著者
平部 正樹 小林 寛子 藤後 悦子 藤本 昌樹 藤城 有美子 北島 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.135-144, 2017-03-31 (Released:2018-12-03)

本研究では、通信制高校の生徒を対象として質問紙調査を行い、入学形態と入学理由の関連、およびそれらと精神健康の関連について明らかにした。対象は、私立の広域通信制高校2キャンパスに所属する全生徒1,086人であった。調査票については、入学形態や通信制高校に入学した理由、精神健康を測る指標としてKessler-6が含まれていた。結果として、男女ともに「学力上の理由」は新入学で、「年齢上の理由」は編入学で、「前校での不適応」は転・編入学で高かった。女性では、転入学で「友人関係上の理由」が高かった。精神健康との関連では、男性で「学力上の理由」、「友人関係上の理由」、「前校での不適応」、「心の病気」等の入学理由や入学形態が精神健康に関わっていた。女性では、「友人関係上の理由」、「心の病気」等の入学理由が関わっていた。これらの情報は、生徒への支援の際に、重要な情報になりうることが示された。
著者
鮎川 勝彦 前原 潤一 上津原 甲一 島 弘志 有村 敏明 高山 隼人 藤本 昭
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.92-98, 2006
被引用文献数
2

はじめに:救急患者の予後を左右する因子として,患者要因,病院前救護体制,病院の機能がある。緊急を要する疾患において,発症から治療までの時間を短縮できれば,救命率があがると思われる。本研究では救急車搬送時間が短ければ,予後が改善するという作業仮説を立てた。この仮説を立証するために,九州の6病院に救急車で収容された患者データを検討した。方法:6病院に救急車搬送された急性心筋梗塞(AMI)及び不安定狭心症(UAP),くも膜下出血(SAH),脳梗塞(CI),脳出血(CH),消化管出血(GIB),大動脈解離(AD)の7疾患について,retrospectiveに集計し,救急車搬送時間と予後との関連を統計解析した。結果:これらの疾患5,247症例のうち,入院後30日目の生存,自宅退院が確認でき,現場から直接搬送された患者で重症度分類できたものは1,057例(AMI201例,UAP49例,SAH217例,CI405例,CH114例,GIB45例,AD26例)であった。各疾患を重症度分類し,搬送時間との関連を調べた。AMI重症例(Forrester分類IV群)においては,搬送時間と入院後30日目の自宅退院率との比率の検定で,搬送時間が短ければ自宅退院率が高いことが推測できた。搬送時間を10分刻みにして,30日目自宅退院率を解析した結果,y=2.9619e<sup>-0.07x</sup> (R<sup>2</sup>=0.9962)の指数関数曲線に高い相関で回帰した。考察:AMI重症例では入院30日目の自宅退院率と搬送時間との間に,指数関数曲線に高い相関で回帰する関係があった。搬送時間を短縮できれば,自宅退院率をあげることができることを証明できた。搬送時間短縮による自宅退院率改善を数値化できることになる。AMI軽症及び中等症,その他の疾患では,搬送時間との間に明らかな関係はみられなかった。覚知時間の遅れなどが影響した可能性が考えられた。結論:AMI重症例に於いては,救急車搬送時間が短ければ,入院後30日目の自宅退院率を改善する,という仮説が証明できた。
著者
藤本 貴大 田中 繁治
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.65-71, 2016-07-29 (Released:2016-09-28)
参考文献数
24
被引用文献数
1

高齢女性腰椎圧迫骨折患者を対象に,腰部多裂筋(以下;LM)および脊柱起立筋(以下;ESM),大腰筋(以下;PM)の脂肪浸潤率を定量的な方法で計測し,筋肉の脂肪浸潤程度に特徴が見られるかを検討した。計測には,MRI 画像を利用した。MRI 画像は,第1腰椎から第1仙骨上縁までの椎体上縁と椎体中間位計11箇所を利用した。脂肪浸潤率は,各筋の横断面積とその面積に占める脂肪浸潤面積の比率とした。計測には,Image J1.47を利用した。結果,全11箇所のLM およびESM の脂肪浸潤率は,13.9~26.5%であった。PM は0.4~2.0%であり,LM およびESM と比較し有意に低値であった(p<0.01~0.001)。各筋の脂肪浸潤率とBMI とは,有意な相関関係は認められなかった。同一筋内全11箇所における脂肪浸潤率の多重比較では,有意差は認めなかった。また,骨折部と非骨折部に分け比較した場合の結果も有意差は認めなかった。以上のことより,本研究の高齢女性腰椎圧迫骨折患者におけるLM およびESM の脂肪浸潤率は,限局的ではなく腰椎全域で10%以上生じていることが明らかとなった。
著者
金 炳哲 杉本 正美 包清 博之 藤本 一寿 中村 洋
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.263-268, 1990-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4
被引用文献数
2

本研究は, サウンドスケープの視点から都市空間の諸特徴を把握し, 究極的には音を配慮した都市環境整備の在り方に関する計画的示唆を得ることを目的とした。スタディーエリアとしては, 長い歴史のある都市空間であり, 福岡市の中心部に位置する博多部を取り上げた。調査・研究の結果, 音を配慮した都市空間整備の在り方を考える場合, 騒音規制という側面からのアプローチだけでなく, その地域の特有な文化, 伝統そして自然を基調とした音を保存することと共に, 音とフィジカルな都市空間との係わりを基調にした音の演出 (活用) に関する研究プログラムの樹立の必要性が認識できた。
著者
江口 聡 澤 敬子 藤本 亮 SAWA Keiko 藤本 亮 FUJIMOTO Akira 南野 佳代 MINAMINO Kayo 望月 清世 MOCHIZUKI Sawayo
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-114, 2004-01

科学研究費補助金基盤研究(C)(2)「ジェンダー理論の法学教育への統合的モデル構築にむけた現状と課題の実践的研究」の2002年度研究経過報告である本稿は、米国フェミニズム法学のケースブックに基づき、以下の分野を扱う。第1章は、マイノリティの観点である批判的人種フェミニズムからの法学およびフェミニズム法学への批判と貢献を検討し、第2章はアファーマティヴ・アクション導入以来の批判派対擁護派の論争を整理し、平等概念、能力主義基準自体の歴史性を指摘する。第3章は、ポルノグラフィにかんして自由論者と規制論者の論点と、ポルノ規制条例にかんする判決を取り上げる。第4章は、なぜ法と女性とのかかわりにおいて「親密な関係」を統制する法が重視されるのか、婚姻関係内部の権力関係と婚姻可能性の権力性を検討し、第5章は、他者のケアを引き受ける者が置かれがちな経済的依存状態について、平等の観点から、ありうべき社会保障モデルを検討する。
著者
藤本 麻紀子 田村 明弘
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.101-108, 2010-02-15 (Released:2012-11-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In this research, we paid attention to one of the man's high and non-particular sensations, the sense of time, in an effort to examine whether or not the sense of time could be used as an index in quantifying the interaction of man and his space. 20 courses were selected and subjects were respectively directed to walk the specific courses in order to evaluate their self-affection, image of the course treaded, and sense of time. The walking distance was identically set in experimenting the sense of time. As a result, subjects felt the walking time shorter in a comfortable setting and longer in an uncomfortable scene. To be more specific, their sense of time in courses through a shopping district with many distractions was neither long nor short, while their sense of time tended to become shorter where there were obstacles such as congestion of passers-by and bicycle traffic. As the walking distance was set shorter, their sense of time became shorter than the actual time and their walking pace became slower. It should be pointed out that this experiment involved some problems. The walking distance was in fact not identical in some courses selected, and the subjects became tired as a result of continuous walking to affect the evaluation. Therefore, we intend to solve those problems and further our study of the interaction of man with his space and sense of time.
著者
松田 亘 藤本 万里子 満永 拓邦
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.2, 2017-10-16

標的型攻撃において,組織に侵入した攻撃者はmimikatzという攻撃ツールを使って組織内で横展開を試みることが多い.mimikatzを使う攻撃では,正規ユーザか攻撃者によるアクセスかを判別するのが難しいという問題がある.そこで,Sysmonを使用して,コンピュータ上でmimikatzがロードしたDLLを検知する研究が行われているが,特定のWindowsやmimikatzのバージョンのみを対象としているため,実環境では誤検知が発生する可能性がある.本研究では,WindowsやmimikatzのバージョンによってロードされるDLLの違いを網羅的に検証し,誤検知を軽減する手法について調査する.また,分析エンジンであるElasticsearchを用いてログを分析し,効率的に検知する方法についても述べる.
著者
田中 沙耶 江崎 芳子 谷藤 香菜江 藤本 真衣 波田 善夫 西村 直樹 松尾 太郎 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;近年,ニホンジカ <i>Cervus nippon</i>(以下,シカとする )の個体数が全国的に増加しつつある.これに伴い,各地で農林業被害や自動車・鉄道との衝突事故が増加し,自然植生への影響も危惧されている.対策として,これまでは個体の直接駆除や防止柵などによる排除が行われてきた.しかし,猟友会や農山村の高齢化などの問題から,十分な個体数の駆除ができているとは言えない.また,防止柵についても,設置費や維持費がかかること,人の移動まで阻害することなど,さまざまな問題が生じている.そこで岡山理科大学動物系統分類学・自然史研究室では,シカが心理的な圧迫を受けることで,シカ自らが忌避するような移動阻害構造体 (以下,構造体と表記 )の開発を一昨年から試みている.<br>&nbsp;今回は,岡山理科大学内で飼育しているメスの成獣個体2頭を用いて,シカが構造体上を通過する際に,どのような行動がみられるのかを観察した.試験個体は 2011年に岡山県美作市の山中で捕獲されたもので,野生状態での実験結果に近づけるため,山の中で隔離して飼っている.過去のデータより,構造体上で,静止・構造体に鼻先を近づける・檻のフェンスに鼻先を近づけるといった行動や,構造体を前に引き返す・セルフグルーミングをするなどといった行動がみられることがわかっているが,これらの行動と,構造体を設置していない場合にみられる行動を比較することにより,構造体がシカにどの程度の心理的圧迫を与えているか分析した.また,構造体設置による行動の変化の度合いが個体によって異なることや,慣れによってシカの行動が変化することが考えられる.このことより,構造体を通過する際,どのような行動変化がみられるかを,構造体設置後から継続観察することで,行動の変化も調査することにした.そしてこれらのデータを分析し,構造体はどの程度シカに心理的圧迫を与えるのか,どれほどの期間シカに効果があるのかについて評価した.
著者
岩切 龍一 田中 聖人 後藤田 卓志 岡 志郎 大塚 隆生 坂田 資尚 千葉 俊美 樋口 和秀 増山 仁徳 野崎 良一 松田 浩二 下野 信行 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1370-1396, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
160
被引用文献数
1

日本消化器内視鏡学会は,内視鏡診療ガイドライン作成作業の一環として,消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドラインを作成した.本邦と欧米先進国では消化器内視鏡医療の環境が異なる.欧米先進国では消化器内視鏡の施行は,ほぼ専門施設に限られ,厳格な洗浄・消毒の既定が遵守されている.本邦では小規模クリニックでも消化器内視鏡が行われ,年間に行われる消化器内視鏡数は膨大な数になる.内視鏡の洗浄・消毒法も医療機関によって差が認められるのも事実である.洗浄・消毒に関しての根拠は,エビデンスが乏しいのも事実であるが,内視鏡医療の発展のためにも消化器内視鏡の洗浄・消毒の標準化が必要である.
著者
島袋 全志 玉城 一 伊波 優輝 藤本 泰毅 仲宗根 哲 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.329-332, 2020

<p>髄内釘ASULOCK<sup>®</sup>は,ラグスクリューに加えて3本のピンやスクリューを近位骨片に挿入でき,近位骨片を強固に固定できる.今回,大腿骨転子部骨折に対してASULOCK<sup>®</sup>を用いた手術成績を検討した.対象は24例で男性5例,女性19例,平均年齢83歳(64~99歳),平均観察期間は24週(4~49週)であった.中野3D-CT分類TypeⅠの2-partAは4例,3-partAは5例,3-partBは3例,4-partは9例で,TypeⅡ は3例であった.手術時間は平均102分(61~134分),術後単純レントゲン像の正面像では外方型はなかったが,側面像で髄内型を3例に認めた.スライディング量は平均2.7 mm(0~12 mm)であった.遷延癒合を6例,ピンのカットアウトを1例に認めた.ASULOCK<sup>®</sup>使用例では,整復良好例でも合併症が多く,十分な整復による良好な骨性コンタクトが重要であると考えた.</p>
著者
藤本 泰毅 島袋 孝尚 山川 慶 金城 英雄 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.195-199, 2020

<p>【要旨】症例は39歳,女性.1年9ヵ月前より両下肢しびれ,2ヵ月前より右下肢筋力低下が出現し,他院を受診した.MRIにて胸椎硬膜内髄外腫瘍を指摘され当科へ紹介された.両鼠径部以下のしびれ・感覚鈍麻,右下肢腸腰筋以下にMMT3の筋力低下を認めた.MRIでT10/11高位に右腹側にT1・T2で等信号,ほぼ均一に造影される硬膜内髄外腫瘍があり,さらにその左背側には信号強度の異なる腫瘍を認め,脊髄は強く圧排されていた.手術はT10・11還納式椎弓形成を用いて腫瘍摘出術を施行した.術中迅速病理では右腹側は髄膜腫,左背側は神経鞘腫であった.肉眼的に腫瘍を全摘後,硬膜焼灼処置を行った.永久病理結果も術中迅速病理と同様であった.術後3ヵ月のMRIでは腫瘍再発を認めず,術後1年の現在は両下肢しびれ軽減し,下肢筋力も正常である.</p>
著者
藤本 健四郎 菅野 安広 金田 尚志
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422, 1980-06-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

In the previous paper, the antioxidant effect of capsaicin, the pungent principle of red pepper, has been demonstrated. Capsaicin is a N-vanillylamide whose pungency has been known to depend upon the carbon chain length of the fatty acid moiety. In this paper, to obtain the pungent free N-vanillylamides, which are expected to be useful as antioxidants for foods, syntheses of N-vanillylamides of saturated C12 to C22 fatty acids were carried out, and their pungency and antioxidant activity were determined. As a result, their pungency reduced with the elongation of carbon chain of the fatty acid. That is, compared with C9 amide, the pungency of C14 amide was 1/100 and that of C18 amide decreased to 1/1000. On the other hand, the antioxygenic effect of each synthetic N-vanillylamide on methyl ester of safflower oil was almost equal to that of the natural pungent mixture extracted from red pepper. By addition of 0.02mol/kg of synthetic amides in the substrate, the antioxidant activity was equivalent to that of BHA in 0.02% level. In this level, pungency was not found in the sensory even for C12 amide.
著者
渡邉 一旭 下村 匠 藤本 憲宏 笠原 久稔 鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.78-88, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
20

鉄筋コンクリート製通信用マンホールを効率的に維持管理するために,マンホールのコンクリート中の鉄筋の腐食予測法を構築した.コンクリート中の水分状態,温度,酸素の供給を考慮した鉄筋腐食予測モデルを新たに定式化し,地盤とマンホールの統合熱伝導解析法により予測したマンホールのコンクリート中の含水状態から,全国の様々な条件下に埋設された通信用マンホールの鉄筋腐食の進行予測を行った.その結果,地域による気候の違いを考慮しつつ全国のマンホールの鉄筋腐食進行の傾向を概ね再現できることを示した.
著者
鬼追 一雅 波多野 雅俊 藤本 勲
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.57, 2011 (Released:2011-11-01)
参考文献数
13

近赤外線分光画像による酸化ヘモグロビン濃度分布および還元ヘモグロビン濃度分布の可視化に関して基礎検討を行った.本手法はLambert-Beer則とパターン分離法に基づき非侵襲で測定が行える.今回,掌の分光画像からパターン分離を行い,酸化ヘモグロビン濃度分布画像と還元ヘモグロビン濃度分布画像の時間変化取得に成功したので報告する.