著者
野村 幸世
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

Hcmizygote F1マウスは50頭しかそろえられず、50頭にメチルニトロソウレアを投与した。そのうち、投与開始より1年間生存したものは36頭であった。メチルニトロソウレア投与により、その投与濃度にかかわらず、ほぼ100%胃癌の形成が認められた。また、100%に胃以外の臓器にも癌が認められた。担癌臓器はリンパ節、肝臓、肺、脾臓であった。肺以外は胃癌の転移と考えられた。採取した胃はまだすべての解析が終わっていない。すでに解析が終了した5頭においては、すべて組織学的にも担癌であった。5頭のうち2頭は癌が多発していた。これを含む9病変のうち4病変はポリクローナルであった。しかし、これが衝突癌である可能性は否定できるものではない。以上のすでに解析済みのものは、凍結切片にて施行したが、凍結切片では、HE染色像もあまりクリアでない。クローナリテイの解析に使用しているX-gal法そのものは凍結切片でないと不可能であるが、β-galactosidascの免疫染色であれば、パラフィン切片でも可能である可能性があり、今後、これによる解析を検討中である。現在のところ、パラフィン切片に対するβ-galactosidascの免疫染色自体の条件が確率できていない。また、ポリクローナルに見える腫瘍において、真に上皮細胞がポリクローナルであることを証明するために、連続切片におけるケラチンの免疫染色を検討中である。また、発癌剤投与により、X染色体不活化そのものに影響が出た可能性も否定できないため、現在、Homozygousのマウスを作成中であるが、これは出生率が低いため、今だにいる。これが得られたあかつきには、再び、これらにMNUを投与する予定である。
著者
筧 文生 野村 鮎子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

日本の宋代文学研究は、一部の古文家や詞の作者を除いて質・量ともに唐代のそれに及ばないのが現状である。この原因の一つには、別集に関する基礎研究の不足があげられる。そこで、我々は清朝考証学の精髄というべき『四庫全書總目提要』宋代別集の部の研究に着手した。『四庫全書』は北宋別集として115家122種の別集を著録している。平成10年度には、この122種の別集の解題すべてについて訳注をつけるという作業を行った。平成11年度は、その中でも特に重要な文学者50家56種の別集提要を選んで整理分析を行い、その成果をまとめた『四庫提要北宋五十家研究』(筧文生・野村鮎子著 汲古書院 2000. 2)を上梓した。また、野村鮎子はこれに関する論文「『四庫提要』にみる北宋文学史観」(立命館文学563号 2000. 2)を発表した。『四庫提要北宋五十家研究』は、日本学術振興会の研究成果公開促進費の助成を受けて出版したものであり、今後、宋代文学研究に必備の文献となるものと確信している。また、版本の研究については、平成10年度は国内の研究機関・所蔵機関を中心に調査し、平成11年度夏には、中国における宋代文学研究の中心である四川大学古籍整理研究所に赴き、日本国内では見ることのできない版本を閲覧する機会を得た。これらの版本研究の成果は上記の本と論文に結実している。ただ、南宋別集は北宋別集の数倍の量があるため、作業が思うように進捗せず、出版に至らなかったことは残念である。数年のうちにはこれを整理し、南宋編の出版をめざしたい。
著者
松田 一孝 大川 徳之 野村 芳明 森田 直幸 筧 一彦 胡振江 武市 正人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.84-98, 2006-02-15

ファイルの操作において,ショートカットまたはシンボリックリンクといった別名の存在は,しばしばユーザを混乱させる.初心者にとってファイル実体と別名との区別は難しい,たとえば通常のファイルマネージャでは,ファイル実体を削除してもそれを指し示している別名は消えずに残り,逆に別名を削除しただけではファイル実体は削除されない.そこで,我々はファイルへの参照すべてを対称かつ統一的に抽象化して扱うファイルマネージャを,木上の双方向変換の技術を用いて実現する.我々のファイルマネージャの上では,1 つのファイルへの複数の参照は互いに同期されており,1 つを変更すると必ず同期された別の部分に伝播される.たとえば,1 つをディレクトリ木から削除すると残りも削除される.さらに,双方向変換を利用することにより,ディレクトリ木からの情報を抽出し操作して表示するなどのディレクトリ木の"見せ方" を抽象化および拡張でき,またその"見せ方"自体も変更することができる.このような"見せ方" の操作やファイル木に対する編集操作は,GUIを通して対話的に実行することができる.本論文では,この木上の双方向変換を利用したファイルマネージャの設計とその実装とを示す.File management is sometimes confusing due to the difference between files and their shortcuts (or symbolic links). While deleting shortcuts to a file can leave the file entity as it is, deleting a file entity may lead to dangling shortcuts. To resolve this problem, we apply the technique of bidirectional tree transformations to design and implement a new file manager which can treat file references in a symmetric and uniform way. This file manager is unique in its synchronization mechanism which eliminates the confusing difference of file references. Plural file references are synchronized, and changes applied on one reference will propagate to the others. For example, if one of the synchronized file references is deleted, the rest are also deleted automatically. This synchronization mechanism can be efficiently implemented based on bidirectional tree transformations. In this paper, we show the design and the implementation of our file manager. The interactive graphical user interface of our file manager enables us to manipulate file references easily, in which bidirectional tree transformations can produce complicated dependency.
著者
野村 彰夫 斉藤 保典
出版者
信州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

最終目標を"生活空間圏におけるバイオおよび有機微粒子動態の解明と制御"に置き、(1)太陽背景光の地上到達成分の精密計測(平成16年度に終了)と、(2)バイオ微粒子のレーザー発光スペクトル情報の取得(平成17年度課題)、について検討してきた。主な成果は次の通りである。1)花粉蛍光スペクトルのデータベース作成:バイオ微粒子代表として花粉を選び、蛍光スペクトルのデータベースを作成した。花粉症の主物質であるスギ、ヒノキ、ブタクサの他に、果樹や鑑賞植物等の花粉を含め20品目のデータが入力された。2)発光スペクトル計測システムの製作:励起には波長355nmのパルスYAGレーザを使用した。微弱な蛍光発光を効率良く集光するために、直径25cmの天体望遠鏡を利用した。蛍光発光は分光器でスペクトルに分解された後に、イメージインテンシファイアー付きのCCD検出器で検出された。3)発光スペクトル観測実験:3-1スギ花粉:システムから25m離れた位置にスギ花粉塊を置き、その発光スペクトルを観測した。480nmにピークを持つなだらかなスペクトルが得られた。3-2ヒノキ花粉:440nmにピークを持ち420nmに肩を有するスペクトルが得られた。スペクトル形状の比較により、スギとヒノキの花粉を区別できることが示された。3-3植物葉:40m離れた自生ポプラの葉の蛍光スペクトルを観測した。クロロフィル有機分子に由来する685nmと740nm、光合成の代謝二次産物に由来する460nmと530nmの特徴的なスペクトルが観測された。3-4ごみ焼却排煙:約3km離れた大型ゴミ焼却炉からの排煙の散乱検出実験を行った。廃出源から少なくとも1.6km以上に渡る拡散状況の三次元分布を得た。
著者
岡 孝夫 井野 靖子 高橋 幸水 野村 こう 花田 博文 天野 卓 寒川 清 秋篠宮 文仁
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.363-367, 2009-03-16

龍神地鶏は和歌山県の旧龍神村(現在の田辺市)で少数が維持されている集団であり,同地で古くから飼養されているものである。1994年には村内で30数羽が飼養されていたが,近年では個体数が減少し,遺伝的多様性の減少が懸念されている。そこで本研究では1994年および2007年に採血された龍神地鶏(1994年12羽,2007年2集団各18羽,7羽)について,ISAG/FAO推奨の30座位のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝的多様性の経時的な比較と他の日本鶏品種との遺伝的類縁関係を明らかにすることを目的とした。龍神地鶏3集団において30座位中12座位で多型が認められず,5座位で対立遺伝子の消失が認められた。さらに6座位においては遺伝子頻度0.5以上の主要な対立遺伝子が変化していた。その他の座位の対立遺伝子数は2から3の範囲であった。龍神地鶏各集団の平均対立遺伝子数およびヘテロ接合体率は既報の他の日本鶏品種よりも低い値を示した。次に,日本鶏品種内における龍神地鶏の遺伝的な位置を明確にするため,他品種の解析データを加えてD^A遺伝距離にもとづく近隣結合系統樹を作成した。その結果,龍神地鶏は比較に用いたどの品種ともクラスターを形成せず,高いブートストラップ値で他の品種から分かれる結果となった。以上の結果より,龍神地鶏は地域に固有の品種である一方,小集団で長く維持されてきたため近交がすすみ,遺伝的多様性が低くなった集団であると考えられた。今後この品種を維持するためには,現在残されている2つの集団のみならず,県の試験場等を含めて十分な集団サイズを確保し,集団間の系統的維持が必要であると考えられた。
著者
野村 新
出版者
大分大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

教育はその国や地域の歴史や伝統など文化の上に構想されねばならない。沖縄には歌や踊り、漆器や織物など豊かな伝統文化があるが、沖縄の教育が本土並の学力の育成を追求するあまり、伝統文化と無関係に学校教育が実践されることが起こりかねない。本研究では具体的な学校教育のなかで、沖縄の民謡や民踊、棒術などを授業や学校行事などに取り入れながら、学力形成の在り方を追究するもので、沖縄の歴史や文化を調査するとともに、浦添市立宮城小学校・宮城幼稚園の教師たちと共同で授業や学校行事などの立案・実践・分析はもとより、研究者自身も授業や身体的表現活動を指導して研究を深めた。特に1992年10月の運動会では、行進や野外劇、創作舞踊など、沖縄の曲やリズムや踊りの「結い回る」や「エーサー」、「カチャシー」を取り入れ、伝統武術の「棒術」などを種目として取り上げた。1993年2月の学芸会にも「エーサ」や「さびら」などの沖縄のリズムと踊りと「沖縄空手」や沖縄の民話「きじむなー」を基盤に、「かさじぞう」を初め「ペルシアの市場にて」や「走れメロス」のオペレッタを上演した。また研究者自身が沖縄をテーマにした150行の叙事詩「不死鳥の如く」を書き、それに梶山正人(千葉経済短期大学教授)が沖縄固有の曲と中国の曲を基調とした作曲をして表現活動の実践させるなど、沖縄の伝統的な唄や踊りのリズムと本土の民話や欧米調の物語や曲想との結合と、歌や身体的表現活動と教科の授業を関連させて学力の育成を試みた。研究の結果、子どもたちに構成・演出・表現などで多面的に追究する思考力や創造性や感性や社会性が育ち、追求力や集中力、持久力や自立心や耐性などの精神的な意志力の形成が顕著にみられ授業や学級活動との相互関連性のなかで学力が充実するなど、伝統文化を教育に生かす方向性をとらえることができた。
著者
野村 章子 野村 修一 山田 好秋 河野 正司 高橋 肇 江川 広子 植田 耕一郎 城 斗志夫
出版者
明倫短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、流動性に富みかつ凝集性のよい食品について物性試験を行うことにより、摂食・嚥下機能に障害のある要介護者のための食品としての有効性を評価することにあった。そのために明確にしなければならなかった具体的な事柄は、食品としての物性(硬さ、付着性、凝集性)であった。研究計画の初年度は主に、高たんぱく、低カロリーとして注目されているグルテンの構成要素である2つのタンパク(グリアジン、グルテニン)に着目し、小麦粉からのグリアジンおよびグルテニンの分離を試みたものの、高純度なグリアジンとグルテニンを調整することはできなかった。次年度は、高純度ではないが食品会社から入手したグルテニンとグリアジンを配合したクッキーの物性測定を行った。その結果、嚥下補助食として適正な配合比率を見出した。最終年度は、今までの研究成果に基づき、調整する試験食品の種類を増やして物性測定を行った。臨床試験により、咀囑性・食塊形成性との対応を見出した。さらに、本研究に関連して調査した要介護者の口腔機能と全身状態が、要介護者の食事形態におおいに影響することもわかった。本研究成果は、第15回日本老年歯科医学会学術大会、第10回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会、第3回明倫短期大学学会学術大会で報告した。今後は、要介護度の重度化防止を目的とし、要介護者の食事摂取を向上させるために、義歯治療口腔ケアを実施するための訪問診療機器の開発に繋げる予定である。
著者
中野 和典 西村 修 野村 宗弘
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

水圏生態系への影響が懸念される道路・市街地・農地等からの表面流出水のパッシブトリートメントに有効なろ材としてハイドロタルサイトを見出した。次いで水環境での残留性が懸念されるペルフルオロオクタンスルホン酸の吸着特性を明らかにした。さら滋賀県草津市のファーストフラッシュ浄化施設の人工湿地ユニットを利用した実証実験により、本研究で提案するパッシブトリートメントの有効性を確認することができた。
著者
生田 まちよ 宮里 邦子 野村 恵子 永田 千鶴 木村 重美
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

在宅人工呼吸療法の小児の介護を行う家族の介護負担は大きい。このため家族にとって、レスパイトケアが重要である。しかし、これまでのレスパイトケアの利用は、家族の行事や病気などでの緊急の利用がほとんどであった。さらに、小児はレスパイト施設の利用が困難な状況であった。そこで、定期的に子どもの自宅に訪問看護師が長時間滞在するホームベースレスパイトケアを実施した。そして、そのケアの有用性が示唆された。さらに、このホームベースレスパイトケアを実施するには、不可欠な訪問看護師が、安心して小児のレスパイト訪問ができるような、教育プログラムを開発して実施した。
著者
野村 早恵子 石田 亨 船越 要 安岡 美佳 山下 直美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.503-511, 2003-05-15
被引用文献数
27

インターネットを介したアジアワイドな協調作業を支援するため,異文化コラボレーション実験(ICE2002)を実施した.日中韓馬の5大学からの40名の教員・学生が,日中韓馬英の5カ国語の機械翻訳を組み込んだ多言語ツール,TransBBSとTransWebを介して母国語でオープンソースソフトウェア開発を行った.今後,国際プロジェクトの現場で実用に耐える異文化コラボレーション環境の開発を目指す予定である.
著者
野村 正英 高橋 剛夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.42, pp.75-80, 1999-07-02

厚生省が科学特別研究として行った「ポケモン事件」の際発生した光感受性発作についての調査研究報告は、ビデオ映像の視聴によって内容依存型VDT障害が広く生じ得ることを示している。我々は、光感受性者を対象に脳波測定の臨床検査を行い、ビデオ映像に含まれるフリッカーによって引き起こされる光感受性健康障害が、野村によって提案された適応型時間フィルターによって防止できることを見い出した。
著者
野村 正英 高橋 剛夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.162, pp.75-80, 1999-07-02

厚生省が科学特別研究として行った「ポケモン事件」の際発生した光感受性発作についての調査研究報告は、ビデオ映像の視聴によって内容依存型VDT障害が広く生じ得ることを示している。我々は、光感受性者を対象に脳波測定の臨床検査を行い、ビデオ映像に含まれるフリッカーによって引き起こされる光感受性健康障害が、野村によって提案された適応型時間フィルターによって防止できることを見い出した。
著者
野村 亜由美
出版者
長崎大学
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.73-78, 2009-03

精神科医/臨床家・小澤は,数年前肺がんの告知を受け余命一年と宣告された.死を前にした小澤が「ぼけ」,「ケア」をどう捉えているのか.本書には専門用語がほとんど用いられず,平易な文章で綴られている.平易な文章で「ケア」を語る切り口は,「ケア」がおそらく万人が共通して持つであろう<やさしさに至る知>であり,そしてそれが,精神科医/臨床家として得た答えだったと考えられる.小澤は,痴呆という障害のありようを明らかにし,暮らしのなかで彼ら(認知症を患うもの)が抱えている不自由を知ること,できないことは要求せず,できるはずのことを奪わないこと,そして現在の暮らしぶりを知り,彼らが生きてきた軌跡を折にふれて語っていただけるようなかかわりをつくりたいと考えてきた.小澤は,研究者あるいは医療者が社会的に力を持つのは仕方がない.大切なのはそれを自覚することであるという.そのことばを受け筆者が感じたことは,医療に限らず,人類学者が対象を一方的に研究するのではなく,研究の対象となる人たち自身に人類学者になってもらって自らを研究し,そして自らが置かれている状況や文化を相対的な視点からながめるようになる.病気を患う人たちや医療に携わる人たち双方が,自らの状況を文化人類学的な視点でみつめるようになり,それぞれの立場や置かれた状況から解放されていく.そんな「野生の人類学者たち」が生まれることを期待しながら書評としてまとめた.
著者
高橋 学 渡部 祐司 岡部 永年 野村 信福 堤 三佳
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

切離手術時間を短縮するための切離技術の一つとして,肝臓ガン局部凍結技術の開発を目的として,(1)将来肝臓の冷凍技術として提案している音波を用いた熱音響冷凍技術の開発,(2)冷却切離抵抗の研究および(3)肝臓冷凍針の開発と冷却特性の3つの実験が実施された.熱音響冷凍では汎用スピーカー(最大出力70W)を駆動源として使用した簡易型音響冷却装置を用いて冷却実験を実施した.内径26mm,長さ1500mm(約1/4波長)の真鍮円管を共振管とし,スタックには内径1mmの絶縁管を100本束ねたものを用い,作動流体に空気およびヘリウムガスを用いて常温常圧下で冷却実験を行った.その結果ヘリウムでは空気の場合の約3倍増の冷却効果が得られた.また,スタック表面積,内部圧力,および振動振幅は冷却効果に強い影響を与え,本実験で用いた簡易型装置でも,1mm^3程度の肝細胞であれば冷凍することが可能となる.冷却切離抵抗の実験では,ロボットによる肝臓の切離を行う際,正常な部位まで損傷させることは望ましくなく,正確な切離開始位置の決定が求められる.また,切離中に加わる抵抗が小さい程,滑らかな切離動作が実現でき,さらに刃物の損傷を防ぐことが可能である.視覚情報を用いた正確な切離開始位置の決定,及び,力覚情報により切離抵抗を低減するロボットシステムを提案する.視覚情報を用いた切離開始位置の決定手法では,肝臓の色の変化と温度の関係から,半冷凍部分(-1〜-3℃)の決定を行っている.また,力覚情報を用いた切離動作においては,インピーダンス制御を用いることで刃物の側面方向からの加重を低減し,目標とする切離抵抗による切離動作を実現している.肝臓の冷却特性および物性値を調べるため,豚の肝臓を用いた.血流を模擬して肝臓内に生理水を流し,その際の血管寸法の相違による熱伝導率の変化を実験データから逆解析することにより明らかにした.また,冷却温度,時間,冷却針からの位置をパラメータとした実験式を導出し,冷却予測が可能となった.
著者
川崎 桂司 越智 洋司 アヤラ ヘラルド 緒方 広明 金 群 矢野 米雄 林 敏浩 野村 千惠子 河野 南代子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.604, pp.33-40, 1996-03-23

本稿では状況.発音.意味.使い方.感覚等に着目した擬態語・擬音語辞書システムJAMIOSについて述べる.日本人は擬態語や擬音語を頻繁に用いる傾向がある.しかしこれらの語は,日本語独特の表現であり感覚的な語なので,日本語を学習する外国人にとって理解が困難である.そこでJAMIOSは,(1)使用する状況をマルチメディア情報を用いて提示し,その状況や発音形態を変化させることで検索が進められる,(2)擬態語・擬音語の特徴に沿った様々な知識や関連語を検索できる,(3)例文を利用して日本語中での使い方を提示する等の特徴を持つ.