著者
恒岡 弥生 富田 幸一朗 高橋 勉 篠田 陽 藤原 泰之
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】メタロチオネイン(MT)はカドミウム(Cd)や亜鉛などの重金属の曝露により肝臓をはじめとする様々な組織で誘導合成されることが知られているが、血管周囲脂肪組織(PVAT)におけるMT誘導合成に関する知見はない。そこで今回、PVATのMT発現誘導に対するCdの影響を検討し、PVATのMT発現誘導における基礎的知見を得ることを目的とした。【方法】8週齢雄性C57BL/6JマウスにCd(1 mg/kg)を腹腔内投与し、3時間後に肝臓およびPVAT付き胸部大動脈を摘出した。さらに胸部大動脈は内膜画分、中膜と外膜画分、PVAT画分の3つの画分に分けた後、それぞれの組織からトータルRNAを抽出し、各遺伝子のmRNA量をリアルタイムRT-PCR法により測定した。【結果・考察】Cd投与3時間後の肝臓におけるMt1 および Mt2 mRNA量は、対照群に比べて約10倍と5倍にそれぞれ有意に増加した。このとき、胸部大動脈から分画した内膜画分ではMt1および Mt2 mRNA量が対照群と比較してそれぞれ約15倍と8倍、中膜と外膜画分ではMt1 mRNA量が約5倍、さらにPVAT画分ではMt1および Mt2 mRNA量がそれぞれ約5倍と4倍に有意に増加していた。以上の結果から、Cdは肝臓と同様に胸部大動脈の内膜組織並びに中膜と外膜組織、加えてPVATにおいても曝露後速やかにMTの発現を誘導することが明らかとなった。MTは有害金属の解毒作用や活性酸素種の消去作用などを示す生体防御因子の一つであることから、PVATをはじめとする血管組織でのMT合成誘導は、Cdによる血管毒性発現の防御に寄与している可能性が考えられる。
著者
柴田 陽三 藤永 隆志
出版者
The Japan Institute of Marine Engineering
雑誌
マリンエンジニアリング (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.647-653, 2002-09-01 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9

The lack of power source capacity is one of the most fatal problems for the AUV spotlighted as a means of underwater survey and observation of the next generation, to be attacked for its practical use. To be free from such a problem, some long-term-cruising-AUVs employ with a large capacity power source like a closed cycle diesel engine or a fuel cell. On the other hand, if underwater recharging system for conventional batteries is developed, that will help us make the AUVs more practical without increasing its size, weight and cost. And such a new method of the AUV can be expected that the AUV is operated in combination with underwater bases or large submersibles.Now, we have carried out to develop such an AUV, called“MARINEBIRD”, that is capable of docking in an underwater station and recharging the battery. This kind of technologies have already been underwatertested in the U.S.A. and European countries, but our newly developed AUV is based on our original mechanism for docking, different from such ones.The MARINEBIRD succeeded the docking test in the dock trial, and demonstrated the excellence of its autonomous docking capability.The MARINEBIRD has the big advantage of charging batteries and receiving data at the underwater base without recovery by the surface support ship or such purposes as required in combination with a larger submersible, that will contribute to increase efficiency in underwater survey.
著者
樋口 隆弘 湯浅 龍 石田 陽彦
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.21-25, 2019-03

私たちは、発達障害児のレジリエンスの向上を目指したキャンプを実施し、レジリエンスの構成要素である社会性などを下位尺度に含む、The Strengths and Difficulties Questionnaire (SDQ) を用いて、キャンプ前後の子どものレジリエンスの変化を、子ども自身、保護者、観察者がそれぞれ評定した。その結果、向社会性得点の平均値は、子ども自身、保護者、観察者それぞれの評定で変化は見られなかったが、保護者と観察者から見た子どもの困難さ得点の平均値が有意に低下した。ただし、三者間において、子どもの困難さと向社会性得点の平均値に差が見られた。困難さにおいては、保護者と観察者を比較して、保護者は子どもの困難さを強く捉えていた。向社会性においては、保護者と観察者の他者評価と比較して、子ども自身の自己評価が高かった。つまり、子ども自身は、他人の気持ちを考えて行動しているつもりでも、実際はそのような行動を取れていない場合があるなど、発達障害特性の一面が出ていると考える。子どもの困難さや向社会性を多角的に評価し、三者間の評定の違いを明らかにすることで、その後の子どもや保護者への支援に活かすことができる可能性が示唆された。
著者
兼子 明日華 北野 彩佳 坂田 陽子
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.95-96, 2019

<p> 本研究の目的は,タブレット画面に表示される教材(絵本)のページ数の違いが,幼児の文章理解に影響を及ぼすか検討することであった。画面に1画面だけ提示する「1ページ条件」と紙の本のように見開きで2ページ提示する「2ページ条件」を設けた。保育園の年少群(3-4歳),年長群(5-6歳)を対象にタブレットPCを用いて絵本の読み聞かせを行い,その後絵本の内容に関するエピソード記憶課題を行った。その結果,年少群においては提示ページ数の違いによる記憶成績の差はなかったが,年長群において1ページ条件のほうが2ページ条件よりも成績が有意に高いことが分かった。年齢群間の差は,選択的注意能力の発達から考察された。</p>
著者
久野 純治 坂田 清美 丹野 高三 坪田(宇津木) 恵 田鎖 愛理 下田 陽樹 高梨 信之 佐々木 亮平 小林 誠一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.255-266, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
50

目的 大規模自然災害後の被災地では生活不活発病が問題とされ,それに伴う転倒予防の必要性が高まっている。本研究では東日本大震災後の被災高齢者の新規転倒要因を明らかにすることを目的とした。方法 2011年度に岩手県沿岸部で実施された大規模コホート研究(RIAS Study)に参加した65歳以上の高齢者のうち,転倒や要介護認定,脳卒中・心疾患・悪性新生物の既往がなく,2012~2016年度までの調査に毎年参加した1,380人を対象とした。本研究では毎年の質問紙調査で一度でも転倒したと回答した者を新規転倒ありとした。新規転倒要因には,2011年度実施した自己記入式質問票,身体計測,および,握力検査から,自宅被害状況,転倒不安,関節痛,認知機能,心理的苦痛,不眠,外出頻度,既往歴(高血圧,脂質異常症,糖尿病)の有無,飲酒状況,喫煙状況,肥満度,握力を評価した。新規転倒の調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を,年齢と居住地域を調整した多変数ロジスティック回帰分析を用いて算出した。その後,前期高齢者と後期高齢者に層化し,同様の解析を行った。結果 5年間の追跡期間中,参加者の35.5%(男性31.9%,女性37.9%)が新規転倒を経験した。新規転倒と有意に関連した要因は,男性では認知機能低下疑い(OR[95% CI]:1.50[1.01-2.22]),女性では認知機能低下疑い(1.82[1.34-2.47]),不眠(1.41[1.02-1.94]),脂質異常症の既往(1.58[1.11-2.25]),過去喫煙(4.30[1.08-17.14])であった。年齢層では,後期高齢女性で自宅半壊(7.93[1.85-33.91]),心理的苦痛(2.83[1.09-7.37])が有意に関連した。結論 男女ともに認知機能低下,女性では不眠,脂質異常症の既往,過去喫煙が新規転倒要因であった。後期高齢女性では自宅半壊と心理的苦痛が新規転倒要因となった。大規模自然災害後の転倒予防対策では従来指摘されている転倒要因に加えて,環境やメンタル面の変化にも注意する必要があることが示唆された。
著者
杉本 勝正 松井 宣夫 種田 陽一 大藪 直子 藤森 修
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本リウマチ・関節外科学会雑誌 (ISSN:02873214)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.71-76, 1992-06-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
6
被引用文献数
3

Twenty-six coracohumeral ligaments (C-H hg) were studied by histochemical methods in order to investigate collagen structures and distribution of the nerves. The collagen structure of the C-H hg was different from that of the shoulder capsule in that tere was mainly Type III collagen in it. On the other hand, both Type I and III collagen were in the capsule of the shoulder joints. Regarding the distribution of the nerves, there were a lot of different types. Some C-H hg had many nerves and some had few nerves. Histologically the C-H hg was loose connective tissue which was connected with the periosteum of the coracoid process. We think such a characteristic of the C-H hg may be associated with the cause of frozen shoulder.
著者
吉田 陽 今泉 洋 佐藤 貴之 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.121-128, 2009 (Released:2009-04-28)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

トリチウム(3H又はT)が生態系に及ぼす影響を定量評価するために,三つのアミノ酸(L-チロシン,L-フェニルアラニン,L-2-フェニルグリシン)とHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気反応の形で観測した。得られたデータにA"-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数(k)を求め,相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)各アミノ酸の官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)T-for-H交換反応において,本研究で用いたアミノ酸の官能基の反応性は,L-チロシン<L-フェニルアラニン<L-2-フェニルグリシンの順であることがわかった。(3)L-チロシンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基<OH基<NH2基であり,OH基の反応性はNH2の反応性の約3.8倍であり,更にCOOH基の反応性はNH2基のそれの約2.0倍である。(4)NH2基の反応性に及ぼす置換基の影響はCOOH基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(5)A"-McKayプロット法を使うことで,マスク剤等を使わないで,Tが物質に取り込まれる挙動を非破壊的,実態的,定量的に解析することが可能である。(6)本研究で得られた結果は,T汚染の防止やTの挙動を明らかにする上で利用できると思われる。
著者
桝本 妙子 山田 陽介 山田 実 中谷 友樹 三宅 基子 渡邊 裕也 吉田 司 横山 慶一 山縣 恵美 伊達 平和 南里 妃名子 小松 光代 吉中 康子 藤原 佳典 岡山 寧子 木村 みさか
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.390-401, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
43
被引用文献数
6

目的 地域在住自立高齢者の転倒リスクとその関連要因および性差を検討した。方法 京都府亀岡市の65歳以上の全高齢者の中で要介護 3 以上を除く18,231人に対して2011年 7~8 月に行った自記式留め置き式質問紙調査への回答者13,159人のうち(回収率72.2%),要支援・要介護認定者を除く「自立高齢者」12,054人について分析した。調査票は個別に配布し郵送で回収した。調査内容には,基本属性,鳥羽らによる転倒リスク簡易評価指標 5 項目,日常生活圏域ニーズ調査基本チェックリスト25項目,老研式活動能力指標13項目を用い,高齢者の諸機能や生活機能の低下の有無を示す 9 つの指標(①運動機能,②低栄養,③口腔機能,④閉じこもり,⑤物忘れ,⑥うつ傾向,⑦ IADL,⑧知的能動性,⑨社会的役割)で調査した。分析は,性,年齢別の転倒リスクとその関連要因および性差をカイ二乗検定とロジスティック回帰分析により把握し,9 つの評価指標を独立変数,年齢と教育年数を共変量,転倒リスクを従属変数とするロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行って各要因による転倒リスクへの独立した影響を性別ごとに分析した。結果 本調査回答者の過去 1 年間の転倒率は20.8%で,転倒リスク高群は26.6%であった。転倒リスクは,男女とも加齢とともに高くなり,女性はすべての年齢層において男性よりも高かった。また,男女とも,すべての評価指標と転倒リスクとの関連がみられ,それぞれの要因を調整した結果では,男性は運動機能,低栄養,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に,女性は運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった。性差では,低栄養,口腔機能は男性の方に,IADL,知的能動性は女性の方に転倒リスクとの関連が強かった。結論 地域在住自立高齢者の 5 人に 1 人は過去 1 年間に転倒を経験し,4 人に 1 人は転倒リスクを有していた。転倒リスクと 9 つすべての評価指標との間に有意な関連がみられ,とくに男女とも運動機能低下が最も大きかった。また,転倒リスクに影響する要因に性差がみられ,性別を考慮した支援策が必要と示唆された。
著者
柴田 陽介 岡田 栄作 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.180-185, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
15

目的 本邦ではロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防としてロコモーショントレーニング(ロコトレ)が注目されてる。ロコトレの効果を検証した報告は,虚弱な高齢者を対象にした研究が多く,健康な者が多い地域在住高齢者を対象にした報告は少ない。そこで本研究の目的は,地域在住高齢者を対象に行われたロコトレの効果を報告することとした。方法 浜松市ではサロンの場でロコトレ事業(サロン型ロコトレ事業)を行っている。この事業は,一人以上のサロンメンバーがロコトレの講習会を受け,その者が各サロンの場で他のメンバーにロコトレを指導する形式の事業である。定期的な評価として,ロコトレ開始前と3か月ごとにロコモ5を用いてロコモの度合いを評価している。ロコモ5とは0~20点のスコア化ができる自記式調査票であり,高得点なほどロコモの重症度が高く,6点以上ではロコモ陽性と判定される。本研究では,2017年度に初めてサロン型ロコトレ事業に参加した地域在住高齢者2,855人のうち,欠損データがない者1,211人を解析対象とした。解析は,ロコトレ開始前の状態によってロコモ群(ロコモ5の得点:6点以上)と非ロコモ群(5点以下)に分類し,開始前,3か月後と6か月後のロコモ5の得点およびロコモ陽性者の割合を算出した。活動内容 対象者の平均年齢は77.5歳,男性は301人(24.9%),ロコモ群は237人(19.6%)であった。ロコモ5の平均得点±標準偏差は,非ロコモ群では開始前1.39±1.67点,3か月後1.62±2.35点,6か月後1.59±2.26点,ロコモ群では開始前9.47±3.50点,3か月後8.35±4.82点,6か月後8.22±4.66点であった。ロコモ陽性者の割合は,非ロコモ群では3か月後54人(5.5%),6か月後57人(5.9%),ロコモ群では3か月後165人(69.6%),6か月後167人(70.5%)であった。サロン型ロコトレ事業の特徴としては,多くのロコモ陽性者をリクルートできたこと,ロコトレ事業の運営側の労力が少なかったことが挙げられた。結論 ロコモだった者は3か月でロコモ5の得点が低下し,ロコモ陽性者の割合も減少したが,6か月後は横ばい傾向であった。一方でロコモでなかった者は,良い状態が維持されていた。
著者
吉村 美紀 加藤 陽二 新田 陽子 横山 真弓
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
5 1

野生シカ肉の有効活用を目的として,オスジカ,メスジカの肉重量および栄養成分の差異について検討した。試料は,兵庫県丹波地域において2010年9月,11月,12月に捕獲したニホンジカを使用した。オスジカの平均体重は46.4 kg,肉重量は16.7 kg,歩留率は35.6%,栄養成分は100 gあたりタンパク質21.2 g,脂質0.4 gを示した。メスジカの平均体重は36.3 kg,肉重量は13.1 kg,歩留率は35.7%,タンパク質20.5 g,脂質0.7 gを示した。メスジカは,オスジカより小さいが,肉の歩留率は同等で,脂質量は増加傾向にあった。オスジカ,メスジカとも捕獲月による肉重量および栄養成分値の差異は小さかった。肉の部位別では,オスジカ,メスジカともモモとスネの重量割合が高く,肉の部位間での栄養的特徴の違いは小さかった。
著者
志田 陽子
出版者
法律文化社
巻号頁・発行日
2006-02

制度:新 ; 文部省報告番号:乙2074号 ; 学位の種類:博士(法学) ; 授与年月日:2007-02-07 ; 早大学位記番号:新4439 概要書あり
著者
森田 陽子 福内 靖男 厚東 篤生 鈴木 則宏 五十棲 一男 後藤 淳 清水 利彦 高尾 昌樹 青山 正洋
出版者
The Keio Journal of Medicine
雑誌
The Keio Journal of Medicine (ISSN:00229717)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.120-127, 1997 (Released:2009-03-27)
参考文献数
25
被引用文献数
10 15

We investigated rapid changes in pial arterial diameter and in cerebral blood flow (CBF) caused by transient ipsilateral common carotid artery occlusion (CCA-O) in anesthetized rats in order to elucidate how the cerebral circulation reacts to acute stem artery occlusion. In separate groups of rats, pial arterial diameter was recorded through a dosed cranial window and CBF was recorded by laser-Doppler flowmetry. CCA-O was performed for 5 minutes under normotension and normocapnia (control) and under graded hypotension, hypercapnia and hypocapnia. In the control condition, pial arterial diameter increased rapidly, triggered by CCA-O. It took 12±3 s to reach the maximum of 204±42% of the value before CCA-O, and 60±24 s to become stable at 131±11%. CBF decreased rapidly to 66±11%, then increased reactively to 135±9%, and again decreased to 91±3%. The reactive increase in CBF caused by CCA-O decreased in parallel with the degree of hypotension, and also became barely detectable under hypercapnia. Our data suggest that active vascular dilation in the territory of the occluded artery is important for inducing collateral circulation.
著者
上田 哲行 架谷 成美 西屋 馨 宮川 泰平 嶋田 敬介 福富 宏和 水田 陽斗 酒井 亮輝
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-10, 2019-03

絶滅危惧種イカリモンハンミョウは、日本では九州と本州だけに分布する。本州では能登半島の1カ所の海岸にのみ生息する。能登半島では一時絶滅したと考えられていたが、1994 年に現生息地の海岸で再発見された。2012 年から2018 年に行った成虫調査では、再発見当初1800 頭近い個体数が記録されていた海岸北部で最初の3年間はほとんど発見されない状態が続き、その後、緩やかに増え始め2018 年に急増したことが確認された。海岸南部と中央部では、最初の2年間は発見当初とほぼ同じ個体数が維持されており、2014 年から急速に増えたことが確認された。このように能登半島の個体群は、ここ数年は増加傾向にあるが、2010 年前後の著しい個体数低下がボトルネックとなり、遺伝的多様性が低下していることが示唆されている。
著者
横田 陽匡
出版者
日本大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

糖尿病網膜症(以下、網膜症)は糖尿病患者の増加と相まって、我が国の中途失明の主因になっています。網膜症を予防するためには血糖コントロールが重要であることは言うまでもありません。しかし血糖コントロールを良好に維持することは容易なことではなく、網膜症の予防に対してその効果にも限界があります。我々はレニンの前駆体であるプロレニンと網膜症の関連性を明らかにしました。そこでプロレニンを標的として網膜症に対するワクチンを作成することに成功しました。実際に糖尿病マウスに接種したところ、網膜神経機能が保護されインスリン感受性も改善していたことから、網膜症のみならず他の糖尿病合併症に対しても効果が期待されます。
著者
大村 明雄 太田 陽子
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.313-327, 1992-12-30 (Released:2009-08-21)
参考文献数
34
被引用文献数
8 4

琉球列島の喜界島・波照間島・与那国島および大東諸島の南・北両大東島に発達する更新世サンゴ礁段丘の地形層序と段丘構成物の生相および岩相解析, さらにサンゴ化石のウラン系列 (α-spectrometric 230Th/234U) 年代測定結果を総括した. それによって, 各島々で後期更新世における高海水準期 (酸素同位体ステージ7, ステージ5およびステージ3) の汀線を認定し, それらの現在の高度と Chappell and Shackleton (1986) による古海面変化との比較から, 例えば島の誕生時期・その後の隆起量および速度・傾動の方向などを含めた地殻変動史の点で, 5島それぞれが極めて個性的なことが明確になった.
著者
吉川 虎雄 太田 陽子 米倉 伸之 岡田 篤正 磯 望
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.238-262, 1980
被引用文献数
44

ケルマデック諸島南端部に近いニュージーランド北島プレンティ湾南東岸地域の海成段丘は,上位からマタカオア・オタマロア・テパパ・テアラロアの4段丘に分類される.これらの各段丘は,いずれも海進を示す地形と堆積物とを伴い, 4回の高海面期の存在を示す.段丘をおおうテフラの細分とそれらのフィッション=トラック年代,段丘堆積物の14C年代から,段丘の形成期は,上位のものからそれぞれ約22~23万年前,約12~13万年前,約8~10万年前,約4,000~5,000年前と推定される.<br> 各段丘面の高度分布から,この地域では, (1) 南東から北西への傾動と, (2) 北縁部における北への著しい擁曲とが認められる. (1) は,明瞭な二つのヒンジによって, (1a) 南東部の急な傾動, (1b) 中央部のゆるやかな傾動,および (1c) 北西部の沈降とに分かれる. (1b), (1c) および (2) は,この地域の山地の成長を示すが, (1a)は山地地形とは調和しない.段丘面は古いものほど同じ様式でより著しく変位しているので,第四紀後期には各地域ごとに同じ様式の地殻変動が継続したことを示す. (1a)の隆起や傾動の規模および速さは,ニュージーランドでは最大級の値であり,環太平洋地域の他の島弧一海溝系におけるそれらに匹敵する.このことと,この地域の海溝に対する位置関係から, (1a)はケルマデック海溝内縁に発生する大地震に伴う地殻変動によるものと考えられる.
著者
小幡 翔 端山 昌樹 前田 陽平 武田 和也 津田 武 横井 慶 猪原 秀典
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.616-622, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
11

骨蝋は骨面からの出血に対する止血素材としてよく用いられているが,稀ではあるものの慢性炎症や骨治癒阻害などの合併症も見られることがある。今回,開頭術後,十数年の経過を経て前頭洞炎を発症したと思われる2例を経験した。両症例ともに病変はCTでは軟部陰影の中に低吸収域で,またMRIではT1強調画像,T2強調画像いずれも無信号ないし低信号で描出され,副鼻腔内病変として非典型的な所見を呈していた。一例は手術記録が不詳であったため骨蝋の同定は困難であったが,一例では骨蝋の使用についての記載が認められた。いずれに対しても診断,および症状改善のために手術を行った。一例は前頭洞手術(Draf type III)を施行し,病変部より排膿を認め,内部には骨蝋を疑う黄白色の異物残留を認めた。残る一例はDraf 2bで前頭洞を開放したところ,膿貯留を認めず,骨蝋残留を認めた。いずれの症例でも術後は再発なく,良好な経過をたどった。過去の報告によれば,骨蝋は骨治癒阻害と細菌クリアランス低下により,十数年に渡って慢性炎症が遷延するとされる。そのため,開頭術後など骨蝋使用の経過があるか予想される症例では,異物性の炎症や膿瘍形成を鑑別にあげ,症状によっては手術による骨蝋除去を行う必要がある。