著者
田中 靖人
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.52-70, 2021 (Released:2021-04-30)
参考文献数
8

独占的競争のもとでの世代重複モデルを用いて需要不足による非自発的失業の存在について考えるとともに,財政政策によって完全雇用を実現する可能性を検討する。主な結論は以下の通りである。非自発的失業が存在する状況において財政支出の拡大によって完全雇用を実現するためには財政赤字にして政府債務を作る必要があるが,その後完全雇用を維持するためには均衡財政が求められる。したがって最初の政府債務を返済する必要はない。同様に減税によって完全雇用を実現する場合も,その減税による直接的な消費増加分の財源は政府債務で賄い,それを返済する必要はない。政府債務を返済しないというのは満期のない国債にするか,中央銀行が買い取ることを意味する。
著者
菅原 典子 山村 菜絵子 高橋 安佳里 田澤 星一 久保田 由紀 小澤 恭子 浅田 洋司 田中 佳子 永野 千代子
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.30-36, 2018 (Released:2018-04-15)
参考文献数
15

マイコプラズマ肺炎を疑われ,小児における用法・用量の範囲内のトスフロキサシン(tosufloxacin: TFLX)を内服中に血清クレアチニン(creatinine: Cr)値上昇を来した7 例(4~13 歳)の臨床経過を検討した。4~7 回の内服後に血清Cr 値上昇に気づき,内服中止にて回復傾向を認めた。4 例が急性腎障害の診断基準を満たした。4 例で腹部症状を合併したが,内服中止2 日以内に症状は消失した。1 例は腹痛時にコンピューター断層撮影法での小腸壁の肥厚と磁気共鳴画像での腹水貯留を呈した。既報においても腹部症状を合併する例が多いが,その機序や血清Cr 値上昇との関連は不明である。TFLX による血清Cr 値上昇はcast nephropathy がその成因と想定されており,既報では小児における用法・用量を逸脱した内服が行われていたが,本検討の7 例は規定の範囲内での内服にも関わらず血清Cr 値上昇を来した。今後血清Cr 値上昇や腹部症状の発症機序が明らかとなり,より有効かつ安全にTFLX が使用されることが期待される。
著者
松下 健 田中 誠也 白川 絢日 宮本 聖也 岡田 麻央 辻本 昌史 鈴木 啓介 中島 浩敦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12256, (Released:2022-08-09)
参考文献数
41

【目的】診療記録を用いて肩関節周囲炎における臨床症状および日常生活動作(以下,ADL)や手段的日常生活動作(以下,IADL)の特徴の性差について検討した。【方法】肩関節周囲炎と診断され理学療法を実施した片側罹患例45名(男性17名,女性28名)を対象として,理学療法開始時点での患者背景情報および身体機能検査,画像検査,Shoulder36(以下,Sh36)について解析した。【結果】夜間痛の有無,患側Range of Motion(ROM)の外転,握力,臼蓋上腕角,上腕骨頭径について男女間で有意差を認めた。Sh36においては,36項目中17項目で女性が有意に低値であった。Sh36のドメインでは,健康感を除いた5項目で女性が有意に低値であった。【結論】肩関節周囲炎の日常生活への影響に性差がある可能性が示唆された。肩関節周囲炎に起因するADL・IADL制限に対しては性別を考慮した評価が必要と考える。
著者
田中 優子 犬塚 美輪
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

情報通信技術(ICT)を介して迅速かつ広範囲に伝達される情報は、災害時の情報共有や意思決定に役立つ一方で、デマ拡散ツールとして悪用されれば社会を混乱状態に貶めるリスクもある。誤情報拡散防止のための方法論の確立に向けて、本研究では、誤情報に対する信念がカウンター情報呈示後も維持される誤情報持続効果に着目し、その効果が生じる認知的メカニズムを実証的に明らかにすることを目的とする。
著者
塩見 めぐみ 田中 庸一 尾鳥 勝也
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-060, 2021 (Released:2021-09-15)
参考文献数
15

北里大学メディカルセンターでは,薬学実務実習に関するガイドラインを基に実践的な臨床対応能力が修得できる実習プログラムを考案し,2018年度より実習を開始した.本研究では,2018~2019年度に行った計6回のプログラムについて,教育効果に与えた影響を評価した.教育効果として,薬局および病院実習ともに終了した実習生62名を対象としたパフォーマンス評価の推移,アンケート調査結果を用いた.パフォーマンス評価11項目全てにおいて,評価は段階的に上昇し,11週目では,実習生の80%以上が,9項目で「3」または「4」の評価であった.病棟業務実践で主に評価する項目については,実習生の90%以上が,「3」または「4」の評価であった.アンケートより,各実習項目の満足度が95%以上で得られ,病棟業務については100%であった.今後は,得られた課題についての対策を具体的に検討し,実習生の臨床対応能力の向上に資するプログラムを構築していきたい.
著者
田中 喜代次 吉村 隆喜
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.285-288, 2020-06-01 (Released:2020-05-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1
著者
頼 瓊琦 趙 英玉 田中 みなみ 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 47
巻号頁・発行日
pp.148-149, 2000-10-16 (Released:2017-11-08)

This is one of the results of a series study, color image survey in Asian countries. This paper reports study result of vivid, pale and dark tone color image perceived by Asian country students, including Taiwan, Japan, Korea and five cities in china. Results show that there are basic similar feelings toward different tone colors among subjects, nevertheless the Country, such as vivid color is active, pale color is passive and soft yet subtle differences exist too. The researchers assumes the former is the basic mutual color feeling and the later is the cultural influence imposed on subjects.
著者
西原 陽子 田中 祐次 大澤 幸生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.2A31, 2009 (Released:2018-07-30)

我々は信頼関係を築くためのコミュニケーションについて研究を進めている。本発表では白血病の患者家族から医療者に寄せられたメール相談のデータを用いて、患者家族と医療者の間に信頼関係が生まれていく様子を分析し、両者の発言の特徴を調査した結果を報告する。
著者
佐藤 英一 山田 智康 田中 寿宗 神保 至
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.604-609, 2005 (Released:2006-02-24)
参考文献数
11
被引用文献数
26 20

The creep behavior at ambient temperature of typical h.c.p., b.c.c. and f.c.c. metals and alloys of annealed state were surveyed. Cubic metals and alloys demonstrated negligible creep strain under all stress ranges. In contrast, h.c.p. metals and alloys demonstrated significant primary creep behavior. In particular, Ti-6Al-4V alloy and CP-Ti metal showed significant creep behavior and accumulated large creep strain more than 1% in 90 s and 1600 s, respectively under 0.9 of 0.2% proof stress. After being cold-rolled, Ti-6Al-4V alloy and CP-Ti metal showed less significant creep behavior.
著者
松岡 昌子 田中 美加
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.595-605, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
51

目的 患者ケアの質の向上や看護師の心身の健康,離職意思の低下などとの関連が示されているワーク・エンゲイジメントは,組織公平性との関連が示唆されている。そこで本研究においては看護師における主観的な組織公平性とワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにすることを目的とする。方法 首都圏内にある中規模病院に勤務する日本人看護師を対象とし,無記名の自記式質問票を使用したアンケート調査を行った。解析では日本語版ユトレヒト・ワークエンゲイジメント尺度得点(UWES-J)を従属変数,組織公平性尺度得点(OJS-J),年齢,性別,役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感,ソーシャルサポート,仕事のコントロール,仕事の量的負荷を独立変数として,段階的に重回帰分析を行った。さらにOJS-Jの各下位尺度得点についても同様に段階的に重回帰分析を行った。結果 270人に調査票を配布しそのうち有効回答のあった219人(回収率83.0%)を解析対象とした。UWES-Jを従属変数とし,年齢,性別のみ調整したモデル1,加えて役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感得点を調整したモデル2,さらにソーシャルサポート得点,仕事のコントロール得点,仕事の量的負荷得点を調整したモデル3のすべてのモデルにおいてUWES-JとOJS-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.202, P<0.01, R2=0.363)。さらに,OJS-Jの各下位尺度得点について同様の分析を行ったところ,手続き公平性得点とUWES-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.165, P<0.05, R2=0.383)。いずれのモデルにおいても,分配公平性得点と情報公平性得点には有意差を認めなかった。結論 病院に勤務する看護師のワーク・エンゲイジメントと組織公平性との関連を調べた結果,ワーク・エンゲイジメントと組織公平性,とくに手続き公平性との正の関連が認められた。これらより,看護師のワーク・エンゲイジメントを向上させるためには組織公平性の保持と向上が重要であることが示唆された。
著者
田中 保樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 28 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.173-176, 2004-07-30 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

中学校理科学習にコンセプトマップ法によるポートフォリオ評価を導入し、形成的な自己評価についての質的な分析を行った。再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェア「あんどう君」を使用したコンセプトマップ法による形成的な自己評価の有効性を明らかにすることができた。「あんどう君」を使用したコンセプトマップ法による形成的な自己評価は、フィードバック・フィードフォワードを実現し、メタ認知的な自己評価を行うことを可能とすることがわかった。
著者
野口 翔平 田中 貴宏 佐土原 聡
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.20, no.46, pp.1029-1034, 2014-10-20 (Released:2014-10-20)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

The purpose of this study is to investigate the main factors of the air temperature distribution in basin city in summer. Hadano is a basin city located in Kanagawa. At first, authors measured the air temperature of 14 points in Hadano during the summer (July 13 - August 31) in 2011. As a result, the spatial distribution patterns of the maximum and minimum temperature are different from each other. In the analyses, authors picked green coverage, ventilation condition, amount of solar radiation and elevation, as main factors of forming air temperature distributions. As a result, daytime temperature is influenced by the ventilation and nighttime temperature is strongly influenced by green cover.
著者
田中 和男 Kazuo Tanaka
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.1-29, 2011-08-26

高田保馬は青年期から貧困などの社会問題に関心を持っていた。20世紀初頭に学んだ五高時代には校友会雑誌に社会主義を紹介する論文を書き、トルストイの非戦論を紹介していた。同級生の一高転校問題を発端とする栗野事件に対しても、特権者を優遇する学校当局の姿勢を批判した。社会運動のための理論構築のために入学した京都帝国大学では、社会学の指導教授米田庄太郎により運動論的な視座が打ち砕かれ、地道な理論的探求の道を選んでいくことになった。
著者
深澤 俊貴 田中 佐智子 川上 浩司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.777-781, 2022 (Released:2022-08-01)
参考文献数
13

医療データベース(DB)を用いた観察研究の発展には、目を見張るものがある。情報技術革新に支えられた大規模DBの構築と柔軟かつ高度な疫学手法の掛け合わせは、リアルワールドにおける医薬品の使用実態調査、および有効性や安全性の評価をタイムリーに実現させている。本稿では、診療報酬請求情報(レセプト)DB、Diagnosis Procedure Combination(DPC)DB、電子カルテDBを中心に解説するとともに、それらを用いた観察研究を紹介する。
著者
田中 章詞 唐木田 亮 瀧 雅人
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

ここ十数年のうちに起こった機械学習(Machine Learning)の技術の劇的な発展のうちの多くが、深層学習(Deep Learning)の手法によるものであることは疑いの余地がないが、それにもかかわらず深層学習は従来の統計的機械学習の常識から見ると理論保証が難しいこともよく知られた事実である。本研究では従来の機械学習の理論研究手法に加え、物理学からもたらされた知見を結合し、深層学習の理論/応用の両方にさらなる深い理解、発展をもたらすことを目的とする。
著者
高沢 謙二 黒須 富士夫 斎木 徳祐 安藤 寿章 奥秋 勝彦 Ranjeet S BARAL 田中 信大 伊吹山 千晴
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11-12, pp.313-319, 1999-10-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

Second derivative of photoplethysmogram (SDPTG) or acceleration plethysmogram (APG) is the second derivative wave of the photoplethysmogram. SDPTG has been developed to allow more accurate recognition of the inflection points on the original plethysmographic wave, ie, anacrotic or dicrotic notches. It has been recognized as the independent examination tool for vascular properties.SDPTG includes 4 systolic waves and 1 diastolic wave, namely a-wave (early systolic positive wave), b-wave (early systolic negative wave), c-wave (late systolic reincreasing wave), d-wave (late systolic redecreasing wave) and e-wave (early diastolic positive wave).The ratio of the height of the each wave to that of the a-wave (b/a, c/a, d/a and e/a) are usually used for wave analyses.We previously reported characteristic age related wave changes of SDPTG in 600 subjects (each 50 men and 50 women in each decade from the 3rd to the 8th) in our health assessment center (Hypertension, 1998; 32: 365-370.).SDPTG-AI increased with augmentation index of original photoplethysmogram which is known to increase with increasing age, and is defined as the ratio of the amplitude of the late systolic component to that of the early systolic component of the original plethysmogram.The b/a increased with age and c/a, d/a and e/a decreased with age. Thus b-c-d-e/a was taken as the aging index of SDPTG (SDPTG aging index: SDPTGAI) which increased with age. SDPTG (Y) increased with age (X) as Y=0.023X-1.515, r=0.80, p<0.001).Similar distribution of vascular ages were seen in different districts group, including women in Toba city in Mie prefecture, subjects in shinjuku in Tokyo and patients in Broussias Hospital in Paris.SDPTGAI increased with vascular stiffness represented by inceased b/a and increasing reflection wave represented by decreasing d/a. Vascular age estimated by SDPTG=43.5SDPTGAI+65.9.SDPTGAI and vascular age were significantly higher in patients with a history of hypertension, diabetes mellitus, and hyperlipidemia than in subjects without any disease (p<0.01).The possibility of arteriosclerotic disease can be considered when vascular age is higher than actual age. Though cut-off value of the difference of vascular and actual ages are under examination, the tentative cut-off value is a difference of 15-20 years, which will provide us useful information for screening of arteriosclerotic diseases.A new type of apparatus (Fukuda FCP series) provides full automated detection of each indices and prints out within 30 seconds, which will be widely used for noninvasive evaluation of arteriosclerosis through vascular age.