著者
川崎 近太郎 近藤 雅臣 永納 秀男 永山 富雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.241-247, 1968-06-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

市販ねり製品, めん製品に高濃度の過酸化水素が残留するものがかなりあることが判明した. これらの食品に添加された過酸化水素は熱あるいはそしゃくに対してもかなり安定であることから食品中の過酸化水素が生体内に摂取されることが予想された. ラットの発育におよぼす過酸化水素の影響を21日間連続直接投与により検討した結果0.6mg/100gでは体重増加, 臓器重量にほとんど影響が認められなかった. 大腸菌, ブドウ球菌, 腸炎ビブリオに対する殺菌効果を検討した結果, いずれの菌種にも高度の殺菌性を示したが, とくに腸炎ビブリオには強力な殺菌性を示した.
著者
近藤 克則 太田 正
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.129-133, 1997-02-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
18
被引用文献数
14 4

発症後第14病日以内(中央値第1.5病日)に入院した初発脳卒中患者20人の下肢筋断面積をCTを用いて経時的に計測した.(1)「全介助群」で入院2週後の両側大腿,下腿筋断面積は,入院時の79~86%(両側大腿,下腿各々の平均80%,84%)と有意に減少し,4週時に69~79%,8週時に62~72%まで萎縮した.(2)「早期歩行自立群」では,2週時で96~100%と断面積を維持していた.(3)両群の「中間群」では,2週時に89~95%と有意に減少したが,8週時には入院時の94~99%(入院時と有意差なし)まで回復した.早期リハビリテーション患者でも廃用性筋萎縮は見られ,麻痺側でも十分な訓練により筋肥大をきたすが,回復には歩行訓練開始までの期間の3倍以上の長期間かかることが示唆された.
著者
武者小路 公秀 宣 元錫 華 立 早尾 貴紀 小倉 利丸 羽後 静子 野田 真里 梶村 美紀 松原 弘子 鈴木 江理子 塩原 良和 金 敬黙 佐竹 眞明 近藤 敦 浜 邦彦
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、グローバル移住の女性化が進む日本と韓国両国の移住者コミュニティにおける人間の不安全状況とこれに対応する移住者自身と市民社会のサポーターの活動において、ヴェトナムとフィリッピンを送り出し国として進められた。その結果、移住女性が直面する公共圏と親密圏における諸問題の性格、特に、移住先と故郷との双方を生活圏とする新しい公共、新しい市民像の形成を目指す移住市民との協力活動の重要性が確認された。
著者
中村 美香 近藤 浩子 岩永 喜久子 今井 裕子 杉田 歩美 須川 美枝子 永井 弥生
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.279-288, 2016-11-01 (Released:2017-01-18)
参考文献数
35
被引用文献数
5 6

【目 的】 看護職がインシデント・アクシデントを繰り返し起こす要因を明らかにする. 【方 法】 インシデント・アクシデントに関する先行研究の質問項目を参考にして, 質問紙を作成した. 急性期病院1施設の看護職689名に対して, 無記名自記式質問紙調査を実施した. 対象者を6か月間のインシデント・アクシデントの頻度によって3群 (0回, 1~2回, 3回以上) に分け, インシデント・アクシデントに関連する質問の項目平均得点を比較した. 【結 果】 有効回答は461名 (有効回答率92.9%) であった. 「不安・緊張」, 「混乱」, 「抑うつ」, 「従順な性格特性」, 「判断力の不足」, 「連携不足」, 「過酷な勤務状況」, 「業務多忙」の8項目の項目平均得点は, インシデント・アクシデントが3回以上の群が有意に高かった (p<0.05~0.001). 【結 語】 看護職のインシデント・アクシデントの頻度は, これらの8項目と関連していた. よって, これらの項目はインシデント・アクシデントのリスクを把握するスクリーニング項目として活用可能であることが示唆された.
著者
小林 周平 陳 昱儒 井手 一茂 花里 真道 辻 大士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.235-242, 2023-04-15 (Released:2023-04-25)
参考文献数
37

目的 高齢者の歩行量を維持・増加させることには多くの健康上望ましい効果が期待できる。しかし,健康日本21(第二次)中間評価では,高齢者の歩数が目標値まで達成できなかったことが報告されている。そのため,従来とは異なるアプローチに建造環境(街路ネットワーク,施設や居住密度,土地利用など人工的に造られる環境)を通じた身体活動量や歩数の維持・増加をもたらすゼロ次予防が注目されている。本研究では,建造環境の1つである生鮮食料品店の変化と歩行時間の変化との関連を明らかにすることを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が27市町の要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した自記式郵送調査データを用いた2016・2019年度の2時点での縦断パネル研究である。目的変数は,歩行時間の2時点の変化(増加あり・なし)とし,説明変数は追跡前後の徒歩圏内にある生鮮食料品(肉,魚,野菜,果物など)が手に入る生鮮食料品店の有無の2時点の変化を5群にカテゴリー化(なし・なし:参照群,なしとわからない・あり,あり・あり,あり・なしとわからない,その他)したものである。調整変数は2016年度の人口統計学的要因,健康行動要因,環境要因,健康要因の計14変数とした。統計分析は,ロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰分析(有意水準5%)で歩行時間の増加なしに対する歩行時間の増加ありとなる累積発生率比(cumulative incidence rate ratio:CIRR)と95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した。分析に使用する全数のうち,無回答者などを欠測として多重代入法で補完した。結果 歩行時間の増加ありが13,400人(20.4%)だった。追跡前後で徒歩圏内の生鮮食料品店の有無の変化が「なし・なし」(6,577人,10.0%)と比較した場合,「なしとわからない・あり」(5,311人,8.1%)のCIRRは1.12(95%CI:1.03-1.21)だった。結論 徒歩圏内の生鮮食料品店が増加していた者で,高齢者の歩行時間が増加した者の発生が12%多かった。暮らしているだけで歩行量が増える建造環境の社会実装を目指す手がかりを得られたと考える。
著者
竹内 寛貴 井手 一茂 林 尊弘 阿部 紀之 中込 敦士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-088, (Released:2023-06-08)
参考文献数
61

目的 健康寿命延伸プランの主要3分野の1つに,高齢者のフレイル対策が掲げられ,その1つとして社会参加の活用が期待されている。しかし,これまでの先行研究では,社会参加の種類や数とフレイル発症との関連を縦断的に検証した報告はない。本研究では,大規模縦断データを用い,社会参加の種類や数とフレイル発生との関連について検証することを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study : JAGES)の2016年度と2019年度のパネル調査データを用いた縦断研究である。2016年度(ベースライン時点)と2019年度(追跡時)のJAGES調査に回答した高齢者から,ベースライン時点の日常生活動作の非自立者と無回答者,フレイル(基本チェックリスト8点以上/25点)とフレイル判定不能者などを除いた,28市町59,545人を分析対象とした。目的変数は追跡時のフレイル発症とし,説明変数はベースライン時点の9種類の社会参加の種類と数を用いた。調整変数には,ベースライン時点の性,年齢,等価所得,教育歴,婚姻,家族構成,就労,プレフレイル(基本チェックリスト4~7点/25点)の有無,喫煙,飲酒,都市度の11変数を用いた。多重代入法により欠損値を補完し,ポアソン回帰分析を用いて社会参加とフレイル発症との関連を検証した。結果 追跡時のフレイル発症は6,431人(10.8%)であった。多重代入法後(最小64,212人,最大64,287人)の分析の結果,老人クラブを除く8種類の社会参加先である介護予防(Risk Ratio: 0.91),収入のある仕事(0.90),ボランティア(0.87),自治会(0.87),学習・教養(0.87),特技・経験の伝達(0.85),趣味(0.81),スポーツ(0.80)で,フレイル発症リスクが有意に低かった。さらに,社会参加数が多い人ほどフレイル発症リスクが有意に低かった(P for trend <0.001)。結論 社会参加とフレイル発症リスクとの関連を検証した結果,ベースライン時点で8種類の社会参加をしている人,社会参加数が多い人ほど3年後のフレイル発症リスクが低かった。健康寿命延伸に向けたフレイル対策の一環とし,社会参加の促進が有用であることが示唆された。
著者
太田 俊也 塚谷 秀範 根津 定満 柏尾 栄 近藤 正 山田 泰博 田中 郁夫 今林 泰
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.17, no.35, pp.171-176, 2011-02-20 (Released:2011-02-18)
参考文献数
2

For the central stations in big cities that serve regional area, it is impossible to discontinue the railway operations and difficult to transfer the railway tracks. The passengers’ safety and convenience need to be secured at first in order to start the development of the stations. This paper describes the case of JR Hakata Station project which solved such issues in the large central station development which were restricted by urban conditions, using various structural methods and techniques.
著者
丁 育華 近藤 光男 村上 幸二郎 大西 賢和 渡辺 公次郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.13-18, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
18

近年、我が国では人口減少、超高齢社会を迎える時代にあり、コンパクトシティの構築が要求されている。その中、都心居住の促進は今後の都市づくりに貢献すると考えられる。本研究は、高齢者を考慮し、徒歩で暮らせる都心居住空間を創出するため、都市施設に対する重要度および都市施設までの移動距離に対する満足率に着目し、住民の視点から都市施設に基づく居住環境を評価するための評価指標、および評価モデルを作成した。そして、作成した評価モデルを地方都市に適用し、現状の居住環境を評価した。その結果、都心に近い地点の方が高く評価されていることが判明した。
著者
久保 のぞみ 最上 晴太 万代 昌紀 近藤 英治
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.243-250, 2021 (Released:2021-09-06)
参考文献数
43

出生児の細菌叢形成は,母体細菌叢,胎生期の環境,分娩方法などに影響される.さらに抗生剤の使用,食事,母乳栄養,環境など出生後の因子が児の細菌叢をかたち作る.児の細菌叢は免疫系の形成に深くかかわり,正常な細菌叢が形成されない場合,喘息,炎症性腸疾患,自己免疫疾患などの発症リスクを増加させる.近年,新生児の正常な細菌叢の形成を目的とした,母体の腟分泌物の新生児への移植などが試みられ,アレルギー疾患などの新たな予防法として期待されている.
著者
大谷英雄・堀口貞茲・浦野洋吉・徳橋和明・岩阪雅二・近藤重雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.96-98, 1988-04-15 (Released:2017-10-31)

内径100mm,高さ100mmの円筒型容器を用いてホスフィンの爆発限界を測定した.点火にはニクロ ム線に直流電流を流して溶断する方法を使用した. 酸素濃度を約21.5vol%に固定してホスフィン濃度を大きくすると,1.61vo1%から圧力が発生するようになった.約1.71vol%までは発生圧力は徐々に上昇し,その後急激に上昇,約1.9vol%を超えると再び濃度による圧力の変化は少なくなった。発生圧力の小さいところでは容器内の混合気の一部しか反応していない、ただし,1.61vo1%以下でもニクロム線近傍では反応が起こったものと考えられるが,圧力上昇は観察されなかったことから,1.61vol%以上ではある程度火炎が伝播し・たものと考えられる。窒素濃度を変化させた実験などから,空気中の爆発下限界は1.6vol%である.
著者
金 剛元 三上 浩司 伊藤 彰教 近藤 邦雄
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.11-20, 2011 (Released:2017-08-01)
参考文献数
15

韓国や日本ではマンガの特性を活かした創作手法の提案や制作工程の効率化が強く望まれている.特にマンガのストーリー構成とネーム制作手法の提案がマンガの質の向上と制作の効率化のために重要である.この課題を解決するために,本研究ではストーリーマンガ制作のための段階的なネーム構成支援手法を提案することを目的とする.このために,まず,ストーリー制作の初期段階からネーム制作段階までを分析し,その制作手順を明らかにする.そして,ストーリーとネームの構成要素を用いて,段階的なストーリー構成とネーム構成手法を提案する.さらにこの提案手法で用いる効率的な制作情報管理のためのシーン設定テンプレートとページ設定支援テンプレートを考案する.最後に,本研究の提案手法とテンプレートを用い,マンガ制作実験を行った.その結果,本手法の有効性が確認できた.
著者
近藤 しずき 清水(肖) 金忠
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.281-286, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3

プロバイオティクスによるコレステロール低下などの血中脂質改善作用に関しては, in vitro実験,動物実験およびヒト試験にて多数の報告があった.その作用機序としてコレステロールの菌体への吸着や脱抱合型胆汁酸との共沈による吸収抑制,ビフィズス菌や乳酸菌の持つ胆汁酸脱抱合酵素の作用による胆汁酸排泄促進および,腸管において産生される短鎖脂肪酸によるコレステロール合成抑制などが考えられている.ヒト試験において,特に高い胆汁酸脱抱合酵素活性を持つビフィズス菌や乳酸菌による改善作用が多く報告されている一方,一部の乳酸菌について効果は認められない報告も散見され,プロバイオティクスによる血中脂質改善効果について更なる検証が必要である.また,近年,腸内細菌叢と肥満や脂質代謝の関係についても急速に研究が進んでおり,今後の発展が注目される.
著者
近藤 有希子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.058-077, 2019 (Released:2019-09-04)
参考文献数
47

本論では、虐殺後のルワンダにおいて、和解し統合されたシティズンシップを創り出す装置として、虐殺記念週間におこなわれる集会や虐殺生存者基金に着目して、そのなかで方向づけられる人びとの倫理的な応答のあり方を検討する。それらの装置は、凄惨な紛争によって分断された人びとを等しく「ルワンダ人」として包摂する試みのもとに適用されてきた。他方で、そのとき形成される「国家の歴史」においては、トゥチだけを「生存者」、つまり「真のシティズン」として認定し、フトゥを一様に「加害者」、つまり「二級のシティズン」として位置づける効果を孕んでいる。そこでは愛する者の死を悼み、自身の壮絶な体験を嘆くことができるか否かという点で、格差をともなう承認の配置がおこなわれており、人びとの感情が規律化される事態が生じていた。 このような状況下にあって、村のなかには「トゥチの生存者」というカテゴリーに依拠して、その生存を確保させる者もいる。彼女たちの哀悼は、公的な場においてしばしば「国家の歴史」に一致した、およそ流暢な語りのなかに見出される。他方で、村に暮らす大半の人びとが虐殺時にはなんらかの脅威に曝されており、善悪に二分できない「灰色の領域」にあった。このような「国家の歴史」にはあてはまらない経験を生きる者たちの、決して語り慣れることのない発話は、かれらが代替不可能な個別の記憶とともに生き延びようとするときに現出している。 このとき地域社会のモラリティは、多くの者がみずからの経験に対して「言葉をもたない」ことにおいて開示されていた。なぜなら、統制されえない身体化された記憶、「語りえなさ」の発露としての情動こそが、体験の一般化を拒否する沈黙の作用とも重なりながら、個々人のかけがえのない経験を感知して、それに付随する痛みへの想像力の回路を開くからである。ここに、避けがたくともに生きる人びとの倫理的な応答性が導かれていた。