著者
鈴木 智哉 金井 敬 蝋山 敏之 若林 憲章 江口 秀一郎 多田 桂一 江口 甲一郎
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.99-103, 1999-07-25 (Released:2009-10-29)
参考文献数
9

小児の調節麻痺下での屈折検査には、サイプレジン®の有用性が重要視されているが、何歳までサイプレジン®を用いた屈折検査が必要かについて検討した報告はまだみられない。そこで今回我々は、無作為に抽出した器質的疾患がない1032例を対象に、ハーティンガー合致式レフラクトメーターを用いてサイプレジン®点眼後と点眼前の他覚的屈折度の差(以下、戻り値とする)を各年齢ごとに検討した。戻り値の平均は成長とともに減少し、10歳以上では0.4D程度で推移した。重回帰分析により戻り値は屈折度よりも年齢に強く関連した。今回調査した戻り値の平均が10歳以上では0.4D程度で安定する事から、回帰式により戻り値0.4Dの年齢を求めると全症例14.3歳、近視群14.4歳、遠視群14.8歳となった。このことから、現代の繁忙な中高校生がサイプレジン®点眼下での精密検査を難しいと訴えるときは、これらの事を念頭において、眼鏡やコンタクトレンズの度数決定に際し、慎重に対処する必要があると考える。
著者
大川 猛 菅田 悠平 木戸 剛正 若槻 泰迪 大津 金光 横田 隆史
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2018-EMB-48, no.3, pp.1-2, 2018-06-22

ROS2 (Robot Operating System version 2) は,知的ロボットの分散ソフトウェア開発プラットフォームとして普及が期待されている.ROS2 における通信レイヤとして用いられる DDS (Data Distribution Service) は,分散ソフトウェアにおいて,通信するトピックごとに細かな QoS (Quality of Service) ポリシーが設定可能であることが特徴である.一方,FPGA (Field Programmable Gate Array) は,知的ロボットの実現に必要な画像認識処理を,高い電力効率での並列処理が可能であるが,高性能な回路の設計が難しいという課題がある.本稿では,FPGA を用いて DDS に準拠した Publish / Subscribe 通信を行うための調査および初期検討結果について報告する.
著者
明神 絵里花 渡慶次 幸治 長谷 日出海 宮本 裕行 若林 野花
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.340-345, 2013-10-05 (Released:2017-06-15)

準天頂衛星システムは,「準天頂軌道」という日本のほぼ天頂(真上)を長時間滞在する軌道をもつ人工衛星を複数機組み合わせた衛星システムであり,現在米国が運用中のGPS信号と互換性のある測位信号を送信することで,日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも,衛星測位できる場所や時間を広げることができるという日本独自の衛星測位システムである.JAXAは準天頂衛星システムの第一段階(技術実証・利用実証段階)として,準天頂衛星初号機「みちびき」(2010年9月11日打上げ)とそれを運用する地上システム(高精度測位実験システム及び追跡管制システム)を整備した.測位衛星ならではの要求である航法メッセージ(測位地上系で生成)の常時(24時間365日)アップロードを実現するため,追跡管制システムは既存のJAXA地上設備とは別に「みちびき」専用システムを整備した.本稿では,「みちびき」の追跡管制システムの概要ならびに開発結果について報告する.
著者
古瀬 民生 若菜 茂晴
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.97-100, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
15

Objectives: The developmental origins of health and disease paradigm (DOHaD) is a concept that fetal environmental factors affect adult phenotypes. We performed experiments to evaluate the DOHaD theory in developmental disorders using mouse models.Methods: In vitro fertilization and embryo transfer techniques were used for mouse production. The AIN93G-control diet, which contains 20% protein (CD), 5% protein-restricted diet (PR), and PR with supplemental folic acid (FA) were provided as experimental diets to mothers. The body weights (BWs) of mothers and offspring, and the blood-clinical biochemistry results of mothers were examined. In addition, gene expression and genomic methylation in the brain of adult offspring and behavioral phenotypes of adult offspring were examined.Results: Pregnant mothers that consumed the protein-restricted diets, namely, PR and FA, exhibited reduction in BW. The values of protein-related parameters determined by blood-clinical biochemistry decreased in the PR fed groups. The BWs of neonates and adult offspring did not change. The offspring exposed to maternal hyponutrition exhibited increased activity in the home cage and enhanced fear and anxiety-like behavior. The adult offspring of the PR-fed group and FA-fed groups exhibited different patterns of mRNA expression and genomic methylation in the brain.Conclusions: The maternal PR diet affected the progenies’ behavioral phenotypes and epigenetic outcomes in the brain. However, the behavioral changes induced by maternal protein restriction were very slight. Hence, interactions between several genetic factors and environmental exposures such as maternal malnutrition may cause developmental and psychiatric disorders.
著者
若松 加寿江 濱田 政則 野勢 辰也 犬塚 真一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.421-424, 1999 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

液状化による流動量を予測する式はいくつか提案されているが, 地表面勾配など専門家による測量が必要なパラメータが導入されており, 予測式の適用は必ずしも容易ではない. そこで, 本研究では1m以上の水平地盤変位を伴う側方流動が発生するか否かを簡便に判定するクライテリアを作成することを目的として, 1964年新潟地震の際の液状化発生地域における地盤条件の分析を行った. その結果, 1m以上の地盤変位は液状化層厚や液状化層の換算N値との相関が高く, 従来, 液状化発生の簡易判定に適用されてきたN値と深度 (有効上載圧) の関係や, 液状化層厚とその上部に存在する非液状化層厚の関係に基づく限界曲線のみから, 1m以上の地盤変位発生の有無を判別することは困難であることなどがわかった.
著者
若林 芳樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.255-273, 1990-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43
被引用文献数
2 1

本稿は,距離評価法と描画法によって測定された,札幌における大学生の認知地図の相対的歪みについて,若林(1989a)の方法を一部修正して,計量的分析を行なったものである.その結果,札幌の大学生の認知地図は,現実の地図との適合度が比較的高いことが明らかになった.ただし,距離評価法による結果は,認知地図と現実の地図との適合度よりも経路距離空間とのそれの方が高いのに対し,描画法では,現実の地図からのずれも個人差も比較的小さいという調査方法による違いが現われた.距離評価法による結果が示唆する認知地図の非ユークリッド性については,MDS(多次元尺度構成法)によって布置を求める際に,ミンコフスキー距離を当てはめて検討したところ,市街距離との適合度がもっとも高くなることから,対象地域の格子状街路が距離評価に影響を与えているものと推定される.このような調査方法による結果の差異は,人間が環境の情報を獲得し,再生するまでの情報処理過程の違いによるものと解釈される.
著者
若山 育郎
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.302-306, 2021 (Released:2022-08-12)
参考文献数
18

腰痛は,古来鍼治療の対象とされている症状で,我が国の国民の最も多い愁訴の一つである。その有用性については,我々は経験的にわかっているつもりでいるが,近年そのエビデンスを示すことが求められている。現在では,主にランダム化比較試験をもとに,それらを統合し,最終的に推奨度で表した診療ガイドラインが医療現場における臨床判断に用いられている。今回,英米の腰痛に対する鍼治療の診療ガイドラインを比較検討した。英国の NICE ガイドラインは,日本式の鍼治療を十分に理解していなかったため placebo/sham を対照群に設定した臨床試験を重視し,鍼治療の効果を過小評価していると思われた。一方,米国の ACP ガイドラインは,主に通常治療を対照群とした臨床試験を重視し鍼治療の効果を現実的に評価していた。
著者
若木 伸也 高橋 良和 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.399-405, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,コンクリート円柱供試体のX線CT画像から,内部構成情報として骨材および空隙の位置·寸法に関する情報を画像処理により抽出する方法について検討する.まずはコンクリート円柱供試体のX線CT画像を撮影し,閾値処理を用いて骨材および空隙を画像から抽出した.骨材の抽出に関しては,供試体内部でのX線吸収により供試体中心付近の骨材がうまく抽出されないため,供試体表面からの距離に応じてCT値を補正し,ノイズを除去するために,改良メジアンフィルタによる処理を施した.内部構成情報抽出の妥当性を評価するため,画像から抽出された骨材の粒度曲線を推定し,実際のふるい分け試験結果との比較を行うとともに空気量の推定を行い圧力法により得られた結果との比較を行った.粒度曲線は断面によりばらつきがあるが,平均線の形状は実際のふるい分け試験結果と合致した.ただし,ふるい分け試験結果よりも全体的に粒度を小さく見積もっており,ノイズ除去の改善や画像の3次元データの利用を進める必要がある.
著者
堀之内 若名 内野 良子
出版者
一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会
雑誌
日本臨床看護マネジメント学会誌 (ISSN:24352691)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.11, 2020 (Released:2020-09-17)
被引用文献数
1

本研究の目的は、地域包括ケア病棟を基盤とした研究の動向と内容を明らかにすることである。医学中央雑誌web版(Ver.5)を用い検索を行った。抽出された文献は121件であり、そのうち研究目的に適切と判断した103件を対象とした。研究報告は2016年から年を追うごとに増加傾向であり、研究の目的は【退院指導・支援の現状と課題の明確化】【高齢者に多い症状・疾患を持つ患者への看護の質向上】【患者の身体機能の検証】【退院支援に係るツールの活用効果の検証】【転帰先・再入院に影響する要因の明確化】【地域包括ケア病棟看護師としての成長】【地域包括ケア病棟の有用性・充足度の検討】【看護師のストレスと対処の明確化】【病棟薬剤師の有用性】の9に分類された。
著者
若山 正隆
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.91-95, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

様々な物質を一斉に分析するメタボローム解析のうち,極性低分子(アミノ酸類,有機酸類,核酸類)についてはキャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)法がしばしば用いられる.食品・農産物は多種多様であり,分析ターゲットなる極性低分子は呈味性,栄養・機能性等に関与することも多く,品質の維持,向上に重要な役割を持っている.しかしながら多種多様の材料を安定的に測定するには適切な前処理および分析の工夫が必要である.本報では生材料に対して固定溶媒添加および未添加条件下での破砕,および凍結乾燥材料の安定的な破砕および抽出手法を紹介し,さらにCEにおいてキャリーオーバーが少なく,電流降下が少ない試料導入並びに検量性の高い質量分析法を用いたメタボローム手法を紹介する.これらの安定的な分析手法を用いて食品,農産物に対しての品質の維持,向上に貢献できうる実験系の提示と将来像について考察する.
著者
若林 佑介 棟近 雅彦 梶原 千里 高橋 良輔
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.229-239, 2017-11-10 (Released:2018-05-26)
参考文献数
29

Hospitals need to introduce and promote Business Continuity Management (BCM) to continue providing medical care during a disaster. Methods of introducing and promoting BCM have been presented in various documents including published international standards. However, they are abstract and definitive procedures have not been specified. In this study, we actually introduced BCM into Hospital X and extracted the problems in introducing BCM. We then investigated methods to solve the identified problems and propose introduction method of BCM. By using the proposed method, we can introduce BCM more effectively than possible previously and gradually build BCM.
著者
原口 義座 島田 和明 星野 正己 永田 伝 若林 利重 岡田 利夫
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.673-678, 1987-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
16

当院で経験した消化器疾患のうち急性呼吸不全に腎不全を合併し, 血液透析を要した例における呼吸循環系機能, 特に血管外肺水分量の推移について検討を加えた. 対象は6例, 11回である. 検討項目は, 血管外肺水分量 (extravascular lung water: 以下EVLWと略す) の他, 肺動脈拡張期圧 (以下PAEDP), PaO2, 心係数 (以下CI), 全身状態などであった.結果: EVLWは, 血液透析 (以下HD) 前値で9.57±435ml/kgBWと増加例が多く, 中でも10ml/kg BW以上の中等度増加以上が64%を占めた. また全身状態不良例に高値を示す傾向がみられた. HDの施行によりEVLWは多くの例で減少したが, HD終了後, 徐々に前値に復する傾向があった. HDによる他の項目の推移に関しては, 1) PaO2, CIはHD中は低下例が多く, HD後, 時間を経ると改善する例もかなりみられた. 2) PAEDPは一定の傾向を示さなかった.呼吸不全例に腎不全合併した際のHD施行にあたり, HD中にみられるPaO2低下は注意を要する点である. この低下の原因としては幾つかの機序が推定されている. 我々の検討では, EVLWの減少例が多いことから考えると肺水腫, 特にpermiability edemaの進行によるものは否定的であり, 他の原因 (循環系抑制, 白血球の肺血管へのmargination, cellophane膜の影響による補体系の異常等) を考慮すべきと考えられた. 一方今回経験したHD中およびHD後早期のEVLWの減少の機序としても, 多くの機序が考えられるが, そのうちの1つにHDによる有毒物質の除去の関与している可能性もあり, さらに検討を加えるべきと思われた.
著者
侘美 俊輔 若原 幸範
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.49-80, 2016-03-31

稚内市立稚内南中学校で誕生した「南中ソーラン」は、1993年に開催された第10回「民謡民舞大賞全国大会」においてグランプリ(内閣総理大臣賞)を獲得した。それ以降「南中ソーラン」は様々なメディアやイベントで取り上げられ、2015年にはミラノ万博で演舞された。今日、「南中ソーラン」は、稚内というローカルから出発し、世界へと発信されている郷土芸能の1つである。 本稿は「南中ソーラン」を「郷土芸能(文化活動)」の1つとして位置づけ、その今日的課題の解決に向けた基礎的な方向性を提示することを目的とする。本稿では、保健体育の「ダンス領域」に留まらず、学校と地域を包摂した「地域づくり」の視点を取り入れた重層的な分析と考察を試みる第1報である。
著者
若杉 晃介 長田 光世 水谷 正一 福村 一成
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.219, pp.421-426, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

近年, 農村地域における生物多様性の低下が指摘されており, 原因の一つとしてほ場整備による湿生動物の生息地破壊等があげられている.その改善策として, ほ場整備に際して, 整備区域内に生態系保全地を設ける事例が増えつつあるが, その設置間隔等は明らかになっていない.本研究は, ほ場の湿潤な場所に生息する動物の保全地を設置する場合を想定し, 保全地の最短設置間隔の指標の一つとして, 移動能力が低いとされている湿生動物のアジアイトトンボについて移動距離を調べた.調査は栃木県宇都宮市の一般的な平地水田地帯で, 標識再捕獲法を用いて2000年8月から9月に行った.その結果, アジアイトトンボの移動距離は1.1~1.2kmであること, 出現場所は湛水休耕田の存在に大きく影響を受けていることが分かった.