著者
金澤 慈 進藤 隆彦 陳 明晨 中西 泰彦 中村 浩崇
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.11, pp.308-314, 2022-11-01

近年の急激な高速化の流れに対応すべく,1波長あたりの速度が100 Gbit/sを越える動作が可能な光送信器が求められてきた.100 Gbit/sを越える動作を実現するためには従来のワイヤ実装ではワイヤのもつ寄生インダクタンスによる帯域劣化が課題であった.そこで,ワイヤ不要となるフリップチップ接続技術と光デバイスと実装部材を一体で設計する技術を組み合わせた実装技術(Hi-FIT)を開発し,本技術を電界吸収型光変調器集積DFBレーザ(EADFBレーザ)モジュールに適用することで,214 Gbit/s動作を実現した.また,高速化に伴って10km超級伝送を実現するためには光出力パワーの向上も併せて求められてきたが,高速動作が可能な光アクティブデバイスとして従来用いられてきたEADFBレーザでは光出力の不足が課題であった.そこで我々は半導体光増幅器(SOA)をEADFBレーザチップに集積したデバイス(AXEL)を開発し,受信器としてアバランシェフォトダイオード(APD)を用いることで,106 Gbit/s信号の60km伝送を実現した.Hi-FITとAXELは100 Gbit/s超級動作高出力光送信器のキー技術として期待される.
著者
宗像 昭子 鈴木 利昭 新井 浩之 横井 真由美 深澤 篤 逢坂 公一 松崎 竜児 三浦 明 渡辺 香 森薗 靖子 権 京子 金澤 久美子 宮内 郁枝 鈴木 恵子 久保 和雄 尾澤 勝良 前田 弘美 小篠 榮
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.34, no.13, pp.1525-1533, 2001-12-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14

今回我々は, 当院で維持血液透析を施行している安定した慢性腎不全患者59名を対象患者として, ベッドサイドにて簡便に使用できるアイスタット・コーポレーション社製ポータブル血液分析器i-STATを用いて, 透析前後で全血イオン化Ca (i-Ca) 濃度を測定し, 血清T-Ca濃度との関係について検討し, 以下の結果を得た.1) 透析前後における血清T-Ca濃度, 全血i-Ca濃度は, それぞれ9.43±0.90→10.54±0.70mg/dl (p<0.05), 1.26±0.10→1.30±0.07mmol/l (p<0.0001) と, いづれも有意な増加を示した. 2) Caイオン化率は, 53.43±0.03→49.55±0.04% (p<0.001) へと透析後有意に低下した. この原因として, 血液pHの変化の影響が考えられ, 血液pHとCaイオン化率との間には明らかな負の関係が認められた. 3) 透析前後における, 血清T-Ca濃度と全血i-Ca濃度の関係について検討したところ, 透析前ではy=7.507x+0.015 (r=0.839; p<0.001) と強い正の相関が認められたが, 透析後においては, 全く相関が認められなかった. この点について, pHならびにAlbを含めた重回帰分析法を用いて検討したところ, T-Ca=3.369×i-Ca+5.117×pH-32.070 (r=0.436, p=0.0052) と良好な結果が得られた. 4) 透析前後の全血i-Ca濃度の測定結果から, 容易に血清T-Ca濃度を換算できるノモグラムならびに換算表を作成した.以上の結果より, ポータブル血液分析器i-STATを用いた, ベッドサイド (“point-of-care”) での全血i-Ca濃度の測定とノモグラムの利用は, 透析室においてみられるCa代謝異常に対して, 非常に有用であると考えられる.
著者
園田 潤 木本 智幸 金澤 靖 山本 佳士
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、地震や豪雨などの自然災害、また道路や橋梁など社会インフラ老朽化による被害が増加しており、内部の異常箇所を迅速・高精度に検出することが求められている。数百M~数GHz帯の電波を用いる電磁波レーダは、内部の物体の有無程度は検出できるが、材質・大きさ・形状などの高度な推定や可視化はできていなかった。本研究では、近年急速に発展している人工知能技術を用いて、レーダ画像から内部構造を逆推定し、空洞や亀裂のような異常箇所を3次元可視化する新しい電磁波レーダを開発する。本研究により、地中やコンクリート内部の3次元マップを作成でき、内部物体の材質や大きさとその位置を3次元的かつ高精度に把握可能となる。
著者
畠山 公大 二宮 格 小野寺 理 下畑 享良 金澤 雅人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.117-123, 2021-01-10 (Released:2022-01-10)
参考文献数
10

脳梗塞は重度の後遺症を呈する疾患であり,脳梗塞後の機能回復療法の開発が望まれている.これまで,脳梗塞に対して,神経系幹細胞,骨髄由来間葉系幹細胞,骨髄由来単核球ならびにmultilineage-differentiating stress enduring cell(Muse細胞)等を用いた細胞療法の有効性が報告されており,一部の細胞療法については,本邦においても臨床試験が行われている.本稿では,これまでに報告されてきた細胞療法の特徴を概説する.さらに,従来の細胞療法におけるいくつかの問題点と,それを克服するために我々が現在開発に取り組んでいる,末梢血単核球を用いた新規細胞療法につき解説し,細胞療法の今後の展望について述べる.
著者
橋本 忠幸 小杉 俊介 金澤 剛志 徳増 一樹 木戸 敏喜
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.157-162, 2022-04-25 (Released:2022-09-07)
参考文献数
15

医学教育者の次世代育成が強調される一方で, 比較的若い世代の医師が, 多忙な臨床業務の合間に日頃から医学教育学の知見を深める場を得ることは難しい. 生涯学習の方略としてジャーナルクラブがあるが, 質の担保されたジャーナルクラブ運営・維持することは困難である. 我々は, 全国の異なる機関に所属する卒後9~12年目の勤務医で医学教育オンラインジャーナルクラブを立ち上げた. 対面でも継続的な実施が難しいと言われる中, 我々はオンラインで1年間に40回以上開催し, 多様なテーマの論文を用い, 継続できた. なぜそのような実践が可能であったのかをsocial congruence theoryと自己決定理論とを引用し考察した.
著者
金澤 真平 楊 添翔 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-64, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
12

中古ファッションアイテムの買取・出品・販売を行うECサイトではアイテムのブランドやカテゴリ,コンディションなど,商品情報が非常に多様であるため,出品価格の決定は重要かつ難しい課題の一つである.本研究の提案モデルでは,出品システムによって設定された出品価格を変更した場合の販売結果を観察するため,価格変更テストを設計する.一方,販売価格の予測精度を高めるため,アイテムの特徴と予測精度に関する情報をもとにアイテムのクラスタリングを行い,価格変更テストの結果データをモデルの検証データとして活用することで,高い精度で予測可能なアイテム群を発見する.そして,クラスタリングによって高い精度で予測可能であると特定されたアイテム群を提案モデルに適用可能なアイテム群と捉え,それらのアイテムに関して出品価格を変更した場合の販売価格を予測する.また,その予測結果に基づいてアイテムごとの出品価格と販売価格の関係性を捉え,適切な出品価格設定に関する分析を行う.
著者
金澤 悠介
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.95-113, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
51

社会関係資本研究における重要性にもかかわらず,従来の一般的信頼の測定方法は大きな問題をはらんでいた.多くの経験的研究で使用されている測定法(一般的信頼性推定質問)において,「たいていの人」が誰を意味するのかが不明瞭なため,相矛盾する経験的知見が併存する状況となっていた.そこで,本研究は回答者によって一般的信頼性推定質問で想定する信頼のタイプが異なると考え,一般的信頼性推定質問の測定内容を検討した.『地域の絆と健康に関する調査』をもちいて,一般的信頼性推定質問・近隣住民への信頼・団体参加・協力行動を対象に潜在クラス分析を行ったところ,その意味内容が異なる4種類の信頼が抽出された.すなわち,(a)近隣住民を含む他者一般を信頼し,多様な他者とも関わるような団体参加・協力行動を促進する一般的信頼,(b)近隣住民のみを信頼し,居住地域に関わるような団体参加・協力行動を促進する地域主義的信頼,(c)社会的に望ましい回答をしたいという動機から一般的信頼性推定質問に肯定的に回答する非活動的信頼,(d)他者を信頼せず,団体参加・協力行動も活発ではない不信頼であり,社会的属性や居住地域によって回答者が想定する信頼のタイプが異なることも示された.そして,以上の分析結果をもとに,一般的信頼性推定質問の特性を議論するとともに,社会関係資本研究の知見の整理を試みた.
著者
渡場 康弘 酒井 晃二 小山田 耕二 金澤 正憲
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.11-17, 2006-03-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2

特異点グラフと文字認識技術を利用して, ボリュームデータ間の類似性を視覚的に比較できる手法を提案する. 特異点グラフは, ボリュームデータの特徴を三次元空間における曲線という単純な図形で表現したものである. そこで, 特異点グラフを比較するために, 二次元空間で曲線を比較する手法である文字認識技術を利用した通過ボクセル判定法を考えた. この手法は, 文字画像を各ピクセルの値で比較する手法を拡張したもので, ボクセル単位でグラフの通過状況を比較する手法である. そして, ボクセルごとの判定結果に従ってボクセルの色を決めることによって, その類似状況を可視化することが可能である. しかし, この手法にはいくつかの問題点がある. そこで, グラフが細かい線分で構成されていることから, 文字認識技術の1つである方向線素特徴ベクトルを利用して, 通過ボクセル判定法の問題を解決した.
著者
金澤 悠介
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.37-59, 2018-03-28 (Released:2021-12-01)
参考文献数
34

本稿の目的は、先行研究とは異なるアプローチで不公平感を分析することをつうじて、「階層意識としての不公平感」の特質を再検討することである。不公平感についての先行研究では不公平感と階層的地位の関連が弱いという経験的知見がたびたび見出された結果、不公平感は「空論上の階層意識」として次第に注目を集めなくなっていったのだが、本稿はこれを不公平感そのものの特質というよりは先行研究のアプローチの問題だと考える。先行研究は不公平感を生み出す意識の構造を単純化してモデル化し、人々の抱く不公平感も同質的なものと想定したのに対し、本稿は(ⅰ)全般的不公平感・領域別不公平感・公平判断基準・社会の仕組みの認知という意識変数の内的構造と(ⅱ)その異質性を明らかにすることをつうじて、不公平感という意識がどのようなものなのかを解明しつつ、(ⅲ)不公平感の構造と階層的地位がどのように関連しているのかを検討することをつうじて、階層意識としての不公平感の特質を明らかにすることを目指す。以上のようなアプローチによって、一九九五年SSM調査B票を分析したところ、回答者の抱く不公平感は質的に異なる五つのタイプが存在し、それぞれの不公平感のタイプに結びついた階層集団が存在することが明らかになった。そして、この知見をもとに階層意識としての不公平感の特質を議論した。
著者
伊加 真士 清水 一好 川出 健嗣 金澤 伴幸 西谷 恭子 森松 博史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-6, 2016-01-15 (Released:2016-02-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

スガマデクスは安全・迅速にロクロニウムを拮抗できる薬剤として広く使用されている.今回われわれは筋弛緩モニターを使用し,投与基準どおりにスガマデクスを使用したにもかかわらず,術後に再クラーレ化が疑われた症例を経験した.症例は78歳の男性で,胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術が施行された.術中およびスガマデクス投与前にTOFウォッチを使用し,TOFカウント2を確認後,スガマデクスを3.6mg/kg投与し抜管した.その約70分後に著明な酸素化の悪化と四肢の体動低下を認め,ネオスチグミン投与により酸素化・体動の改善を得た.投与基準どおりのスガマデクス使用でも再クラーレ化の可能性は否定できないため,抜管後の厳重な呼吸の観察が重要である.
著者
金澤 悠介 朝岡 誠 堀内 史朗 関口 卓也 中井 豊
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.141-159, 2011 (Released:2012-01-31)
参考文献数
41

本稿の目的は,エージェント・ベースト・モデルの方法の特徴を明らかにするとともに,この方法を用いた研究が社会学の中でどのように展開されてきたのか/されうるのかを議論することである.最初に,エージェント・ベースト・モデルの方法的な特色を,数理モデル分析や計量分析という既存の社会学の方法と比較を通じて,明らかにする.次に,社会学において,エージェント・ベースト・モデルを用いた研究がどのように展開されてきたのかを,社会秩序の生成と社会構造の生成というトピックを題材に確認する.最後に,社会学の重要なテーマでありながら,エージェント・ベースト・モデルを用いた既存の研究ではいまだ未探索となっている領域について議論する.
著者
岡島 義 金井 嘉宏 笹川 智子 金澤 潤一郎 秋田 久美 陳 峻要 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.297-309, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、社会不安を測定するSocialPhobiaandAnxietyInventory(SPAI)の翻訳版を開発することであった。大学生431名を対象に自己記入式の調査を行い、探索的因子分析を行った。その結果、SPAI日本語版は原版と同様の2因子45項目で構成され、各因子を「社会恐怖」「広場恐怖」と命名した。各因子の内的整合性(α=.88〜.96)、および再検査法による信頼性(r=.67〜.72)は高かった。既存の社会不安測定尺度と相関は中程度であったため、高い併存的妥当性が認められた。また、「社会恐怖」下位尺度において、確認的因子分析を行ったところ、原版と同様の5因子構造であることが確認された。以上の結果から、SPAI日本語版は高い信頼性と妥当性を有することが明らかにされた。
著者
金澤 雄記
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.682, pp.2833-2840, 2012-12-30 (Released:2013-05-29)
参考文献数
8

Open-Air Stages in Iida-Shimoina area had been built since late 18th century to the Showa 30s, especially 69 stages still exist. There are 11 rotation-stages, 1 stage for only puppet play, and the oldest existing rotation-stage is built in 1793. They have architectural features about a rotation-stage (Mawari-butai), a scenery window (Tomi), a instrument space (Dayuza), and so on. These stages had been used by kabuki, puppet, and local play till the Showa 30s. Some stages had been used for school buildings after Meiji era. After that, almost these have been repaired for local meeting spaces.
著者
武田 龍三郎 金澤 尚史 潮 俊光
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第52回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.21, 2009 (Released:2010-01-22)

政府や企業などの社会集団が意思決定を行う際には,複数の所属部署の意見を考慮し,様々な評価基準に基づいて最終的な決定が行われるものである.本報告では,多面的な評価基準を有する集団において,複数の内部戦略に基づき集団の戦略が決定されるゲームの提案を行う.特に,囚人のジレンマゲームにおいて,「仲間からの報復」という評価基準を設け,そのプレイヤーの戦略への影響について考察する.