著者
藤本 恭比古
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス文学論集 (ISSN:09136770)
巻号頁・発行日
no.42, pp.15-30, 2007-11-20

D'ou vient l'atmosphere transcendantale qui emane des oeuvres d'Andre Breton et du poete lui-meme? Ne se presente-t-il pas a nous comme <<le messager de la transcendance>>? Le sujet de cet article porte sur ce phenomene qu'il veut eclairer en analysant les fenetres qui apparaissent dans les oeuvres d'Andre Breton, suivant un itineraire different de la logique metaphysique. <<Nadja>> d'Andre Breton decline trois episodes que l'on pourrait qualifier d' <<histoire de fenetre>>. Le premier episode est la description d'un evenement vecu par le poete en 1919 quand il s'est senti pris de peur a la fenetre d'un hotel. Le deuxieme constitue l'experience de Nadja qui elle aussi s'est sentie possedee par l'impulsion de se jeter par la fenetre. C'est le deuxieme episode qui permet a Breton de comprendre le sens essentiel de son experience en completant le premier. Ces experiences, similaires et complementaires, prouvent que Breton et Nadja sont de futurs chamans, bien que du point de vue neuropathologique ils frolent la folie. L'experience qui consiste a se trouver au seuil de la mort peut etre consideree comme une maladie initiatique de futurs chamans. Le troisieme episode n'est pas un fait vecu, mais une histoire trouvee par Breton par hasard. M. Delouis, amnesique, demande au receptionniste de lui rappeler son numero de chambre chaque fois qu'il rentre a son hotel. Une minute apres qu'il est monte a l'etage, un monsieur ensanglante se presente a la reception de l'hotel affirmant etre M. Delouis. C'est bien lui en effet : il etait tombe par la fenetre de sa chambre. M. Delouis est l'image de Breton, comme du personnage de <<Nadja>>, tandis que son histoire peut etre consideree comme un modele reduit de l'oeuvre entiere. Cette troisieme histoire de fenetre represente la mort symbolique et l'initiation manquee de Breton qui n'a pas reussi a acceder au monde surreel que Nadja lui avait fait voir. Il reste a determiner la raison pour laquelle M. Delouis est tombe par la fenetre. Dans un essai intitule <<La confession dedaigneuse>>, Breton n'admet comme suicide que le suicide volontaire et comme, par ailleurs, il n'admet pas la mort comme objet du desir, il ne lui arrive jamais de vouloir se suicider. Toutefois, dans un texte inspire du poeme <<Les fenetres>> de S. Mallarme qui finit par le vers <<au risque de tomber pendant l'eternite>>, Breton affirme la volonte de se jeter par la fenetre. On peut dire que s'il a pris la decision de se jeter par la fenetre, c'est pour tomber sur le sol de la realite, et non pour s'envoler dans le vide vers l'azur bleu qui symbolise l'ideal dans le monde mallarmeen. Il ne s'agit pas de la tentation de la mort (Thanatos), mais de l'amour (Eros). On peut dire que si la chute de M. Delouis est liee a son saut volontaire qui le pousse a se jeter de la fenetre, cet episode nous revele a contrario qu'avec l'amour acquis, il aurait pu reussir sa resurrection, accomplissement de l'initiation, apres la mort symbolique du moi. Chez Breton, <<la fenetre>> fonctionne comme metaphore du passage qui permet cette sorte d'initiation.
著者
益田 裕充 鈴木 康浩 藤本 義博 片平 克弘 森本 信也 久保田 善彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はPLCとDBSの理論に基づいて、教師の資質・能力形成のプロセスを明らかにし、理科授業を通して学び続ける新たな教師教育プログラムを開発することである。研究の成果として、理科授業の「問題解決の過程」をコアにした授業カンファレンス、リフレクションのプログラムが、「集団としての一般化」、「課題解決の連動性・適応性」を高めることが明らかとなった。
著者
杉田 篤生 稲富 久人 藤本 直浩
出版者
産業医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.ヒトにおけるPlasma Fibronectin(pFN)の測定。正常人24名、尿路悪性腫瘍患者61名において免疫比濁法によるpFN値の測定を行った。1)治療前におけるpFN値。正常人のpFN値は、平均379μg/ml、患者群では、356μg/mlであり、有意差を認めなかった。転移の有無によってもpFN値に有意差を認めなかった。予後良好群と不良群では、各々410μg/ml、300μg/mlであり、有意差を認めた。2)保存的治療中の患者群におけるpFN値。腫瘍の進行が遅い群と速い群におけるpFN値は、各々372μg/ml、287μg/mlであり、有意差を認めた。よって、pFN値と腫瘍の進行、予後との関連性が示唆された。3)各種治療に於けるpFN値の変動。化学療法中は7例中3例でpFN値の低下(50〜180μg/ml)を認めた。少数例ではあるが、温熱療法、放射線療法、IFN療法では変動はみられなかった。2.担癌マウスにおけるpFN値。移行上皮癌、腎細胞癌、乳癌細胞株をヌ-ドマウスに皮下移植し、pFN値を測定した。1)各細胞株による差はなかった。2)controlのpFN値は712μg/ml、移植後2、4、9、14週では各々652、844、902、730μg/mlであり多少の変動はみられるものの有意差はなかった。転移の有無、悪液質状態の有無によっても差はなかった。マウスの場合測定値のばらつきが大きく、その原因として、FN測定キットがロットによりFN活性に差があり、マウスでは検体量が限られ複数回の測定ができない場合があった事、血清に近い検体があった事などがあげられる。これが、臨床例との相違の一つの要因であろう。今後は測定法の改良、他のパラメ-タ-を加えての総合的な検討が必要である。3.温熱療法について。継代した膀胱癌細胞において、至適温度における生存細胞数は加温前の10^<ー1>前後で熱感受性はあると思われた。ヌ-ドマウス移植腫瘍に対するTHERMOTRON・RF・I.Vを用いたRF加温実験では、マウスの死亡等により複数回の加温が困難であり、今後の課題と思われた。
著者
武井 典子 藤本 篤士 木本 恵美子 竹中 彰治 福島 正義 奥瀬 敏之 岩久 正明 石川 正夫 高田 康二
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.384-396, 2009-03-31 (Released:2011-02-25)
参考文献数
25
被引用文献数
3

近年, 軽度の要介護高齢者の増加が厚生労働省より指摘され, 平成18年度の介護保険制度の改正では, 介護予防として口腔機能の向上が位置づけられた。また, 平成20年度の「後期高齢者医療制度」では, 食べる・話す・笑う機能を低下させないために「口腔機能の評価と管理」が位置づけられた。しかし, どちらも総合的な評価法や具体的な管理方法は, 社会科学的施策として確立されていない。このような現状から, 著者らは, 自立から要介護までのすべての高齢者のための介護状態の予防・軽減, QOLの向上などを目指した安全で有効な口腔機能の評価と管理のシステムの開発を試行し, 広く社会科学的に合理的な施策として実現すべく検討を試みてきた。今回はその第1報として, 自立高齢者を対象に, 口腔機能の総合的な検査法, その結果に基づいた改善法, その実施の有効性についての評価法を試行検討した。対象者は, 札幌市の某ケアハウスに入所している自立高齢者91名である。口腔機能を総合的に評価するために, 口腔の周り, 口腔の入り口 (咀嚼), 口腔の奥 (嚥下), 口腔の清潔度の4つのカテゴリーに分けて行った。その結果を活用して改善法を提案・実施・評価を行った。その結果, 咀嚼力の判定, 唾液湿潤度検査, 反復唾液嚥下テスト, オーラルデイアドコキネシス, カンジダ検査が有意に改善したことにより, 今回試作したシステムは, 自立高齢者の口腔機能の評価と向上に役立つ可能性が示唆された。
著者
近藤 暁子 藤本 悦子 山口 知香枝 松田 麗子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大腿骨近位部骨折で手術を受けた患者のアウトカムに影響している看護援助として、早期離床を促す声掛けを行っていた場合は合併症の発生率が低く、荷重の許可が出た後、荷重をかけることの必要性の説明や、荷重をかけるよう声掛けを行っていた場合は、退院時の歩行能力のみならず、術後 3 カ月後の歩行能力が高かった。看護師がリハビリテーションにかかわることで、患者のアウトカムを向上させることができる可能性が示唆された
著者
中村 浩之 藤本 三喜夫 宮本 勝也 中井 志郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.320-323, 2008 (Released:2008-10-02)
参考文献数
21

症例は14歳の男性.平成18年6月より腹痛,嘔気,嘔吐を主訴に近医受診.腸重積症と診断されたため,加療目的のため当院へ紹介された.腹部は平坦,軟で,右下腹部に腫瘤を触知したが,下血を認めなかった.腹部造影CT上,回盲部腸重積症の所見であった.注腸による整復を試みたが,不成功のため,緊急手術を施行した.腹腔内を検索したところ,盲腸および上行結腸は後腹膜への固定が不十分であった.回腸が約10cmの長さにわたって上行結腸に重積しており,Hutchinson手技で用手的に整復した.同部位に腫瘤,癒着,捻れなどはなく,血行障害も認めなかった.術後4日目の下部消化管内視鏡検査で回腸末端にリンパ濾胞の過形成を認めるのみであった.回盲部および上行結腸の固定不全という広義のmalrotationとintussusceptionとの合併はWaugh's syndromeといわれ,稀な病態である.
著者
藤本 繁夫 吉川 貴仁
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

肥満者における最終糖化産物(AGEs)の血液中での形成・集積状態と種々の運動・食事介入を行ったさいの同成分の変化を若年から中高年の幅広い年代で観察した。主として血清CML濃度は一日歩数の増加や体脂肪量の減量に伴い減少した。肥満者における生活指導は生体内AGE成分を減少させ、動脈硬化性疾患を予防できる有効なプログラムとなり得る可能性を示唆した。
著者
具 承桓 藤本 隆宏
出版者
日本経済国際共同センター
巻号頁・発行日
2000-06

本研究の目的は、自動車部品産業を中心に情報技術の導入、特に3次元CADなどのデジタル技術の導入が製品開発プロセス、特に設計、試作、コミュニケーションなどにどのような影響を与えるのか、部品(製品)のタイプによってどのような違いがあるのか、等々を分析し、サプライヤーにとって、より効率的な製品開発を進めるために要求されるマネジメント能力は何かについて考察することにある。本研究で扱うデータは、1999年3月に、日本自動車部品工業会に登録されている1次自動車部品メーカーに対してアンケート調査を行い、回答を得た153社からのものである。それと並行してインタビュー調査も行った。まず、日本の自動車部品産業への3次元CADシステムの導入傾向を見ると、85-90年に36.91%、91-95年に58.37%、そして96-99年に85.91%と導入率が増加していた。このような傾向は、カー・メーカーの導入時期より5年くらいのタイムラグをおいて導入された。つまり、カー・メーカーの導入以降、90年代に入ってからサプライヤーの本格的な導入があったと言える。また、部品別に見ると構造的に部品間の干渉問題が多い車体部品などを中心に先に導入された。3次元CADの導入が製品開発にどのようなインパクトを与えるのかについては、3次元CADの利用、システム間の互換性、オンライン率と開発活動(コミュニケーションの頻度、試作レビューの回数)、リードタイムとの間の関係を分析してみた。その結果は以下の通りである。(1)サプライヤーの製品開発への3次元CADの利用は、カー・メーカーのシステムの互換性とオンライン化の増加と連動している。(2)3次元CADの利用の増加は必ずしもコミュニケーションの頻度の減少をもたらさない、むしろ増加させる傾向が見られる。(3)製品開発における3次元CADは設計試作や量産試作の減少、リードタイムの短縮に影響を与える。しかし、その効果は製品(部品)によって異なる。例えば、最近の変化を見ると、電装部品は開発への3次元CADの利用、オンライン率と互換性の増加によって、試作レビューがより確実になり、開発期間の短縮につながる、という効果が車体部品の場合よりも顕著だと考えられる。それは車体部品より、相対的に機能的・構造的な調整が容易であるという電装品の製品特性ゆえに、CADの利用は試作の回数の削減、ひいては開発期間の短縮に繋がっていると考えられる。一方、3次元CADの使用と関連して自動車部品メーカーが直面している問題は、3次元CAD自体の技術的な問題とマネジメント上の問題がある。まず技術的な問題としては、(1)ハードウェアや通信回線の負荷が大きすぎること、(2)ユーザーインターフェースや細かな機能に改善の余地が多くあること、(3)2次元図面に慣れた技術者がソリッドモデラーを扱うには障壁があることなどが挙げられる。マネジメント上の問題は(1)取引先(カー・メーカー)によって異なるシステムの採用による参入障壁、(2)エンジニアに対する体系的な教育の不足による技術的な不具合い、(3)エンジニアの無駄な作業の増加に対する管理が挙げられる。要するに、製品開発への3次元CADの利用はデザイン試作や量産試作の回数を減らし、開発リードタイムを短縮などの様々なインパクトを与えるが、部品の特性によってその効果は異なり、異なるマネジメントが必要とされるだろう。また、自動車部品産業では3次元CADの導入によって組織間のコミュニケーションの頻度を必ずしも減少させるとは限らない。むしろ、日本の開発パターンの特徴である、対面的なコミュニケーションは依然として重要である。部品と車全体とをマッチさせるという問題を本当に解決するには、製品開発プロセスと技術の統合的な管理が必要なのである。
著者
伊賀崎 伴彦 藤本 真樹 水野 敬 村山 伸樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.598, pp.79-85, 2001-01-19

3音節から成る2種類の肉声(抑揚あり/なし)と3種類の合成音声を作り、被験者に意味のある単語と意味のない単語を聞かせ、事象関連電位P650/P800を用いてそれらの音声の聞きやすさを評価した。その結果、聞きやすい音声を聞かせたときの方が聞きにくい音声を聞かせたときよりもP650/P800の潜時が有意に短くなり、聞きやすさとP650/P800の振幅も相関する傾向があった。
著者
山縣 弘忠 藤本 光宏 中川 明
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-39, 1976-03-01

EMS浸漬処理後に種子胚中に残留するEMSの効果ならびにこの効果に対する水洗温度の影響を知るために,水稲品種銀坊主ならびに銀坊主に由来するアルビナヘテロ系統の気乾種子を,種々の温度条件下(0℃〜30℃)でEMS溶液(0.8%または0.9%)に浸漬したのち,それぞれ異なる水温条件(10℃〜40℃)で水洗を行ない,処理当代における障害,体細胞突然変異出現率ならびに次代における葉緑,出穂日および稈長に関する変異体出現率について水洗温度の効果を検討した。銀坊主種子のEMS処理当代の障害および次代における突然変異出現率は,水洗温度の上昇にともなって急激に増加した。またこのような水洗温度の効果は浸漬処理温度の上昇によっても増大することが認められた。つぎに,アルビナヘテロ系統種子のEMS処理当代植物における体細胞突然変異の出現率についても,上記銀坊主種子処理の場合と同じ水洗温度効果が認められ,とくに葉緑突然変異体出現率とはまったく傾向が一致していた。このことから,突然変異誘起効果の早期判定にはアルビナヘテロ系統の利用が有効と推論された。銀坊主種子,アルビナヘテロ系統種子いずれの場合も,水洗温度の効果は,浸漬処理温度の効果には及ばぬまでもかなり大きいものであり,したがってEMS処理に際しては水洗時における環境要因,とくに温度の制御に十分留意する必要があると考えられる。
著者
藤本 麻里子 竹下 秀子
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.61-71, 2007-12-25
被引用文献数
1

本研究は,ニホンザル成体メス間のグルーミングが持続する要因を明らかにすることを目的とした。餌付け群である嵐山E群の成体メス10個体を対象に,個体追跡法により,グルーミングの開始から終了までを時系列に沿って観察した。その結果,グルーミングの開始から終了まで観察できた大半のエピソードで役割交代がなかった。一方,役割交代の回数が増えると持続時間が長くなる傾向があった。役割交代が何度も起こったエピソードでは,血縁個体間ではグルーマーがグルーミングをやめて,相手にお返しのグルーミングを催促して交代するやり方が二者間で連続して起こった。非血縁個体間では,グルーマーがグルーミングをやめる前に,グルーミーが自主的に相手にグルーミングしようとして交代するやり方が二者間で連続して起こった。ニホンザルは相手が血縁個体か非血縁個体かによって,役割交代時の行動を変化させていることが示唆された。
著者
塚原 照臣 岡野 和弘 江口 尚 塚原 嘉子 津田 洋子 漆畑 一寿 藤本 圭作 野見山 哲生
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-109, 2011-02

目的:SAHS健康診断を受診した労働者のRDIと肥満度および眠気の自覚症状についての関連について調べることを目的とした。方法:スクリーニング機器としてSD 101を用い、1泊の検査によって1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数であるRDIを測定した。RDIとエプワース眠気尺度(ESS)を用いて、RDIの値と日中の眠気の自覚症状についてその関連を検証した。さらにRDIとBMI、年齢との関連についてロジスティック回帰分析を用いて検証した。結果:解析対象146名の平均年齢± 標準偏差は47.0±10.0歳、BMIの平均値± 標準偏差は23.7±3.6(kg/m2)であった。15≦ RDIは18名、その有病率は全体で12.3%、いずれも男性であった。15≦ RDIの18名のうち、日中の眠気が強いと判定するESSの得点11点以上のものは1名であった。RDIに寄与する因子についてのロジスティック回帰分析の結果、BMI<25群に比し、BMI≧25群では年齢調整後のオッズ比が3.69(1.22 11.15)と有意であった。考察:男性のRDIの有病率は既存報告よりもやや高く、肥満度(BMI)がRDIに寄与していた。RDIの値と眠気の自覚症状は一致せず、SAHSのスクリーニング検査を行う際には客観的な手法を用いることが不可欠である。結果の評価時には、特に肥満に焦点を当てた健康管理対策を職域において展開することが公衆衛生上重要である。
著者
宮本 拓也 藤本 真紀子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.445-447, 2005-12-28

国立情報学研究所の「学術雑誌公開支援事業」により電子化されました。本文の著者名は誤植。(誤)藤本真紀子 (正)藤本真記子
著者
藤本 真記子 坂江 千寿子 佐藤 真由美 上泉 和子 角濱 春美 福井 幸子 木村 恵美子 小山 敦代 杉若 裕子 秋庭 由佳
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.321-329, 2005-12-28

看護における新しい考え方、方法の普及速度に差が見られることから、普及に関する影響要因を検討する目的で、全国47都道府県から規模別に抽出し、調査協力が得られた141施設の看護部責任者及び各施設10名のスタッフに質問紙調査を行った。看護部責任者、スタッフそれぞれに質問紙を作成し、個人の属性、施設の状況に加え、革新性(知的興味、上司の姿勢など普及に影響すると考えられるもの)に関する質問に4段階の尺度で回答を得、返送された看護部責任者の有効回答124部、ナースの有効回答886部を対象に、属性と革新性との関係を分析した。その結果、看護部責任者で、「新しいことを取り入れ広める時、チームや委員会を組織する」「リーダークラスの看護師に根拠を説明する」「学会や看護協会などの情報を活用する」などで平均得点が高く、「降格人事をしている」が低かった。スタッフは、「研修の参加者は、内容を伝達し広める使命がある」「病棟では協力体制がある」「病棟責任者は積極的に研修を勧める」などで、低い項目は、「新しいことを取り入れるのは提案者が誰かによる」「新しいものを受け入れにくい理由として『時間がとれない』『面倒だ』と感じることがある」「病棟責任者は『トラブルは引き受けるから』という姿勢である」などであった。属性との関係では、「研修伝達の使命感」は、学会・研修参加回数、講読雑誌数が多い群が高く、20代が低かった。「面倒、時間がない」は、高い年代の群がやや高かったが、全体として低い点数であり、研修伝達と同様、看護者としての使命感が強く自覚されているのではないかと考えられた。学会・研修会、雑誌など、情報へのアクセスと革新性の関連が確認でき、これを普及にうまく活用していくことの重要性が示唆された。