著者
小池 彩乃 内田 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.91-95, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
12

対象者はA氏,80歳代,女性,要介護1.独居で生活しているが,火の不始末が心配,緊急連絡先への連絡や来訪者の把握が難しいなどの不安を感じていた.そこで,A氏の目に留まりやすくニーズに合わせたデザインのポスターを生活空間に導入した支援を行った結果,安心感をもたらした.その要因として,①A氏の居住空間・動線・目線に合わせたポスターの掲示,②A氏の好むデザインの選択が考えられた.この症例は多くの独居高齢者にも活用できると考えたため報告する.
著者
松田 陽介 伊藤 由佳 伊藤 進一郎
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.165-173, 2010-10-31 (Released:2020-11-04)
参考文献数
23

コナラの葉内に生息する内生菌の伝播・感染様式を明らかにするため,展葉段階と展葉期の異なる葉から内生菌の分離を行った.2007年4月の一次展葉期の展葉状態を5段階に大別し,段階別に内生菌相とその分離率を調べた.さらに,2008年4月の一次展葉期,6月と8月の二次,三次展葉期の葉から検出された内生菌相やその分離率も同様に調べた.その結果,一次展葉期では2007年に10タイプ,2008年に15タイプの内生菌タイプが得られ,2008年の二次,三次展葉期ではそれぞれ11,13タイプの内生菌タイプが得られた.得られた内生菌のうちDiscula sp.の分離率は最も高く,一次展葉期の葉身拡大時に増加したが,二次,三次展葉期の新葉では減少傾向を示した.二次,三次展葉期ではPhomopsis sp.が増加傾向を示した.これらの結果から,Discula sp.は胞子により一次展葉期に感染を行い,葉内で優占するものと考えられた.また,二次,三次展葉期の新葉では,Discula sp.の胞子飛散量が減少したためか,Phomopsis sp.の感染が増加する可能性が示された.
著者
田中 公二 柴田 護 野沢 悠子 駒ヶ嶺 朋子 森田 陽子 五味 愼太郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.130-134, 2008 (Released:2008-02-22)
参考文献数
13

症例は23歳の女性である.4歳時からアトピー性皮膚炎,小学生時から気管支喘息に罹患していた.200X年7月に歩行障害,下肢感覚異常,膀胱直腸障害を急激に発症し入院した.神経学的所見では,下肢筋力低下,下肢の温痛覚と位置覚障害,下肢腱反射低下ないし消失,および弛緩性の膀胱直腸障害をみとめた.入院時のMRIでは,円錐上部の腫脹がみとめられ,髄液検査では細胞・蛋白・IgGは正常であったが,IgE(8IU/ml)とMBP(7.8ng/ml)は高値であった.血液検査ではダニ特異的IgEが強陽性であった.以上の所見からアトピー性脊髄炎と診断した.入院後,ステロイド・パルス療法と血漿交換療法で臨床所見は改善した.第21病日以降に施行されたMRIでT2強調画像にて高信号を示す散在性病変が腰髄∼仙髄レベルに確認された.髄液と血液のIgEおよびアルブミンの測定結果から,IgE髄内産生の可能性が示唆された.髄液IgEを経時的に測定したが,病勢との相関は明らかでなかった.本例のような病巣部位と急性の経過は従来の報告に比し,非典型的と考えられた.
著者
坂本 昇 宮宗 秀伸 小宮山 政敏 菅田 陽太 森 千里 清水 栄司 松野 義晴
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-32, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
23

医師、歯科医師、パラメディカル(コ・メディカル)を含むすべての医療従事者にとって、人体の構造を学ぶ解剖学は重要な学問である。パラメディカルの学生にとって、解剖見学実習は人体構造を学ぶ上で有益であるが、一般的にはその機会は制限されている。ここで、物事に関する興味・関心は教育における重要な変数であり、例えば興味・関心と成績の間には正の相関があることが報告されている。本研究では、解剖見学実習に参加した看護師、鍼灸師、薬剤師、理学療法士・作業療法士、栄養士、救急救命士の各養成校の学生に対してアンケート調査を実施し、人体の解剖学的構造において特に興味・関心を有する部位の調査を行った。2013年7月から2016年3月の間に、千葉大学医学部において解剖見学実習に参加したパラメディカル学生878人を調査対象とした。解析結果は、1)特に学生にとって興味のある器官系は神経系(6領域全て)、循環器系(看護師、鍼灸師、薬剤師、栄養士、救急救命士)、消化器系(看護師、薬剤師、栄養士、救急救命士)、骨筋系(鍼灸師および理学療法士・作業療法士)であったこと、2)これらの器官系について、特に興味のある器官系構成要素は各専門領域間で異なっていたこと、3)神経系と循環器系は、看護領域の専門学校学生1年生と2年生の両方にとって、特に興味のある器官系であったこと、4)両器官系において特に興味のある器官系構成要素は1年生と2年生の間で異なり、しかしながら「脳」は神経系において両学年にとって特に興味のある器官系要素であったことを示した。これらの各パラメディカル領域における学生の興味・関心の違いは、今後、各領域の専門性に特化した解剖学の教育方法を構築していくにあたり、重要な知見となるものと思われる。
著者
片山 直美 足土 由里佳 一野 晃代 長坂 恵樹子 加藤 江理 伊藤 えり 太田 陽子 梶川 典子 蟹谷 未香 下林 真知子 恒川 小百合 早川 ちひろ 楪葉 真由 藤本 保志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S125-S132, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
6

日本人の食の満足に及ぼす影響が大きい主食である「飯」に注目し、おいしく簡単に炊き上げるための工夫として、一般家庭で用いる炊飯器によって炊飯した飯の 3 種類の水(純水、ミネラル水、水道水)による違いを検討した。さらに選択した水を用いて、嚥下食・介護食に用いることが可能な離水しにくい粥を作製するために 5 種類の増粘剤(トロミパーフェクト、ソフティア、つるりんこ、とろみ名人、スルーキング)を用いて違いを検討した。方法として被験者である健康成人女性 92 名により各飯の「味」、「香り」、「見た目」、「総合」における官能試験を 5 点満点で評価し、物性を硬さ・粘り計(サタケ製)にて「弾力性」、「硬さ」、「粘り」、「バランス」について評価した。結果、無洗米の炊飯の際に用いる水は純水が最も高い評価であり、熱湯で炊飯することで、加水する時間なしで十分に評価の高い飯が炊き上がることが分かった。また離水しにくい粥も同様に熱湯を用いて加水する時間なしで炊き上げ可能であった。増粘剤を用いることで時間が経っても離水せず、軟らかい粥ができるため、嚥下食・介護食に適していることが分かった。
著者
原田 陽子 山本 晴彦 岩谷 潔 金子 奈々恵
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.97, no.8, pp.436-441, 2013-08-01
参考文献数
12

In agriculture, particularly wet rice cultivation, light pollution caused by exterior illumination at night interferes with dark periods and results in delayed flowering (heading). However, we found that by selecting the wavelength of light sources to which rice is exposed and controlling the luminescence, it is possible to bring the time of heading closer to that of a control plot (total darkness). In this study, visibility of artificial illumination using mixed LED (blue, green, yellow-green) was evaluated by comparing it with green LED and white LED illumination. We evaluated five items in this experiment: pedestrian behavior, facial recognition, color recognition, peripheral visual field, and impression. We found that the evaluation for ‘color recognition’ and ‘impression’ were lower for mixed LED than for white LED illumination. Therefore, it is suggested that mixed LED illumination needs to improve in these items.
著者
重田 公子 笹田 陽子 鈴木 和春 樫村 修生
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.164-171, 2007 (Released:2007-11-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

近年の若年女性においては, Body Mass Index (BMI) を基準とする体型区分ではやせおよび正常でありながら, 特有の体重調節意識を持つ者が増加している。本研究では, 若年女性の痩身志向が心身に与える影響について, 食行動と疲労自覚症状をもとに明らかにすることを目的とした。  1) BMIを基準とする体型区分によるやせ, 正常, 肥満の割合は, 順に17.5%, 75.4%, 7.1%であったが, 痩身志向がある者は全体の87.9%に達した。特に痩身志向がある者の中で, BMIが「やせ」と「正常」の者の割合は92.2%であった。  2) 痩身志向のある者は, 60.3%が自分の体型を「太っている」とイメージし, 60.9%がダイエットをしたことがあり, 痩身志向の有無の間には, それぞれ有意差が認められた。  3) 自棄食い経験は, 痩身志向がない者 (38.0%) に比較して, ある者 (53.6%) が有意に高い割合を示した。  4) 疲労愁訴率合計は, 痩身志向がない者 (19.7%) に比較して, ある者 (25.9%) で有意に高かった。疲労自覚症状I群の「ねむい」, 「足もとがたよりない」では, 痩身志向のない者に比較して, ある者が有意に高い割合を示した。
著者
Pournelle Jerry 林田 陽子
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.267, pp.112-117, 2005-08

Mac OS X 10.4 Tigerをインストールしたところである。OS X 10.4(まもなく10.4.1にアップグレードする)は素晴らしい。まさに「グレート!」だ。米Microsoft社がLonghornに搭載すると約束している機能を,ほぼすべて備えている。しかしTigerは今ここにあり,ちゃんと動く。このOSのあらゆるものに興奮させられる。
著者
神田 陽治 平岩 真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1855-1864, 1995-08-15
参考文献数
9

「場面に応じた音声情報空間」は、作業者の行動領域を分割した部分空間の集まりであり、各部分空間にはそれぞれ作業が割り当てられ、それぞれの作業の遂行に必要とされる音声情報が流される。場面に応じた音声情報空間は、共同作業用のアプリケーションの構築に生かせる次のような特徴を持っている。一人の作業者が音声情報空間を移動すれば、次々と異なる音声情報を聞くことになる。複数の作業者が同一の音声情報空間に入れば、同じ音声情報を聞くことになる。我々は、この特徴を生かす応用例として、議事録を会議の発言に遅れずに作成できる、議事録作成ツールを試作した。本議事録作成ツールでは、重要な発言はいったんボイスメモとして記録される。ついでボイスメモは、議事録作成者によりテキストメモに起こされ、議論の流れが議事録として、進行中の議論を追う形でまとめられる。ボイスメモの内容が明確である場合、ボイスメモは議事録作成者のみに聞こえれば十分である。しかしそうでない場合、ボイスメモの内容を全員が聞いて、内容を明確にする必要がある。本議事録作成ツールは、複数個の場面に応じた音声情報空間をうまく使い分けることにより、どちらの再生要求にも応じられる。試用結果を通じ、場面に応じた音声情報空間の助けにより、議事録作成者が会議の調整役として貢献できる可能性が示された。
著者
山田 陽子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.380-395, 2002-12-31 (Released:2010-04-23)
参考文献数
36
被引用文献数
1

本論の目的は, 「社会の心理学化」 (P. L. Berger) をE.デュルケム以来の「人格崇拝」の再構成から位置付けることである.心理学的知識が普及した社会では, 「心」に多大な関心が払われる.その侵犯を回避すべく慎重な配慮がなされ, 「心」は聖なるものとして遇される.「心」が重要だと語りかける一方で, それを操作対象とする「心」をめぐる知の普及はいかに解釈されうるか.ここではデュルケムの「人格崇拝」論にE.ゴフマンの儀礼論, A.ホックシールドの感情マネジメント論を接続し, それぞれに通底する「人格崇拝」論の構造と異同を明らかにすることによって解答を試みる.デュルケムは「人格崇拝」概念において, 近代社会では個人の人格に「神聖の観念」が宿ると指摘した.ゴフマンはそれを継承して儀礼的行為論を展開し, 世俗化の進行する大衆社会において唯一個人が「神」である様子を詳細に記述・分析した.デュルケムの宗教論とゴフマンの儀礼的行為論の影響が認められるホックシールドの感情マネジメント論では, 人格や「カオ」に加えて「心」に宗教的配慮が払われることが示唆されている.ホックシールドを「人格崇拝」論から読む試みを通じ, デュルケムやゴフマンの現代的意義を再評価しつつ, 心理学的知識の普及に関する新たな分析視角の導出と理論的枠組みの構築をめざす.
著者
吾妻 崇 太田 陽子 小林 真弓 金 幸隆
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.365-379, 1996-05
参考文献数
12
被引用文献数
1

The Nojima earthquake fault appeared along the recognized active fault in the northwestern part of Awaji Island in association with the 1995 Hyogoken-Nanbu Earthquake. This earthquake fault is dominated by right-lateral offset (max. 1.7m), with a high-angle reverse fault which has a maximum verlical displacement of 1.3m uplift on the southeastern side. We have repeated the measurement of seven profiles of the fault scarp at two areas (Hirabayashi, Ogura). The fault scarp of the Hirabayashi area (profiles 1-4) is composed of the Plio-Pleistocene Osaka Group at the base and is overlain by an unconsolidated gravel bed at the top. The Ogura area (profiles 5-7) is entirely underlain by the Plio-Pleistocene Osaka Group. The fault scarp in these two areas is characterized by an overhanging slope due to thrusting of the upthrown side. Scarp retreat at Hirabayashi occurred in association with the sudden collapse of the gravel bed and proceeded more quickly than at Ogura, where fault scarp retreat proceeded by exfoliation of the fault plane as well as partial collapse of the Osaka Group. These facts strongly indicate that the lithological control is most significant for the formation of original fault scarp as well as retreat. The retreat of fault scarp was very slow after March to June at Hirabayashi and June to July at Ogura, and proceeded more quickly than some of seismically generated normal faults.