著者
藤本 悦子 今本 喜久子 小林 宏光 今井 美和 有田 広美 大島 千佳
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

高齢者の睡眠を援助することを目的に、高吸水性樹脂を使ったホットパックを作成した。この用具は入浴に比べ簡便に実施できる特徴を持つ。深部温を一旦あげ、次いで低下させるが、この変動時に睡眠が誘導される。実際に施設入所の高齢者に実施したところ、夜間の睡眠の質が向上した(睡眠潜時と中途覚醒の減少)。特に、日頃から不眠を訴える群で、その効果は大きい。この用具を使った睡眠援助のための看護プログラムを作成した。
著者
白石 建雄 新井 房夫 藤本 幸雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.21-27, 1992
被引用文献数
4 10

秋田県男鹿半島の上部更新統潟西層から阿蘇4火砕流 (Aso-4pfl) および三瓶木次軽石 (SK) 由来の漂流軽石と阿蘇4火山灰 (Aso-4) が発見された. SK漂流軽石は模式地の潟西層最上部付近に含まれ, Aso-4pfl由来の漂流軽石はAso-4直上に存在する. このことにより, 潟西層は関東地方の下末吉層より新しく, ほぼ小原台期に対比されること, ならびにSKおよびAso-4が堆積した7~9万年前には日本海を北上する海流があったことが明らかになった. また, 男鹿半島で下末吉層相当層と下末吉段丘に対比される段丘を確定することがこれからの課題となった.
著者
藤本 猛
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度の研究目的は、(1)北宋末・徽宗朝における政治状況の研究と、(2)皇帝の詔獄制度に関する研究の二つであった。まず(1)に関しては、多くの準備が調ったあと突然中止された徽宗朝の封禅計画について考察した。結果その政治的背景には、国家の礼制をめぐる徽宗と蔡京の考えの違いが存在していた。徽宗にとってすでに価値を見いださない封禅儀礼を、逆に蔡京が強行しようとしたことから、徽宗は目指すべき政権像が異なってしまっていることを痛感し、蔡京への政権委付の可能性を放棄したのだった。よってこの封禅計画の中止は、徽宗即位以来、断続的に続いてきた蔡京政権との訣別を象徴する出来事であった。(2)については、北宋後半の陳正彙の獄にっいて検討した。その結果、制度外の制度と言える詔獄は、非常に高度な政治判断を含んでおり、そのような詔獄の理解には、一般的な制度的側面と、当時いかなる政治状況であったかという政治的側面との両方からアプローチしなければならないことを指摘した。さらに、これまでの宋代「君主独裁制」についての研究を総括し、著書としてまとめた。従来の宋代「君主独裁制」は、皇帝が政治的主体性を放棄し、これを士大夫ら科挙官僚に委ねる「士大夫政治」と表裏一体の制度であり、皇帝は受動的君主であった。これが第六代神宗のときには、神宗がみずから政治的主体性を発揮し、前面に出て新法政策を継続した。これは「君主独裁制」ではなく「皇帝親政」体制であった。以降の君主は、宋初太宗に始まる「祖宗の法」を受け継ぐのか、神宗の「親政」体制を受け継ぐ(「紹述」)のかの選択を迫られた。そこに登場したのが徽宗であった。徽宗はやがて新法政策を「紹述」することを目指し、それは結局、皇帝「親政」体制への移行を探るということを意味していた。したがって徽宗朝の研究こそが、宋代「君主独裁制」研究のために重要であることを指摘した。
著者
藤本實也著
出版者
片倉製絲紡績株式會社
巻号頁・発行日
1943
著者
寺谷 美雪 神白 和正 比留間 潔 奥山 美樹 藤田 浩 香西 康司 浅香 祐幸 前田 かおり 國友 由紀子 山本 恵美 高田 裕子 五十嵐 朋子 鳥海 彩子 矢澤 百合香 森口 真理子 藤本 昌子 二木 由里
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.679-686, 2010 (Released:2011-01-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

【背景・目的】赤血球濃厚液(RCC),血小板濃厚液(PC),新鮮凍結血漿(FFP)などの輸血用血液製剤(輸血用血液)は献血者の人体の一部であり,とりわけ有効利用が求められるが,一定量が有効期限切れで廃棄されているのが現状である.廃棄血を減少させるため有効期限内で別の患者に転用する努力が行われているが,一病院の中では限界がある.そこで,われわれは病院間で輸血用血液を転用し,有効利用する方法(病院間有効利用)を検討し,実施したので報告する. 【方法】東京都が運営する7病院が本研究に参加した.まず,7病院において有効期限切れが原因で廃棄となる輸血用血液の量を調査した(平成17年1~7月).その後,平成19年9~12月の間に各病院で有効期限切れが切迫している輸血用血液の情報をインターネットメールで毎日,定時に発信し,使用できる病院があれば,その病院に搬送し輸血に用いた.搬送にあたっては血液製剤搬送用温度安定剤を用い,温度を管理しながら搬送した.搬送後の品質を管理するため,温度と外観,搬送時間などを評価し記録に残した. 【結果】平成19年9~12月の間に,RCC 18本,PC 1本,FFP 4本の輸血用血液が病院間で有効利用された.その期間のRCCの廃棄率は1.06%で,H19年度の病院間有効利用を行わなかった期間の廃棄率1.78%と比較し明らかに低かった. 【結論】輸血用血液の廃棄量を減少させるために期限切れの前に他の病院で利用することは有効であり,今後,多くの病院間で試みる意義があると思われた.
著者
播磨 真志 中野 龍平 山本 貴司 小松 英雄 藤本 欣司 北野 欣信 久保 康隆 稲葉 昭次 富田 栄一
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.251-257, 2001-03-15
被引用文献数
12 10

カキ'刀根早生'のハウス栽培果実の脱渋後の軟化発生の実態について調査し, その要因について検討した.1. 無脱渋, 樹上脱渋およびCTSD脱渋処理果実の日持ち性について検討したところ, 収穫日を基準とした果実の軟化様相には差がなかった.2. '刀根早生'ハウス栽培6園におけるCTSD脱渋後の軟化の発生は, 園地により大きな差が認められたが, 各園の軟化発生程度と根群分布, 葉中無機成分含量, 葉の水分ポテンシャルおよび根の呼吸活性には相関は認められなかった.3. 加温時期の異なるハウス栽培および露地栽培果実を経時的に採取しCTSD脱渋後の軟化様相を調査したところ, いずれの栽培法でも未熟な段階で収穫した果実では脱渋後, 急速に軟化した.満開後120日以降に収穫した果実では軟化の発生が一時的に少なくなった.この時期は露地果実では果実生長第II期から第III期への移行する時期と一致していた.4. 鉢植え個体を7∿10月にハウス内に搬入する高温処理は, 収穫後の果実軟化の割合を増加させた.以上より, ハウス栽培'刀根早生'では, 成熟期の高温が果実を「軟化しやすい」生理状態にすると考えられた.
著者
中川 大介 山口 恵介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.350-361, 2001-07-25
被引用文献数
2 4

近年, コンピュータグラフィックスにおいて非写実的なレンダリング法の研究が盛んに行われている. 本論文では, 挿し絵やテクニカルイラストレーションなどに用いられているペン画を取り上げ, 与えられた濃淡画像からペン画調画像を生成する手法について提案する. ペン画の基本的な技法には, 線で表す線描法と, 点の集まりで表す点描法がある. 線や点のサイズが表示デバイスの解像度に依存していると, 低解像度のデバイス(モニタなど)では線や点が連結して模様が認識されるアーティファクトの発生がさけられない. 本手法では線描の画像生成に1/fノイズによる揺らぎを与えた平滑化直線と呼ぶ濃度分布を持つ直線を用い, 点描の画像生成に平滑化点と呼ぶ濃度分布を持つ点を用いることでアーティファクトの発生を低減させることできる.
著者
島津 篤 吉村 理湖 藤本 千晴 高橋 綾華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究において、軸索伸長のガイダンス因子として知られていたセマフォリン(Semaphorin; Sema) 3Aは、歯髄組織内および歯槽骨において広く分布していることが判明した。また歯髄細胞自身がSema3Aとその受容体を発現し、その周辺に局在するマクロファージはSema3A受容体のみを発現することが明らかとなり、歯髄細胞が分泌したSema3Aは、自身に対してオートクライン的に、マクロファージに対してはSema3Aを介して直接的あるいは間接的に制御している可能性が明らかとなり、Sema3A発現細胞を制御することによって、マクロファージの作用を制御できる可能性が示唆された。
著者
古在 由秀 黒田 和明 藤本 眞克 坪野 公夫 中村 卓史 神田 展行 齊藤 芳男
出版者
国立天文台
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
1995

人類がまだ果たしていない重力波検出を実現して「重力波天文学」を創成するためには、巨大なレーザー干渉計を長時間安定にかつ超高感度で動かす技術を開発する必要がある。本研究では基線長300mの高感度レーザー干渉計(TAMA300)を開発・製作し観測運転を試み、(1)世界の同様な干渉計計画に先駆けてTAMA300の運転開始(1999年夏)、(2)世界最高感度の更新(2000年夏)、(3)50日間で1000時間以上の観測データ取得(2001年夏)、(4)リサイクリング動作の成功(2002年1月)など、着々と感度と安定度を向上させ、重力波観測装置としての成熟を示す成果を挙げた。さらに干渉計の建設過程で行われた要素技術の開発研究でも、(5)単一周波数連続10W発振の高出力・超高安定レーザー実現、(6)広い面で均一で低損失な超高性能ミラーの評価法の確立とミラーの実現、(7)リサイクリングを適用した干渉計の新しい制御方式の発明と実験的証明、(8)位相変調光を透過する光共振器での付加雑音の原因究明と抑制、(9)波面検出法による長基線光共振器の光軸制御の実現、(10)光共振器の基線長の絶対値計測法の考案・実測と地球物理学への応用可能性示唆、(11)プロトタイプ干渉計を用いたリサイクリング動作の世界初の実証など、世界初や世界最高レベルの独創的で発展性のある成果がいくつも生まれた。本研究をさらに発展させるべく平成14年度より特定領域研究(重力波の新展開)が始まり、TAMA300のさらなる感度と安定度向上を図りながら、外国で動き出す巨大レーザー干渉計との同時観測によって銀河系周辺で発生する重力波の探査観測を行う計画である。
著者
藤本 貴之 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.47-52, 2002-10-25
被引用文献数
1

本論文では、単調な選曲作業に陥りがちなDJという演奏様式に対し、DJ機器をソフトウェア化し、利用音源をレコードやCDからデータとすることで、DJのオリジナリティを発揮させ、ひいてはそのクリエイテビティをも支援するシステムについて論じ、そのプロトタイプを紹介する.また、単に既存のハード機器をソフトウェア化するのではなく、ツールをソフトウェア化することや音源をデータ化することの意味についても検討し、データとソフトウェアと言う形式において強化拡張されるDJのクリエイティビティについても提案する.This paper describes a system that augments creativity of a DJ(DiscJockey) who tends a mere "song selector".We introduce a prototype system that is not a simple replacement for the ordinary hardware-DJ-system by software. We illustrate meanings of implementation of the DJ-system as software, not as hardware. Additionary, we also discuss how the combination of the software-DJ-system and digital music data can augment the DJ's creativity.