著者
田中丸 治哉 多田 明夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,河川水質モデルにおいて水量・水質の再現性を両立させるパラメータ同定法の確立を目指している.まずタンクモデルの最適化を対象として,多目的最適化手法の一つである妥協計画法の適応性について検討した.次いで,長短期流出両用モデルに流出成分別のLQ式ないしCQ式を組み合わせたモデルを用いて,奈良県五條市の山林小流域を対象としてナトリウムイオンの流出負荷量及び水質濃度の推定を行った.流出モデル定数及びLQ式ないしCQ式の決定には,妥協計画法を適用した.その結果,妥協計画法によれば,河川流量と流出負荷量の再現性,あるいは,河川流量と水質濃度の再現性を両立させたモデル定数が求められることが分かった.
著者
ニザム 田中 貴宏
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
総合論文誌 (ISSN:13476548)
巻号頁・発行日
no.6, pp.65-70, 2008-02-20

現在のところ、一般的に災害後の瓦礫は撤去されている。しかし大きな災害では、処理すべき瓦礫の量が非常に多く、全ての瓦礫を撤去すると環境に損害を与えてしまう。そこで、本稿では瓦礫のリサイクルを提案している。リサイクルされた瓦礫は、レンガやコンクリートブロックの材料として利用できる他、場所打ち(cast-in-place)手法を用いることにより、これをそのまま利用して家を建てることも可能である。瓦礫のリサイクルは仮設シェルター建設や住宅再建に有効で、またコストも安価であることが指摘されている。また、この方法は、環境を保護すると同時に、コミュニティにとっても有益である。
著者
田中 仁 MOHAMMAD Bagus Adityawan MOHAMMAD BagusAdityawan
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

2011年3月11日に発生した東日本大震災津波は東北地方を中心として甚大な人的・物的被害をもたらした他に, 大規模な海浜地形変化の変化ももたらしている. 本研究では, 津波の流動モデルを用い, 東日本大震災津波による土砂移動の再現を通じて, モデルの検証, および必要に応じてモデルの改善を行うことを目的としている.今年度は研究の最終年度であり, これまでの研究の進捗を踏まえて予定通りに研究を終えた. まず, 昨年度の研究活動で選定したサイトとして宮城県東松島市における石巻海岸を研究対象とした. この海域を対象にして, 一昨年開発した数値モデルを適用し, 仮想的に海岸堤防の高さを4段階(0m, 1m, 3m, 5m)に変化させ, 津波の遡上に伴う流速値, せん断力, シールズ数などを数値シミュレーションにより求めた. モデルは水表面の計算にVOF法を使用し, 乱流モデルとしてk-εモデルを連立させることにより, 境界層の特性を数値計算に取り込んでいる. 数値計算により, 海岸堤防高さの増加に従って, 海域でのよどみ領域が拡がり, 海域における侵食が低減することが分かった. このように, 海岸堤防が堤内地での氾濫の低減のみならず, 海域における侵食をも低減できることは新たな構造物の価値としてきわめて興味深い知見である.これらの成果を, 第35回国際水理学会(平成25年9月, 中国・成都), 第12回河川土砂移動シンポジウム(平成25年9月, 京都)などにおいて発表を行った.
著者
関谷 直正 山下 正隆 田中 勝夫
出版者
日本茶業技術協会(農林省茶業試験場内)
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.66, pp.41-59, 1987
被引用文献数
4

年間の摘採回数,整枝時期および整枝強度が次年度収量に及ぼす影響を明らかにするため,やぶきた8年生園を用い,これらを組合せて処理を行い,以後5年間毎年同一処理を行って,これらの影響について検討を加えた。<BR>1.一番茶収量に及ぼす影響については,刈番を含めた合計収量では処理間にかなり大きな差異がみられたが,本茶収量では差異は比較的小さかった。<BR>2.摘採回数が収量に及ぼす影響については,一番茶本茶収量は,1cmの高さで整枝した場合は差異はみられないが,3cmの高さで整枝した場合は,三茶区は四茶区に比べてやや多い傾向がみられた。二,三番茶収量は,秋整枝を行った場合は摘採回数の影響はみられないが,春整枝を行った場合は,三茶区は四茶区に比べてわずかに多い傾向を示した。<BR>3.整枝時期が収量に及ぼす影響については,一番茶本茶収量は,春整枝区は秋整枝区に比べていずれの場合においても劣る傾向がみられたが,刈番を含めた収量で比べるとほぼ同等であった。二,三番茶収量は,春整枝区は秋整枝区に比べてわずかに多い傾向がみられた。<BR>4.整枝強度が収量に及ぼす影響については,一番茶本茶収量は,三番茶まで摘採を行い秋整枝を行った場合は中間整枝の3cm整枝区が最も多かったが,春整枝を行った場合は浅整枝ほど多かった。<BR>四番茶まで摘採を行った場合は1cm整枝区が3cm整枝区に比べて多かった。刈番を含めた収量で比べると,いずれの場合も浅整枝ほど多い傾向がみられた。二,三番茶収量については,いずれの場合も浅整枝ほど多い傾向がみられた。<BR>5.新芽数に及ぼす影響については,一番茶期においては摘採回数の多いほど多く,秋整枝は春整枝に比べて多く,整枝強度では,深整枝は浅整枝に比べて多い傾向がみられ,二番茶期においては,これらの差異は小さくなったが一番茶期とほぼ同傾向であった。三番茶期では,摘採回数および整枝時期による差異はなくなり,整枝強度では,一番茶期とは逆に深整枝区は最も少なくなる傾向がみられた。<BR>6.百芽重に及ぼす影響については,一番茶期においては摘採回数の多いほど軽く,秋整枝は春整枝に比べて軽く,深整枝は浅整枝に比べて軽い傾向がみられ,二番茶期もほぼ同傾向であったが,摘採回数については一定の傾向はみられなくなった。三番茶期では差異は小さくなり,整枝強度では,一番茶期とは逆に深整枝区は最も重くなる傾向がみられた。<BR>7.一番茶の摘採期に及ぼす影響については,処理間にかなりの早晩がみられ,摘採期の最も早い処理区と最もおそい処理区の間には6日~10日間の幅がみられた。<BR>8.一番茶期の摘採期の早晩に対しては,整枝強度の影響は大きく,秋整枝を行った場合は深整枝ほど早く,かつ処理間の早晩の幅は毎年3~4日とほぼ一定であったが,春整枝を行った場合は一定の傾向はみられず,また年次変動も大きかった。
著者
相澤 正夫 田中 牧郎 金 愛蘭
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

国立国語研究所は、難解用語がもたらす言語問題への具体的な対応策として、「外来語」と「病院の言葉」を分かりやすくする提案を行なっている。これらの提案は、新しい外来語や医療用語のように一般になじみの薄い難解な用語が濫用され、国民一般の情報伝達に支障が生じている今日の社会状況を考えると、「情報弱者」を支援するための具体的な方策を提案している点において、「福祉言語学」を実践する新たな研究モデルの一つと位置付けることができる。
著者
田中 正明 武田 正倫 永野 真理子
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.419-439, 2006

The micro-organisms in 35 samples obtained from inside moats of the Imperial Palace of Japan in Tokyo during the years 2000-2004 were studied, and only the additional species unrecorded in the previous survey during the years 1996-1999 are enumerated. They are 49 species of 35 genera, viz. 10 species of 8 genera in the Protozoa (8 species of Rhizopoda, and 2 species of Chiliatea), 22 species (including variety and forma) of 12 genera in the Rotatoria, 1 species of the Gastrotricha, 1 species of the Nematoda, 15 species of 13 genera in the Arthropoda (13 species of Crustacea, and 2 species of Insecta). In 20 samples obtained in the previous survey, 81 species of 40 genera were recorded (Tanaka & Takeda, 2000), although the nematod worms and insect larvae were not examined. As a result, at present, the micro-organisms are known by a total of 130 species of 63 genera from four inside moats, Kami-dokan-bori, Naka-dokan-bori, Shimo-dokan-bori and Hasuike-bori, and from a small pond, Hisago-ike. Comparing the limnological fauna of the inside moats of the Imperial Palace of Japan with that of some ponds in the Akasaka Imperial Gardens in Tokyo recorded by Tanaka et al. (2005), it is definitely said that the inside moats of the Imperial Palace of Japan are still kept in good condition due to its large scale, though the Imperial Palace of Japan is surrounded by artificial buildings in Metropolitan Tokyo.
著者
友田 裕代 大桃 定洋 田中 治 北本 宏子 浜谷 徹 河野 敏明 丹野 裕
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.155-158, 1996-07-30
参考文献数
19
被引用文献数
13

アクレモニウム属菌(Acremonium cellulolyticus Y-94)に由来するセルラーゼ(アクレモニウムセルラーゼ,以下ACS 2と略)またはトリコデルマ属菌(Trichoderma viride)に由来するセルラーゼ(トリコデルマセルラーゼ,以下CEPと略)を添加してアルファルファサイレージを調製し,両者の発酵品質改善効果を比較して以下の結果を得た。1. ACS 2を添加して調製したサイレージは,無添加区,1%グルコース添加区及びCEP添加区と比較して明らかに乳酸含量が多く,L/T値も高かった。また,これらの品質改善効果は乳酸菌製剤との併用によってさらに確実なものとされた。2. ACS 2の添加量は0.01%で十分な発酵品質改善効果を示し,それ以上添加しても発酵品質が大きく変化することはなかった。3. ACS 2を乳酸菌製剤と併用添加したアルファルファの番草別発酵品質は,2番草でやや乳酸含量及びL/T値が低かったものの概ね良好で,収穫時期を考慮せずに良質発酵品の調製を可能とした。以上の結果,ACS 2の0.01%添加はアルファルファサイレージの発酵品質を改善し,乳酸菌製剤との併用によって,その効果をより確実にできることが明らかとなった。
著者
埴岡 隆 田中 宗雄 玉川 裕夫 雫石 聰
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.347-352, 1993-06-28
被引用文献数
17 3

喫煙習慣と歯周組織の健康状態との関連性について,大阪府にある事業所男子従業員167名(20〜58歳,平均年齢39.1歳)を対象として調査研究を行った。喫煙者97名と非喫煙者55名について,地域歯周治療必要度指数(CPITN)を指標とした歯周組織の健康状態の診査を行ったところ,喫煙習慣とCPITNによる有病者率との間に有意の関連性(P<0.05)が認められた。喫煙者ではコード0の部位数が少なく(P<0.001),コード3の有病部位数が増加していた(P<0.01)。また,コード3以上の有病部位数の増加が喫煙者では非喫煙者より若い年齢層に認められた。喫煙者と非喫煙者,両群の歯磨き回数と一人平均DMF歯数はほぼ同じであった。以上のことから,喫煙は歯周組織の健康状態に悪影響を及ぼす危険因子のひとつであることが示唆された。
著者
田中 真由美 土田 泰子 大湊 佳宏 自見 壽史 占部 昌蔵 Tanaka Mayumi Tsuchida Yasuko Ominato Yoshihiro Jiken Hisashi Urabe Shozo
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
長岡工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:00277568)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.71-76, 2010-11

学生の英語力向上のため,平成21年度に英語多読用図書が長岡高専図書館に導入され,現在の多読用図書の蔵書数は約6千冊である.これらの図書は,主に英語の授業における多読活動の際に利用されている.長岡高専英語科では,地域住民の生涯学習,本校の広報,そして学生が学外でも積極的に多読を行える環境の整備のため,英語多読に関する地域貢献活動を行ってきた.本稿はこれまでに行った「ながおか市民大学」講座,長岡市国際交流センターとの連携,および,中学生対象の英語多読紹介の概要を報告する.
著者
三宅 吉博 田中 景子 清原 千香子 佐々木 敏
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

九州沖縄母子保健研究のデータを活用し、アレルギー疾患のリスク要因及び予防要因を解明した。特に、遺伝的要因と環境要因との交互作用について検討した。9編の英文原著論文が国際学術誌により受理された。
著者
田中 和永 小澤 徹 大谷 光春 西田 孝明 山崎 昌男 山田 義雄 柳田 英二 倉田 和浩 足達 慎二 平田 潤 関口 昌由 佐藤 洋平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

非線型問題の研究を変分的手法により行った. 特に(1) 非線型シュレディンガーおよびその連立系に対する特異摂動問題に関して凝集解の変分的構成を行い, 非常に一般的な設定の下でその存在を示した. (2) 非線型楕円型方程式 (系) の解の存在を種々の設定の下で扱い, 解の新しい変分的構成を与えた. また解の安定性, 不安定性の研究を行った. (3) 空間次元 1 の特異摂動問題においては高振動解の特徴付けと存在結果を与えた.
著者
葛谷 孝文 小林 孝彰 羽根田 正隆 岩崎 研太 田中 友加
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

臓器移植後に使用される各種免疫抑制剤の薬剤暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果について健常人の末梢血リンパ球を用いたin vitroの系で検討した。始めに、添加した免疫抑制剤の洗浄方法について検討を行い、分析機器(シクロスポリン:CLIA法、ミコフェノール酸HPLC)の検出限界以下まで洗浄できていることを確認後以下の実験を行った。CFSE染色した末梢血リンパ球に免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸)添加後、anti-CD3/28 microbeadsで刺激し3日間培養した。培養期間中、刺激1日または2日後に薬剤洗浄を行った。3日間培養後各々の群におけるTリンパ球をCD3で染色し、細胞増殖抑制効果をフローサイトメトリーにより観察し、薬剤間における特徴を比較検討した。その結果シクロスポリンは3日の薬剤暴露に比し1日の暴露後の薬剤除去で同程度のリンパ球増殖抑制効果が観察された(3日の暴露で47±15%の抑制、1日の曝露で37±13%の抑制)。一方、ミコフェノール酸では1日の暴露後の洗浄ではリンパ球増殖は十分抑制されず、暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果に関してシクロスポリンとは異なる傾向を示した(3日の暴露で83±10%の抑制、2日の暴露で73±6%の抑制、1日の暴露で29±11%の抑制)。これらの結果からミコフェニール酸モフェチルは時間に依存した免疫抑制効果を発揮し、シクロスポリンに関しては一度リンパ球の増殖を抑制することにより継続的な効果が期待できることが示唆された。このことはT細胞受容体の刺激後速やかなカルシニューリンの活性を阻害することが重要であり、初期段階の阻害によりその後の細胞増殖はある程度の期間抑制できることが示唆された。
著者
榎原 博之 田中 裕也 石川 琢士
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-05-10

自然界には粘菌という単細胞生物が存在する.粘菌は森の土の中などに数多く存在しており,採餌行動の際には自分自身の体で栄養を運ぶネットワークを構築する.本研究では,粘菌の採餌行動のシミュレーションプログラムを元に,巡回セールスパーソン問題 (TSP) を解く粘菌アルゴリズムを提案する.まず,粘菌の作るネットワークをシミュレーションし,そこから巡回路を作成し,TSP に対応させる.最終的には 2-opt 法による局所探索法を用いて,解の改善を行う.ベンチマーク問題 (TSPLIB) を用いて計算機実験を行い,評価を行う.The slime mold is single-celled which exists in the natural world. It exists a lot in the soil of the forest etc. and in the foraging action it constructs the network in which nourishment is carried by own body. In this research, we propose a algorithm which solves the travelling salesperson problem (TSP) based on the simulation program of the foraging action of the slime mold. First,we simulate a network made by the slime mold, and make a TSP tour. Finally, in order to improve the solution, we use 2-opt which is the local search method. We experiment on the computer by using the benchmark problems(TSPLIB), and we evaluate the slime mold algorithm.
著者
田代 真人 小田切 孝人 田中 利典 田代 真人
出版者
自治医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1.ラット気管支上皮のクララ細胞が分泌する新しいセリン型酵素トリプターゼ・クララを分離同定し、これが肺における野生株ウイルスの活性化プロテアーゼの本体であることを証明した。更に、トリプターゼ・クララが気道上皮にのみ分布することが、センダイウイルスの感染増殖が肺に限局することの直接の原因であることを証明した。2.初感染巣である気管支上皮細胞において、ウイルスの出芽極性が尖頂領域に限局していることが気道における局所感染を規定し、一方、側基底領域から出芽することが全身臓器へのウイルスの播種に必要であることを証明した。3.センダイウイルスに感染した上皮性細胞が膜融合を起こして融合巨細胞を形成するためには、F蛋白の開裂活性化に加えて、ウイルス糖蛋白が側基底領域に発現していることが必要条件である。4.側基底領域からも出芽するF1-R株の感染細胞では、微小管などの細胞骨格系の構造と機能が破壊されており、上皮性細胞の持つ細胞極性が破綻していた。更に遺伝子塩基配列の比較から、F1-R株の変異M蛋白がこれに関与していることが強く示唆された。
著者
田中 孝也
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的はin vitro,in vivoの実験系を用いて,TNF-a,TNF-a+actinomycin D,LPSなどにて誘導されるapoptosisがFAS/CD95系を介さないで発生する可能性、apoptosis発生にNOがどの程度関与しているのか、その際、poly(ADP-ribose)polymeraseはいかなる動態を示すのか、などである。本研究のin vitroにおいて、TNF-a+actinomycin Dにより誘導されるapoptosis発生はNO誘導物質であるSNAPにより、mitochondria呼吸鎖で産生されるROI発生の抑制を介して抑制された。このapoptosis抑制はNOによる直接的なROIのscavenge作用ではなく、cytochrome oxidase 活性の抑制によると考えられた。TNF-a+actinomycin D投与後のdihydrorhodamine123やhydroethidineの酸化がNOにより抑制される機序に関してはNOが直接的にTNF-a+actinomycin Dにより産生されたROIと結合してROIを中和する、NOが酸素と競合することによりcytochrome oxidaseによる呼吸を抑制するなどが考えられた。しかも、ONOO^-の障害作用が何らかの形で抑制されたことが考えられるが、その作用機序に関しては不明である。いずれにしても、NOがmitochondriaにおける呼吸鎖のcomplexI,II,IIIの抑制を制御したことから、NOによるapoptosis発生の抑制がmitochondriaにおける呼吸鎖でのROI抑制によると推察できる。In vivoにおいても、LPS誘発apoptosisを確認した。DNA fragmentationは肝細胞死の数時間前にALTの上昇と同じように出現したことから、LPSによる肝障害の初期はapoptosisが主体である可能性が考えられる。Fas/CD95は正常の肝細胞でも誘導され、apoptosis発生の必要性に応じてapoptosisを誘導することが知られている。しかし本研究において、Fas/CD95の誘導とは無関係にapoptosisが発生した。本研究においてTNF-a,LPSにてmitochondria内膜障害、NAD^1の減少、ATP減少などに続くpoly(ADP-ribose)polymerase活性の賦活などを認めた。NOの障害性に関して、peroxynitriteはDNAの断片化、poly(ADP-ribose)polymerase活性化を促進し、細胞内エネルギー量の低下をもたらすが、NO自体にはその作用が極めて低いと考えられている。DNAはあらゆる障害物質にてたやすく傷害され、poly(ADP-ribose)polymeraseが活性化される。poly(AP-ribose)polymeraseの活性化は細胞内エネルギーを消費し、NAD^+の低下などが発生するため、その程度が高じると細胞障害を増長すると考えれる。