著者
藤本 大介 安達 政隆 入江 亮輔 秦 雄介 柿添 豊 桒原 孝成 井上 秀樹 實吉 拓 中山 裕史 向山 政志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.10, pp.2206-2213, 2017-10-10 (Released:2018-10-10)
参考文献数
11

偽性副甲状腺機能低下症(pseudohypoparathyroidism:PHP)は,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の内分泌標的組織における不応性を原因とし,複数の病型に分類されるが,障害の部位により大きくI型,II型と分かれる.症例は,51歳の男性で,20年程前より両下肢・腹部の筋痙攣の自覚があり,血清Cr 1.30 mg/dl,Ca 6.7 mg/dlと著明な低カルシウム血症を認めたが,腎機能障害は軽度であり,尿細管障害を示唆する所見も認めなかった.PTH分泌が比較的保たれていたため,PHPを疑ってEllsworth-Howard試験を施行し,PHP II型の確定診断を得た.活性型ビタミンDの投与により臨床症状は消失し,血清Ca値は正常化した.PHP II型は非常に稀で依然不明な点も多く,今後の病態解明が待たれる.
著者
藤本 雅子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.50-59, 2005-04-30 (Released:2017-08-31)
被引用文献数
1

The glottal opening pattern during /CVC/ (voiceless consonant- vowel- voiceless consonant) sequences was examined using photoelectric glottography (PGG). The subject was a male speaker of Osaka dialect whose devoicing rate is less frequent than speakers of Tokyo dialect (standard Japanese). Results revealed that, for many of the devoiced tokens, the glottal opening showed a bimodal pattern, i.e. two independent openings, each corresponding to a voiceless consonant overlapping with each other and accompanied by a closing movement in between. This pattern differs from the mono-modal pattern for the Tokyo speakers in previous studies, in which higher level control of speech production is presumably involved. This suggests that the devoicing of the Osaka speaker in question is not controlled by a categorically-determined command such as phonological rules. The results also demonstrated that the degree of glottal opening was greater for fricatives than for stops, and in word initial than in word medial position. This is consistent with previous studies, suggesting that these features are common to Tokyo and Osaka speakers.
著者
鹿毛 雅治 藤本 和久 大島 崇
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.583-597, 2016-12-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
27
被引用文献数
4 8

「当事者型授業研究」とは, 教師集団による協同的な協議を通じて個々の教師の専門性を向上させるために, 当該授業者(教師), 当該学習者(子どもたち), 当該学校の教師集団を当事者として最大限尊重するようにデザインされた授業研究の一形態である。本研究では小学校での実践事例を取り上げ, 当事者型授業研究が教師たちの専門的な学習や成長に及ぼす効果について自己決定理論に基づいて検討した。談話分析, 質問紙法, インタビュー法を組み合わせたマルチメソッドアプローチによる分析の結果, 当事者型授業研究の実践によって, 当該授業の個別具体的な文脈を伴いながら教師や子どもに焦点化された写実的で精緻な情報が交流する協議会が実現するとともに, 教師がそのような協議会を繰り返し体験することを通じて, 授業研究において当事者をより重視すべきだという教師の信念(授業研究観)が形成され, 積極的な協議会参加と授業研究に関する成果に関する自己認識が促進されることなどが示された。本研究の結果は, 当事者型授業研究が教師たちの基本的心理欲求を充足することを通して, 彼らの動機づけや専門的学習, さらにはキャリア発達を促す可能性を示唆している。
著者
藤本 潔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.110, 2009

<B>はじめに</B> 海水準変動は海岸地域の地形形成や環境変化に多大な影響を及ぼす重要な因子のひとつである.1970年代以降、テクトニックには安定地域と考えられる地域間での最高海水準の時期や高度の相違は,アイソスタシー理論である程度説明できることが明らかになる。しかし,微変動に関しては,アイソスタシーによる沈降域では顕著な現象として見出されていないことから,未だに統一された見解が得られていないのが現状である.本発表では,氷河性アイソスタシーの影響で沈降傾向にあり,現在を最高海水準とする平滑曲線が描かれてきた典型地域のひとつとして知られる北海南部大陸沿岸域において, <SUP>14</SUP>C年代測定法導入以降の完新世海水準変動研究史,および海面変化に関わる沿岸低地の地形地質を紹介すると共に,それらデータの信頼性を評価することで,特に完新世中期以降の海水準微変動について考察することを目的とする.<BR><B>微変動の可能性</B> 本地域で海水準微変動の検出を目的とした研究は,オランダ西部のVan de Plassche(1982),北西ドイツのBehre(2003)のみである.Van de Plassche(1982)は,基底泥炭基部から得られたデータから7000~2800 cal BPの間に数回の地下水位上昇速度の変化を見出し,海水準変動との関係について考察した.Behre(2003)は数回の海面低下を伴う9700 cal BP以降の海水準変動曲線を描いた.しかし,使用されたデータには圧密の影響を伴うもの、泥炭層や文化層形成期から間接的に推定されたものを含むため,変動のタイミングは議論し得るものの,振幅や高度の信頼性は必ずしも高くない.両者を比較すると,5200~4500 cal BPに海面上昇の停滞もしくは海面低下が起こった可能性が高い.4500~4100 cal BPの上昇速度の加速にも同時性が認められる.3900~3400 cal BPの間には北西ドイツでややタイミングが遅れるものの,両地域で上昇速度の加速が見られる.一方、3300~2900 cal BPの間に北西ドイツでは急激な海面低下が推定されているのに対し,オランダ西部ではほぼ停滞している.この間オランダでは塩性湿地の淡水化や泥炭地の海側への拡大は見られないことから,急激な海面低下は圧密に伴う見かけの現象である可能性が高い.2350~1900 cal BPの間にはオランダ全域の塩生湿地で一時的な離水現象が起こったことから,この間の海面低下とその後の再上昇の可能性が指摘される.これらの変動傾向は,5200 cal BPの上昇速度の減速に先立つ相対的な急上昇を除き,アジア・太平洋地域の変動とタイミングがほぼ一致する.<BR><B>手法的問題と今後の課題</B> オランダで復元された海水準変動曲線のほとんどは,泥炭層や粘土層の圧密沈下の影響を排除するため更新世堆積物や砂丘堆積物を覆う基底泥炭基部から得られた<SUP>14</SUP>C年代値に基づく地下水位変動曲線から間接的に推定されたものである.この手法で海水準微変動を検出するためには,河川勾配効果,氾濫原効果,海岸砂丘による開閉の影響,基盤斜面の微地形の影響を考慮しつつ,地下水位との関係が明確な泥炭試料を一連の斜面上から高密度に採取することが求められる.しかし,たとえこれらの条件が克服できたとしても,一時的な海面低下の証拠を見出すことは難しい.なぜなら,海面低下は表層泥炭の分解を引き起こし,その後の海面上昇に伴いその上に新たな泥炭層が重なって形成される.その結果,見かけ上,海面上昇速度の低下もしくは停滞現象として見出される. オランダではこれまで一方的な海面上昇を示す平滑曲線が受け入れられてきた.その主要な根拠は"カレー・ダンケルク堆積物"と呼ばれてきた海進堆積物には広域的同時性が認められないという認識にある.しかし,オランダ西部と北部ではかなりの部分で同時性が認められる上,北西ドイツにおける海面変化傾向はオランダ北部の海進海退時期とタイミングがよく一致する.これまで一般に受け入れられてきた平滑曲線は,上記の手法的問題を含む概略的な傾向曲線に過ぎない.今後は海岸砂丘による開閉の影響を受けていないオランダ北部地域で,圧密沈下の影響を評価した上で,海進海退堆積物の形成時期と高度を示すより精度の高いデータの蓄積が求められる.
著者
藤本 治義 猪郷 久義
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編
巻号頁・発行日
vol.1955, no.18, pp.45-48_1, 1955

飛釋山地福地附近に発達する一の谷石灰岩から紡錘虫の一新属を発見したので, Hidaellaと命名し. こゝに報告する. 本属は<I>Fusulinclla</I>によく似ているが, 穀壁が強く褶曲している点から区別できる. 模式種<I>Hidacllakamcii</I>は一の谷石灰岩中部に豊富に産し. Fusulina属と共存する.
著者
藤本 尊子 丹羽 雅子
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.T27-T35, 1989
被引用文献数
2 4

目的 防寒用被服材料設計のための基礎資料を提供するために, ウール及びポリエステル (PET) 繊維集合体の有効熱伝導率を標準状態にて, ThermolaboII型 (KES-F7) を応用して測定した.防寒用材料は, 添毛や充填など低密度で利用されているのが特徴なので, 繊維の体積分率10%以下の領域で, 繊維配列 (熱流に対し平行又は直角), 繊維自体の熱伝導率に及ぼす影響を調べる.測定は, 試料の平面重あるいは厚さを一定にする2つの場合について実施した.又, 保温性評価の基礎となる熱コンダクタンスに占める伝導及び輻射伝熱を簡単なモデルを適用して分画する.成果 (1) PET繊維集合体の有効熱伝導率は, 繊維自体の熱伝導性の異方性を反映して, 熱流に繊維が直角に配列した場合著しく高く, 体積分率に比例して増加するが, ウールスライバーでは, 異方性は小さく, 増加も少ない.(2) 厚く, 低密度の集合体では, 輻射による熱輸送が急増する.重量が一定で厚さを変化させた場合は, 体積分率に反比例して熱の輸送率が増える.厚さが一定で体積分率が変化する場合は, 体積分率の減少とともに輻射の寄与は増大するが, その増加はゆるやかである.(3) 構成繊維が太いほど, 繊維集合体の有効熱伝導率は高い.これは, 集合体内部での繊維同志の接触面, 又, 質量当りの表面積の変化によると考えられる.
著者
吉田 博 藤本 水石 林 淳三
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.122-129, 1991

クリタケの栄養世代における栄養要求性(無機塩類,ビタミン類,核酸関連物質,植物ホルモン)を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.<BR>(1) 燐酸カリウムおよび硫酸マグネシウムはクリタケの栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30mg/lの濃度で最大生長に達した.硫酸亜鉛も生長促進効果を示し,3mg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.<BR>(2) チアミンは栄養生長に不可欠であり,添加量の増加に伴い生育速度ならびに菌糸体収量は増加し,30μg/<I>l</I>の濃度で最大生長に達した.しかし,チアミンの単独添加では栄養生長は不十分であり,他の8種のビタミン類(ニコチンアミド.リボフラビン,パントテン酸,ピリドキシン,葉酸,シアノコバラミン,ビオチン,イノシトール)の添加により栄養生長は促進された.<BR>(3) 核酸塩基(アデニン,グァニン,シトシン,チミン,ウラシル,オロット酸),ヌクレオシド(アデノシン,グアノシン,シチジン,イノシン,ウリジン,チミジン),ヌクレオチド(アデニル酸,グアニル酸,シチジル酸,ウリジル酸)は生長促進効果を示したが,核酸塩基類,ヌクレオシドおよびヌクレオチド間の効果には顕著な差は認あられなかった。<BR>(4) IAA, NAAおよびGA<SUB>3</SUB>は1mg/<I>l</I>の濃度で若干の生長促進効果を示したが,IAAおよびNAAは10mg/<I>l</I>の濃度で逆に生長阻害作用を示した.
著者
飯田 尚一 飯島 章夫 三輪 喜良 中西 康浩 藤本 剛一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.77, pp.19-31, 2000-09-02
参考文献数
5
被引用文献数
5

ブロードバンド時代に向けて、コンテンツ流通が急速に整備されつつある。その中で、権利保護技術や決済技術の議論が盛んに行なわれているが、権利許諾情報の管理を行なう技術の重要性も高まってきた。我々は、その技術の実現に向けて「メロディーズ」や「メモリーズ」という概念を提唱している。その概要と実用性や今後の可能性についてまとめた。The business of digital-contents distribution has been rapidly established for the coming Broadband communications. As the serious argument about the techniques of copyrights protection and secure transaction has often been put forward, they can see the importance and necessity for managing permission information of contents-holders. We, DENTSU INC, will suggest the concept and the possibilities of [Melodies] & [Memories] to solve the complex problems of digital-contents distribution.
著者
藤本 二三吉
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1929-02
著者
中川 佐和子 吾妻 俊彦 横山 俊樹 牛木 淳人 田名部 毅 安尾 将法 山本 洋 花岡 正幸 小泉 知展 藤本 圭作 久保 惠嗣 椎名 隆之 近藤 竜一 吉田 和夫 浅野 功治 山崎 善隆
出版者
The Shinshu Medical Society
雑誌
信州医学雑誌 (ISSN:00373826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.365-370, 2008 (Released:2010-10-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

A 56-year-old woman was found to have a solitary mass shadow on chest radiograph in a health examination. Transbronchial examination on two occasions did not yield any diagnostic findings. Both the high level of CA19-9 and the increasingly large shadow were suspected to be indicative of lung cancer, so we performed left lower lobectomy. The pathological examination of the resected lung revealed a granulomatous lesion without malignant findings. A few colonies grew on a liquid medium, and were identified as Mycobacterium avium by PCR. After operation, the increased CA19-9 leval normalized gradually. There are few reports presenting a solitary pulmonary mass shadow and high CA19-9 level due to nontuberculous mycobacterial disease.
著者
Liu Chen 藤本 由紀夫 田中 義和 上杉 征 並河 隆浩
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.816, pp.BMS0244, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
7

When human body is punched by the boxing glove, both of the body surface and the boxing glove deform in a complex shape. The purpose of this study is to develop a flexible sensor that can be used in such interface. Firstly, several mechanical phenomena, which are the cause of error signal of the sensor, are discussed. These are the influences of out-of-plane bending deformation, shear force caused by rubbing force, shear force caused by the Poisson's effect of contact material, and the transverse compressive force caused by the overhanging deformation of flexible material. Then as a sensor that can eliminate the error factors of these, a distribution type impact sensor in which sixteen sensor elements are arranged in a 4x4 matrix is developed. Punching experiments using a boxing glove are carried out by installing the sensor on the load cell, on the concrete wall and on the sandbag. From the experiment, it is found that the impact force can be measured with good accuracy by using the sensor. Despite the sensor has inadequate distribution number of sensor elements, the sensor structure includes mechanical requirements for the flexible impact sensor.
著者
藤本 竜輔 安藤 元一 小川 博 Ryusuke FUJIMOTO ANDO Motokazu OGAWA Hiroshi
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.290-296,

野外調査の難しい種である半水生のカワネズミChimarrogale platycephalaにおける生息確認調査の効率を向上させることを目的として,捕獲個体の死亡率を低減するためのワナ改良をおこなった。同時に調査に適した季節および適切なワナ設置間隔を検討した。従来型カゴワナを24時間ごとに見回ると捕獲個体は全て死亡し,2時間毎に見回っても毛皮の水濡れが防げなかった。ホースで退避室を接続したカゴワナでは24時間毎の見回りでも64%の生存率が得られたが,ワナから脱出しようとして負傷する個体があった。さらに見回り時間を6時間毎にすると生存率は100%になり,捕獲個体の水濡れおよび負傷が防げた。本種は春~秋のどの季節にも調査が可能であり,その捕獲率は平均2.1%であった。ワナ列長1,000m以下の調査をおこなったところ,およそ470mあたり1頭の割合で捕獲された。ワナ設置間隔を100m以下に縮めても捕獲効率に差がなかったことから,ワナは100m程度の長い間隔で設置することが効率的であると考えられた。本種が捕獲された地点においては遅くとも調査4日目以内に捕獲があったことから,生息の有無を判断するためには連続4日間以上の調査が必要であることが示された。
著者
堀 秀昭 藤本 昭 山崎 美帆 伊藤 のぞみ 大谷 浩樹 小林 康孝 林 正岳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E0340, 2008

【目的】今回の介護保険制度改正は、「できない」「足りない」を補うだけでなく、「できる」「している」を増やす目標志向型にシフトし、特に運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上に関しては加算が行われる。しかし、これらのプランも事業所で行われるだけでは効果はなく、在宅・地域コミュニティで継続されることが重要である。今回、高齢者スポーツ実施を通して継続的に地域で介護予防を実施するために、スポーツ高齢者の身体機能を調査し、スポーツの特殊性を検討するための基本的な調査を行った。<BR>【方法】対象は、スポーツを行っている高齢者366名(平均年齢69.8歳)とスポーツを行っていない高齢者399名(平均年齢76.5歳)とした。スポーツの種類としては、エスキーテニス、バウンドテニス、ラージボール卓球、シルバーバレーボール、グランドゴルフ、マレットゴルフ、ゲートボール、太極拳とした。身体機能測定項目は、片脚立位時間、握力、5m速度とし、各々の測定値から運動機能総合判定指標を算出した。また同時に転倒リスクに関する調査も行った。分析は、実施の有無、種目別、年齢別にて分散分析、また重回帰分析により転倒リスクとの関連を検討した。<BR>【結果】1、片脚立位時間は、太極拳(49.2秒)、シルバーバレー(46.2秒)がマレット(28.0秒)ゲートボール(32.6秒)より有意に長かった。握力は、グランドゴルフ(36.5Kg)エスキー(35.5Kg)バウンド(35.1Kg)ゲートボール(34.3 Kg)であり、太極拳(27.8 Kg)より有意に強かった。5m歩行は、バウンド(2.1秒)がゲートボール(2.8秒)より有意に早かった。運動機能総合判定指標においては、各種目に有意差は認められなかった。2、転倒リスクとの関連では片脚立位時間(p=0.011)握力(p=0.013)が有意な関連が認められた。<BR>【考察】運動機能総合判定指標では各スポーツの種目において違いが認められなかったが、バランス能力の片脚立位時間や総合筋力指標の握力で、スポーツ間に違いが認められた。これは競技特性を表しており、ラケットを使用しての競技は握力が必要であり、前後左右への動きが必要とされるラージボール卓球、シルバーバレーボール、太極拳は片脚立位時間が必要とされる。また転倒リスクと片脚立位時間や握力に関連性が見られたことで、高齢者スポーツを紹介する手段として、高齢者の握力と片脚立位時間を測定し、過去のスポーツ暦を考慮に入れながら、転倒予防を目標としたスポーツ紹介が可能と考える。また運動の精神的効果や社会的効果も報告されており、汗を流す喜びを体験させ、体力の向上は健康感を実感させ、ストレスから解放し、また地域に住む人々とともに運動やスポーツを楽しむことで友達づくりに貢献できるので、高齢者スポーツの推進を積極的に行う必要性がある。
著者
豊島 由樹子 鶴田 恵子 長峰 伸治 熊澤 武志 鈴木 知代 酒井 昌子 樫原 理恵 野崎 玲子 黒野 智子 宮谷 恵 小平 朋江 藤浪 千種 清水 隆裕 藤本 栄子
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin School of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-10, 2019-03-31

本稿は、本学看護学部の2019 年度教育課程改定における活動内容の概要を記した。2012 年に教育課程変更を行って5年が経過したことや、教育職員免許法の改正により養護教諭課程の再課程認定に伴い、2019 年度に向けて看護学部教育課程の改定を行うことになった。2017 年度からカリキュラム検討委員会を中心に教育課程の検討を行い、2年間に渡って教育課程改定に向けて活動した内容をまとめた。2019 年度新教育課程としては、地域包括ケアシステムの推進に基づく社会の変遷にあわせた教育課程へと発展させるための学修内容の追加、本学の強みである充実した実習環境をもとに行われている臨地看護学実習を通して「生命の尊厳と隣人愛」に基づく教育理念を継続的に意識づけられるような教育課程を策定することができた。指定規則改正に伴う次の教育課程の改定に向けて、今回のプロセスが参考となることを期待する。