著者
酒井 大輔 持田 讓治 檜山 明彦 中井 知子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

椎間板障害は、脊椎の様々な疾患の原因となる。本研究は線維輪細胞を解析する基礎的研究である。我々はC57BL/6マウス尾椎線維輪由来の細胞培養法を確立した。さらに様々な臓器由来の間葉系幹細胞のマーカーのひとつであるCD146発現に着目し、細胞増殖および分化との関連を検討した。マウス線維輪組織を採取し、酵素処理で得られた細胞を培養、表面マーカーと多分化能を調べるた。その結果、マウス線維輪細胞は培養系で間葉系三系統の多分化能を示した。またCD146陽性線維輪細胞は、低酸素状態、TGFβ-1、R3-IGF1刺激に応じて増大し、線維輪再生に有益な分化の指標であると考えられた。
著者
酒井 智宏
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「文脈から独立した言語的意味」という概念が自然言語の意味論から除去されるべきであることを示した。トートロジー (「猫は猫だ」) 分析で用いられる「等質化」概念 (「どの猫も似たり寄ったりだ」) に見られる理論的混乱は、語 (「猫」) の意味の共有という想定を放棄すれば解消される。矛盾文 (「ねずみを捕らない猫は猫ではない」) に見られる規範性解釈 (「ねずみを捕らない猫は猫と呼ばれるべきではない」) は、複数の異なる言語システムの対立から生じる。
著者
酒井 正明 齋藤 洋典 白石 知子 井藤 寛志
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.433-447, 2009 (Released:2010-09-10)
参考文献数
14

Designers are expected to create beautiful and functional products. Based on a concept of user-friendliness, users expect to understand functions mounted on a product without special knowledge and experience with the manipulation of the designers' real product, while usability of products is measured in terms of users' observation and manipulation. The purpose of this study was to focus on users' observation and to examine whether users can correctly understand functions of a designed product (digital sphygmomanometers), regardless of their medical knowledge, without manipulation. We conducted two experiments to test whether users, regardless of their expert knowledge, elicit high marks in the function-estimation task as well as in the beauty-evaluation task. Two groups of students with or without nursing education were asked to estimate functions and evaluate beauty of two types of digital sphygmomanometer (an old design model and its new model redesigned) based solely on the observation of the products' pictures without manipulating the real products. The results indicated that the two groups of participants showed higher correct responses to the old type than the new type in the function-estimation task, while they showed higher evaluations of the new type than the old type in the beauty-evaluation task. In particular, the results of nursing students in the function-estimation task indicated that medical knowledge in the nursing group did not contribute to the correct estimation of the operation procedure for the new model. These results suggest that designer's efforts for the new model were successful in production of beauty but were not successful in production of perceptive functionality under the present observation condition without manipulation of the real products. We discussed these results based on a framework of co-existence of beauty and functionality in the designers' work.
著者
山岸 智子 鎌田 繁 酒井 啓子 富田 健次 保坂 修司 飯塚 正人
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、これまでのステレオタイプ的なシーア派観はもとより、シーア派が「問題化」する構造を解明するために、構築主義的な観点を導入し、シーア派の哲学思想・宗教実践・社会集団化のコンテクストを分析することを課題とした。研究分担者・研究協力者が会合を持って、これまでの研究を振り返り、自らの研究の取り組みについて議論したのみならず、英国・イラン・アメリカ・アラブ首長国連邦・レバノンから一線級の研究者を招聘して意見交換をし、交流の道を開き、こちらからも10カ国以上に赴いて資料収集・現地調査・研究発表などを行った。こうして得た成果は多岐にわたるが、以下のようにまとめられるだろう。1.多様性:さまざまな例が示され、シーア派とはいっても、その集団としてのありようや位置づけが多様であることが、明らかになった。それは、立場の違い(サラフィーヤ主義者とシーア派信徒)や国・地域の違いのみならず、一つの地域・家族でも状況の変化によるシーア派アイデンティティに変化があることが分かった。2.新しい学問的アプローチ:思想研究に歴史的観点を導入する、「人」という観点から思想の展開や指導者の条件を見直す、思想の中のモチーフの見直し、などアプローチや観点を変えることで、新たな知見を得た。3.ローカルとグローバルのインターフェース:宗派として国民国家のなかに位置づけられる際にも、国際的な力学や国家を越えるネットワークが関連すること、宗派の絆のグローバルな経済活動への活用、信徒や学者の国を越えた移動の実際、などが明らかとなった。4.これまでの研究の空白を埋める:そしてシーア派としての制度・知の再生産にかかわるイスラーム法学者のありさまや教育の実態、宗教的慣行など、十分に解明されてこなかったピックも本研究で考察の対象となり、さまざまな発見があった。
著者
後藤 仁 明石 博臣 酒井 健夫 高島 郁夫 橋本 信夫 品川 森一
出版者
帯広畜産大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

我が国で分離されている代表的なアルボウイルスとして、日本脳炎ウイルス(JEV),ゲタウイルス(GTV),アカバネウイルス(ABV)があげられる。日本脳炎の発生は近年日本では激減しているが、東南アジアではしばしば流行して多数の患者が出ている。GTVは馬に発疹,浮腫を伴う熱性疾患を起こし、ABVは牛の死、流産の原因となり,ともに周期的に流行している。またダニ脳炎ウイルスも分離されているが、その生態学的意義は不明である。本研究では、日本各地の家畜についてウイルス抗体の変動,ウイルス分離,抗原分析などからこれらウイルスの動物間での動向を明らかにしようと試みた。その結果、北海道で収集した馬血清のGTV抗体は道南と道北で抗体保有率が高く、7月〜11月間に本ウイルスの伝播のあったことを明らかにした。一方、1985年6月札幌近郊で豚のJEVによる異常産の発生と媒介蚊の収集成績から自然界におけるJEVの基本的な存続様式に新たな問題を提起した。JEVの全国的動態では、牛の血中抗体を指標とした場合、南部の鹿児島県から北部の岩手県に、4月から9月にかけて抗体陽性牛が漸次北上する傾向を明らかにした。ABV日本分離株10株とオーストラリア分離株2株のフィガプリント法によるRNAの解析では、両国分離株間はもちろん、日本分離株間でも相違がみられ、本ウイルスの変異がかなりの頻度で起こっていることが推定された。このことは単クローン抗体によるウイルス抗原蛋白の分析でも確認され、ABV感染の疫学を解明する上に極めて重要である。次にダニ脳炎ウイルスの根岸株の単クローン抗体による中和反応の機序に関する基礎的研究では、多種類の抗体を混和したとき、本ウイルスの中和活性が著しく増強され、この反応系はmulti-hit modelとなることが示唆され、今後のアルボウイルスの基礎的研究に大いに寄与するものと考えられる。
著者
最上 敏樹 吾郷 眞一 山形 英郎 酒井 啓亘 桐山 孝信 中川 淳司 中谷 和弘 児矢野 マリ 兼原 敦子 坂元 茂樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3年+1年にわたって研究会の開催や協議を通じ、この意欲的な分野の先鞭をつけてきた。とりわけ立憲主義の問題は、わが国ではこの共同研究がきっかけになって活性化したと言っても過言ではなく、わが国学界に最先端の論題を導入し、国際水準の議論ができる基盤を作ったと自負している。それと旧来の機能主義の理論枠組みをどう接合するかについても大きな展望が開けた。
著者
酒井 泰文
出版者
広島県立農業技術センター
雑誌
広島県立農業技術センタ-研究報告 (ISSN:09184848)
巻号頁・発行日
no.76, pp.27-35, 2004-05

広島市安佐南区祇園町・安古市町のシュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)栽培地域で,1979年の初秋に日本で始めてべと病(Peronospora Chrysanthemicoronarii (Sawada) S. Ito et Tokunaga)の発生が確認され,その後1982年にかけて大発生し大きな被害をもたらした。べと病が激発した1980年に現地ほ場を調査した結果,発病程度にほ場間差が認められた。この事実に着目し,ヒロシマナの白さび病(酒井,2004)と同様に抵抗性系統の利用による防除法を検討し,以下の結果を得た。1)べと病の発生が少ない農家の種子を供試し,1981年に農業試験場においてべと病菌の接種条件下で抵抗性の程度を判定した。その結果,べと病に抵抗性を持つ系統の存在を明らかにした。2)接種により発病しなかった抵抗性株を供試し,1982年から1986年にかけて農業試験場において抵抗性系統選抜のための交配をくり返した。その結果,1984年(第3世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜できた。3)各農家においても1982年から抵抗性系統の選抜に取り組んだ。その結果,各農家とも1985年(第4世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜した。4)抵抗性系統の選抜と栽培に取り組んだ結果,現地におけるべと病の発生は1982年から減少し始め,1984年以降,本病による実質的な被害はほとんどみられなくなった。
著者
牟田 健二 馬場 敬之 酒井 孝司 石原 修
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.92, pp.1-9, 2004-01-25

直膨内融式スタティック型氷蓄熱槽は,ダイナミック型に比べて氷充てん率(IPF)を大きくとれるが,IPFはそれでもまだ0.65程度にとどまっている。これはこのシステムでは蓄冷材として市水(添加物を加えていない水)が用いられており,水が凝固する際の体積膨張により管群を破損する危険性があり,実際の製氷運転ではブリッジングが起こる前で製氷を停止しているためである。そこで本研究では,少量の氷点降下剤を添加した水溶液を凝固させると固一液が共存した凝固層ができる性質を利用して蓄冷材に用いることにより,従来の市水を用いる場合より氷充てん率が増加する可能性を検証した。
著者
高橋 克行 森田 裕人 土用下 和之 丸野 要 宮島 伸宜 酒井 滋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.90-93, 2001-01-25 (Released:2009-08-24)
参考文献数
15

われわれは術前CODE療法,放射線療法および温熱療法にて切除しえた正岡分類IVb期の浸潤型胸腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は33歳,女性.右前胸部腫瘤を主訴に来院,精査にて浸潤型胸腺腫,肺転移,縦隔臓器浸潤を伴う正岡分類IVb期の診断にて入院,生検にてthymoma, mixed cellular typeと診断された.術前にCODE療法,放射線療法および温熱療法を施行したところ腫瘍は著明に縮小し,拡大胸腺胸腺腫摘出術を施行.腫瘍は大部分が硝子化していた.
著者
酒井 達雄 中間 好信
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.563, pp.1656-1662, 1993-07-25
被引用文献数
1 1

Many kinds of engineering ceramics have been developed and used as parts of mechanical structures. These ceramics are often used as machine parts which are exposed to elevated temperatures. The strength distribution of those materials significantly depends upon the temperature. In this study, distribution characteristics of the flexural strength for alumina ceramics were examined at the temperatures of room temperature (RT), 800℃, 1000℃ and 1200℃, respectively. Based on the temperature dependence of distribution parameters, the Probability-Strength-Temperature characteristics were quantitatively analysed. An analytical model for the temperature dependence of the strength distribution was finally proposed by introducing the defect sensitivity and its temperature dependence. Analytical results thus obtained were in good agreement with the experimental aspect of the strength distributions.
著者
酒井 たか子 ブッシュネル ケード 山田 亨 柳家 さん喬 亀井 敦郎 菫 然
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

落語は日本独自のユニークな形態を持つ話芸であり、日本文化のエッセンスが凝縮されているが、日本語学習者にとって難しいと敬遠されがちである。日本語学習者の笑いを中心とする理解を明らかにするために、研究材料の作成および理解を分析するための方法を検討した。研究材料は、留学生の聞き手を対象とした約20時間に及ぶ映像、音声を収集した。江戸落語・上方落語、新作落語・古典落語、初級対象・中上級対象とバリエーションを持たせ、映像の編集、文字化を行った。学習者の理解を測るための方法として、会話分析の手法のほか、アンケート、絵による表出などを実施し、その有効性を明らかにした。
著者
遠峰 菊郎 小林 文明 道本 光一郎 緒方 秀明 和田 保徳 郷津 寿夫 酒井 勉
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-22, 1994-01-31
参考文献数
7
被引用文献数
2

3,4時間先の冬季雷予測の可能性を探るために,1992年1月22日から同月24日まで,レーウィンゾンデによる3時間間隔の観測を実施した。観測期間中に雷活動が活発であった時間帯は3回あった。これらの雷活動の中にはいわゆる気団雷も含まれるが,それぞれ熱的に不安定な小領域や小さい収束線が観測された.このことから,これらの小擾乱の存在を確認することができれば,冬季雷の予測はより精度が高まると考えられる.
著者
酒井潔 著
出版者
文芸市場社
巻号頁・発行日
1929
著者
酒井 一臣
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.452-479, 2013-05
著者
酒井 一臣
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.452-479, 2013-05

本稿の目的は、一九二九年に発効した不戦条約にかんする日本国内の諸議論を考察することによって、外交の民主化と国際協調外交の関係を探ることである。不戦条約は国際的平和宣言という性格だったにもかかわらず、日本では、条約中の一節「人民ノ名二於テ」が天皇大権を侵すとの批判がでて政治問題化した。この文言をめぐり、衒学的な不毛な論争が行われたが、条約に実効性がない点、外交の民主化に慎重である点では、意見が一致していた。これに対して、信夫淳平など、条約を高く評価する論者は、「国民外交」すなわち外交の民主化を重視していた。ここに条約をめぐる重大な論点があった。しかし、自衛権の範囲などの論点とともに、外交の民主化についても議論は深まらず、政争の面だけが注目されて、「人民ノ名二於テ」の一節は日本に適用されないとの条件をつけて条約は批准された。結論として、国際協調主義者でさえ、その多くが「国民外交」の問題に背を向けた点が日本外交混迷の一因となっていくことを指摘した。