著者
森田 幸 根ヶ山 清 三好 そよ美 堀尾 美友紀 荒井 健 村尾 孝児
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.767-771, 2015-11-25 (Released:2016-01-10)
参考文献数
6

MRSA選択分離培地(MRSA-CI寒天培地,CHROMagar MRSA II寒天培地,MDRS-K寒天培地)について発育支持能および鑑別性能の比較検討を行った。発育支持能をMiles & Misra法により評価した結果,3種類の培地に差は認められず,ほぼ同等の発育支持能を有していた。鑑別性能については,鼻腔分泌物等の臨床材料120検体を用いて,24時間および48時間培養後に発育状況を判定した。24時間判定におけるそれぞれの培地の感度/特異度は,MRSA-CIが88.4% / 100%,CHROMagar MRSA IIが90.7% / 100%,MDRS-Kが88.4% / 100%であった。48時間判定においては,MRSA-CIが95.3% / 100%,CHROMagar MRSA IIが95.3% / 100%,MDRS-Kが95.3% / 97.4%であり,3培地ともほぼ同程度であった。また,いずれの培地においても24時間判定に比べて48時間判定で検出感度が向上した。MRSA選択分離培地は,簡便性に優れたMRSA検出法であるが,菌量が少量の場合や呈色が弱い菌株では,検出・判定が困難となることもあり,各培地の特性を十分把握したうえで適切に使用する必要があると考えられた。
著者
山元 孝広 高田 亮 吉本 充宏 千葉 達朗 荒井 健一 細根 清治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.433-444, 2016-08-15 (Released:2016-09-02)
参考文献数
41

富士山は,国内最大規模の活火山のひとつであり,噴火した場合に首都圏のインフラ施設に深刻な影響を与える恐れがあるとして,防災の観点からも注目されている(Yamamoto and Nakada, 2015).最新期の大規模噴火として,青木ヶ原樹海を作った貞観噴火(西暦864年)の溶岩流と東京や千葉まで火山灰を降り積もらせた宝永噴火(西暦1707年)の火砕物降下がとくに知られている.これらの噴火の噴出量や物理特性などを参考条件に,防災のためのハザードマップが作られている(内閣府, 2004).富士山は,溶岩流や火山灰降下以外にも,火砕流や山体崩壊,スラッシュ雪崩など,さまざまな現象をあらゆる方向へ発生させて現在の形へと成長してきた.今回の巡検では,周辺山麓に約70万人が居住し,重要インフラ施設も各種立地する富士山麓を一周する.再び火山活動が活発化したときに発生する恐れのある地質災害について,過去に発生した溶岩流の作った地形や岩相,火砕流堆積物や岩屑なだれ堆積物の露頭にみられる構造等を観察して現象への理解を深め,富士山の火山防災を考える.
著者
森川 健志 佐藤 俊介 荒井 健男 関澤 佳太 鈴木 登美子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.286-290, 2017-06-10 (Released:2017-06-20)
参考文献数
12

Developing a system for the production of organic chemicals via carbon dioxide (CO2) reduction is an important area of research that has the potential to address global warming and fossil fuel consumption. The present study demonstrates artificial photosynthesis for the direct production of organic substances under sunlight using a hybrid photocatalyst composed of a semiconductor and a metal complex catalyst. A solar to chemical energy conversion efficiency of 4.6%, calculated from the change in Gibbs free energy per mole of formic acid formation from CO2 and water (H2O), was demonstrated for CO2 photoreduction utilizing H2O as an electron donor under simulated solar light irradiation to a monolithic tablet-shaped device. These results which store solar photon energy in CO2 molecules could show promise for future progress in this field.
著者
荒井 健二郎
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.153-161, 2006-01

第59回トニー賞(正式にはアントワネット・ペリー賞といい,アントワネット・ペリーAntoinette Perryの愛称がトニーTonyだったため,いつの間にかその名前が定着したもの。6月1日から翌年5月31日までの1シーズンにOn-Broadwayで上演されたミュージカルおよびプレイを対象に決定され,アメリカ演劇界最高の栄誉とされている賞)で宮本亜門が日本人としてブロードウェイで初演出をした「太平洋序曲」(PACIFIC OVERTURES)がリバイバル作品賞を含む4部門でノミネートされるという快挙を達成した。結果は無冠に終ったが,日本のミュージカル界に輝かしい1ページを飾ったことは特筆すべきことである。また,現在のブロードウェイは生き残りをかけたさまざまな試みが行われているが,その端的な例はシステムに関するものである。1990年代の時代的特色をトニー賞にノミネートされた作品や人間から考察してみると,最大の特色はディズニーのブロードウェイ進出であり,第1弾の「美女と野獣」(BEAUTY AND THE BEAST)はいろいろな批判にさらされたものの結果は大成功。「ライオンキング」(THE LION KING)や「アイーダ」(AIDA)が続いた。2番目としては女性の躍進である。演出部門で初の受賞があり,その後もその傾向は続いている。そして最後に,90年代の終わりにダンスミュージカルが人気を集め,それが「コンタクト」(CONTACT)で頂点に達したことがあげられる。
著者
日本 PDA 製薬学会 電子記録電子署名委員会 クラウド CSV グループ 荒井 健太郎 荒木 澄江 石川 明水 稲葉 光治 荻本 浩三 杉浦 明子 坪田 浩之 峠 茂樹 西山 宇一 平野 勝久 古市 正 前田 豊
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.25-122, 2016 (Released:2016-12-20)
参考文献数
7

It could be worthwhile to make proposals related to practical methods for CSV of cloud-based GxP business systems, given that any guidelines for CSV of those systems have not yet been issued by the Ministry of Health, Labor and Welfare. In this study, we will show development activities, verification activities and a supplier audit, all of which our group experienced, for a SaaS-type electric document management system for GxP businesses, leading to an attempt to share the best practices in CSV of cloud-based GxP business systems. The feasibility of our proposal related to the CSV life-cycle management of cloud-based GxP business systems at the previous PDA Japan Annual meeting will also be discussed in this study.
著者
及川 輝樹 中野 俊 荒井 健一 中村 圭裕 藤田 浩司 成毛 志乃 岸本 博志 千葉 達朗 南里 翔平
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

飛騨山脈南部の岐阜県・長野県県境に位置する乗鞍火山の最近約1万年間の噴火史を,テフラ層序とAMS 14C年代測定を基に明らかにした.なお本報告は,乗鞍岳火山防災協議会が行った調査を基にして,その後検討を加えたものである.かつて乗鞍火山における最近1万年間の活動中心は,火口縁に最高峰の剣ヶ峰(3026m)がある権現池火口の他,恵比須岳火口にもあるとされていた.しかし,恵比須岳火口起源のテフラとされていた噴出物は,年代や記載岩石学的特徴から,その火口起源のものではないことが明らかとなった.そのため,最近1万年間の活動中心は権現池火口周辺に限られる.最近1万年間における乗鞍火山の噴火活動は,テフラ層序に基づくと,少なくともマグマ噴火を2回,水蒸気噴火を10回行っている.マグマ噴火は,いずれも水蒸気噴火に始まるが,その後火山灰を放出する噴火とスコリアを放出する噴火がそれぞれ発生した.スコリアを放出する噴火は,その初期に小規模な火砕流も発生した.総テフラ噴出量は数100~1000万/m3オーダである.なお,権現池火口周辺から流れ出た溶岩のうち,保存のよい微地形が残存する溶岩も3ユニットあることから,溶岩を流す噴火も完新世に3回発生した可能性がある.また,個々の水蒸気噴火の総噴出量は,数10~数100万m3オーダとなる.最新の噴火は,約500年前に発生した水蒸気噴火である.およそ7300年前に降下した鬼界アカホヤ火山灰より上位のテフラユニットの数から算出した噴火頻度は,800年に一回となる.近隣の焼岳火山(100~300年/回)と比べると噴火頻度は少ないが,桁違いに少ないわけではない.
著者
中野 俊 高田 亮 石塚 吉浩 鈴木 雄介 千葉 達朗 荒井 健一 小林 淳 田島 靖久
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11-12, pp.387-407, 2007-03-31 (Released:2014-06-11)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

富士火山噴出物の噴火年代決定を目的として産総研が実施したトレンチ調査のうち,北東山麓で行ったトレンチ調査結果及びそれに関連した露頭観察の結果をまとめ,そこから得られた放射性炭素年代測定値を合わせて報告する.トレンチ調査の対象は,新富士旧期の大臼,小臼などの火砕丘群及び新富士新期の檜丸尾,鷹丸尾,中ノ茶屋,雁ノ穴丸尾,土丸尾などの溶岩流群である.
著者
荒井 健男 咲間 修平 佐藤 義倫 篠田 弘造 JEYADEVAN Balachandran 田路 和幸
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.713-720, 2003-12-25
被引用文献数
1 2

Stratified materials are defined as materials with nano-sized stratification that have been artificially controlled and designed. They are exemplified as a thin layer or stacked layers formed on surface of semiconductors. The present research is aiming at formation of controlled and designed stratification on surface of fine particles, leading to improvement of properties of fine particles which has been difficult to accomplish through the conventional particles engineering, and to development of novel properties created by the stratification.<BR>Here, we describe the method of the development of the nano-size CdS catalyst with stratified structure that efficiently separates electron and hole during photolysis, especially, to produce hydrogen gas from hydrogen sulfide, H<sub>2</sub>S. Furthermore, as an approach for the development of the practical use photocatalyst, ZnS-carbon nanotube complex was also made and examined. In a way, the stratified structure is considered to enable the production of a reaction system which simulates function in biological cells. Using this catalyst in the solution mixed with various materials such as, calcium hydroxide, seawater and H<sub>2</sub>S, we succeeded in producing about 7.5l/h m<sup>2</sup> of hydrogen gas under the sunlight.
著者
中川 優里 泉井 透 伊勢川 暁 荒井 健太郎 其田 雅徳 成田 雅彦 小木 哲朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.825-833, 2012-04-01

高度情報通信社会の進展に伴い,購買情報や行動履歴などの個人に関わる情報は,日々膨大に生み出され,社会の様々な場所に分散して記録されている.これらの情報は,マーケティング等に用いられるなど,企業にとって大きな興味の対象となる一方で,情報を生み出している個人がこれらの情報を把握し,一元的に管理することは困難であり,また,企業に対して自分の思いどおりに自分の情報を利用させて対価を得るといった運用手段もない.本論文では,これらの課題を解決するために,より重要性を増してきた個人に関わる情報を日々生成する個人が,自身の情報を自分自身で利用し,そして,その情報を利用したい第三者に適切な対価と引き換えに利用させることを実現するためのフレームワークを提案する.そして,個人に関わる情報の中でも,運用になじみやすい購買情報に着目し,これらの課題に対する解決案を提示し,その実現性を検証する.
著者
荒井 健二郎
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
no.1, pp.p135-145, 1993-01

黒人として生まれついたジェイムズ・ボールドウィンは,白人との比較において,満たされないものを紙面にひたすら叩きつけた感じがする。彼の小説に登場する人物達は,ボールドウィンの代弁者という役割を与えられて窮状を訴え,悪態をつき,なじり,わめき,という自己主張に終始し,セックスも暴力的である。更に,相手を暖かく包みこむとか,相手の欠点についても糾弾することはあっても受け容れようとすることは,全くない。その底には,欲求不満を吐き出すことによって満足感を得ようとする「歪な平衡感覚」が作用しているように思われる。『もう1つの国』 (Another Country, 1962)の主要人物達もその例にもれることはない。しかし,唯一の例外として提示されるのが,エリックである。彼は最初向性愛者として登場し,後に両性愛者であることがわかって驚かされるのだが,最初のうち,自らの性的志向をなかなか受け容れることができず,苦悩する。しかし,最後には,その長い苦悩のトンネルを抜け,認識と受容に至る。その点をポールドウィンは賞賛してやまないのだ。それ故,エリックに同性愛者という「もう1つの国」を与えたのだと思われてならない。
著者
藤田 ひとみ 鈴木 美奈 近藤 文 鈴木 貞夫 小嶋 雅代 永谷 照男 細野 晃弘 荒井 健介 辻村 尚子 岡 京子 岡本 尚子 神谷 真有美
出版者
東海公衆衛生学会
雑誌
東海公衆衛生雑誌 (ISSN:2187736X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.77-83, 2014

<p><b>目的</b>:敷地内全面禁煙は,非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守り,喫煙者の禁煙を促すのに有効な方法と考えられる.名古屋市立大学では2006年6月よりキャンパス敷地内全面禁煙となり,6年が経過した.そこで,キャンパス敷地内全面禁煙化後の医学生の喫煙率や,喫煙に関する意識の変化を調べた.</p><p><b>方法</b>:喫煙に関する意識調査として2007年12月に全学職員・学生を対象に実施したものと,2012年4月に医学部学生を対象として実施したものについて,医学部1~5年生の集計結果を比較検討した.</p><p><b>結果</b>:回収率は2007年調査では57.0%,2012年調査では92.6%であった.男子喫煙率は全学年で9.94%から5.39%,女子喫煙率は2.37%から1.65%といずれも減少しており,2012年調査では1年生の喫煙者は男女ともに0名だった.キャンパス敷地内全面禁煙については「知っていた」と回答した割合は84.9%から66.2%と有意に減少し,喫煙環境に無関心な非喫煙者が増えている状況がうかがえた.また喫煙者の平均年齢は,2007年調査時は22.3±4.2歳であったが,2012年調査では25.9±4.2歳と有意に高かった.</p><p><b>結論</b>:キャンパス敷地内全面禁煙化から6年経ち,喫煙率は低下した一方,敷地内全面禁煙の認知度が低下していたことから,今後の防煙教育や禁煙対策に向けた新たな課題が明らかになった.</p>
著者
荒井 健二郎
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.73-83, 1997-01

アメリカ社会の中でマイノリティの1つであるゲイ (同性愛者の総称) たちは,長い間宗教と医学の両方から不健全であるというレッテルを貼られ,1950年代までは見えない存在,見えてはならない対象として葬られてきた。そしてゲイ・プレイも,それに追従することを強要されてきた。しかし,時代は確実に前進する。60年代という激動の時代に突入し,激変を始めた社会に突き動かされるようにしてゲイ解放運動が起こり,69年6月28日の「ストーンウォール暴動」へと発展,大きな弾みがつくことになる。時代を味方につけ,初めてゲイを肯定的に描いた革新的なゲイ・プレイが登場し,ゲイ・プレイの夜明けを予感させるまでになる。この論文では,アメリカ演劇の中で,傍流とみなされていたゲイ・プレイが時代の変化とともに主流に近づき,ついに合流するまでの経緯を照射する。