著者
田中 結香
出版者
日本福祉大学大学院
雑誌
日本福祉大学大学院福祉社会開発研究 = The Study of Social Well-Being and Development, Nihon Fukushi University Graduate schools (ISSN:21874417)
巻号頁・発行日
no.14, pp.25-34, 2019-03-20

【目的】 医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)には,医療現場に勤務する福祉専門職として多職種連携強化のための重要な役割が求められている.医療環境の変化に対応する中で,様々な業務上の不安を抱え仕事を続けている.本研究は,MSW支援のあり方を検討する基礎資料として, メンタリングとスーパービジョンに焦点を当てて,MSW自身の業務不安解消に向けた精神的支援に関するMSWの認識を明らかにし,その対応方法を検討することを目的とした.【方法】 MSWが在籍するA県内の病院のうち6病院を無作為に選び,そこに勤務するMSW6人を対象とした。経験年数を考慮し3人1組とした2グループに分け,フォーカス・グループ・インタビューを実施した.【結果】 自己研鑽のための研修の機会や,いつでも相談できる職場環境が必要であり,スーパービジョンに対する期待も高かった.しかし,スーパーバイザーへ相談するには精神的なハードルが高く,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係性に課題があることも明らかとなった.【結論】 MSWの業務不安はスーパービジョンにより対応することを前提に、メンタリングによる補完が重要である。特に、MSWの精神的支援には,気軽に相談できるメンターの存在も重要であることが明らかとなった.職場にMSW複数人配置するなど働きやすい職場環境を構築するとともに,自身のメンターを見つけ出し,メンタリングを受けられる体制整備も重要と考えられた.
著者
田中 謙二
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.270-289, 1954-11-20

In the "Yang-ch'un Po-hsueh" (陽春白雪), which is a collection of san-ch'u (散曲), a kind of popular songs of the Yuan dynasty, we find two long pieces composed by Liu Chih, which vividly depicts some aspects of the social unrest of his time. The author of the present article analyses the first of the two to date, and gives some biographical notes of Liu Chih.
著者
河原 豊 栗原 夏実 大野 岳輝 渡部 邦彦 田中 俊一 山本 真揮 脇坂 博之
出版者
一般社団法人 繊維学会
雑誌
Journal of Fiber Science and Technology (ISSN:21897654)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.114-120, 2022 (Released:2022-07-22)
参考文献数
17

The waste chicken feathers were treated with the enzymes (dissociating disulfide bonds) produced by thermophilic Meiothermus ruber H328, and then the treated feathers were milled and subjected to the hot-press compression molding. It was found that the recrystallization of the feather keratin was interfered with to some extent due to the lack of S-S bonds. On the other hand, the slight reinforcement of the feather resin with the wood fibers was effective to enhance the tensile behavior and the thermal stability of the feather resin.
著者
田中 千晴 佐々木 彩乃 笹山 哲央 小谷 弘哉 藤澤 英二 近藤 和夫 西野 実
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.47-51, 2021-05-31 (Released:2021-09-01)
参考文献数
12

三重県のゴマ圃場で多発するミナミアオカメムシNezara viridula(Linnaeus)の加害が収量および油脂の成分品質に及ぼす影響を調査した。登熟期間を通して成幼虫10頭/株を加害させたところ,精子実重は顕著に低下し,しぼんだ形状の未熟粒が多数発生した。また,精子実重および粒数の減少は登熟後期よりも登熟初期の加害において顕著であった。精子実の油脂の酸価は登熟後期よりも登熟中期に加害された場合に上昇した。無農薬栽培圃場では開花直後から成幼虫が発生し,開花5週目に成幼虫数は最多となった。
著者
田中 政彦 小俣 浩 鈴木 輝彦 大野 修嗣 土肥 豊
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.351-357, 1994-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

MCTD症例における人参養栄湯の有用性について, 特にレイノー現象 (レ現象) を中心に検討を加えた。対象はMCTD 19例, 男女比2:17, 平均年齢38歳, 平均罹病期間57.6ヵ月である。方法は人参養栄湯エキス顆粒 (医療用) 9.0gを3分服とし, 4週間の連続投与とした。試験期間はレ現象が多発する11月1日より翌年の3月30日までとした。投与前後において, レ現象を含む臨床症状, 種々の検査データを比較検討し, またサーモビュアーを用いて投与前後の皮膚温も測定した。比較検討のため関心領域を設定し, その平均値を統計処理した。レ現象改善率は, やや改善以上が74%で, 悪化例は認めなかった。サーモグラフィーでは, ほぼ全関心領域において皮膚温は上昇傾向で, 特に左第I指関心領域では有意な皮膚温の上昇が認められた (P<0.05)。
著者
乳井 美樹 田中 一正
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.427-431, 2001-03-31 (Released:2018-08-07)
参考文献数
17

慢性閉塞性肺疾患患者の航空機内労作における経皮的酸素飽和度(SAT)測定を経験した.日常生活においてはSATは96%を保持し,運動負荷でもSATの低下を認めず日頃ゴルフを楽しんでいる患者であるが,航空機内ではSAT 85%前後,機内移動時のSATは75%と著しい低酸素血症を示した.以上より慢性閉塞性肺疾患患者の航空機での移動には危険性を伴うことが確認された.
著者
藤本 繁夫 田中 繁宏
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.453-459, 1998-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1
著者
浦野 貴裕 金子 俊一 高氏 秀則 田中 孝之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.417-425, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

方向符号差分ヒストグラム(OCDH)に基づき回転不変かつ計算コストの低いロバストな画像照合法を提案する.画素近傍の明度変化の勾配から得られる方向符号は,ハイライトや陰影などの明度変動対して強いロバスト性を有する.画像上の2点から得られる方向符号の差分は,回転不変特徴を持ち,本手法では,そのヒストグラム(OCDH)を照合に利用する.高速な回転不変照合実現のため,照合の候補位置をOCDHにより推定し,推定された候補位置に対して画像間の回転角度推定,ならびに方向符号を用いた確認処理を行う.
著者
麦谷 達郎 谷口 弘穀 高田 敦 増山 守 田中 宏樹 小山 拡史 保島 匡和 高橋 俊雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1295-1301, 1996-06-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
21

肝切除術71例を対象に自己血輸血法の有用性を検討した.貯血式自己血輸血を44例に施行した.術前貯血量は, rh-エリスロポェチン併用群で550g(平均値)とrh-エリスロポエチン非併用群より有意(p<0.05)に多く,採血後のHct値の低下はrh-エリスロポエチン非併用群と同程度に留まった.術中輸血法に関しrh-エリスロポエチン非併用自己血, rh-エリスロポエチン併用自己血,同種血,無輸血に分類し,術後の変化を検討した.術後Hct値は,同種輸血群で回復遅延を認め,第14病日に29.4%と他の3群より低値であった.術後総ビリルビン値,血中肝逸脱酵素は,同種輸血群で第1病日に他の3群に比し有意な上昇を認めた.自己血輸血の2群は無輸血群と同様の経過を示し,総ビリルビン値の上昇も1.20と軽度で,肝切除術には同種輸血は避け,自己血輪血が望ましいと考えられた.また,術前貧血の無い場合,術前貯血量800g, 術中出血量1,500g以下が同種輸血なしに自己血輪血のみで行える指標になると考えられた.
著者
田中 優 高木 修
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.75-92, 2011-02

The present study examined the effects of self-evaluation, self-acceptance, self-esteem on satisfaction of interpersonal relationship through consciousness of reciprocal interpersonal relationship. Students of a women's university (N=94) answered a questionnaire. Path analysis indicated 1) self-disgust of self-evaluation influences consciousness of compensation through self-acceptance and self-esteem, 2) evaluation apprehension from other of self-evaluation had a direct positive effect on satisfaction level of interpersonal relationship, 3) consciousness of reciprocity of reciprocal interpersonal relationship had a direct negative effect on satisfaction level of interpersonal relationship and 4) self-disgust of self-evaluation had a direct negative effect on satisfaction level of interpersonal relationship. 本研究の目的は、自己評価、自己受容、および自尊心が互恵的対人関係意識を介して対人関係満足に及ぼす影響を明らかにすることである。女子大学の94名の学生を対象に質問紙調査を行い、パス解析の結果、1)自己評価の自己嫌悪が自己受容と自尊心を媒介して返礼意識を規定する間接効果と、2)自己評価の他者評価懸念が返礼意識を規定する正の直接効果が認められた。また、3)互恵的対人関係の互恵意識が対人関係満足度を規定する正の直接効果と、4)自己評価の自己嫌悪が対人関係満足度を規定する負の直接効果が認められた。自己評価は互恵的対人関係意識の返礼意識を規定し、互恵的対人関係の互恵意識は対人関係満足度を規定することが明らかとなった。
著者
大山 和生 田中 利和 神山 翔 和田 大志 野内 隆治 落合 直之
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.192-195, 2018 (Released:2018-09-08)
参考文献数
13

われわれはトリアムシノロンアセトニド腱鞘内注射により生じた長母指屈筋腱断裂の1例を経験し,その病理学的検討を行った.断裂した腱は先細りし,もろく変化していた.組織変化としては腱組織の変性・線維化,腱内部の白色沈殿物とその周囲の肉芽組織,腱内血管の変性ならびに血栓形成などが確認できた.これらは長期的かつ頻回に投与され,正常腱細胞がアポトーシスをきたしたため起こったものと思われた.
著者
林 容市 岡野 亮太 平林 正晴 片山 靖富 沼尾 成晴 松尾 知明 中田 由夫 田中 喜代次
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.197-206, 2008-04-01 (Released:2008-08-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

The aim of this study was to examine a weight reduction program and residual effects, through confirming the relationship between changes in the morphological and psychological indices including personality and self-efficacy (SE) of the participants. Twenty-five middle-aged women were divided into two groups based on type of weight reduction program intervention. Thirteen women participated in a 3-month diet-only weight reduction program (DO group, 53.3±7.4 yr), and 12 women took part in a 3-month diet and aerobic exercise program (DE group, 48.3±9.6 yr). After the programs, the compatibility score of personality in the DO group was negatively correlated to SE that is indicated as confidence in ability to maintain decreased body weight at 2, 3, and 4 years after the program (r=-0.69, -0.58, and -0.60). It can be seen that personality has an effect on the results of the DO group weight reduction program. Additionally, despite a significant decrease in body-weight and %fat in both groups, only the change of %fat significantly correlated with SE. On the basis of these correlations, the changes of %fat that related to the movability perception of body movements has a greater effect on SE after the program than the information only of weight loss. The results of this study suggest that personality and SE accounted for weight maintenance, and were associated with the results of the weight reduction program.
著者
伊藤 幹二 伊藤 操子 田中 聡 三浦 励一 安斎 達雄 Onen Huseyin
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.176-183, 2005-09-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
6 4

土壌処理剤によるワルナスビの制御法を確立する目的で, 以下の実験を行った。畑地におけるワルナスビの発生は, 耕起によって切断された根片繁殖系からの萌芽によることから, まず畑地で汎用される除草剤アトラジン, アラクロール, ブタミホス, クロロプロファム, トリフルラリン, ペンディメタリンからワルナスビ根片萌芽抑制効果のあるものを, 根片浸漬処理によって選抜した結果, クロロプロファムが最も有効であることが分かった。次にトウモロコシ畑 (土壌:壌土)においてクロロプロファムを播種直前に0.46, 0.92および1.37kg a. i./ha土壌混和処理し, 埋土しておいたワルナスビ根片からの出芽・生長に及ぼす効果を調べたところ, 5~10cm深に埋土した根片については, 出芽は阻害されなかったが, 生長は0.46kg a. i/ha処理でも抑制され, 抑制はとくにシュートの生長において顕著であった。20~25cmに埋土した根片では, 逆に出芽は阻害されたがシュートの生長の抑制は小さかった。ワルナスビ根片からの萌芽・生長に対するクロロプロファムの土壌混和処理効果は, 土壌の種類により著しく異なり, 砂壌土>黒ボク土>埴壌土>壌土であった。クロロプロファムは高い揮発性によって土壌中に拡散し, 処理層を形成する特徴をもつことから, 効果の差には土壌の孔隙率が関係していると推察された。
著者
松本 凌 西澤 侑吾 片岡 範行 田中 博美 吉川 英樹 田沼 繁夫 吉原 一紘
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.155-167, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
9 9

XPSスペクトルのバックグラウンド推定の方法は任意性が高く,バックグラウンドの形状によってピークの強度が変わるため定量分析の結果に大きく影響する.特に,最も多用されているiterative Shirley法では,指定されたXPSスペクトルの始点と終点でのデータ点の強度に大きく依存してバックグラウンド形状が変わる.本研究では,この依存性を低減する為,バックグラウンド推定をピークフィッティング中で行う動的Shirley法に着目し,これをCOMPROに組み込んで銅酸化物超伝導体のCu 2pスペクトルやSiO2薄膜のSi 2pスペクトルに対して適用した.その結果,バックグラウンドの端点位置やピークの関数型を変化させてもバックグラウンドの形状やピーク面積について変動の少ない安定した解が得られることが明らかとなった.
著者
田中 佐織 宮治 裕史 井上 加菜 田中 享 谷野 美智恵 加藤 昭人 金山 和泉 西田 絵利香 村上 秀輔 川本 康平 宮田 さほり
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯根破折歯接着治療法の予知性向上を目的として,封鎖材料のレジン表面を改変し培養細胞シートを貼ることでレジン上に歯周組織再生を目指した.レジン表面をカーボンナノチューブ(CNT)とナノβ-TCPでコーティングした.細胞付着試験では,CNTコートした試料に付着した細胞はコントロールと比較すると多く,細胞伸展が良好であった.また細胞増殖性試験でも高い細胞増殖性がみられた。皮下埋植試験では著明な炎症反応は認められず,CNTコートした試料に培養細胞シートを貼った試料周囲に骨様組織形成が認められた.以上よりレジン表面を改変することにによりレジン上に歯周組織再生の可能性が見出された.
著者
田中 瑛津子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.117-130, 2022-06-30 (Released:2022-07-12)
参考文献数
28
被引用文献数
2

理科教育において,学習内容と日常場面における現象との結びつきを認識させ,深い理解や興味を育むことは,重要な課題である。本研究では,中学生を対象とした実験授業において,授業冒頭で日常場面における発展的な問題を達成目標課題として提示し,講義後にその問題にグループで協同的に取り組ませることが,生徒の理解や興味に与える影響について検討した。日常場面の問題を取り扱うことの効果を検証するため,実験場面を題材とした問題を扱う「実験的問題群」と,問題の構造自体は同じだが問題の文脈を日常場面に当てはめた問題を扱う「日常的問題群」の2つの群を設定し,比較した。結果,「日常的問題群」の方が,問題提示後の一時的な興味や,授業後および1ヶ月後における日常関連型興味(理科の学習内容と身近な現象が関連づいていることに基づく興味)が高いことが示された。また,講義後および協同後のテスト正解率には群間差が見られなかったものの,「日常的問題群」においてのみ,協同的問題解決を通じて正解率に有意な伸びが見られた。
著者
寺嶋 正治 加藤 太二 小林 仁和 宮国 泰明 田中 弘之
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.805-817, 1989-06-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
22

Otteosynthesis using Champy's miniplates was performed in 8 patients with mid-face injuries. Since no patients complained of discomfort, we did not remove the miniplates which are thin and light. Miniplate osteosynthesis may be very useful in case of complicated fracture or old fracture of mid-face.