著者
濱田 宏 木村 健一 遠藤 恵美子 福井 明 藤田 喜久 高折 益彦
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.471-479, 1991-07-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
23

局所麻酔薬に添加した血管収縮薬が脊椎麻酔の持続時間に及ぼす効果を検討した.下肢の予定手術患者を対象に,ネオペルカミンS単独群(C群),エピネフリン0.1mgおよび0.2mg添加群(E1群,E2群),ノルエピネフリン0.1mg添加群(NE群)に分けた.最高レベルより2椎体,4椎体低下する時間(分)はE1群でそれぞれ平均120分,178分,E2群でそれぞれ145分,191分,NE群でそれぞれ142分,180分で,ともにC群の95分,135分より有意に延長していた.しかし,E1,E2,NE群の間に有意差を認めなかった.NEがEより勝る利点を見出すことはできなかったが,NEの添加でも有意な延長効果を認めた.
著者
遠藤 利彦
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.25-30, 2016-10-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
29
被引用文献数
2

Recently there have been accumulating evidences on the mechanism of some emotions supporting human sociality. In this essay, firstly, I point out that humankind’s ultimate strength is the higher and sophisticated sociality. And then, on the basis of recent trends of socio-emotional psychology and behavioral economics, I discuss the function of some emotions as estimator and/or coordinator of the balance of interests and welfares between self and others. Additionally, I mention the nature of shame, sensitizing us to others’ social “eyes” and orienting us towards moral conducts.
著者
小美濃 幸司 遠藤 広晴 種本 勝二 白戸 宏明 澤 貢 武居 泰 斎藤 寛之
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.126-134, 2009-04-15 (Released:2010-10-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

定常風が立っている人へ及ぼす力学的影響について調べるため,大型低騒音風洞で被験者に風を当て,姿勢保持限界風速等を測定した.姿勢を保持できない被験者の割合は,特定の風速を超えると急激に増加し,その増加の程度は立つ向きに依存した.身体の抗力は風速の2乗に比例し,姿勢を傾けないと立っていられない風速は,風下向きで16 m/s,横向きで19 m/sであった.列車駅通過時の風であると想定した場合に「許容できない」とした被験者の割合も同様に風速に伴って増加した.簡易な剛体人体モデルを仮定し,定常風について姿勢保持限界風速を推定したところ,推定値は実測値より小さくなった.一方,既報の一過性変動風データについては推定値と実測値とがよく対応することがわかり,定常風よりも一過性変動風のほうが剛体に近い動きとなると考えられた.
著者
遠藤 織枝
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.180-197, 2022-12-31 (Released:2022-12-31)
参考文献数
5

東北大学入学から卒業までの寿岳章子の暮らしと思惟を、当時章子が家郷に送った手紙と日記から読み取る。1年生の章子は、大学の講義も演習も語学授業もすべてに興味を抱き、貪欲に学んだ。戦争末期の2年生は学徒動員で明け暮れた。最終学年の3年生は多くの古典文献を読み、室町時代の助詞をテーマに自他ともに認める質の高い卒論を書き上げた。この時期は「女は無知」、「目立たないコツコツした仕事が女の学問にふさわしい」などと言っていて、当時の女性劣位の思想からまだ解放されていない。
著者
島 由樹 河相 安彦 郡司 敦子 遠藤 弘康 久山 佳代 山本 浩嗣
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.68-73, 2007-12-30 (Released:2010-02-25)
参考文献数
30

本報告では, 自傷行為によって生じた歯肉外傷の1例を示す。症例は54歳女性であり, 統合失調症と診断されている。唇側付着歯肉に限局した複数の潰瘍形成が認められた。他の口腔粘膜に病変は認めなかった。問診により過度なブラッシングが確認されたことから, 本症例は歯ブラシの誤用が原因で生じた歯肉外傷と診断された。患者には適切な口腔衛生指導を行い, 1週間後には歯肉症状の寛解が認められた。
著者
遠藤 平仁
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1037-1041, 2015-11-15

はじめに 心外膜炎・心囊液貯留は比較的頻度の高い膠原病の合併症である.特に全身性エリテマトーデス(SLE),全身性強皮症(SSc)は合併頻度が高い.他の膠原病でも稀であるが合併の症例の報告がある(表1)1〜3).心外膜炎は胸痛など臨床症状を伴う症候性急性心外膜炎のことを指すが,症状はないが画像検査で確認され,心囊液貯留が3カ月以上認められる無症候性慢性心外膜炎も合併することがある1,2).特に心臓超音波検査が普及し症状のない症例でも心囊液貯留が診断され,むしろ慢性症例が多いと考えられる.このような症例ではウイルスなどの感染や悪性腫瘍の転移など様々な原因の鑑別診断が必要になる1).また軽症例の急性心外膜炎と心囊液貯留は自然軽快することがある.欧米の報告では胸痛などの自覚症状があり救急部を受診するのは約5%程度である.死亡率は約1.1%であり心筋炎を併発し重症不整脈や心不全で死亡している2).膠原病に合併した心外膜炎・心囊液貯留は他の病態によるものを除外診断し,各疾患の疾患活動性の評価により治療方針を決める.各膠原病の疾患ごとに胸膜炎の病態形成が異なるため治療,特にステロイド療法の適応について相違点があることに注意する必要がある.特にSScとSLEや他の膠原病合併例は対応が異なる(表2).
著者
今野 香奈子 佐藤 かよ 門馬 一悦 遠藤 伸也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.11-15, 2009 (Released:2009-02-17)
参考文献数
8

当施設において,車椅子の座奥行きが利用者にどれだけ適合しているのか調査した。そして,不適合者に対して座奥行きをウレタンマットで狭小化させるシーティングを行った。方法は当施設を利用している19名の女性を対象とし,シーティング前後の骨盤前傾角度と,対象者の座り心地をVAS(Visual Analogue Scale)を用いて点数化し比較した。その結果,骨盤前傾角度,VAS共にシーティング前後で有意に差があり,座位姿勢と座り心地が改善することが分かった。
著者
浅野 由ミ 上北 尚正 河西 恭子 遠藤 秀紀 山田 格 佐分 作久良 山内 啓太郎 東條 英昭 名取 正彦 舘 鄰
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.351-362, 1999-10-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
34

絶滅種や稀少種の機能遺伝子を解析することは,遺伝子資源の保全や進化学的研究の見地から重要な課題である.本研究は,毛皮あるいは剥製標本の表皮から効率的にゲノムDNAを抽出する方法を開発し,絶滅種や稀少種の機能遺伝子を解析することを最終的な目的として行ったものである.一般に,絶滅種や希少種の剥製•毛皮標本は数も少く,貴重であるので,DNA抽出のような,破壊的解析のための材料を入手することは,困難な場合が多い.従来報告されている古代DNAの抽出法では,いずれも,抽出のために比較的大きな標本片を用いており,少量の標品しか入手できない場合には適用できない.本研究では,特に,原材料となる剥製や毛皮標本の形をできるだけ損傷しないことに留意し,約1mm角の毛皮断片からゲノムDNAを効率よく抽出する方法の確立と,PCR解析を行うための条件の検討を行った.また,本研究で確立した方法を用いて,製作年次の異なる食肉目動物毛皮標本から回収したゲノムDNAをテンプレートとして,歯のエナメル質タンパク質をコードしているアメロゲニン遺伝子断片の回収と塩基配列の解析を試みた.結果の一部として,モンゴルオオカミの毛皮標本から抽出したゲノムDNAのアメロゲニン遺伝子の配列の一部を解読することができたので,イヌ(ゴールデンリトリーバー)の血液から抽出したゲノムDNAのアメロゲニン遺伝子の配列と比較したところ,モンゴルオオカミとイヌの配列は100%一致したが,イヌの品種間,あるいは個体差による配列の多型が存在する可能性もある。イヌ,オオカミのアメロゲニン遺伝子の塩基配列は従来報告が無く,部分的ではあるが配列が決定されたのは本論文が始めてである.イヌとオオカミの種間の違い,および,イヌの品種間の多型については,今後,さらに検討が必要である.
著者
板倉 弘明 山田 晃正 古妻 康之 松山 仁 遠藤 俊治 池永 雅一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1445-1451, 2020 (Released:2021-02-26)
参考文献数
31

目的:われわれは,皮下埋没型中心静脈ポートをエコーガイド下に鎖骨下静脈または腋窩静脈を穿刺して留置してきたが,カテーテルの筋間断裂を経験し,小胸筋経由が一因と推察した.そこで,筋間断裂例の臨床的特徴を明らかにするために検討を行った.方法: 2013~2017年にCVポートを造設した269例(鎖骨下静脈または腋窩静脈穿刺)のうち,留置後にCTを撮像した199例を対象とした.筋間断裂群(4例)と非断裂群(195例)で患者背景因子と小胸筋経由の有無,刺入点,血管描出法などについて検討した.結果:単変量解析において,小胸筋経由例(P =0.002)と,穿刺部の皮下脂肪が厚い症例(P =0.002)が有意差をもって筋間断裂を多く認めた.考察:カテーテルの筋間断裂への小胸筋と皮下脂肪厚の関与が示唆された.小胸筋経由の回避には,橈側皮静脈の腋窩静脈への合流部より中枢側での穿刺が有用である.結論:カテーテル穿刺前の解剖把握が重要である.
著者
遠藤 伸太郎 矢野 康介 大石 和男
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.657-672, 2022 (Released:2022-08-17)
参考文献数
48
被引用文献数
1

Restrictions on going out due to the novel coronavirus (COVID-19) pandemic have caused various psychological problems in many Japanese elementary school students, such as stress, anxiety, fear, helplessness, and anger. In this context, promotion of nature experience activities has been advocated, and have been reported to improve mental health. In addition, since a decrease in daily physical activity/exercise level is reportedly associated with a deterioration in mental health, the level of physical activity/exercise should be taken into account when evaluating the effects of nature experience activities. The purpose of this study was to examine the longitudinal effects of nature experience activities on the mental health of elementary school children during the COVID-19 pandemic, taking into consideration the daily level of physical activity/exercise. The participants were 130 fifth and sixth grade elementary school students (60 boys and 70 girls). The survey was conducted at 3 time points: just before the nature experience (pre-survey), just after the experience (post-survey), and 1 month after the experience (follow-up survey). Participants were asked to complete a questionnaire that assessed: 1) the degree of anxiety and limitation of activities related to COVID-19, 2) daily exercise level (hours), 3) social support level, 4) mental health level, 5) content of experiences in nature experience activities, 6) stress level. The participants were divided into high- and low-exercise groups according to their median scores. In the high-physical activity group, the pre-survey anger score (a component of mental health) was significantly higher than the scores for the post- and follow-up surveys. In addition, the self-confidence score (a component of mental health) for the postand follow-up surveys were significantly increased from the pre-measurement score, regardless of exercise hours. Therefore, it was shown that nature experience activities, while considering the influence of daily exercise, may be important for retaining calmness and confidence in daily life, even during the COVID-19 pandemic. However, there was no significant relationship between mental health and the content of nature experience activities. Therefore, it will be necessary to examine such content, which is closely connected with improvement in mental health.
著者
生駒 俊和 浅井 孝夫 遠藤 和男 土屋 康雄
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.760-765, 2018-10-25 (Released:2018-10-27)
参考文献数
22

インド北部のガンジス川流域は胆嚢がん多発地域である。しかし,その発症機序は十分に解明されていない。本研究の目的は,ガンジス川流域の住民が日常的に飲食に使用している水の汚染状況を調査し,胆嚢がん発症要因解明の手掛かりを得ることである。2017年9月,インド北部のバナラシ市に滞在中に,市内のガンジス河の河川水,公共水道水(1カ所),公共井戸水(2カ所),及びバナラシ市内及び近郊の胆嚢がん患者宅の井戸水(4カ所)を採取した。簡易水質検査法により10項目(鉛,細菌,農薬,鉄,銅,硝酸塩,亜硝酸塩,塩素,pH,硬度)の水質検査を行い,各々の結果を我が国における水道水質基準と比較した。水道水質基準を超えていた項目は,細菌,鉄,硝酸性窒素であった。細菌は,患者宅の井戸水3カ所で,鉄は,水道水,公共井戸水2カ所,患者宅井戸水2カ所で基準値以上を示した。硝酸性窒素は,市内井戸水1カ所で基準値より高値を示した。鉛,農薬,銅,亜硝酸性窒素,塩素,pH,硬度の値は全て基準範囲内であった。今回の調査で,患者宅の井戸水は細菌汚染(75%,3/4)と鉄の濃度が高い(50%,2/4)ことが判明した。細菌感染が胆嚢がん発症と関係していることが報告されていることから,患者宅井戸水を汚染している細菌種についての詳細な検討が必要である。
著者
遠藤 真遊 前野 隆司 森川 利哉 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.449-452, 2012-11-20 (Released:2013-02-20)
参考文献数
14

石鹸で洗った皮膚の手触りとその摩擦物性を評価する方法を開発した。被験者に石鹸を塗布し硬水ですすいだウレタン製人工皮膚の手触りを評価して貰った。このとき,指の動きと皮膚と人工皮膚の間に加わる摩擦に基づいて各石鹸の手触りの違いを説明した。本研究の成果は新しい身体洗浄料を設計・開発するうえで有用である。
著者
中村 仁美 玉井 克人 冨松 拓治 遠藤 誠之 味村 和哉
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

現在の不妊治療の治療効率を向上するためには現在ブラックボックスである受け入れ側の子宮の着床能を前方視的に評価しその周期ごとの治療方針に反映させなければならない。これまでの我々の研究において、ヒトでは排卵期前に子宮内膜の電気生理学的パラメータを測定する事でその周期の子宮内膜の受容能が前方視的に評価できる事を明らかにした。本研究では、この物質的基盤を明らかにするために月経による子宮内膜の再生機構について、マウスモデルを用いて基礎研究を行う。将来的に、電気生理学的評価の物質的基盤を検討する事でヒト子宮の着床能を前方視的に評価する装置システムの精度の向上だけでなく、治療への応用をめざす。
著者
内藤 大河 山川 武 遠藤 広光
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.139-143, 2017-11-25 (Released:2018-06-19)
参考文献数
12

A single specimen [226 mm in standard length (SL)] of a haemulid fish collected from Iriomote-jima Island, Okinawa Prefecture, Japan, in 2012, was identified as Diagramma melanacrum Johnson and Randall, 2001, characterized by the following combination of characters: third dorsal-fin spine longest; first dorsal-fin spine length 45 % of second dorsal-fin spine length; pelvic-fin length 23.9 % SL; 57 lateral-line scales; and dorsal 3/4 of caudal fin yellow with many dark spots, and pelvic, anal and remainder of caudal fin black when fresh. The species has been recorded previously from the Philippines, Malaysia, Indonesia (Kalimantan and Bali to West Papua), the Timor Sea and Japan (Miyako-jima and Ishigaki-jima Islands, Okinawa). However, because both Japanese records were based on photographs, the Iriomote-jima Island specimen represents the first reliable, specimen-based record of D. melanacrum from Japan, an extension of its known northernmost range. The new standard Japanese name “Hireguro-korodai” is proposed for the species.
著者
遠藤 由美
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.134-145, 2008 (Released:2008-03-19)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

関係者に対し共通した効果をもたらすような状況を共有状況と呼ぶ。人は時に,そのような共有状況が他者よりも自分に対してより強く影響すると判断する。本研究では,このような判断バイアスが自己中心性に由来するものか,もしそうであるなら,それは比較判断過程においてどのように作用するかを検討した。研究1では,大学生を対象とした試験に関する共有状況についての実験において,直接法による自己の相対順位判断で判断バイアスが認められ,他者にとっての有利・不利よりも自分への影響に注目する傾向がみられた。研究2においては,自己・他者への影響の絶対判断ではどちらも同程度とみなし均衡していたが,直接相対判断では自分により大きく影響するという判断バイアスが認められた。また,自己と他者に対して各状況の影響があると判断した後に直接法により相対順位への影響を判断する場合は,バイアスの大きさは縮小するが,なおも有意な効果が認められた。このような結果に対して,共有状況についての社会的比較判断をおこなう際に,自己中心性がはたしている役割の観点から考察が加えられた。
著者
中尾 雄太 大西 英雄 遠藤 優有美 城本 修 村中 博幸
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.146-154, 2014 (Released:2014-05-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

われわれは,音刺激への注意喚起における脳賦活領域を同定するために,fMRI(functional magnetic resonance imaging)を用いて,「聴く」と「聞く」における脳賦活領域を定量的に比較検討した.さらに,自作したソフトウェアを用いてMR画像の賦活領域の体積を算出し,各領域における賦活程度を比較した.聴覚障害を認めない健常成人12名(男性5名,女性7名)に対して,男性話者と女性話者の単音節聴取課題,雑音下聴取課題を行った.その結果,音刺激へ注意を喚起すると,前頭前野,縁上野,帯状回が賦活することが示唆された.また,同性話者より異性話者の声に注意を喚起したほうの脳活動が活発になると示唆された.
著者
河相 優子 白井 亮洋 角田 正也 井手上 公太郎 末吉 健志 遠藤 達郎 久本 秀明
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.125-131, 2021-03-05 (Released:2021-04-19)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本研究では,インクジェットプリンティングを用いて一つのポリジメチルシロキサン(Poly(dimethylsiloxane), PDMS)製マイクロ流路内に2種類の反応試薬を固定化した1ステップ均一系競合型バイオアッセイマイクロデバイスを開発した.インクジェットプリンターは試薬をナノリットルサイズの液滴として正確な量を位置選択的に吐出するため,互いに反応する2種類の試薬を混ざることなく微少空間内に独立して固定化できる.そのため,先行研究でデバイスを作製する際に課題となった,相互に反応する試薬を固定化した二つのマイクロ流路を精密に組み合わせる操作が不要となる.本研究ではその一例として,ビオチン固定化酸化グラフェン(BG)と蛍光標識ストレプトアビジン(F-SA)を1本のマイクロ流路内に固定してビオチンアッセイマイクロデバイスを試作し,基礎検討として試薬の固定化位置や試薬及び添加剤種の評価を行った.その結果,液滴を流路壁面寄りに吐出すると再現性よく流路底面の両サイドに試薬固定できること,添加剤としてトレハロースが適すること及び,試料導入操作のみでの1ステップ検出で,検出下限は0.68 ng mL−1となり,先行研究と比較して約1/600倍改善することを明らかにした.