著者
金澤 伸浩 田中 豊 小山 浩一 内藤 博敬 伊川 美保 中山 由美子
出版者
一般社団法人日本リスク学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.243-249, 2020-05-25 (Released:2020-05-26)
参考文献数
35

It is required to make risk education popular to improve risk literacy of citizens. Although several kinds of risk education programs have been developed, the effect of the education by those should be evaluated and the method to measure risk literacy was not established. Therefore, measurement scales of the risk literacy have been developed through web-based questionnaire research. As the result, measurement scales have been established consisting of six factors; zero-risk bias, trade-off on risk versus benefit, trade-off on risk versus risk, paradox on risk perception, basic knowledge on risk and risk perception bias. The scales consisted of four questions for each factor express the factors well. The scales are thought to be useful for improving risk education program and risk communication.
著者
金澤 泰斗 久保田 耕平
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.179, 2014 (Released:2014-07-16)

【目的】関東平野において自然度の高い森林に局所的に分布しているコシビロダンゴムシ科等脚類のうち、従来トウキョウコシビロダンゴムシとされてきた個体群について遺伝子解析と形態解析を行い、その多様性の実態を明らかにする。【方法】関東平野の38地点で採集したコシビロダンゴムシ類について形態を観察し、従来識別形質とされてきた雄第一腹肢外肢については楕円フーリエ記述子を用いて定量解析を行った。また、ミトコンドリア遺伝子COI領域の配列を決定し、種内及び近縁他種との系統関係を解析した。【結果】遺伝子解析の結果、従来トウキョウコシビロダンゴムシとされてきたものの中に遺伝的に大きく異なる2系統が存在することがわかった。この2系統は雄第一腹肢外肢の形態に明確な差は見られなかったが、背板側縁部の体色によって区別された。2系統が同所に共存する地点は確認されず、生殖干渉などにより排他的な分布となっていると考えられ、両者が遺伝的にも形態的にも分化した別種であることが推定された。また、2系統間で採集地点の標高に有意な差が見られ、それぞれの分布が生息地の環境の違いや地史的背景を反映している可能性が示唆された。
著者
横山 憲文 金澤 有紘 青島 貞人
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.360-364, 2017-07-25 (Released:2017-07-25)
参考文献数
16

Graft copolymers were synthesized via grafting-through method by the quantitative synthesis of macromonomers via living cationic polymerization using vinyloxy group-containing alcohols as quenchers and subsequent cationic copolymerization of these macromonomers and an alkyl vinyl ether. The quenching of living cationic polymerization of isobutyl vinyl ether (IBVE) using methanol, ethanol, 2-propanol, and tert-butyl alcohol indicate that the primary alcohols are suitable for end functionalization due to the stability of the acetal ω-ends. Thus, macromonomers were prepared by the end-capping method using vinyloxy-containing primary alcohols as quenchers for the living cationic polymerization of IBVE under appropriate conditions. The spacer structure adjacent to the vinyloxy group of the macromonomer is highly important for the efficient cationic copolymerization that proceeded without side reactions. A macromonomer prepared from 1,4-butanediol monovinyl ether was successfully copolymerized with IBVE using an appropriate catalyst, yielding graft copolymers in high yields.
著者
西田 宗幹 植松 光俊 金澤 寿久 宮本 千恵美
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.73-78, 1998 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
13 5

脳卒中片麻痺患者の各基本動作間の難易度は,一般的には寝返り,起座,起立,歩行の順に難しくなると言われるが,その順位の異なる者の比率とその原因について検討するため片麻痺患者40名を対象に調査した。一般的順位と同じ「同群」は29名,異なる「異群」11名で,このうち起座が不可で起立,歩行が可の「異群(1)」は9名であった。「異群(1)」は股伸展0°以下と体幹回旋制限5°以上において「同群」と有意差があり,異群(1)のうち寝返り,起座とも不可の群では体幹屈曲5°以上制限にも有意差を認め,これらの動作困難の原因として股・体幹可動域制限の影響が示唆された。対象者が高齢で,物的介助起立・平行棒内歩行と低い能力レベルで,半側無視例が多くいたことが,このような動作難易度順位の逆転現象の誘因として考えられた。
著者
金澤 恵里 五十嵐 大貴 阿部 修 築地 徹浩 安永 和敏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集 2013.13 (ISSN:24243000)
巻号頁・発行日
pp._C27-1_-_C27-10_, 2013-08-25 (Released:2017-06-19)

Manifold blocks are recently used to connect hydraulic components in a hydraulic system that has flow channel inside. They are useful in reducing the size and weight of hydraulic systems. This paper deals with solid manifold block and laminated manifold block as trip equipment with which the turbine of a thermal power or a nuclear power plant is equipped. They are different from machining. We investigate pressure drops of their pipe flow with computational fluid dynamics (CFD) and compare the two types. We devised the new technique of having included CFD in pipeline network calculation. The final purpose is to design a laminated manifold block as trip equipment with which reduction in size and weight or reduction in pressure drops is realized. The conclusions from the aforementioned results are as follows. First, Branch/junction model can be calculated by the new technique of having included CFD in pipeline network calculation. Second, we achieved designing of a laminated manifold block as trip equipment with which reduction in size and weight or reduction in pressure drops is realized.
著者
西山 忠男 宮崎 一博 伊東 和彦 佐藤 博樹 金澤 英樹 玉田 攻 北澤 恒男 小池 正義
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.47, 2004 (Released:2005-03-10)

Ito et al.(2003)において合成されたカンラン石単結晶中に見られる波動累帯構造の詳細を報告し,成因を考察する.これまで2成分系において成長速度の濃度依存性を組み込んだ拡散境界層モデルが提唱されているが,われわれの場合組成変動幅が小さいので問題にならず,既存のモデルでは説明不可能である.ここではメルト中の拡散が2成分系ではなく3成分系で起こると考え,FeOとMgOの拡散係数の大きさが有意に異なる場合はSiO2のアップヒル拡散が生じることを示す.カンラン石の成長によりこのようなアップヒル拡散が生じると,拡散境界層におけるメルト組成は,カンラン石のバルク組成から外れることになり,それにより成長が阻害される.SiO2の濃度勾配が解消され,拡散境界層のバルク組成が再びカンラン石のそれに近くなると成長が再開する.このようなフィードバック機構により波動累帯構造が形成されると考えられる.
著者
金澤 伸雄
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

稀少遺伝性自己炎症疾患の解析によって遺伝子変異に基づく炎症制御シグナル異常を同定し、難治性慢性炎症疾患における異常シグナルの関与を検知し病態解明やテーラーメード治療につなげることを目指し、PSMB8変異が同定された中條-西村症候群、新規IL36RN変異が同定された汎発性膿疱性乾癬、新規LIG4変異が同定された遅発型原発性免疫不全症などについて細胞機能異常の検索を行い、さらに新規遺伝性自己炎症疾患が疑われる症例についてエキソーム解析を行い予想されるシグナル異常の確認を進めた。当初の目標達成には至っていないが、遺伝性炎症疾患における炎症制御シグナル異常の解明が進み、今後の更なる展開が期待できる。
著者
平野 孝行 吉田 直人 土橋 聖賢 藤井 二三夫 金澤 伸一
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.135-142, 2013 (Released:2014-11-06)
参考文献数
10
被引用文献数
3

建設発生土の高度な有効利用を図る目的で開発された短繊維混合補強土工法は,土または安定処理土にポリ エステル等の短繊維を混入することで降雨・流水に対する耐侵食性や強度・靭性(ねばり強さ)の向上に期待 するものである.これまでに堤防・法面のガリ侵食等による崩壊抑制のための試験施工としての実績がある. 本報告は,堤防・道路等法面の被覆材,多自然型法面の基盤構築,土構造物補強等へのさらなる有効利用の ために,より短繊維および固化材添加率の低い混合補強土の耐侵食性能や,強度・変形特性についてとりまと めたものである.長期現場試験施工に基づく耐侵食性能の検証と,静的圧縮試験・繰り返し三軸試験により強 度増加効果と靭性・拘束効果の付与を確認した.
著者
鈴木 成宗 坂宮 章世 金澤 春香 栗田 修 矢野 竹男 苅田 修一
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.59-69, 2016-06-15 (Released:2016-09-29)
参考文献数
36
被引用文献数
1

特徴的なクラフトビール用酵母を得ることを目的とし,三重県伊勢市の椎の樹液から採取した微生物群を用いて,ビール醸造を行い,発酵性態の良好であった菌叢からコロニーを単離した.得られた菌株は,ITS-5.8S rDNA-ITS2領域(ITS領域)の遺伝子解析を行い,新規のSacchromyces cerevisiae(S. cerevisiae)に属する株であることを確認し,KADOYA1と命名した.KADOYA1の実用性および特徴を評価するため,実用エール系ビール酵母株1056および3068を対照に,実用規模(1,000 L)でのビールの試験醸造を行った.KADOYA1は1056株および3068株と比較すると,醗酵速度がやや遅かったが,醗酵力は十分な実用性があることが確認できた.それぞれの酵母で醸造したビールの香気成分をGC-マススペクトロメトリーにより分析したところ,KADOYA1は1056株および3068株とは異なる特異的な香気成分の生産性をしていることが明らかとなった.さらに,におい識別装置で香気特性は評価したところ,1056株および3068株で醸造したビールとは異なる香気特性であることが確認できた.以上のことから,KADOYA1は実用ビール酵母として有用であると判断できたので報告する.
著者
金澤 文子 半田 康 宮下 ちひろ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

難分解性の有機塩素系(POC)農薬は内分泌撹乱作用を持つと懸念されている。POC農薬の胎児期曝露が次世代の小児アレルギーリスクに与える影響を明らかにするため、2002年から2005年の期間、札幌市の一産院で妊婦514名をリクルートし、POC農薬の母体血中濃度を320名で測定した。交絡要因を調整したロジスティック回帰分析で、母体血中POC農薬と18か月の小児アレルギー発症のリスクに有意な関連は認められなかった。曝露レベルが低いため、生後の小児アレルギーに与える影響が低い可能性が示された。免疫機能が発達し、アレルギー症状の診断が明確になる学童期まで追跡調査する必要があると考えられた。
著者
金澤 輝代士 末重 拓己 高安 秀樹 高安 美佐子
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第59回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.239-241, 2016 (Released:2017-02-01)

外国為替市場に関する詳細なデータが近年利用可能になった.本講演では外国為替市場の実データをもとに,外国為替市場のトレーダーたちのミクロな取引戦略を解析する.さらに,その性質を取り入れた多体確率過程モデルを提案し,その近似解を解析的に議論する.最後に,以上の結果が実データと整合するか検証する.
著者
金澤 輝代士 末重 拓己 高安 秀樹 高安 美佐子
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.239-241, 2016

<p>外国為替市場に関する詳細なデータが近年利用可能になった.本講演では外国為替市場の実データをもとに,外国為替市場のトレーダーたちのミクロな取引戦略を解析する.さらに,その性質を取り入れた多体確率過程モデルを提案し,その近似解を解析的に議論する.最後に,以上の結果が実データと整合するか検証する.</p>
著者
館農 勝 中野 育子 白木 淳子 館農 幸恵 金澤 潤一郎 白石 将毅 河西 千秋 氏家 武 齊藤 卓弥
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1403-1411, 2018-12-15

抄録 近年,ADHDの診断を求めて精神科を受診する者の数が増えている。今回,ADHDの診断補助ツールとして活用可能な25項目から成る質問紙を開発した。質問紙はHokkaido ADHD Scale for Clinical Assessment in Psychiatry(HASCAP)と名付け,0点から4点の5件法で回答を求めた(100点満点)。ADHD群104名(平均63.4±15.8点)と健常対照群361名(平均27.5±17.5点)の結果から,感度,特異度を求め,カットオフを設定した。その結果,HASCAP合計点45点で,感度83.7%,特異度83.1%であった。今度,さらにデータを集積し,より実用的な質問紙にしていきたいと考える。
著者
松村 千恵子 倉山 英昭 安齋 未知子 金本 勝義 伊藤 秀和 久野 正貴 長 雄一 本間 澄恵 石川 信泰 金澤 正樹 重田 みどり 窪田 和子 山口 淳一 池上 宏
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.194-203, 2014 (Released:2014-06-14)
参考文献数
30
被引用文献数
1

千葉市3 歳児検尿システムでは,蛋白・潜血±以上,糖・白血球・亜硝酸塩+以上の1 次検尿陽性者に,2 次検尿と腎エコーを施行。1991~2011 年度154,456 名の精査陽性率は1.5%で,膀胱尿管逆流(VUR)16 名(血尿5,細菌尿11,尿単独3),アルポート症候群,ネフローゼ症候群,巣状分節状糸球体硬化症(FSGS),糸球体腎炎等が診断された。11,346 名の腎エコーで,先天性腎尿路奇形(CAKUT)92(0.8%),うちVUR 24 名(エコー単独11),両側低形成腎2,手術施行17 であった。VUR 全27 名中,VUR III 度以上の頻度は細菌尿例において非細菌尿例より有意に高かった(各々10/11,7/16,p<0.05)。10 名(7 名両側IV 度以上)は多発腎瘢痕を有し,うち7 名はエコー上腎サイズ異常を認めた。FSGS 1 名が末期腎不全に至った。千葉市3 歳児検尿システムはCAKUT 発見に有用と考えられた。
著者
金澤 優太 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2017論文集
巻号頁・発行日
pp.597-600, 2017-02-23

動画投稿サイトに見られる「弾いてみた」動画を楽器演奏の練習に活用している事例は多い.しかし,ほとんどの動画投稿サイトでは,演奏技術が巧みな卓越した演奏の動画が優先的に表示されるようになっている.お手本動画の技術レベルが,自分のレベルとあまりにかけ離れている場合,練習モチベーションを低下させることが危惧される.そこで本研究では,動画投稿サイトに投稿された「弾いてみた動画」の技術レベルを集合的に順位付けし,各楽器演奏練習者がそれぞれのレベルに応じた動画を探しやすくする手法を提案する.これにより,楽器練習の継続意欲を維持することができるようにすることを目指す.本稿では,提案手法の基本的動作を確かめるために,シミュレーション実験を行った.理想順位との一致率はあまり高くなかったが,ある程度レベルの近いものを塊として提示することができることが示唆された.
著者
金澤 伸雄 有馬 和彦 井田 弘明 吉浦 孝一郎 古川 福実
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.388-400, 2011 (Released:2011-10-31)
参考文献数
44
被引用文献数
3 4

中條—西村症候群(ORPHA 2615, MIM 256040)は,幼小児期に凍瘡様皮疹で発症し,弛張熱や結節性紅斑様皮疹を伴いながら,次第に顔面・上肢を中心とした上半身のやせと拘縮を伴う長く節くれだった指趾が明らかになる特異な遺伝性炎症・消耗性疾患である.和歌山,大阪を中心とした関西と東北,関東地方に偏在し,30例近い報告がある.全国疫学調査で生存が確認された関西の10症例に加え,新規幼児例が和歌山で見出され,今後も増える可能性がある.長らく原因不明であったが,ホモ接合マッピングにより,免疫プロテアソームβ5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子のホモ変異が同定された.患者由来細胞,組織の検討により,本疾患ではプロテアソーム機能不全のためにユビキチン化,酸化蛋白質が蓄積することによって,p38 MAPK経路が過剰に活性化しIL-6が過剰に産生されることが示唆された.最近,欧米からもPSMB8遺伝子変異を伴う類症が報告され,遺伝性自己炎症疾患の新たなカテゴリーであるプロテアソーム不全症が世界に分布することが明らかになりつつある.