著者
遠藤 由美
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.150-167, 2000
被引用文献数
1 1

自尊感情は心理学におけるもっとも重要な概念の一つでありながら, これまで自尊感情とは何かという議論はあまりおこなわれてこなかった。本稿では, これまで明示的に示されることがほとんどなかった自尊感情に関する従来の考え方を探り, 伝統的な「自己」が現実世界の社会的状況や人間関係性から切り離され過ぎていたという問題点を指摘した。次に, 最近提唱されつつある自尊感情への生態学的・対人的視点をとったアプローチを紹介し, これまで整合性のある説明を与えられなかった点について, 新たな観点から議論した。最後に, 今後の研究課題と意義を提唱した。
著者
中矢 大輝 遠藤 慎 佐鳥 新 吉田 功 三枝 信 伊藤 那知 加納 正城
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.99-101, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

発症初期における大腸癌の識別は,医師による定性的な判断により行われる.本研究では,北里大学の協力のもと,初期の4段階に分類された大腸癌のうち最も識別が困難であるとされる高度異形成と癌細胞の識別をハイパースペクトルカメラにより計測し,機械学習を用いて解析を行った.使用したハイパースペクトルカメラは,北海道衛星株式会社が開発したHSC1702である.分類に用いた手法は,K近傍法,サポートベクターマシーン,ランダムフォレストである.前処理として,細胞核より抽出されたハイパースペクトルデータを主成分分析により次元削減した.第三主成分までを考慮して3手法をトレーニングを行い予測させた結果,1100以上のサンプルに対し,K近傍法では96.0%,サポートベクターマシーンでは98.1%,そしてランダムフォレストでは98.2%の精度を得た.

22 0 0 0 OA 小学記簿法

著者
遠藤宗義 編
出版者
山梨県師範学校
巻号頁・発行日
1878
著者
遠藤 毅
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.785-801, 2004-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13
被引用文献数
20 15

The Tone River which has the largest river basin in Japan rises in Mt. Oominakamiyama in the northern part of Gunma Prefecture. It runs down south to Maebashi City, and changes course to the east, then discharges into the Kashimanada Sea at Choshi City in Chiba Prefecture. It, however, used to flow south near Kurihashi Town in Saitama Prefecture, which lies mid-way between Maebashi and Chosi, and flowed in to Tokyo Bay. This rerouting was achieved by the work of the Tokugawa Bakufu in 1654. Before rerouting, the estuary had been in the northern part of the present Sumida Ward, the eastern part of Tokyo. In the estuary area, which corresponds to the Kohtoh region, consisting of Sumida and Koto Wards and the eastern part of Edogawa Ward at present, the sea was shallow and a lot of sand bars scattered over. The Kohtoh region naturally had favorable conditions for reclamation.When Ieyasu Tokugawa entered Edo Castle in 1590, the environs of the castle were limited, because the east side of the castle faced to an inlet called Hibiya Irie, and the other sides were surrounded by rough plateaus. Topographically the site was good for a fortress but too small to make a town and farming estate. Soon after his settlement, Hibiya Irie was reclaimed to build a town for warriors and citizens, and the Onagi cannel was excavated in the shallow sea which spread on the east of the Edo City for transporting food and salt. The soil dredged from the Onagi channel was used for filling the northern part of the channel. It was the first reclamation work in the Koto sea region. Since then reclaiming works have continued in the Koto sea region, which used to be the estuary of the Tone River. A lot of land has been reclaimed due to garbage disposal in the city since 1655.In the Tokyo Bay area, about 2, 700 ha was had reclaimed during the Edo era period over 270 years, and about 6, 000 ha from Meiji Era to the present over about 140 years. As a result of those reclamation works, the sea area of the Koto region has been replaced by man-made lands, with the exception of some ship routes.
著者
遠藤 秀紀 山崎 剛史 森 健人 工藤 光平 小薮 大輔
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.21-25, 2014

ハシビロコウ(<i>Balaeniceps rex</i>)の咽頭腔と舌骨を三次元 CT画像解析により検討した。咽頭と頭側の食道は,左右両側へ著しく拡大していた。巨大な咽頭と頭側の食道,固定されていない柔軟な舌骨,退化した舌が観察された。これらはハシビロコウがその採餌生態に特徴的な大きな食魂を受け止めることを可能にしていると考えられた。ハシビロコウの咽頭腔領域の構造は,大きな食塊を消化管へ通過させる柔軟な憩室として機能していることが示唆された。また,舌骨,口腔,咽頭腔,頭側の食道腔に左右非対称性が観察された。この非対称性もハシビロコウが大きな魚体を嚥下することに寄与している可能性がある。
著者
佐藤 郁哉 川嶋 太津夫 遠藤 貴宏
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

2017年度は特に、2014年に英国で実施された研究評価事業であるReserach Excellence Framework(REF 2014)を踏まえた制度の改訂点とそれが大学機関の対応行動に与えた影響に焦点をあてて分析を進めた。あわせて、英国の研究評価制度を重要なモデルにしながらも独自の発展を遂げてきた豪州の評価制度である、Excellence in Research for Australia(ERA)を第3の検討対象事例として、聞き取りを資料調査による分析をおこなった。REF 2014に関する第三者委員会による検討の結果は、2016年7月にいわゆる「Stern Review」として公表され、その結果を踏まえた次回のREF(REF 2021)における評価制度の大枠は2017年11月に示されることになった。その骨子となる評価対象となる研究者の幅の拡大と1人あたりの業績点数の柔軟化は、いずれも大学側での策略的対応を抑制することを主な目的としていたが、聞き取りや資料調査の結果は、それらの改訂が別種の策略的対応を生み出す可能性を示唆している。豪州のERAについては、英国のREFとは対照的に公的補助金の選択的配分とはほぼ脱連結された評価制度が大学および研究者個人の対応行動ひいては研究の質に与える影響を中心にして検討を進めた。その結果明らかになってきたのは、豪州の場合には、補助金の獲得というよりは、むしろ評価結果が各種大学ランキングへの影響等を介して間接的に授業料収入(とりわけ留学生の授業料)に結びつくという点が大きな意味を持っていることが確認できた。以上の知見は、今後日本で本格的な研究評価がおこなわれる場合の制度設計にとって大きな意味を持つと思われるだけでなく、日英豪の大学の収益モデルについて再考を迫るものだと言える。
著者
高橋 均 荒 このみ 山本 博之 増田 一夫 遠藤 泰生 足立 信彦 村田 雄二郎 外村 大 森山 工
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

戦後、欧米先進諸国に向けて、開発途上国出身の多くの移民が流入し、かれらを文化的に同化することは困難であったため、同化ではなく統合を通じてホスト社会に適応させようとする≪多文化主義≫の実験が各地で行われた。本研究課題はこのような≪多文化主義≫が国際標準となるような≪包摂レジーム≫に近い将来制度化されるかを問うものである。結論として、(1)≪多文化主義≫の背景である移民のエンパワーメントは交通・通信技術の発達とともになお進行中であり、いまだバックラッシュを引き起こす危険を含む。(2)第一世代はトランスナショナル化し、送出国社会と切れず、ホスト社会への適応のニーズを感じない者が増えている。(3)その反面、第二世代はホスト社会の公立学校での社会化により急速に同化し、親子の役割逆転により移民家族は不安定化する。このために、近い将来国際標準的な≪包摂レジーム≫の制度化が起こる可能性は低い。
著者
安西 航 髙橋 洋生 戸田 光彦 遠藤 秀紀
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.45-52, 2017-05-31

小笠原諸島では、固有昆虫を保護するべく、粘着トラップを主としたグリーンアノールの駆除事業が進んでいる。しかし小笠原に生息する集団の基本的な生態はあまり調べられておらず、捕獲の効率化の検討に資する生態学的知見は少ない。本研究では、グリーンアノールの利用する止まり木に着目し、父島と母島の集団間あるいは雌雄間で、利用する微小環境を定量的に比較した。その結果、両島ともに雌雄差がみられ、雌の方が細い枝や根が混み合った微小環境を利用していることがわかった。このことから、効率的に雌を捕獲するには、樹幹や太い枝だけではなく、雌が好むような微小環境にもトラップを設置することが有効と考えられる。
著者
遠藤 敦士 今田 康大 竹井 仁
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.67-74, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】表面筋電図を用いて,非荷重位および荷重位での中殿筋の3 線維(前・中・後部線維)の作用を比較することを目的とした。【方法】対象は健常成人男性20 名とし,非荷重位の課題では,股関節外旋運動と内旋運動時の筋活動を計測した。荷重位の課題は,左片脚立位での右側骨盤への抵抗(抵抗なし,外転,外旋,外転かつ外旋,内旋,外転かつ内旋)に対する左側の静止性収縮とし,各条件での筋活動を計測した。【結果】非荷重位の内旋運動では前部線維が,外旋運動では後部線維が最も高い活動を示した。荷重位では外旋条件のみ,後部線維が前部線維と比較して高い活動を示した。また後部線維の筋活動は条件間で有意差はなかった。【結論】中殿筋各線維は非荷重位・荷重位ともに,運動方向により異なる作用を有することが示された。一方荷重位での後部線維は,運動方向によらず一定に活動することが明らかとなった。
著者
遠藤 利彦
巻号頁・発行日
2017-03

第1部 非認知能力についての研究動向・・・・・・・・・・5 第1章 非認知能力をめぐって:本プロジェクト研究の目的と視点・・・・・7 第1節 非認知能力に関する研究動向・・・・・7 第2節 本プロジェクトの研究課題・・・・・9 第3節 本研究の焦点・・・・・10 第4節 本研究の目的1:社会情緒的コンピテンスについての文献調査による知見の整理・・・・・11 第5節 本研究の目的2:社会情緒的コンピテンスについての実証的研究・・・・・13 第6節 本報告書の構成・・・・・13 第2章 「非認知」なるものの発達と教育:その可能性と陥穽を探る・・・・・15 第1節 「非認知」なるものへの刮目の興りと展開・・・・・15 第2節 「IQ神話」への疑い・・・・・16 第3節 「非認知」なるものの教育の可能性を示す論拠の希薄さと新たなエビデンスの必要性・・・・・18 第4節 「非認知」なるものとは何か?・・・・・20 第5節 「非認知」の何をいかに教育のターゲットとするか?・・・・・22 第6節 結びに代えて:「非認知」の絶対的基盤としての基本的信頼感とアタッチメント・・・・・24第2部 社会情緒的コンピテンスの内容と発達に関する文献調査・・・・・29 第1章 乳児期・・・・・31 第1節 標準的な社会情緒的コンピテンスの発達・・・・・32 第2節 社会情緒的発達における個人差とその要因・・・・・45 第3節 アタッチメント・・・・・59 第2章 幼児期・・・・・69 第1節 自己とその制御の発達・・・・・70 第2節 他者と心の理解・・・・・80 第3節 他者との関わり・・・・・89 第3章 児童期・青年期(1)子供の心理特性・・・・・103 第1節 子供の人となりとその規定要因・・・・・104 第2節 子供の自己の発達・・・・・118 第3節 社会的・道徳的感情とその感情特性・・・・・130 第4節 アタッチメント・・・・・150 第5節 ストレスに対処する個人特性・・・・・158 第4章 児童期・青年期(2)教育場面と発達・・・・・167 第1節 教育文脈で育まれるコンピテンス:学習意欲議論と測定・・・・・168 第2節 感情を学ぶ:Emotional Intelligence(EI;感情知性)をめぐって・・・・・177 第3節 コンピテンスを育む教育環境:学級における営み・・・・・196 第4節 コンピテンスを育む教育環境:教科指導以外の教育の営み・・・・・196 第5章 社会情緒的コンピテンスに関する長期縦断研究・・・・・203第3部 日本の子供の社会情緒的コンピテンスについての実証研究・・・・・237 第1章 乳児期・・・・・239 乳児期の社会的コミュニケーション行動の発達 第2章 幼児期・・・・・247 第1節 研究A セルフコントロールの発達・・・・・247 第2節 研究B 幼児期の社会情緒的能力と社会的行動の発達・・・・・251 第3章 児童期・青年期・・・・・257 児童期・青年期における社会情緒的コンピテンスの様相巻末資料・・・・・277 表1 社会情緒的発達の概要・・・・・279 表2 社会情緒的コンピテンスの一覧・・・・・280
著者
遠藤 英子 那須 浩郎 山田 昌功 國木田 大
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

黒海北側に位置するウクライナは、ユーラシア農耕拡散の結節点であるが、確実な考古植物資料が限定的である。本研究では種子同定精度が高いレプリカ法を用いて栽培穀物データを蓄積した。成果として、1.新石器時代資料からは栽培穀物は同定されず、定説である6000年紀を遡る農耕開始は再検討が必要な事。2.金石併用時代には西アジア起源のムギ類の栽培が導入されているが、既報告のキビは本調査では同定されず、再検討が必要である事。3.これまで確実なキビの出現期とされてきたUsatovo文化を含めて、金石併用時代末から青銅器時代中期の遺跡でもキビは検出されず、青銅器時代後期に突如キビが出現する、等を明らかとした。