著者
西山 要一 酒井 龍一 栗田 美由紀 魚島 純一 泉 拓良
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

平成25・26年度も中東情勢は安定せず現地調査を中止した。それに換え25年度はレバノンとイタリアおよび国内の研究者で研究会を開催し研究の経過・成果・課題について報告と討論を行い、26年度は報告書の原稿を執筆した。ブルジュ・アル・シャマリT.01-Ⅰ地下墓は碑文から紀元196/197年にリューシスのために築造され、孔雀・魚・パン・ワイン壺などの壁画から死者の平安を祈る葬送観念、炭素14年代測定、出土遺物の材質分析などの人文科学と自然科学の学際研究によりレバノン古代史を明らかにした。また温度・湿度・微生物など地下墓環境・壁画の修復は文化財保存の論理と技術の移転も行い大きな国際貢献ができた。
著者
北野 勝久 谷口 和成 酒井 道 高木 浩一 浪平 隆男 服部 邦彦
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.19-28, 2008-01-25
被引用文献数
6

近頃の大気圧プラズマ生成技術の進展により,比較的容易,そして安価にプラズマ生成実験が行えるようになってきている.少し前までは,大学の研究室レベルでの研究内容だったが,ハンディー型のプラズマ源が開発され高校の理科教育にまで用いられるなど,大気圧プラズマ研究の裾野は着実に広がりつつある.また,印加電圧波形の制御法に工夫を凝らして,大気圧下で非平衡な低温プラズマを生成する技術も多方面から開発されており,低温プラズマの特徴を生かして熱プラズマでは不可能な高分子表面処理などの研究も精力的に進められている.本章では,簡易に大気圧プラズマを生成できる実施例をいくつか紹介しますが,読者のみなさまに大気圧プラズマに興味を持っていただき,"大気圧プラズマを点けてみよう"と思っていただけると幸いです.
著者
井本 貴之 加藤 千春 横地 隆 吉兼 直文 翠 尚子 別所 祐次 酒井 康子 岩田 全充
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.541-549, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

目的:メタボリックシンドロームのリスク集積を検出する内臓脂肪面積(visceral fat area:VFA)および腹囲の最適カットオフ値を男女別に検討し,VFAと血漿アディポネクチン濃度との関連からその妥当性を確かめること.方法:健康支援センターウェルポにて節目健診を受診した男性:8,470人(47.3±8.2歳),女性:1,626人(47.5±4.7歳)を対象とした.ROC曲線分析により高血圧,脂質異常,高血糖のうち2つ以上の合併を検出するVFAおよび腹囲の最適カットオフ値を男女別に求めた.また,VFAと腹囲の単回帰分析からVFAの最適カットオフ値に対応する腹囲を求めた.対象者のVFAを0cm2から20cm2毎に群別し,各群に属する対象者の血漿アディポネクチン濃度の平均値を多重比較した.結果:ROC曲線分析の結果,VFA・腹囲の最適カットオフ値は男性76.3cm2・84.2cm,女性47.3 cm2・80.5cmであった.また,単回帰分析の結果,VFAの最適カットオフ値に対応する腹囲として男性85.2cm,女性80.1cmが得られた.さらに,VFAについて男性60~80cm2より大,女性40~60cm2より大の群間において血漿アディポネクチン濃度の平均値に有意な差が示されず,それらの値はVFAの最適カットオフ値と近似していた.これはVFAの増大に伴うアディポネクチン分泌の減少に下限が存在する可能性を示唆する.結論:VFA・腹囲の現行基準,特に女性の腹囲基準90cmについては見直す必要がある.
著者
塚田 亨 徳永 千穂 酒井 光昭 南 優子 佐藤 幸夫 榊原 謙
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.743-747, 2014 (Released:2014-04-29)
参考文献数
7

要旨:肺動脈原発腫瘍は極めて稀な疾患であり,未治療の場合は予後1.5 カ月ともいわれる悪性の疾患である.症例は62 歳女性.咳嗽と血痰を主訴に受診.造影CT で肺動脈肉腫と診断,左右肺動脈はほぼ腫瘤に占拠され突然死の可能性が高いと判断し手術適応とした.麻酔導入後に心停止となり,緊急開胸し人工心肺を開始,主肺動脈から右肺動脈に嵌頓した腫瘍を摘出,肺動脈は馬心膜で再建した.左肺気管支の断端の確保も可能であり人工心肺離脱後に左肺全摘を施行し腫瘍を完全に摘出した.病理組織より左肺動脈内膜肉腫と診断,腫瘍断端は陰性であった.術後補助化学療法については明確なプロトコールがないことより選択しなかった.現在術後36 カ月が経過しているが,再発を認めず外来で経過観察中である.左肺動脈原発血管内膜肉腫に対して,肺動脈再建・左肺全摘術を行い術後36 カ月の生存期間を得た.肺動脈原発血管内膜肉腫の予後改善のためには,完全切除をめざした積極的な手術が有効と考えられた.
著者
竹内 俊郎 吉崎 悟朗 酒井 清
出版者
東京水産大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

閉鎖生態環境という1つのモデルの中で、魚類を産卵・ふ化させるとともに、植物・動物プランクトンを用いた系により仔稚魚を飼育し、ひいては継代繁殖を目指す閉鎖型水棲生物複合飼育システム(閉鎖生態系循環式養殖システム、Controled Ecological Recirculating Aquaculture System;CERAS)を開発するための基礎的知見を得ることを目的とした。本研究では閉鎖型飼育システムの設計および製作、水棲生物飼育による水質維持評価実験、植物プランクトンによるティラピアの飼育実験を行い、成長や魚体に及ぼす影響を調べた。その結果、密閉式水槽を用いた実験では、ティラピアを密度20g/Lで17日程度飼育できることが明らかになった。この間、ティラピアの成長は順調であったが、水質の悪化は著しく、とくにアンモニアの増加が顕著であった。この原因としては、濾過槽の能力が魚のアンモニア代謝(排泄)量の6割程度しかなかったためと推察された。飼育日数の経過に伴い、流量の低下も招いた。これは、酸素供給ユニット内での目詰まりによるものであった。今後、ユニットの構造自体の改良が必要であろう。また、pHも6を下回る傾向を示し、この低下はアンモニアの分解能力を低下させることになる。次に、植物プランクトンとして今回はスピルリナを用いティラピアの飼育実験を行ったところ、ティラピアの成長は市販飼料区が優れていたが、乾燥スピルリナのみでも十分に生育させられることが分かった。また、6週間程度の飼育で魚体脂質中の脂肪酸組成が大きく変動することが明らかになった。本研究により密閉型循環式魚類飼育装置の開発に関する基礎的知見が得られるとともに、水棲生物の食物連鎖の一端を確立する目途が立つなど、CERAS構築に向けた萌芽的研究が遂行できた。
著者
栗山 裕司 山崎 裕司 坂上 昇 酒井 寿美 大倉 三洋 山本 双一 中屋 久長
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-6, 2003-03-31
被引用文献数
1

固定用ベルトを装着したハンドヘルドダイナモメーター(HHD)による等尺性膝伸展筋力測定方法の座位姿勢間再現性について,健常者20名を対象に検討した.測定は,プラットホーム端座位,車椅子座位,介護用ベッド端座位,背もたれ付きパイプ椅子座位の4つの異なる座位にて実施した.異なる座位姿勢における等尺性膝伸展筋力測定値に関して,パイプ椅子座位は,プラットホーム端座位,介護用ベッド端座位および車椅子座位との比較において有意に低値を示した.また,各座位姿勢間の級内相関係数は,プラットホーム端座位と車椅子座位間およびプラットホーム端座位と介護用ベッド端座位間で高値を示し,良好な座位姿勢間再現性を示した.一方,パイプ椅子座位と他の座位姿勢間では,低値を示した.今回の結果から固定用ベルトを装着したHHDによる等尺性膝伸展筋力測定に際し,パイプ椅子座位での測定は避けるべきであるが,介護用ベッドや車椅子での測定が可能で,病棟や在宅など広い範囲での使用も可能なことが示唆された.
著者
酒井 知彦 島津 高英 筑摩 顯太郎 谷野 満 松尾 宗次
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.70, no.15, pp.2049-2056, 1984-11-01
被引用文献数
3

There are a few reports that Cu sulfides precipitate with the addition of Cu in the grain-oriented silicon steel, but the precipitates of Cu sulfides have not yet been well observed Thus, the observation of the precipitation of Cu sulfides is performed and the metallurgical effects of Cu addition on the grain-oriented silicon steel are studied. (1) With the addition of small amount of Cu, fine particles of (Cu, Mn) _<1.8>S (size 200&acd;500Å) precipitate and inhibition effects of normal grain-growth are enhanced. The distribution of Cu sulfides in hot rolled sheets provides beneficial geometrical situation to grow sharp Goss grains selectively during the secondary recrystallization. (2) In the texture at the subsurface of hot rolled sheets, {110}(001) grains are increased, and after decarburization, {554}<225^^-> and {110}<001> grainsare increased, on the other hand {100}<001> grains are decreased. These make secondary recrystallization easy. (3) When small amount of Cu is added and cold rolling reduction is increased from 55% to 65%, there are improvements of magnetic properties of grain-oriented silicon steel.
著者
野中 尋史 小林 暁雄 坂地 泰紀 鈴木 佑輔 酒井 浩之 増山 繁
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

特許文書中に出現する効果に相当する語(効果語)と技術要素に相当する語(技術語)を軸としてマッピングした「効果ー技術型パテントマップ」は、知財戦略や研究戦略の策定等で重要な役割を果たす。本研究では、効果語と技術語を特許文書中から自動的に抽出し、さらに、重複した意味を持つ語を統合した上で、「効果ー技術型パテントマップ」を作成する手法を提案する。
著者
渡辺 優子 酒井 千恵 清水 英世
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.119-121, 2004

The purpose of this study is to examine oxidative degradation of frying oils used in the cooking practice done in July,2004 from May in Gifu City Women's College. The results are as follows. (1) Peroxide Value was 4.49 or less. (2) Acid Value was all 0.5 or less. (3) The frying oils examined this research was confirmed the safe one on food sanitation.
著者
越智 百枝 酒井 由紀子 高尾 良子
出版者
香川大学
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.57-64, 2007-03

研究目的は,断酒会に参加しているアルコール依存症者のどん底体験とそれに至るプロセスを明らかにすることである.方法は質的帰納的研究である.対象は断酒会員10名で,倫理的配慮に基づき研究趣旨を説明し同意を得た.データ収集はどん底体験をテーマにグループインタビユーを行い,収集時間は135分であった.分析は逐語録を意味のある文脈で区切り,類似する意味内容を分類しカテゴリ化した.また得られたカテゴリを対象ごとに時系列に並べ,どん底体験とそれに至るプロセスについて分析した.対象は男性9名と女性1名で,年齢は40〜60歳代,断酒期間は平均5.2年であった.分析の結果,192コード,80サブカテゴリ,40カテゴリ,8コアカテゴリを形成した.対象はどん底体験を出来事として語った.その出来事は,断酒以前は[飲酒の継続による社会生活上の関係性の断絶]と[飲酒の継続による自己概念の揺らぎ]であった.断酒後は,[再飲酒による自分の末路の確信]であった.またどん底体験に至るプロセスは2つのプロセスであった.ひとつは,断酒前に,再飲酒と一時的断酒を繰り返しエスカレートする飲酒の末に,「社会生活上の関係性の断絶」あるいは「自己概念の揺らぎ」によって底をついていた.その体験がどん底体験になる場合は負の感情体験と内省が伴い,それが重要な役割を果たしていると考えられた.もうひとつは,断酒後に,他者の体験に自分の体験を重ね,「再飲酒による自分の末路の確信」をすることで底をついていた.また本研究では新たにどん底体験が断酒後にも見られることが明らかになり,この体験が断酒の継続の維持につながっていた.アルコール依存症者の支援として,治療導入のタイミングを図ることや自己の内省化の促進,断酒会への導入,家族への教育と支援の必要性が示唆された.
著者
酒井 浩
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、ラフ集合理論の概念に基づくデータ解析処理ツールを構築し、アンケートデータ解析への応用を進めた。数値表データに対する多変量解析、特に回帰分析では回帰式により今後の動向を予測する。そして、平均や分散を定義できない数値以外の離散値表データでは回帰式に代わる手法が望まれる。我々は、興味深い含意式(一般にはルールとよばれることが多い)によって離散値表データから今後の動向を予測できると考え、実際の処理ツールの実現を進めた。実際の支援ツールはC言語とProlog言語を利用して記述しており、(A)集合の定義可能性判定ツール、(B)可能同値関係抽出ツール、(C)属性間における依存性判定ツール、(D)被覆度や正確度計算ツール、(E)ルール抽出ツールなどから出発し、種々のプログラムを実現した。また、授業評価アンケートからの興味深い含意式の取り出しも行った。学生による授業の5段階評価では含意式:『教員に好感をもてた⇒5段階評価値は高い』の傾向が認められた。授業における教員の印象は授業の5段階評価に強く影響すると考えられる。本研究の成果は、ラフ集合の概念に基づいて計算機上で処理を実現するための種々のアルゴリズムを提案したこと、さらに提案したアルゴリズムによるプログラム群を作成し、データ解析処理ツールを構築したことである。回帰式と含意式を相互に利用する新たな表データ解析法は今後重要な研究分野になると考えている。
著者
小野 浩己 酒井 孝司 加治屋 亮一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.189, pp.29-38, 2012-12-05

CFDを用いて建築室内の温熱環境解析を行う際には,壁面からの対流熱伝達量を高精度で予測できることが重要である。ところが,一般的な建築室内では壁面近傍の流れは自然対流が支配的であることが多く,広く用いられているレイノルズ平均乱流モデル(RANS)では必ずしも十分な精度が得られないことが報告されている。そこで本研究では,空間フィルタリング乱流モデル(LES)の中でも,より複雑乱流場の予測精度に優れたDynamic LESモデルに着目し,Tianらの自然対流流れ場における実測結果を用いてその精度検証を行った。また,建築分野における実用計算への応用を考え,格子解像度が低下した際の計算結果への影響についても検討を行った。その結果,Dynamic LESモデルが対流熱伝達量の予測に高い精度をもつことを明らかにした。また,格子解像度が低下した際にも,Dynamic LESモデルが他のモデルに比べて実測結果との差異が小さいことを明らかにした。
著者
酒井 昇 福岡 美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

肉や魚を調理する過程においては、加熱されると同時に水分の移動と蒸発、タンパク変性に伴う収縮、さらに呈未成分の変化などが起こり、その過程は極めて複雑であるため、最適な条件を設定することは容易ではない。そこで本研究は、これを支援するために、調理・加工過程で進行する伝熱、それに伴う素材の変化を、定量的に記述するとともに、その結果を、コンピュータを用いて可視化する手法を開発した。具体的な調理としては、ローストビーフおよび焼き魚を取り扱った。ローストビーフ調理においては、反応速度論に基づいて加熱に伴うタンパク質および呈味成分の変化予測と可視化を行った。また、焼き魚過程においては、加熱に伴うタンパク質変性、呈色反応を定量化し、表面温度変化との関係を明らかとした。
著者
酒井 敏 梅谷 和弘 飯澤 功 伊藤 文 小野 耕作 矢島 新 飴村 尚起 森永 修司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.337-351, 2009-05-31

ヒートアイランド現象など都市の熱環境を観測するための多点観測システムを開発した.都市部での観測では設置場所などの制約が大きく,小型軽量の観測機材が求められる.特に,熱的な応答を調べるために必要な放射計は,従来かなり大掛かりで都市部での観測は困難であった.ここでは,気温測定などのための基本的な温度センサに加えて,これらの放射に関するセンサを含め,市販の安価な部品を使って製作し,従来の熱環境を観測するシステムとほぼ同等の精度を有することを示す.