable navigation system which can be used also in commercial architecture or office building. We carried out the demonstration experiments in large-s ale indoor commercial facilities, in order to evaluate usability of the navigation service which is application of the autonomous positioning technology, and availability of the indoor positioning technology.
著者
加藤 勇之助 入江 友生 岡崎 勝博 合田 浩二 中西 健一郎 根本 節子 池田 千代子
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.197-206, 2005-03

平成16 年度の高校1 年生(55 期生)は、中学3 年時から引き続き、加藤が保健体育の授業を担当してきた。昨年度同様、自分の健康課題に対する実践力を育成するために、保健の授業では次の3 つのキーワードをもとに展開してきた。①みいだす(自分の健康を振り返り、健康課題に気づく) ・・・
著者
池田 欽一 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.125, pp.13-18, 2005-06-16

ボラティリティに注目したモデルとして, ARCH, これを一般化したGARCHモデルが用いられているが, モデル化では, あらかじめその構造が仮定されており, 最適化性の検証に問題がある。本報告では, モンテカルロフィルタと遺伝的プログラミング(Genetic Programming: GP)を用いたGARCHタイプ時系列モデル推定と, その応用について述べる。この場合, 時系列のボラティリティ変動を含むモデルを多次元の状態変数を含むダイナミックスとして記述し, ダイナミックスを推定するためにGPを用い, その状態を推定する手法として, モンテカルロフィルタを用いる。推定手法の有効性を確認するため, 人工的に生成された時系列からのモデル推定問題, 現実の株価時系列から推定されるモデルを求める。
著者
山内 啓太郎 吉田 真太郎 長谷川 晃久 池田 明弘 張 奎泰 松山 茂実 西原 真杉 宮澤 清志 高橋 迪雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.905-909, 1995-10-15
被引用文献数
5

ウマ卵巣より作出したcDNAライブラリーより, ウマインヒビンαサブユニット前駆タンパク質をコードするcDNAを単離した. ラットインヒビンαサブユニットcDNAの配列を基にプライマーを設計し, ラット卵巣RNAを用いたRT-PCR法によりスクリーニング用のプローブを作製した. 1.2×10^5個のプラークより19個の陽性クローンが得られた. そのうちの一つ(Eq-α-11)は, 367個のアミノ酸をコードする完全長のタンパク質翻訳領域を含んでいることが確認された. cDNAの塩基配列より推定されるウマインヒビンαサブユニット前駆タンパク質及び成熟タンパク質のアミノ酸配列は他の6種類の哺乳動物 (ウシ, ブタ, ヒツジ, ヒト, ラット, マウス) のものと比較して80%以上の相同性を有していた. ノーザンブロット法によりウマ卵胞及び精巣に存在するインヒビンαサブユニットmRNAのサイズは1.5 kbであることが判明した.
著者
池田 良彦
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-29, 1993-03-30

The investigation of the crash of the Japan Airlines Boeing 747 in August 1985, has ended without anyone being found criminally responsible. This seems less than satisfactory. The crash of the JAL jetliner in a mountain in Gunma-ken claimed 520 lives. The Maebashi District Prosecutor's Office decided not to indict anyone from Boeing Co., JAL or the Transport Ministry. These parties had been referred by the police to the prosecutors for possible involuntary manslaughter charges. The prosecutor's office said the direct cause of the crash was faulty repair on the bulkhead of the aircraft by Boeing technicians after the plane was damaged at Osaka International Airport in 1978. During its investigation, the Maebashi prosecution office applied to the U. S. Department of Justice to question the maintenance staff at the U. S. aircraft campany. The request was rejected by Boeing staff on the baisis of an amendment to Article 5 of the U. S. Constitution which guarantees Americans rights to refuse taking part in hearing that may bring criminal charges against them. In the United States, greater weight in an investigation is placed on preventing a recurrence of a similar accident than on pursuing a criminal indictment. Charges against JAL and Transport Ministry officials were dropped on the grounds that there were insufficient evidence to suggest responsibility. It could have been the first time that the safety design and repairs of an aircraft would figure in a judical case. In this article, author introduced and analyzed a new type of administrative and supervisory negligent liability.
著者
中島 祐介 池田 誠 浅田 邦博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.293, pp.17-22, 2000-09-14

近年の集積システムのサイズの増大化や、動作周波数の上昇に伴いこれまでのRC回路シミュレーションにおける誤差の増大が懸念されている。これに伴って、近年誘導性の要素であるインダクタンスを考慮するという研究が行われてきているが、インダクタンスは既に確立した計算手法が提案されている抵抗やキャパシタンスと異なり、抽出のための計算コストが膨大となる。本稿では、このインダクタンスの抽出に関して、効率的に計算する方法を提案し、それを用いて簡単な回路シミュレーションを行い、インダクタンスの影響を見積もっている。
著者
田中 恵子 池田 順子 東 あかね 入江 祐子 松村 淳子 杉野 成
出版者
夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学研究紀要 (ISSN:02853744)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-11, 2004-03-17
被引用文献数
1

青年期女性のやせの者の生活習慣上の問題点を明らかにすることを目的として、15〜29歳女性住民415人を対象とした生活習慣調査を行い、やせと生活習慣との関連をFisherの直接法と重回帰分析により検討した。やせの割合は、15〜19歳、20歳代の順に31.3、23.0%であった。普通体型で自分の体型を太めに評価している者に、ダイエット経験者(現在ダイエットをしている者と過去にしていた者)の割合が有意に高かったことから、青年期女性において適正体重に関する健康教育が重要であることが改めて示された。15〜19歳では、食生活に関する幾つかの項目で、好ましくない習慣を有する者にやせの割合が高いという結果が得られた。やせの者に食品の組み合わせについての意識が低い傾向がみられたこと、ご飯、その他の野菜(緑黄色野菜を除く野菜)、牛乳・乳製品の摂取頻度の低い者にBMIが有意に低いという関連がみられたこと、さらに総合的な食品のとりかたの評価指標であるバランススコア平均値がやせで低い傾向を示したことから、10歳代後半のやせの者に対するバランスのとれた食事摂取という健康教育をおこなう必要性が改めて示された。20歳代においては、喫煙習慣を有する者ほどBMIが低くなる傾向がみられたことから、喫煙が体型および健康に及ぼす影響について正しい認識をもたせて禁煙教育を積極的にすすめていく必要性が高いと考えられた。食生活では、15〜19歳に比べて、やせと関連する問題となる習慣は少なかったが、バランススコア平均値が、普通に比べてやせで低い傾向を示したことから、15〜19歳と同様にできるだけ多様な食品をとることの重要性を示していく必要性が高いと考えられた。
著者
南 俊朗 廣川 佐千男 伊東 栄典 池田 大輔
出版者
九州情報大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ICT技術の進展を受け図書館は様々な取り組みを行ってきた.Webサイトを開設し外部に向けた情報発信を積極的に行い,Web経由での蔵書検索を可能とし,貴重図書のディジタルデータの公開,電子ジャーナルの充実などを行ってきた.本研究は,図書館における次なる段階として評価情報などを利用した図書推薦システムに着目し,そのシステム要件や運用に関する基礎的な検討を行い今後の実用化への道しるべを与えることを目的に実施された.このような図書推薦システムの実現には,(1)評価情報などの収集,(2)情報の解析,(3)結果の提示,などが必要となる.これらに関する次のような研究を行い,また,その成果を国際会議などで発表した.(1)収集:評価情報への基礎データには,図書館外部情報,図書館サイトで収集された情報,図書館内収集の資料利用データなどがある.この認識の下,特定トピックに関するWebページを収集するトピッククローラーを開発しWebページからの情報抽出技術を研究した.また,RFID技術を利用したインテリジェント書架による館内での図書利用データの収集技術を研究し予備的実験を実施した.(2)解析:図書の評価情報を含む幅広いメタデータを対象とした解析技術を研究した.書評リストや音楽のプレイリストも対象とした.評価データ抽出へ適用するために,大量の項目リストから類似項目を発見する技術も研究した.またインテリジェント書架で収集された利用データを解析し,図書館や図書館利用者にとって有益な知見を得る手法を研究した.(3)提示:図書推薦サービスはそれだけで独立したものではなく,図書館ポータルサイトにおける利用者インタフェース全体の問題との認識の下,検索結果を鳥瞰して提示する技術を研究しWeb情報の統合化に関する研究成果を学内ポータル構築に適用した.これらの研究成果は,今後図書館で普及すると考えられる利用者への個別(Personalized)サービスなどに有効であるものと期待される.
著者
唐澤 信司 池田 千里 具 龍會 鄭 俊憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

本報告では、ロボットの知能は『もし、○○であれば、○○とする。』という論理で記述され、この論理を実行する意志決定回路{Decision-Making Circuit (DMC)}が形成されることを知能の獲得とする。DMCはある状況を示すセンサの状態の組み合わせに対応した出力回路の状態を指定する。体験的学習では、同時に励起された入力群と出力が接続される。このDMCを構成単位とする人工知能システムを考え、その形成をフローティング・ゲートMOSFETに記憶させる。ここでは、この書き込みを体験的学習のように行う技術を検討した。このロボットの知能は体験に範囲を限定され、いはば個性のようなものを持つ。
著者
古川 芳孝 貴島 勝郎 茨木 洋 池田 渉 松永 祐樹
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
no.1, pp.151-158, 2005-06

Navigational safety is highly demanded in order to prevent marine accidents. However the reduction of personnel expenses is enforced recently to reduce total transportation cost and it means that the securement of crew who have an excellent skill becomes difficult. So the increase of sea disaster accident originated with the degradation of skill of sailors is concerned in the future and the introduction of an automatic navigation device is the one of the solution of such a problem. In this paper, the improved algorithm to avoid colliding with a stopping ship is proposed. The effect of parameters on evasion navigation is examined by numerical simulation. Furthermore, model experiments were carried out using Real-time Kinematic GPS (RTK-GPS) at pond to verify the effectiveness of the algorithm for automatic collision avoidance. It is shown that the collision avoidance system functions well both on numerical simulation and model experiments.
著者
水谷 哲也 五十嵐 滋 塩 雅之 池田 靖雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.37-38, 2008-03-13

NΣラベル付カルキュラスは,外部の物理的または論理的現象を制御する人間またはコンピュータプログラムの,時間に依存して変化する知識・信念およびそれに基づく決定を記述・分析・検証する形式的体系である.この体系で,信楽高原鐡道列車衝突事故およびJAL焼津沖ニアミス事故の論理的分析を行う.これらは連続系を制御するシステムであり,誤解や誤認識をもつヒューマンファクターを内包している.これらの例を分析することにより,人工知能と,プログラムが制御する外部環境およびヒューマンファクターの関係についての研究が行われる.NΣ-labeled calculus is a formal system in order to describe time-concerned recognition, knowledge, belief and decision of humans or computer programs together with related external physical or logical phenomena. Formal verification and analysis of the Shigaraki Kougen Railway accident and the JAL near miss accident in this formalism will be presented as examples of cooperating systems controlling continuously changing objects including human factor with misunderstanding or incorrect recognition. Through these examples, relationship among artificial intelligence, external environment and human factors will be investigated.