著者
並木 育夫 目黒 義隆 青木 茂明 入江 一成 野村 知義 斉藤 一重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.338-347, 1997-06-25
参考文献数
9
被引用文献数
21

NTTでは, 21世紀のサービスビジョンVI&P (Visual Intelligent and Personal communication service : 新高度情報通信サービス) を実現するため, 広範囲にわたるNTTの技術を結集して, ネットワークとアプリケーションの総合的な機能確認と技術評価を行うVI&P総合実験を研究所で展開している. 高臨場感マルチメディア通信会議システムは, VI&P総合実験の一環として開発したものであり, まるで同じ部屋にいて対話しているような高い臨場感を実現することがねらいである. 本システムでは, お互いの距離を意識することなく, 3地点間の自然で円滑な対話が可能な会議環境を実現する. このために, 110インチの2連超高精細大画面による等身大の自然な人物映像表示, 発話者の位置までわかる音声, 高品質なHDTV映像伝送, および一体感をかもし出す臨場感の高い会議環境の4要素をインテグレートした. この結果, 遠隔地にいる複数の人物が等身大で, あたかも同じテーブルにいるかのような高い臨場感の会議システムを実現することができた. 本システムによって, 人物の高精細かつ等身大表示, 映像と音像の一致, そして一体感のある会議環境が可能となり, 21世紀に向けた「場」の雰囲気の共有を尊重した新しいコンセプトの通信会議を提案した.
著者
小田桐 恵美 出村 博 出村 黎子 野村 馨 肥塚 直美 成瀬 光栄 鎮目 和夫 田中 芳雄 大内 広子
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.1573-1580, 1981
被引用文献数
3

妊娠により臨床症状の著明な悪化をみ,妊娠中絶により臨床症状の改善をみたCushing症候群の1例を経験した.さらに本例について妊娠に伴うCushing症候群の増悪因子についても,若干の検討を加えたので合わせて報告する.症例は満月様顔貌,全身倦怠感を主訴として来院した28才,主婦.昭和47年尿路結石.昭和49年重症妊娠中毒症にて第1子妊娠中絶.昭和51年第2回妊娠中に主訴が増悪したため入院精査.血漿cortisoi (以下F),尿中遊離Fは共に高く日内変動が無く, dexamethasone大量にても抑制の認められない腺腫型の反応を示した.本例の臨床経過は妊娠2カ月頃より徐々に増悪したと考えられ,妊娠中毒症状も高度のため妊娠5カ月にて中絶術施行.中絶後は血漿,尿中遊離F共に急速に下降し,変動していた血圧も140/100mmHg前後に安定.中絶後cushing症候群の妊娠による増悪因子について検討した.まずHCGは血中hormone動態に変化をきたさなかつたが, estrogenでは血圧の上昇,血漿,尿中遊離Fの軽度上昇が認められた.さらに娩出時の胎盤をPayne法にて抽出したところACTH活性が証明された.本例はACTH反応型腺腫であつたが, estrogenとACTHの同時投与による血漿および尿中遊離Fの相乗的増加は明らかではなかつた.以上より本例の妊娠によるCushlng症候群の増悪因子の一つはestrogenであり,その他胎盤性ACTHや妊娠時の種々のfactorが本例の臨床症状をmodifyしたものと推測された.
著者
野村 理朗 筧 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.503, pp.43-50, 1999-01-18
被引用文献数
7

顔の表情を認知する際、悲しみの表情等では部分情報が重要となり、笑顔では全体情報が重要となることが知られている.本研究では、部分・全体情報を統制した合成顔画像を用いて、不快感情を隠すために表出される「偽りの微笑」の認知における知覚方略を検討した.まず、表情の微笑らしさを判断する際に重要となる情報を明らかにした。次に、微笑カテゴリにおける微笑の真偽判断にはいかなる情報が重要となるか検討した.これらの結果から、微笑らしさには表情の全体的情報が、微笑カテゴリにおける真偽判断では部分の情報が利用されることから、偽りの微笑の認知には部分・全体の両情報が重要となることが示唆された.
著者
野村 朋
出版者
大阪健康福祉短期大学
雑誌
創発 : 大阪健康福祉短期大学紀要 (ISSN:13481576)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.103-110, 2007-03-05

筆者はある保育園の「気になる子ども」の保育実践検討会に定期的に参加し、衝動性が高く、言語による自己調整に課題を持つD児の3歳11か月から6歳4か月の成長の過程を、3・4・5歳児クラスでの2年半の保育実践を通して振り返り、Dを含めた集団保育のあり方を検討した。本稿は検討会での議論をもとに筆者が分析を加えたものである。Dは、友だちとのかかわりを求めているものの、自分の思い通りにならないことがあるとカッとなって暴れてしまう、外界の変化に過敏で不安定になってしまう、といった課題を持っていた。3・4歳児クラスの保育実践において、環境の整理をし、視覚的手がかりを活用するなどの個別的配慮を行った。加えて保育者との安定した人間関係を築いた上で、少人数グループでの取り組みや, Dの得意なことを集団保育に取り入れ、仲間の中での肯定的な自己認識を育てていく中で、5歳児クラスの半ばには、衝動的な傾向は残しつつも自己コントロールしようとする姿が見られるようになった。さらに重要な視点は、保育者がていねいに他者認識を広げ、集団内におけるお互いの思いをつなげる働きかけを重視したクラスづくりをすすめたことである。Dの暴力的な行動の背後にある思いを汲み取れる仲間関係を育てていったことがDの発達的変化と集団内での自己肯定感を保障した。
著者
大熊 康修 細井 徹 野村 靖幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.1, pp.25-31, 2006-01-01

肥満遺伝子産物であるレプチン(leptin)は,摂食抑制作用やエネルギー消費の亢進を惹起して肥満の進展を制御している.このレプチンの作用はOB-Rb受容体とそれに続く転写因子signal transducer and activator of transcription 3(STAT3)の活性化を介しているとされている.一方最近,レプチンは,感染あるいは炎症に関与していることが示唆された.末梢性炎症反応は,interleukin(IL)-1&beta;,IL-6やTNF&alpha;の発現,発熱,睡眠,摂食抑制などを惹起する.これらの脳への伝達経路の一つとして,求心性神経を介する系の存在が示唆されているが,今回求心性迷走神経を直接電気刺激することでその関与について直接の証明を得た.一方,レプチンを静脈内に投与後,脳でIL-1&beta;の発現誘導が認められたことから,末梢性炎症反応時における脳内サイトカイン産生にレプチンが関与している可能性が示唆された.このレプチンの脳内IL-1&beta;誘導作用は求心性迷走神経とは独立した系で誘導すると考えられた.また,<i>db/db</i>マウス(レプチンOb-Rb受容体変異肥満モデルマウス)を用いた解析から,レプチンによる脳内IL-1&beta;の産生はSTAT3活性化非依存的に,ショートアイソフォームレプチン受容体を介して誘導されることが示唆された.さらに,Ob-Rb受容体を介したSTAT3の活性化を指標にレプチンの脳内作用部位を検討した結果,従来から知られている視床下部に加え脳幹部もレプチンの作用点である可能性を示した.最近,platelet-derived growth factor(PDGF)によるSTAT3の活性化にDouble-stranded RNA-activated protein kinase(PKR)が関与していることが報告された.そこで,レプチンOb-Rb受容体の細胞内情報伝達における,PKRの関与の可能性について検討した.PKRの阻害薬2-aminopurine(2-AP)を用いて検討したところ,2-APはPKRを介さずにレプチンの下流のシグナルを抑制した.したがって,PDGFとレプチンではSTAT3活性化の機構が異なること,また,2-APはレプチンなどが関係する一部の癌治療の基礎的資料を提供することが期待された.<br>
著者
中野 学 田治米 純二 野村 俊之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.8, pp.1565-1572, 2012-08-01

本論文は,全停留点の直接計算に基づく一般カメラモデルのPnP問題に対する統一的解法を提案する.提案解法の特徴は,PnP問題を3変数の無制約最適化問題として定式化し,グレブナー基底を用いて全ての停留点を計算することである.目的関数のこう配をゼロとした連立代数方程式は,n3で互いに独立であり,方程式中の項は三次元座標の分布により変化しない.そのため,提案解法は,n=3の場合はP3P問題の複数解,n4の場合は大域的最適解が得られ,平面にも非平面にも適用可能な統一的解法である.また,提案解法の演算量はn点の入力に対し(n)である.n=100に対する平均実行時間は,内点法を用いる従来解法と比較して約14倍高速であることを実験により示す.
著者
藤井 靖彦 鬼塚 初喜 野村 雅夫 冨安 博 岡本 眞實
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

昨年度の研究結果に基づき、本年度の主要な研究タ-ゲットを次のように設定した。1.ガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数を実測する。2.高速陰イオン交換樹脂を充填した、分離装置を使用してUー232,Uー233の濃縮挙動を解析し、他のウラン同位体と比較する。3.100℃以上での化学交換ウラン濃縮実験を行い、同位体分離係数の温度依存性を検討する。本年の研究結果は上記番号と対応し、次の通りである。1.EDTA、りんご酸を錯形成剤とするガドリニウムのイオン交換クロマトグラフィ-を行い、20m及び14mの長距離展開により、Gdー156,Gdー157,Gdー158のGdー160に対する同位体分離係数を決定した。EDTA系ではこの値が3.9×10^<-5>,4.0×10^<-5>,2.5×10^<-5>(上記同位体に対し)の値であった。2.U(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を90m/日の速度で約200m展開し、Uー232,Uー233,Uー234,Uー235の濃縮挙動を実験的に検討した。その結果、奇数のUー233はUー235と同じ方向の異常性示し、Uー232は他の偶数核種と同じ正常性を示した。この事から同位体効果の偶・奇数依存性が確認され、核スピンが関与することが明らかとなった。3.87℃と160℃でU(IV)ーU(VI)交換陰イオン交換クロマトグラフィ-を行い、同位体分離係数が温度に依存しない結果を得た。これも従来の理論を覆す事実である。
著者
高橋 一裕 野村 直之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.7-8, 1991-02-25

機能語を正しく解釈することは、日本語の解析にとって不可欠な技術である。そのため、機能語の分類や曖昧性解消の方法は、情報処理の方面からも言語学の方面からも[野村89][鈴木89][奥津86][森田88]様々な研究がなされてきた。しかし従来の研究には、「40ページまでだけからでさえも」といった長い助詞列の曖昧性解消・機能解釈に関して明確なメカニズムの提案がなかった。本稿は、機能語列の曖昧性解消という課題のなかから、形態素解析における助詞列の文法的機能の曖昧性解消について論ずる。助詞列の順序構造に注目し、構造に適合しない並びを排除することによって助詞列の局所的曖昧性解消を行う、という方法について説明する。
著者
野村 顕雄
出版者
火力発電技術協会
雑誌
火力発電 (ISSN:03870987)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.541-550, 1967-06
著者
野村 安宏
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.236-244, 1990
被引用文献数
4

新規木材用防かび剤の性能を明確にするため,研究室レベルの試験から野外試験等の中規模試験を経て最後に現場での実用試験(モニター)を行った。<BR>数種の単独及び混合の化合物を,種々の剤型に製剤化し,日本木材保存協会規格第2号に従って防かび性能を評価した.その結果,化合物単体を製剤化した場合には,TPICN及びTCMTBはそれぞれ乳化製剤で高い効力を示し,IPBCは可溶化製剤で高い効力を示した。また化合物を混合して製剤化した場合では,TCMTB+MBTCが乳化製剤で高い効力を示し,TCMTB+IPBCは可溶化製剤で高い効力を示した。<BR>また各種剤型について,その実用可能性を検討した結果,浸漬処理法での作業液安定性を初め,総合的な性能を満足する製剤は乳化タイプであり,本実験ではTCMTBとMBTCとの混合物を主成分とする下記の乳化タイプが実用上優れた性能を発揮した。<BR>(1)水不溶性の有機溶剤単独またはそれと水溶性の有機溶剤を組み合わせたものが,溶剤として良好なもので,界面活性剤はHLBが適合する非カチオン系のものが良い。この組み合わせで製剤化したものが,浸漬処理使用での作業液の長期繰り返し使用にも耐えうる最も優れた乳化安定性を示した。<BR>(2)上記の水不溶性溶剤を配合する乳化タイプ製剤は,水希釈(作業液)時の液性が弱酸性(pH5~7)を示すものでも極度の鉄腐食性を示さず,処理材にも変色が見られなかった。<BR>(3)乳化タイプの製剤品では,水で希釈して初めて乳化性を示す溶媒系製剤が,水系乳剤製剤より気温の変化(-20~40℃)に安定であった。またその性状は低粘度のものが,現場での水希釈時に敏速かつ均一な乳化性を示した。
著者
小林 達明 野村 昌史 佐々 英徳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

柏市こんぶくろ池湿地に自生するズミ集団の保全のために、個体の開花・結実状況、実生の更新状況、アロザイム遺伝子構造、自家不和合性対立遺伝子構造、花の形態変異を調べた。その結果、こんぶくろ池ズミ集団の結実率は低く、実生の更新状況は不良だったが、アロザイム遺伝子多様度、自家不和合性遺伝子多様度とも高く、遺伝的劣化は見られなかった。同湿地の再生目標を明らかにするために江戸期以来の絵地図・絵図の変遷を検討し、周辺はクヌギを主とする立木密度の低い林だったことがわかった。
著者
野村 信威 橋本 宰
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-86, 2001-07-15
被引用文献数
2

本研究における目的は,老年期における回想という行為と適応との関連について検討することである。また回想において適応と関連を示す要因は,回想行為そのものよりも回想の質であるという仮説のもとに,「回想の情緒的性質」および「過去のネガティブな出来事を再評価する傾向」を測定する尺度を作成し,これらの要囚と人生満足度や抑うつ度などとの関連について,老人大学受講者208名および大学生197名を対象に質問紙調査による検証を試みた。その結果,世代や性別によりその関連の仕方は異なるものの,回想の情緒的性質が適応度と関連することが認められ,ネガティブな出来事の再評価傾向は主に青年期で,回想量は老年期の男性で特徴的に適応度を説明した。そのため老年期の男性で頻繁に過去を振り返ることは適応度の低さと関連すると考えられた。さらに老年期の男性のみに,ポジティブな回想の想起しやすさと回想量との交互作用が認められ,ポジティブな回想と適応度の関連する程度は回想量によって異なると考えられた。
著者
野村 剛史
出版者
至文堂
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.36-46, 2005-11
著者
池宮 彰一郎 野村 裕知
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1173, pp.76-79, 2003-01-06

問 日本経済新聞の朝刊に連載されている「平家」。ここに描かれている平清盛像には驚きました。「おごれる平家」のイメージが強かっただけに、新しい国家建設を志した改革者として清盛を描く視点が斬新でした。 答 日本人は奇妙な歴史観念を持っていまして、歴史上に登場する人物を善悪のどちらかに分けようとする。早い話が織田信長です。